喫茶鉄血   作:いろいろ

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昨年の十二月に始まった今作ですが、なんやかんやでここまで来ちゃいましたね。
これからもよろしくお願いします!


というわけで今回は
・NEET後遺症
・ズボラ系残念美人
・二度あることは三度ある?
の三本立てです!


番外編10

番外10-1:NEET後遺症

 

「も〜無理ぃ疲れた〜。」

 

「ええい日頃の運動不足だこのポンコツ!」

 

 

猛烈な日差しが照りつける中、広大な大地を歩く白と黒の女性。日光に当たっていいのか心配になるほど白い方はアルケミスト、熱吸収100%と言わんばかりに真っ黒な方がドリーマーである。喫茶 鉄血でのプチ喧嘩以来、二人は荒事何でも屋として世界を放浪していた。

ちなみに今の場所は北米大陸の南側、アメリカとメキシコの国境近くである。

 

 

「だいたいなんでこのクソ暑い中を徒歩なのよ! おかしいでしょ!?」

 

「バカか貴様は。 こんな荒野を車両で移動してみろ、土煙で丸わかりだ。」

 

「やだやだもう歩きたくない〜〜!!!!」

 

 

さてなぜ二人がこんなとこに来ているのか。

荒事メインの何でも屋なのでそういう以来なのだが、今回のターゲットは両国にまたがる武器商人である。割と昔からいざこざのあるこの国境でそんな輩がうろつけばどうなるか・・・想像に難くないのだ。

そんなわけで今回の依頼者はアメリカ・メキシコ両政府、内容は組織の殲滅である。

 

 

「あぁもうイライラする! さっさと潰してシャワーよ!」

 

「それには同感だ・・・・・見えてきたぞ。」

 

「じゃあ手筈通りに・・・派手にやりますかぁ!!!」

 

 

ドリーマーが叫ぶと同時に得物の狙撃銃を構え、アルケミストは光学迷彩と高速移動で一気に詰め寄る。

見張りが狙撃で潰され、仲間が気付いた時には既に拠点に入り込んだアルケミストの餌食になる。遠近の絶妙な連携とハイエンドの圧倒的な性能の前に、そこそこの規模を持っていた組織は僅か数刻で壊滅してしまった。

 

なお、今回は非公式な依頼であり、表向きには内輪揉めで壊滅したということになっている。なので二人には表立って賞賛こそされないものの、報酬としてアメリカの超一流ホテルのVIPルームの年間使用権が与えられることになったのだった。

 

 

「あぁ〜私ここに引きこもる〜〜〜」

 

「まったく・・・次の依頼が来るまでだぞ。」

 

「・・・ここって完全防音なんだってね。」

 

「? それがどうし・・・待てその手はなんだこっちに来るな!」

 

「日頃の感謝も込めてマッサージだよグヘヘ・・・」

 

「き、貴様さては飲んだな!? この酔っ払いがあああああ!!!!」

 

 

end

 

 

番外10-2:ズボラ系残念美人

 

カチ・・・カチ・・・カチ・・・・・・カチッ

『お姉ちゃん、朝だよ! 起きて!』

 

「うへへ〜〜待って36Cぃ・・・あと五分・・・」

 

「ふんっ!」

 

「ふがっ!?」

 

 

ここはS09地区の司令部、その人形棟の一室。

独特のアラーム音に頬を緩ませて枕にしがみつくG36だが、直後に訪れた腹部への強烈な一撃によって無理やり意識を覚醒させられる。涙目で上を向けば、顔を真っ赤にしていかにも私怒ってますといった感じの人形・・・妹のG36Cが立っていた、可愛い。

 

 

「姉さん、何度も言ってますがいい加減この目覚ましをなんとかしてください。」

 

「えぇ〜これじゃないと起きれないのに〜〜〜!」

 

「それでも起きなかったでしょ! はい没収!」

 

「そんなぁ・・・」

 

 

お気に入りの目覚まし時計『天使の囁き』を没収され、渋々起き上がる。今日の予定はカリーナの手伝いと臨時の料理教室だったか。

 

 

