当分は貯蓄だな!
てな訳で今回は恒例の番外編。
・子供目線
・コミュニケーション
・G11の憂鬱
・感謝を乗せて
の四本です!
番外7-1:子供目線
とある日の喫茶 鉄血。
カレンダーを見れば本日は土曜日で、店内はそこそこな賑わいを見せている。特に昨晩はスケアクロウのショーがあっただけに、朝から彼女に会いたいという客が後を絶たなかった。
・・・が、残念ながらそのスケアクロウは朝早くから外出中であり、その日店に帰ってきたのは日がくれた後のことだった。
さてそんな彼女が朝から出かけたのにはちゃんとした理由がある。目的地は路地のを進んだ先にある小さな公園。街のメインストリートから離れているだけあって静かな、しかし休日なので子供達が元気に走り回るその場所で、スケアクロウは大きく深呼吸をした。
その後は近くのベンチに座り、公園を見渡す。
「はいタッチ! ◯◯ちゃんが鬼ね!」
「パスパス! こっちだって!」
「くらえ! 特大ホームラン!」
「あっ!? バカッ! ・・・やべ。」
そこかしこで遊ぶ子供達(窓ガラスの割れる音も聞こえるが)を、ジッと観察するように見るスケアクロウ。これは彼女が休日に必ずと言っていいほど行うもので、子供達がどんな時に喜び、笑顔を見せるのかを観察しているのだ。
「・・・・・あれ? もしかしてスケアクロウさんですか?」
「あら、どうも。」
そこはたまたまやってきたこの地区の広報幕僚のカリーナが声をかける。ちなみに今のスケアクロウの格好だが、水色のワンピースに白っぽいカーディガンを羽織っている。さらに髪を下ろしてマスクも外しているので、この顔を知っているものでなければまず気づかないのだ。
「お隣よろしいですか?」
「えぇ、構いません。」
では失礼しますと言ってスケアクロウの隣に腰を下ろすカリーナ。再びスケアクロウは子供達の観察を始めるが、ふと思いつきカリーナに声をかける。
「カリーナさん、今お時間よろしいでしょうか?」
「? えぇ大丈夫ですよ。」
「あの・・・カリーナさんの子供の頃のお話を伺いたくて。」
目をパチクリさせるカリーナに、スケアクロウは話を続ける。
「私たち人形に子供の頃などありません。 ショーの参考に子供達の笑顔を見ているのですが、やはり体験談に基づいた喜びというものを知りたいと思いまして。」
少し恥ずかしそうに、ダメですか?と問うスケアクロウにカリーナは微笑んで応える。
それから彼女は、自身の幼少期の記憶を思い出しながら語り始めたのだった。
end
番外7-2:コミュニケーション
グリフィン本部、人形用居住区。
本部所属の人形や出張で来た人形のための場所に建てられている宿舎の一室で、ある姉妹がある問題に直面していた。
その彼女たち・・・カルカノ姉妹がぶつかっている問題、それは今まで通りのコミュニケーションが取れなくなってしまったのだ。
(あれぇ〜、今までどうやって話してたっけ?)
(姉さんとの話題が・・・見つからない。)
片方は椅子の上で、もう片方はベッドの上でそれぞれ背を向けて頭を抱えている。偶然にも全く同じ体勢になるあたり姉妹なのだが、先日のすれ違い解決の結果、今まで気を使って会話してきた二人は本心からの会話ができずにいた。というよりも何を話せばいいのかすら思い浮かばないのだ。
「・・・ねぇ。」 「・・・姉さん。」
「「あっ。」」
「先にいいよ。」 「先にどうぞ。」
「「・・・・・。」」
意を決して話しかけるが口を開くタイミングが思いっきり被り、微妙な空気が流れ始める。
かれこれ三十分は経っただろうか、姉が口を開きポツンと呟く。
「よく考えたら私たち、姉妹なのにお互いのことほとんど知らないね。」
「・・・そうですね。」
クスクスと笑う姉につられて妹も笑い出す。
ひとしきり笑い終えると、チラリと時計を見る。今日は非番で、時間はまだまだある。
「ねぇ、ちょっと買い物に行かない?」
「買い物・・・ですか?」
「そう! 好きなもの買って、好きなことしよう、二人で!」
「・・・いいですね。 行きましょう!」
じゃあ早速と荷物をまとめ、部屋を出るカルカノ姉妹。
この後二人仲良く買い物し、また初めて姉妹喧嘩もしたのだがそれはまた別のお話。
end
番外7-3:G11の憂鬱
春先になり徐々に暖かくなりつつあるS09地区。
