喫茶鉄血   作:いろいろ

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番外編もなんだかんだでもう九回目ですね・・・というわけで十回目は皆さんのリクエストを募集したいと思います。
詳しくはあとがきに書きますのでよろしくお願いします。


さて今回は
・代理人着せ替え計画
・自分らしさ
・Q.ヘタレと鈍感をくっつける方法
の三本です。


番外編9

番外9-1:代理人着せ替え計画

 

とある日の鉄血工造、その会議室。

大きな円卓とそれを囲むようにずらりと並んだ椅子には、人間人形合わせて三十人以上が集まっていた。グリフィンの制服を着た者もいれば『IoP』と書かれた名札をつけた白衣姿もいる。人形も鉄血とグリフィンが入り混じり、全員が手元の端末を凝視している。

 

 

「さて、一通り目は通してくれたかしら?」

 

「なるほど、今日は話し合うことが多くなりそうですね。」

 

「時間も限られます、先に結論を出せそうなものを話し合いませんか?」

 

「それでいいんじゃない? じゃあまずは・・・次期採用の人形スキン、これは16lab担当でいいの?」

 

「えぇ構いません、今回我々17labは降りますよ。」

 

「珍しいね、何企んでるの?」

 

「グリフィンから新型人形の開発依頼がありましてね、人手を割けないわけですよ。」

 

「じゃあ16labがスキンを製造ってことでいいね? なら次は・・・」

 

 

三社合同開発協議会、これまで各々でプランを用意しコンペにて競うという方法が非効率であると考えた役員が、それぞれの開発部門を一堂に会して決めさせようと提案したものである。

グリフィン・IoP・鉄血工造の開発部門や役員以外は参加することができず、その内容は秘密に包まれている・・・のだが、それはあくまで彼らの『仕事』の話のみだ。

『仕事』以外・・・すなわち『趣味』となると、部外者だろうが一般人だろうが割と普通にいる。

 

 

「・・・さて、退屈な『仕事』の話はここまでだね。 みんな、目隠しと耳あて外していいよ。」

 

「ふっ、ようやくか。」

 

「なんでそんなに気合入ってるのよダネル?」

 

「なんだ? 今回の議題を知らないのか?」

 

「今回の議題ってどれよ・・・・・あぁ、なるほど。」

 

 

アーキテクトの合図で会議に参加するのは五人。

NTW、M4、おっぱい指揮官、レイラ(+ユノ)、そしてD(ダミー)である。

五人の準備が終わると、端末が一斉に切り替わって『今回の議題』をでかでかと表示する。

 

 

「というわけで、『第一回・代理人を着飾っちゃおう会議』」をはじめまーす!」

 

 

司会を務めるアーキテクトが端末を操作し、代理人の身長や体重、スリーサイズが表示され、それぞれが個別に案を考える。

・・・個人情報流出甚だしいが、Dも参加しているので誰も気にしない。

ここで疑問に思ったペルシカが声をかける。

 

 

「ねぇ、ダネルと変態はまだわかるんだけど、他はなんで来たの?」

 

「私はその、お母さんに何かプレゼントしたいなって思って、オリジナルの服がいいかなって。」

 

「私が、ってよりユノに招待状が来てね。 なんか子供の目線は重要だって言われて、せっかくだから来たんだけど。」

 

「私は集客率向上のためです!」

 

 

各々が一応理由があって来たらしい。ちなみに今回のこの会議、もちろん代理人には秘密であり、加えて『隠すところが隠れていえば』なんでもいい。

そんな自由なお題、研究者(変態)はもちろんそうでない者も結構遊び心を加えるのだ。具体的にはNTWとおっぱいである。

 

 

「この前は着物だったが、今回はどうするか・・・ウェディング、チャイナ、ウェスタン調・・・いや、いっそ男装・・・うふっ。」

 

「DTを殺す服、DTを殺すセーター・・・水着なら黒のビキニ、もしくは競泳水着か・・・」

 

 

もう機能性とか普段から着れるとか一切考えていないあたり完全に自分の世界である。そんなのをやや白い目で見ながら、比較的まともな参加者は考える。

 

 

「ワンピースとかの普段着のほうがいいかな、それともパーティードレスみたいなのかな?」

 

「ユノ、ネックレスはいいけどちょっと派手すぎない?」

 

「え〜お母さんのやつ地味だもん。」

 

「スカートを短くしたやつと、逆に長くしたやつ、飲み屋のマダムみたいなのもいいかな・・・あーでももっとフリフリの可愛いのとか着てみたいなぁ〜。」

 

 

純粋な思いと己の欲望が入り混じった会議は数時間にも及び、50以上出た案のうちいくつかが作られることになる。

もちろん、突然変な衣装を着せられた代理人は顔を真っ赤にして怒るのだが、それはまた別のお話。

 

 

end

 

 

番外9-2:自分らしさ

 

「私の趣味? そりゃ酒だな。」

 

「趣味か・・・本を読むのは好きだぞ。」

 

「料理ね。 といっても、趣味って言えるほど長くはやってないけど。」

 

 

皆さんどうも初めまして、AR小隊のRO635です。以前ちょっとある方にきつい一言を言われまして・・・いえ、悪いのは私なんですけどね。それで自分らしいとは何かを探そうということで、司令部の皆さんに話を、というか趣味を聞いているわけです。

皆さん色々な趣味を持っていることはわかりましたが、肝心の趣味の作り方がわかりません。興味を持ったら始めるというのはわかるのですが、そもそも興味を持ったものがないんです。

 

 

「・・・あれ、これはまずいんじゃないでしょうか。」

 

 