「・・・って姉さん!? なんで裸なんですか!?」

 

「え? だって暑かったし・・・」

 

「せめて下着くらい着けてください! あぁもうタンスの中もぐちゃぐちゃ・・・。」

 

 

頭を抱える妹をよそにG36はベッドの上で胡座をかいて大きくあくびをすると、のそのそとシャワーへと向かう。

シャワーを浴びて髪をとかし、用意していたいつものメイド服(これだけは仕事着なので綺麗にしている)を身につけて大きく伸びをする。

 

 

「・・・よしっ、じゃあ行こっか!」

 

「・・・・・はぁ。」

 

 

普段からこれくらいテキパキやってくれたらなと思う36Cだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カリーナさん、こちらの書類は片付きましたよ。」

 

「ありがとうございます。 さすがはG36さん、仕事が早いですね!」

 

「ふふっ、メイドとして当然のことです。」

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

「・・・さて、もういい頃合いでしょうか。」

 

「じゃ、じゃあ開けますね・・・えいっ!」

 

「わぁ!!!」

 

「ふふっ、上手に焼けてるみたいですね。」

 

「あ、ありがとうございますG36さん!」

 

「やっぱりすごいですG36さんは!」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜〜つ〜か〜れ〜た〜!」

 

「だから全裸で寝転ばないでください! だれかに見られたらどうするんですか!」

 

 

今日の仕事を終え、部屋に戻ったG36はメイド服一式を脱いで綺麗にたたみ、しかしそのあとは一切身につけずにベッドへダイブする。

G36Cは言ってやりたい、これが皆の尊敬する姉の本当の姿なのだと。

 

「む〜・・・・・じゃあこれで。」

 

 

仕方なし、といった感じで着たのは無地のYシャツ一枚。しかもボタンをかけるのも面倒になったのか、二つほど付けたところで再びベッドに寝そべる。

・・・ここにいるのが妹ではなく男だったらまず間違いなく襲われてるだろう、と36Cは思う。

そのまま惰眠を貪ろうとする姉にため息をつく、とその時ドアがノックされ、36Cはのぞき穴から来訪者を確認する。

 

 

「・・・あ、指揮官様、どうなさいましたか?」

 

「む・・・G36に用があったのだが、お休みだったか?」

 

「え、えぇ姉は今・・・え?」

 

 

振り返り、絶句する。そこにいたのは先ほどまでの駄姉ではなく、一体どうやって着たのかメイド服を身にまとった姿であった。

 

 

「お待たせしました指揮官様。 それで、どのようなご用件で?」

 

「あぁ、確か君は本部に勤めていたな。 少し聞きたいことがあるのだがいいだろうか?」

 

「わかりました、では準備をしてから司令室にお伺いします。」

 

 

指揮官が去り、呆然とする妹をよそに部屋の中へと戻るG36。その直後・・・

 

 

「・・・うふふ、指揮官様と、二人っきり・・・えへへ〜〜」

 

 

あ、いつも通りだ、と一安心する36C。そしてあの駄姉がここまで必死になる理由といえば・・・

 

 

「・・・姉さん。」

 

「ん? 何?」

 

「・・・・・そのまま指揮官と過ごしてきてもいいからね。」

 

「へっ!?」

 

 

普段は白い目で見る36Cだが、姉の恋路は素直に応援したいのだ。

顔を赤くして狼狽える姉を落ち着かせ、資料とついでに秘蔵のワインを持たせて送り出す。

 

 

 

 

 

 

 

数分後、恥ずかしさのあまりに逃げ帰ってきた姉に頭を抱えることになるのだが、それはまた別のお話。

 

 

end

 

 

番外10-3:二度あることは三度ある?