その司令部の一室に設けられた404小隊の部屋が二つある。UMP姉妹の部屋と、G11・HK416の相部屋だ。
その片方、11と416の部屋で、目覚ましがなっていないにもかかわらず11はパッチリと目が覚めてしまった。
というのも・・・
「えへへ〜、お姉様〜・・・」
「えぇ〜・・・」
11の身長の都合上一人ではやや広いベッド、そこに収まるようにして眠ってのは先日の一件から11を『お姉様』と呼び慕うゲパードである。11よりも背の高い彼女は幸せそうな笑みを浮かべながら11に抱きつくように眠っている。11はさながら抱き枕のようだった。
(なんだってこんなことに・・・とにかく起こさないと。)
ふと枕元の目覚まし時計を見ればもうすぐ鳴る時間だったので、11は起こすのを諦め、目覚ましがなるまでの数分間をため息をつきながら待つのであった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「おはようございます、お姉様!」
「あぁ、うん・・・おはよう。」
時間は進んで朝食、404の面々と食べているところに笑顔でトレーを持ってくるゲパードをいかにも面倒くさいですといった顔で迎える11。
しかしゲパードはそんなことなど一切気にせず(と言うより気づいていない)11の隣に座り朝食を食べ始める。ちなみにこのズボラな人形たちは意外なことに三食きっちり食べるうえ、間食もほとんどしない。
「仲良いわね二人とも。」
「うんうん! 本当に姉妹みたいだよ!」
「ちっこい姉と大きな妹・・・あら、どこかにいたわね。」
「誰のことかしら416?」ピキピキ
「私は身長のことを言ったつもりなんだけど・・・何を考えたのかしら45?」ニヤニヤ
「遊んでないで助けてよ。」
「何かお困りですかお姉様? 私が力になりますよ。」
11は騒がしい仲間としつこい自称妹にげんなりしながら朝食を済ませると、こうゆうキャラじゃないんだけどなぁとぼやきながら45をなだめて司令室に向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その指令書を読んだ11の顔は、かつてないほどの絶望に染まっていた。側では45と9が大笑いし、416が口元を押さえて震えている。そして・・・なぜかいるゲパードの目はこれまたかつてないほどのキラキラ光っていた。
「・・・指揮官、これは?」
「上層部の決定だ。 ゲパードM1を期限付きで404小隊に配属させる。」
「よろしくお願いします、皆さん、お姉様!」
「は、はは・・・」
もはや乾いた笑いしか出ず、目にはうっすらと涙さえ浮かべている。チラリとカレンダーを見るがまだ三月の末、当然エイプリルフールではない。
泣く泣く了承した11はこの時、いつかグリフィン本部にカチコミをかけてやるということを固く誓ったという。
end
番外7-4:感謝を乗せて
「・・・よし、後は一煮立ちさせるだけね。 次は・・・」
ふと時計を見ると、パーティーの開始時間まであと少しといったところだった。私はやや急ぎつつ、しかし慌てることなく準備を進めていく。すでに出来上がっている料理は皿に盛り付け、手伝ってくれている人形・・・スプリングフィールドとM4に渡していく。
「はい、これもお願い。」
「わかりました。 ・・・間に合いそうですか?」
「ええ、なんとか。 ・・・ごめんなさいスプリングフィールド、それオーブンから出しといてくれる?」
「はい。 ・・・あら、美味しそうですね、見た目以外は。」
焼きあがったスターゲイジーパイは香ばしい焼き目がつき、食欲をそそる香りが広がっていた。
私は内心ガッツポーズをしながら冷蔵庫の中をチェックする。
・・・うん、デザートも大丈夫そう。
「ワーちゃん、持ってきたよ!」
「なんとか間に合ったわ。 ・・・ん、いい香りね。」
「ありがとう9、416。 あとワーちゃん言うな。」
二人が持ってきてくれたのは前もって注文しておいた酒類。特に日本酒や中国酒はこの辺りじゃあんまり見ないから結構時間がかかった。
各テーブルに料理と食器を並べ、厨房の空きスペースにはデザートをスタンバイさせておく。えーっと、ワインがあの席でビールがこっち・・・ウォッカとウイスキーがここで日本酒が・・・
「・・・ってしまった! 肉じゃが!」
「火は止めておきましたよ。 安心してください。」
