喫茶鉄血   作:いろいろ

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書き始めたら止まらなくなっちまった!

新年最初の投稿は番外編です。
番外編は短編を二、三話合わせて、登場人物は本編で登場した人たちにしたいと思います。


今回は
・恋心モシン・ナガン
・シスコンUMP45
・ラブラブAR-15&ハンター

の三本です。


番外編1

番外1-1:モシン・ナガンのその後

 

私が務める司令部の指揮官は、あまりお酒を飲まない。

弱いわけではなく、翌日の業務に支障をきたすとか人形たちの分だとか、何か理由をつけて飲もうとしない。

以前に一度無理矢理飲ませてみたところ意外と強いことがわかったが、その後こっ酷く怒られてしまった。

 

私はそんな指揮官とお酒を飲むのが好きだった。

話をちゃんと聞いてくれるし、時々おつまみも出してくれる(後で知ったが手作りらしい)。

私自身が司令部の中では古参な方なのもあって、休みの日なんかはよく付き合ってもらっていた。

 

いつのまにか飲む時間じゃなくて飲む相手、指揮官のことが好きになって、でも指揮官にとっての私は多分飲み友達だから振り向いてもらえなくて。

指揮官はモテるから焦って、その結果があんな事(お酒を飲まない宣言)だった。

 

あの喫茶店のマスターに会っていなければ、きっと今も辛いままだったのだろう。今度お礼に何か持って行こうか。

 

 

そんなことを考えていると、指揮官室の扉が開く。言い忘れていたが、今日は私が秘書官だ。

本部から帰ってきた指揮官の顔を見てにやけそうになるのを我慢して、元気よく出迎える。

 

 

「おかえり〜!」

 

私の大好きな指揮官。

 

 

 

 

 

番外1-2:妹さえいればry

 

朝六時

私はだいたいこの時間に起きる。

私たち(404小隊)の部屋は二段ベッドが二つあり、私の上には9が寝ている。

私の一日は、妹の可愛らしい寝顔を見ることから始まる。

 

「・・・むにゃむにゃ・・・45姉・・・大好きぃ・・・」

 

「グハッ!」

 

朝からこの一撃!今日は最高の一日になりそうね。

 

 

七時半

寝顔を堪能していると、この時間に9が起きてくる。

 

 

「ん〜〜、45姉、おはよ〜。」

 

「(9可愛いよ9)おはよう9。」

 

 

いっそこのまま襲ってしまいたいわ。

 

 

九時

 

朝食になると、私は決まってある行動をする。それは・・・

 

 

「あ、45姉、ご飯粒ついてるよ。」

 

「え、どこ?」

 

「今とるからちょっと動かないでね。」

 

 

ごく自然な動作でご飯粒を頬につけること(このためだけに朝食はご飯にしている)。

 

「・・・はい、取れたよ。」

 

「(ああぁぁぁぁ私のほっぺに9の指が! 指がぁぁぁぁぁ!!!!) ありがとう9。」

 

 

この感触は一生忘れないわ!

 

 

 

 

 

 

「何考えてるんだろうね。」

 

「考えるだけ無駄よ。」

 

 

十五時

 

何がいい一日になるよ、いきなり私だけ調査隊の護衛任務になるなんて。お陰で9過ごす時間を大幅に失ってしまったじゃない。指揮官、この件は高くつくわよ。

 

そんなことを思いながら部屋に帰ると、9が箒を持って部屋の隅に縮こまっていた。可愛い。

 

 

「! 45姉ぇ!助けてよぉ!!」

 

「!?」

 

 

いきなり9が抱きついてきた! あぁついに私の愛が届いたのかしらもう死んでも構わないわさぁいますがベッドに行きましょうそしてそのまま朝までムフフフフ・・・・・あ、ヨダレが。

 

 

「そこ! 角に! あ、アレが! アレが!!」

 

 

