喫茶鉄血   作:いろいろ

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新年最初の本編は、リアル司令部でも大活躍の彼女です!






キャラ崩壊がひどいけど・・・

2019/1/4:サブタイトルが空白のままだったので追加しました。
何やってんだ俺・・・


第四話:ポンコツなお姉さんは可愛いと思います!

世界中がハッピーニューイヤーで盛り上がり、様々なイベントが行われている頃、このS09地区にある街も活気に包まれ、お祭りムードに染まっていた。

しかし当然のことながら羽目を外しすぎる人たちもいるわけで、その対策のためにグリフィンの人形部隊には新年早々出動命令が下されていた。

もっとも、有事の際は動けるようにと言われているだけで、ほとんどの人形は出店をまわったり逆に出店を出したりと割と自由にしている。

 

 

「・・・で、あなたは行かなくていいのですか?」

 

「あぁ、どうも祭りの雰囲気には慣れなくてな。」

 

 

いつも通りコーヒーを淹れている代理人が聞けば、銀髪の女性・・・GrMG5がため息をつきながら答える。

コトリ、とカップを置く。と、なにかを感じ取ったのか代金をテーブルに置き、スッと立ち上がる。

同時に店の扉が勢いよく開かれた。

 

 

「「見つけたわっ! お年玉くれないとイタズラするの(わよ)!!」

 

「ええぃもう来たか! というか一〇〇式と57はなぜ止めない!」

 

「何を言ってるんですか。 お正月には大人が子供にお年玉をあげるのは常識です! さあ、そのお金置いていきなさい!」

 

「ほんとは止めるべきなんだろうけど、HG(こども)はお年玉っていう特別給与が貰えるって聞いたから、ね?」

 

「黙って聞いていれば好き勝手言いおって! まずM9とP7、ハロウィンと混ざっているぞ! それと一〇〇式、それはあくまで日本だけの文化だ! 最後に57、何が『ね?』だ! どいつもこいつも浮かれおって!」

 

()()()だけに?」

 

「やかましいっ!!」

 

 

訪れたのはP7とM9、一〇〇式にFive-sevenだった。全員がMG5と同じ番号の腕章をつけていることから、今回は同じ警備部隊に配属されているらしい。

じりじりと迫るちびっ子(HG)から距離を取りつつ、MG5は退路を確認する。だが肝心の出入り口は彼女たちの後ろであり、MG5自身もマシンガンという取り回しの悪い武器しか持っていない。

いよいよ打つ手が無くなったかに思えたその時、双方の間に一人の人形が割り込む。この店の平穏を守る最後の砦、代理人である。

 

 

「そういえば一〇〇式さん。 日本には確か、()()()というものがありましたよね?」

 

 

唐突にそんなことを言い出す代理人。顔は笑っているが目は笑っていない。

一〇〇式は頭に?を浮かべながらも「ええ」と返す。

すると代理人は一切表情を変えず、スカートの内側からソフトボール程の大きさの鉄球を取り出す。

 

「では、私からささやかながら()()()()をあげましょうか。」

 

そう言って振りかぶる代理人。華奢な外見と服装のせいで時々忘れられがちだが、これでも鉄血のハイエンドモデル。当然ながら性能もそれに見合うものであり、そんな代理人が鉄球を振りかぶればどうなるかというと、

 

「「「「て、撤退〜!」」」」

 

脱兎のごとく逃げ出すちびっ子たち。

無言で鉄球をスカートにしまう代理人。

え、どこに入ってるのそれ?と困惑するMG5。

その一連の流れをただただ呆然としながら見ていた客数名。

 

混沌とした空気だけが残った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「・・・・・」

「・・・・・」

 

 

あの後店にいた客はそそくさと退散し、それにならってMG5も店を出ようとしたところを代理人に呼び止められ、現在こうして向かい合って座っている。

対面に座る代理人はいつも通りの無表情であり、それを怒っていると感じたMG5はなぜ私ばかりこんな目にあうのかと己の不幸を恨み続けていた。体は小刻みに震え、目には涙を浮かべている。