スプリングフィールドの言葉にホッとしつつ、時間を見ればもうほとんどない。締め切った扉の向こうからはもう既に話し声が聞こえ、人が集まっていることがわかる。
最後にこれをあっちに運んで・・・・・よし、終わり!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うめぇ! これめちゃくちゃうめぇぞSOP!」
「イギリス料理が・・・美味しいなんて・・・」
「あなた自分の国の料理をなんだと思ってるのよ。」
「これはお酒が進むね・・・ウォッカおかわり!」
「ちょっと一〇〇式どうしたのよ!?」
「うぅ・・・ずっと洋食だったから・・・ご飯と肉じゃがが・・・美味しくて・・・」
「すげー虫料理まである・・・。」
「あっこれ結構いけるよ。」
そこかしこから聞こえてくる感想に、私は思わず泣きそうになる。もちろんそれなりに練習したし味にだって自信はあったけど、とりあえずホッとした。
とはいえまだ泣くわけにはいかない。今泣いたら、ちゃんと伝えられなくなる。
『あーあー・・・皆さん、お楽しみのところ失礼します。」
本日の司会的な役割のスプリングフィールドが壇上に上がる。
・・・そろそろね。
『さて本日の料理はいかがでしょうか? ふふっ、実はこれ、全部ワルサーさんが作ってくれたんですよ。』
おぉ〜という歓声と拍手が巻き起こる。・・・改めて言われると恥ずかしいわね。
『さて、今日はそのワルサーが、皆さんに話したいことがあるそうですよ。』
とうとうね。
注目が集まる中、私は意を決して壇上に上がった。
『あ、改めまして、ワルサーWA2000よ。 今日はその、このパーティーの料理を作ったわけだけど・・・みんなに、聞いてほしいことがあるの。
私はずっと、戦うためだけに生きてきたし、それを誇りにも思っていた。 でも、実際与えられるのは警備とかがほとんどで、私が思ってたのとは全然違った。 それを不満に思って、イライラして、みんなの前で喚いて・・・でも・・・その・・・・・』
あ、あれ?言葉が出ない?嘘、そんな、何度も練習したのに!?
みんな見てる、ちゃんと言わなきゃ・・・言わなきゃ・・・言わな「WAちゃん!」・・・っ!?
「今日のご飯、すっごく美味しいよ! ありがとう!」
『・・・え?』
「うんうん、お酒にもよく合うし、文句なしだよ。」
「私、こんな美味しい料理初めてかもです!」
「自分の国の料理が美味しいと思ったのは初めてよ。」
「あぁ、飯も上手くて
誰が言い出したのかはわからない。けど気がつけばみんな口々に言ってくれる。
美味しかった、ありがとう、また作ってね・・・
「ワルサーさん。」
「ス、スプリング・・・」
「私からもお礼を言わせてください。 ・・・ありがとうございます。」
そう言ってくれる彼女の顔が、私にはよく見えなかった。もう視界はぼやけっぱなしで、拭っても拭っても治らない。
でも、今なら少しだけ、少しだけ素直になれる気がした。
『・・・みんな・・・あ、ありがとう。』
本当に、本当にありがとう。
その後に撮った集合写真に写る私は、涙で顔がくしゃくしゃだったけど、これ以上にないってくらいの笑顔だった。
end
意外と難産だった。
そういえばもうすぐレアキャラドロップのチャンスがあるみたいですが、多分私は第三戦役までしか周回しないと思います・・・資源節約のために。
そんなどうでもいい話は置いといて解説!
番外7-1
二十八話の後日談。
スケアクロウってマスク外すとどんな顔なんだろうって思ったのがきっかけでできた話。成長のない人形と寿命のある人間の会話って、なんかくるものがあります。
番外7-2
二十九話のその後。
元となった銃という意味の姉妹から、本当の意味での姉妹になる二人の話。本部ということで今作コラボ回で登場したおっぱい指揮官(本部所属)を出そうか悩んだけど結局やめた。
番外7-3
三十話の翌日。
404にゲパードが加わり、SMG×2・AR×2・RF×1という編成に・・・あれ、バランス良くなった?
UMP9「これかぞ!」
番外7-4
三十一話のその後。
終始WAちゃん目線で進んだ。なんやかんやで最後はちょっと素直になるのがWAちゃんらしいと思っている。
WAちゃんのロリスキンとか出ませんかね?
ではここまで。
次回は4月1日の予定。