イカンイカン、今は怯えてる9をなんとかしないと。

見れば部屋の隅、棚の下からまずかに覗く黒いヤツ。なるほど、貴様がこの惨劇(天国)の原因か・・・。

9から箒を受け取り部屋の窓を開ける。そしてヤツをあえて刺激し、飛んだ瞬間に人形のスペックをフルに使って箒をフルスイング。絶妙なタイミングで当たったヤツを窓の外に弾き飛ばしミッションクリア。

 

その後は抱きついてくる9を落ち着かせながら、昼間失った9成分を補給する。あぁ幸せ。

 

 

二十二時

その後はまぁいつも通り。

9とおしゃべりしたり、夕食で9にアーンしてもらったり、お風呂で9の裸を堪能したり・・・。

 

 

「じゃあもう消すよ。」

 

「いいわよ。」

 

「ありがと9」

 

「zzz・・・」

 

 

同居人がいなければこのまま朝チュンコースに突入したいのだが、無理なものは無理だろう。

そして今日起きたことを思い浮かべ、明日に期待を馳せるのだ。ムフフ。

 

 

 

 

 

番外1-3:二人のクリスマス

 

十二月二十四日

街がクリスマス一色となり、メインストリートに面した公園にあるクリスマスツリーの前はカップルや家族で賑わっていた。

その公園の端のベンチ、桃色の髪を揺らして両手に息を吹きかける一人の少女(人形)がいた。AR-15である。

人形なのだからある程度寒さには強いが、それでも寒そうなのは手袋もマフラーも身につけていないせいだろうか。

 

 

ザッザッザッ

 

 

「!」

 

 

足音が近づいて止まる。

顔を上げれば、待ちわびた想い人 ハンターがいた。

 

 

「すまない、遅くなった。」

 

「ううん、さっき来たとこだから。」

 

 

そう言うと「そうか・・・」と言ってAR-15の隣に座るハンター。

自然とAR-15も距離を詰める。お互い目を合わせて微笑むと、ハンターがAR-15の服装に疑問を持つ。

 

 

「おい、お前まさかその格好で来たのか?」

 

「え、ぁ、いや、その、マフラーが、虫に食われちゃって。」

 

 

そう言うと恥ずかしそうに俯いてしまう。

するとハンターはニコリと笑って、

 

 

「なら、これを持ってきて正解だったな。」

 

 

と言って持っていた箱を手渡す。

いきなりのことに困惑するAR-15にハンターが「開けてみてくれ」というと、AR-15はゆっくりと箱の蓋を開ける。

 

 

「わぁ・・・!」

 

 

中に入っていたのは赤いマフラーだった。

隣を見れば、笑顔で頷くハンター。AR-15はマフラーを箱から取り出し、首に巻き始める。

 

 

「? ねぇ、これ・・・」

 

 

巻いてみて気がついたが、このマフラーはかなり長い。地面につくほどではないが、普通のマフラーに比べればかなり余計な長さだと感じるだろう。

疑問に思っているとハンターは意地の悪い笑みを浮かべ、

 

 

「あぁすまない、そいつは()()()じゃなかったな。」

 

 

と言って、余っている部分を自分の首に巻き始める。

さて、長いとはいえ一本のマフラーを二人が使えばどうなるか。結論で言えば、ほとんど耳がくっつくくらいの距離に二人の頭が来るのである。

ハンターはどこか満足げだが、AR-15はすでに耳まで真っ赤になっている。

そのままじっとすること約十分、流石に寒いと思ったのかハンターが店に行くことを提案、AR-15も同意して移動する。相合マフラーのまま。

 

 

「・・・着いたぞ。」

 

 

ハンターの声に顔を上げると、そこは馴染みの店である『喫茶 鉄血』・・・のはずだが何故か看板が外され、ドアには「臨時休業」と書かれた張り紙が。

明らかに閉まっているように見える店にハンターは入っていき、釣られてAR-15も入る。

 

 

「・・・・・!」

 

 

