喫茶鉄血   作:いろいろ

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ブラックカードが溜まったので9のスキンと交換しました。
これで一年中バレンタインだぜ!(現実逃避)

ところでもうGWですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
個人的には10連休でもあんまり変わらないですね、、バイトとか講義とか。


第四十一話:メイドさんのオフ日

金曜日の夜。

一週間で唯一の夜間営業日である喫茶 鉄血では、休日を前にした社会人たちが飲んで歌ってと盛り上がっていた。といってもここは飲み屋ではないので、どんちゃん騒ぎというわけではないが。

そんなお酒も飲める憩いの場として提供している代理人は、つい先日レパートリーに加えたカクテルを作りながら、ふと店の外が騒がしいことに気がつく。

 

 

「? D、少し見てきてください。」

 

「はぁーい。」

 

 

手の空いていたDに見に行かせ、自分は再び接客に戻る。

・・・が、壊れそうなほど勢いよく開いた入り口のドアに、何事かと注目する。

開け放たれたドアの向こう、おそらくドアを蹴って開けたであろう本人が、下着が見えることを気にするそぶりもなく佇んでいた。そしてドカドカという音がするほど荒々しく中に入り、一番近くのテーブル席に座る。

そして普段の優雅さとは程遠いくらい乱暴に足を組み、メニューも見ずに注文する。

 

 

「ビール、ジョッキで十杯。」

 

 

白を基調としたメイド服を身にまとい、赤くなった顔とやさぐれた目つきで彼女・・・Gr G36は言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとぉ・・・聞いてるのぉ?」

 

「き、聞いてますよ・・・。」

 

「まったく・・・で、どこまで話したかしら・・・まぁいいわ、それでそこの指揮官がとんでもなく変態でね、気持ち悪い笑みを浮かべるわ会うたびに『ナイスおっぱい』なんて言ってくるわ・・・次会ったら玉の一つでも潰してやろうかしら。」

 

(その話三回目ですよ・・・)

 

 

ジョッキ(特)を片手にベラベラと愚痴り続けるG36。対面に座ってその全てを聞き続けるDは、笑顔こそ変わっていないもののその心中では今にも逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。

幸い今の所絡まれているのはDだけで、むしろDが緩衝材となって周りへの被害を防いでいた。他の客はとばっちりを避けるために帰ったり、珍しい醜態を晒すG36を見るために残ったり、酔った勢いでポロリもあるんじゃね?と期待したりと様々だ。

そんな周りの視線など意にも介さずジョッキの中身を飲み干し、ダァーンとテーブルに置く。これでめでたく十杯のビールが空になったわけだ。

ようやく解放されると思ったのか安堵のため息を着くDだが、続くG36の言葉で凍りつく。

 

 

「あ? もう無い・・・マスター、追加で十杯。」

 

「・・・飲み過ぎですよ。」

 

「はぁ? 飲まなきゃやってられないわよこんな仕事!」

 

 

聞く耳持たずな彼女に代理人は諦めて追加を用意し始め、Dは今にも泣きそうな顔で座り続ける。

その間、流石に十杯(ここに来る前にも相当飲んでいたようだが)も飲んで暑くなったのか、G36は胸のリボンを解き胸元を大きく開ける。ついでに手袋とブーツも脱ぎ捨て、片足を椅子の上に乗せて抱えるように座る。

そんな一気に解放的になり、見えそうで見えないG36の姿に男どもは大いに盛り上がった。

 

 

「G36さん!? 見えちゃいますよ!?」

 

「ふんっ、こんな面倒な女の下着なんて見て何になるのよ・・・」

 

(メンドくさっ!?)「そんなこと言わないでくださいよ・・・ほら足も下ろしてください。」

 

 

Dに促されて渋々とった感じで従うG36。周りから舌打ちが聞こえてきた気がしたが、努めて無視した。

 

さて基本的に品行方正で礼儀正しく、皆の模範となることの多いG36がここまで荒れている理由だが・・・実は彼女、もともと本部勤めの人形だったのだ。

・・・そう、あの本部(変態の巣窟)である。そこで長らく働くうちに積もり積もったストレスから酒に溺れ、昼間とは180度違う姿を晒すことになってしまった。それは結局このS09地区に来ても治ることはなく、頻度こそ減ったもののたまに夜にふらっと出かけては飲み明かすのだという。

ちなみに本部のある街では割と有名人でもある・・・残念さの方で。

 

 

「で、でもここの指揮官さんはそんなことないですよね?」

 

「はっ、男なんて頭の中で何考えてるかわかったもんじゃないわよ。」

 