 

平日の真昼間、普段ならランチ客でいっぱいのはずの喫茶 鉄血だが、今日は珍しく誰もいない。

それもそのはず、今日は珍しく休業日なのだ。

その店内、四つほどテーブルをつなげて周りをぐるりと椅子で囲んだ席で、ここの従業員とペルシカ、サクヤ、17lab主任、アーキテクトがずらりと座っていた。

そしてテーブルの中央にはモニターとコインが一枚。そのモニターには、とある日の喫茶 鉄血の店内カメラの映像が流れている。

 

 

「・・・・・うん、やっぱりこんな人形のデータなんてないよ。」

 

「こっちも同じ、ガイアは素体のままだしデストロイヤーもあの子だけだからね。」

 

「・・・さらに言えば、この人物は例の結婚式の写真に写っていた人物のようですね。」

 

「じゃあやっぱり・・・例の並行世界的な?」

 

 

そう、今回緊急で集まったのは、先日来店したある一行についてである。

一度目の目撃者は代理人だけだった。その後も一度だけ不思議な体験があったが、これも代理人だけ。

だが今回は、他の従業員も客も完全に認識している。幻でも夢でもなく実際にそこにいたのだ。

・・・もうただの偶然とか不思議とかでは片付けられないというわけだ。

 

 

「一つ確認だけど、サクヤはこのコインに見覚えは?」

 

「えぇ、あるわよ。 あっちでの共通通貨だから。」

 

「・・・他の三人にはまだ聞いてないけど、おそらく同じ答えが返ってくるでしょう。 となると・・・」

 

「あれ? 実は並行世界ってすぐそこなんじゃね?」

 

 

アーキテクトの疑問に、しかし今回は誰も異議を唱えない。代理人が遭遇した人物(ユノという指揮官の少女で、こっちにも同名の人物がいる)、流れてきたサクヤやS06地区の二人、UMP9と言う名の少女、そして今回の三人組・・・どうなってんだこの世界。

 

 

「・・・で、今回集まった理由だけど・・・この並行世界について干渉すべきか否か、まずそこよ。」

 

「・・・そうですね。 おそらくみなさんの技術力があれば、干渉することは難しくないのでしょう。」

 

 

干渉するか否か。

代理人としてもサクヤとしても、あっちの世界の知人友人には会えるなら会いたい。特にサクヤはかつての教え子がどうなっているのかを全く知らないのだ。

だがその一方、干渉すればどんな弊害が起きるか想像できないのだ。会いに行ったまま帰ってこれなくなるのかもしれない、一度死んだ人間は会うべきではないのかもしれない。

 

 

「・・・あっちの世界って、その・・・いろいろ大変なんだよね・・・」

 

「・・・そう聞いています。」

 

 

そのことは既にこちらに流れてきた者からも聞いている。アーキテクトは干渉したい派だが、その背景には純粋に助けたいと言う思いがある。

 

 

「・・・・正直、これはここだけで済む話じゃないわよね。」

 

「・・・ひとまず、我々と鉄血工造でシステムは作ります。 不要となればすぐに破棄しますが。」

 

「あるに越したことはない、か・・・余計な心配だとは思うけど、悪用しないようにね。」

 

 

結論の出ないまま、臨時会議が終わった。

その後17labとアーキテクトの手によって試作品が作られるのだが、試験もないまま倉庫で眠ることになる。

それが必要となる日がくるのか・・・それは誰にもわからない。

 

 

end




GWをバイトと授業に吸われているのでちっともGW感がありませんね泣
ところでもうすぐ?新イベントですが、待望のUMP40に会えるのでしょうか。今から楽しみです。


ではでは各話の解説!

番外10-1
第四十話のその後。
ノリとしては砂漠を歩くR2-D2とC-3POみたいなイメージ。そしてまたしても被害にあう裏稼業の皆さん・・・もはや様式美だな。


番外10-2
第四十一話から。
メイドさんって裏ではこんな感じだと思う(偏見)
やるときはやるので別に問題ないと思っている。G36Cの胃に積み重なるダメージが怖いところ。

番外10-3
第四十二話の後で。
本当は誰でも気軽にこれるマシーンを作ろうみたいな話だったけど、気がついたらややシリアス寄りになっちゃった。
まぁ善意が必ずしもいい方に向かうとは限らないので。

ちなみにこの試作品ですが、もちろんフリー素材なので好きにしてくれて構いません。
なんか電波が繋がったとかで起動してもええんやで?
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