中に入るとそこにまでテーブルと一対の椅子、テーブルの中央にはキャンドルランプが輝いていた。

ハンターは固まっているAR-15の手を引き椅子に座らせると、パチンッと指を鳴らす。

すると店の奥から料理を持った代理人が現れ、皿をテーブルに置きグラスにワインを注ぐ。

驚きの連続で未だに理解が追いついていないAR-15はハンターに視線を移す。と、等のハンターは少し照れ臭そうにしながら言った。

 

 

「まぁ、その、私たちが付き合い始めて初めてのクリスマスだったからな。代理人に頼んでこういう雰囲気にしてもらったんだ。」

 

 

気に入ってくれたか?と聞くハンターだが、よく見ると手先が僅かに震えている。彼女も緊張でいっぱいいっぱいなのだろう。

だからこそ、この後の慌てようは当然の結果であったとも言える。

感極まったAR-15がポロポロと泣き始めたのだ。

 

 

「!? す、すまない! 何か気に入らなかったか!? わ、私はお前に喜んでもらおうと、」

 

「ち、違うの!」

 

「私、今日ハンターと過ごせるだけで嬉しくて、プレゼントまでもらって、おまけにこんなことまでしてくれて、嬉しくて、そしたら堪え切れなくて。」

 

 

その後すぐに涙を拭いた彼女は、ニコリと微笑んで「ありがとう」と続けた。

 

 

「っ! そ、そうか。 それは良かった。」

 

 

その笑顔にドキッとしたハンターだがなんとか普段の調子に戻し、フッと一息ついた。

 

その後は二人で乾杯し、食事を楽しみながら話に花を咲かせていた。

結局遅くまで話していた二人だが気がつけばすでに十一時を回っている。

お互い名残惜しそうにしつつもAR-15が「また明日会いましょう」と言うと、ハンターも「あ、あぁ」とぎこちない言葉を返し、AR-15の後に続いて店の出口まで向かう。

が、店を出るまであと数歩というところで、

 

 

「お客様、忘れ物がございますよ。」

 

 

と代理人が呼び止める。

扉の前でAR-15を待たせてハンターは代理人のもとに向かうと、代理人から渡されたのは一つの鍵。

一瞬何の鍵かは分からなかったものの直ぐに理解したハンターはバッと顔を上げる。それを見た代理人は僅かに微笑み、店の奥、非常口から店を出る。

AR-15はが不思議そうな顔をしながらハンターのそばに行くと、突然ハンターが抱きついてきた。

何が起こったのか分からず目を白黒させているAR-15の耳元で、ハンターは大きく息を吸い、震える声で言葉を紡ぐ。

 

 

「今夜は、一緒に居たい。 一緒に居てほしい。」

 

 

数秒かけてやっと言葉の意味を飲み込んだAR-15は、しかし抵抗することはなく逆にハンターを抱き締め返す形で返事をする。

そして二人は渡された鍵・・・二階の空き部屋の鍵を持って、店の奥に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・はい、計画通りに。・・・ええ、店からは出ていません。・・・わかりました。では、お言葉に甘えて。」

 

 

電話を切り、戸締りを終えた店を振り返る代理人。

その顔は、手のかかる子供を見守る母親のそれであった。




皆さま改めまして、明けましておめでとう御座います!


というわけで早速番外編の紹介に移ります。
*番外編は既出キャラの話なので、それぞれの話の設定や時系列などを紹介します。

1-1
第一話から数日後の話。指揮官ラブ勢の話はそのうち書くのでモシン・ナガン以外の人形は出しませんでした。ここの指揮官はロシア組とタイマンは張れるくらいお酒に強いです。

1-2
書けば書くほど悪化するキャラ。書いてる途中に何度かR-18路線にズレそうになったのが一番きつかった。
もういっそR-18版も出しちまおうかな。

1-3
お待たせしました!
ほんとは昨年のうちに上げたかったのですが、この話で一本丸々使うと確実にR-18に突入するのでこの形に。
ちなみに鉄血員は代理人含め全員司令部に泊まりました。

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