本当に、本っ当に周りに興味を持っていなかったことが証明されてしまったわけで軽く凹みそうなんですが・・・まぁそれはいいでしょう。

・・・・・と考えている間にある部屋の前まで来ました。G11と416の部屋ですね。

 

 

「・・・うぅ・・・背に腹は変えられませんか・・・」

 

 

あの一見で感謝してはいるのですが、どうにも会うのが気まずくてずっと避けていたわけですが、やっぱり相談するなら彼女でしょうか。

・・・よし、深呼吸深呼吸。

 

 

「・・・・・よし・・11さん、いらっしゃいますか?」

 

 

シーン

 

 

「・・・あれ? もしかして外出中?」

 

 

いえ、外出届者名簿には名前がなかったはずで、ここまで一度も見ていないので部屋にいるはずですが。

もう一度声をかけてみましょうか。

 

 

「あの〜、11さ〜ん?」

 

 

シーーーーーン

 

 

あれ?本当にいない?

それとも・・・居留守?もしかして、あのことでまだ怒ってるとか?

うぅ・・・どうしよぉ・・・とはいえ今頼れるのは11だけだし・・・ほか?M4は何やら会議だそうで、AR-15とSOPはデート、M16姉さんはさっき聞いたし、指揮官はこういう時はちょっと頼りない感じが・・・やっぱり11に聞かないと・・・で、でも本当に怒ってたらどうしよう・・・どんな顔して会えばいいの?・・・

 

 

「・・・・・ねぇ。」

 

「うぴゃあ!?」

 

 

突然声をかけられ、思わず飛び上がってしまいます。っていうか『うぴゃあ』って・・・。

振り返ると、ハンカチで手を拭く11が・・・あぁなるほど、お手洗いに行っていたんですね。

 

 

「えっと、こんにちは。」

 

「・・・何か用?」

 

「そ、その・・・・ちょっと相談したいことが。」

 

「いいよ、中に入ろ。」

 

「勝手なお願いだとはわかっているんですが・・・え?」

 

「だからいいよって。 悩みがあるなら聞くよ、どうせ任務もないしね。」

 

 

なんでしょう・・・後光が見える気がします。11はカードキーを取り出してかざし、部屋の鍵を開けて扉を引いて・・・

 

 

「お帰りなさいませっ!お姉さm

 

 

バタン

 

 

・・・今、何かいたような・・・

11の方を見ると、それはもうすごい渋面で扉を、いえその向こうをにらんでいました。

 

 

「・・・ねぇRO。」

 

「? はい、なんでしょう。」

 

「あれを黙らせてくれたら話は聞くよ。」

 

「・・・・・え?」

 

 

end

 

 

番外9-3:Q.ヘタレと鈍感をくっつける方法

 

そんなことを調べたところで意味がないことはわかっているが、流石にあのままだとこっちの身がもたない!

そんなことを考えながら必死にキーボードを打ち、マウスを動かすのは、先日ストレスと悩みのタネが一つ増えてしまったPKPだ。

ヘタレPKと鈍感MG5という最悪の組み合わせを前に並の方法では通用しないことがわかっているため、藁にもすがる思いでネットの海に飛び込んでいる。

 

 

(二人を部屋に閉じ込める・・・◯◯◯しないと出られない部屋に入れる・・・薬を盛る・・・媚薬・・・発情プログラム・・・既成事実・・・)

 

 

ちなみに時計の針はすでに日付が変わって二時間にもなる。俗に言う深夜テンションに突っ込んでいるPKPの思考はどんどん危ない方向へと進んでいった。

 

 

(まず三人で飲みたいと言って部屋に隊長を呼び出す・・・頃合いを見て薬を混ぜて、適当な理由で退出・・・鍵と鉄板でドアを塞いで・・・ついでに棚の中にそういう道具を入れておいて・・・)

 

 

目をぎらつかせてタガの外れた思考をフル回転させる。気がつけば検索ワードがもう完全にソッチ方面になっており、手元には良さそうなものをメモした紙が散らばっている。

 

 

(代理人の伝手で鉄血から購入・・・いや、いっそアーキテクトを焚きつけて強力なやつを作ってもらう方が・・・)

 

 

思い立ったが吉日、とばかりに部屋の電話に手を伸ばし・・・視界の隅で寝返りを打つPKの姿を見る。

よほどいい夢を見ているのか、幸せそうに頬を緩めて眠っている。そんな顔を見たPKPの頭は一気に冷め、PCの電源を落としてメモを捨てる。

 

 

(・・・無粋なことしない方がいいな・・・姉貴のためにもならんし。)

 

 

ポンコツだが優しい姉の髪をそっと撫で、PKPは自分のベッドに入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、結局またまたへたれた姉を見て、今度こそ強硬手段にでることを誓うことになるのだが。

 

 

end




この作品、残念なやつが多い気がするのは気のせいだろうか?


ではでは各話の解説。

番外9-1
三十六、七話の後日談。
ほんとはこれだけで一話分の予定だったけど、グダグダになったので短くして番外編に。
個人的にオススメなのは裸Yシャツ。

番外9-2
三十八話の翌日。
くっついてはいないけどいい関係な二人のお話。
この後、嫉妬に狂ったゲパードと一戦を交えることになるが割愛。

番外9-3
三十九話の数日後。
こうでもしないとくっつかねぇんじゃね?とか思ったので描いたやつ。
姉への優しさと我慢の限界、どっちが上回るかで結果が変わる。




前書きでも書きました番外編10のリクエストは、メッセージもしくは活動報告で受け付けます。
内容は過去の話ででてきたキャラクターに限りますが、それ以外は特に制限はありません。
また、リクエストに対する返信はしませんのでご了承ください(それ以外の要望や指摘等には返信します)
リクエストがなければいつも通りの番外編になります。

それでは!

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