「・・・重症ですね。」

 

 

一応グリフィンの名誉のために言っておくが、けして乱暴されたわけでも枕営業があったわけでもない。変態なりの一線はちゃんとあるのだ・・・変態だけど。

 

 

「グスッ・・・私だって飲みたくて飲んでるんじゃないわよ・・・」

 

「あぁよしよし、泣かないでくださいよ。」

 

「私だって・・・素敵な指揮官の元で働いて・・・・・恋もして・・・・・・・Zzzz」

 

 

机に突っ伏して、泣きながら眠ってしまうG36。時計を見ればもうすぐ閉店の時間であり、客の姿もまばらになっている。

 

 

「寝ちゃいましたか・・・D、少しの間お願いしますね。」

 

「うん、部屋に運ぶの?」

 

「起こして帰すのも可哀想ですからね。」

 

 

そう言ってG36を抱えた代理人は、二階の空き部屋に運んでいった。

ようやく解放されたDは机に寝そべると、深く深くため息を吐いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「姉が本っっっっっっっっ当にご迷惑をおかけしました。」

 

「い、いえいえ・・・」

 

 

翌朝、開店前にやってきたのはG36の妹であるG36C。やってきて早々に姉の所在を聞き上で寝こけているとわかるとそれはそれはいい笑顔で愛銃片手に上に上がっていき、鈍く重い音がして数分後には姉の首根っこを掴んで引きずってきた。

 

部屋の番をしていたイェーガーに聞くと、スヤスヤ眠る姉の腹を銃のストックで思いっきり殴りつけたらしい。流石に大事にはならない程度には加減していたらしいが、悶絶する姉に身も凍るほどの冷たい声で問い詰めていたそうだ。

 

 

「ほら、姉さんも謝って。」

 

「うぅ・・・本当にごめんなさい・・・。」

 

「重ね重ねすみませんでした。 代金の方は後日必ずお持ちいたします。」

 

 

36Cがこれほどまでに怒るもう一つの理由・・・それは、姉が財布も持たずに出かけた挙句結構な量を飲み食いしたからだった。

ちなみにこれが判明した途端、姉に銃口を向け出したためスタッフ総出で止めに入ることになった。

 

 

「ではこれで・・・姉さん行きますよ。」

 

「ま、待って・・・今動いたら色々出そう・・・。」

 

「吐くなら司令部に戻ってからにしてね。」

 

「うぅ・・・・・妹が冷たい・・・」

 

 

 

「・・・G36さん、はい。」

 

 

流石に見かねたのか、代理人が小さな紙袋を渡す。中身はペルシカと例の歯医者と鉄血工造が合同で作った人形用の万能薬で、開発陣の怪しさとは裏腹に割とまともな薬だった。

 

 

「あまり無理はしないように。 疲れた時は、いつでも来てください。」

 

「・・・代理人、さん。 ・・・・・はい!」

 

 

目に涙を浮かべながら、吹っ切れたような笑顔を見せるG36。

妹と並んで出て行く姿を見送ると、店の入り口の掛札をひっくり返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、この日以来G36は妹と毎週金曜に必ず訪れるようになり、すっかり常連客として定着するのであった。

 

 

 

end




全国のG36ファンの皆さんごめんなさい!
G36ってどこの世界でも苦労してるようなイメージが・・・。
皆さん、お酒を飲む時は周りの迷惑にならないように気を付けましょう!



ってことでキャラ紹介

Gr G36
元本部、現S09地区所属の人形。
性能の高さと見た目、そして礼儀正しいということで本部では戦闘から接待、新人指揮官の臨時後方幕僚など多岐にわたる仕事をこなしていた。が、再三にわたるセクハラに耐えかねて異動届を出すことに。
ドイツ銃だけあって結構飲む。
おっぱい指揮官のとことは別の人形。

Gr G36C
G36の妹。姉のストッパー役。
夜な夜な飲み屋をめぐる姉に頭を悩ませ、姉が異動届を出したと聞くとすぐさま自分も後を追った。
姉に対する容赦が日に日になくなっていき、一部ではこっちが姉なのではとも言われている。
昔は「お姉ちゃん」や「お姉様」だったが、今では「姉さん」としか呼ばない。が、姉のことは好き。

変態の巣窟
レベルの高い変態が集う魔境。
変態だからレベルが高いのか、レベルが高いから変態なのかは不明だが、おっぱい指揮官が中堅に収まるくらいには変態がいる。
それぞれに一応の信条があるらしく、一線は超えない紳士の集まりであるため、ブラック司令部から人形を受け入れることもよくある。

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