 

 

「・・・MG5さん。」

 

「は、はいっ!」

 

 

呼ばれた途端に背筋を正し、いつも通り振る舞おうとする。が、声は上ずっており、表情は罪状を読み上げられる死刑囚のそれである。

 

 

「・・・実はですね・・・」

 

 

代理人が口を開く。

それに合わせてMG5の顔色がさらに青白くなる。

いつAIかシャットダウンしてもおかしくないくらいに怯えきっているMG5をよそに、代理人は言葉を発した。

 

 

「私にドイツ料理を教えていただきたいのです。」

 

「・・・・・はい?」

 

 

聞けば昨年のクリスマスシーズンに、ドイツではクリスマスマーケットなるものが開かれると聞いた事が発端らしい。知識としては知っているがそこは飲食店の従業員、本場の者に聞くべきだと考えさて誰に聞こうかと思ったあたりで、知り合いにマトモな人間も人形もいないことに気付く。少なくともドイツ人の人間は知り合いにはいないし、人形もクセの強すぎる404小隊とシスコンマシンガンのMG34くらいであり、こいつらに聞いた日には色々と面倒なことになりかねないと考えたところでMG5が店を訪れたらしい。

が、当の本人にはほとんど声が届いておらず、代理人が話し終えると同時に安堵したのか涙をこぼし始め、ついでに表情もフニャっと崩れいよいよ大泣きしてしまった。

代理人からしても目の前で突然泣き出したことに驚き、号泣するMG5と見た事がないくらい慌てる代理人という珍しい光景が広がっていた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「・・・こんなところでしょうか。」

 

「ああ、いいと思う。」

 

 

混沌を極めた珍事から数時間後、代理人はMG5から一通りレシピを教えてもらい、いくつか実際に作ってみてはMG5の評価を受けていた。

とりあえずメニューとして出せる程度には形になり、片付けと店じまいを並行して行っていると、

 

 

「・・・やっぱりすごいな、代理人は。」

 

「?、突然どうしました?」

 

「あ、いや、店を構えるだけでも大変なのにこうして意欲的にメニューを増やしたり、人の相談に乗ったり・・・。」

 

 

そう言ったMG5の顔は、何か思いつめたような、諦めたような表情を浮かべていた。

ある程度片付けを終えた代理人は残りを部下に任せ、MG5から話を聞くことにする。初めはなかなか話そうとしなかったが、吐き出した方が楽な時もあると言いながらスカートから鉄球を取り出して脅しをかけるとあっさり話し始めた。

 

聴くとMG5はMGの中ではそこそこ長いキャリアを持っているものの、そのほとんどは司令部での内勤と訓練であり、マトモな実戦経験など一、二回しかないという。

しかし個々の司令部に配属されてみると元々の雰囲気や製造後の長さから歴戦の猛者のように扱われしまったらしい。

加えて前の司令部には一部隊しかなく、大勢の人との接し方がわからないため言葉数が少なくなり、それがまたベテランの貫禄のように見えてしまうという悪循環に陥っているらしい。

先ほどのちびっ子の相手も、本当はどうすればいいかわからず悩み続けているらしい。

 

 

「・・・・・」

 

「・・・あの子たちの失望した顔を想像すると、やはり私はは・・・」

 

「いつまで『よそ者』でいるつもりですか?」

 

「!?」

 

 

代理人の声にバッと顔を上げる。表情はいつもと同じはずなのに纏う雰囲気が全く違う。

怒っている、とMG5は感じた。

 

 

「あの子たちを失望させたくない、みんなを困らせたくない、経験が少ないことを悟られたくない。 あなたは周りを見ているようで見ていない。 そんな理由を並べてただ自分を守っているだけ。」

 

「ち、違う。 私はそんな・・・」

 

「なによりあなた自身が誰も信用していない。」

 

「っ!?」

 

「あなたに限らず、あなたが以前勤めていた司令部にいた人たちもあなたと同じで、ただキャリアが長いだけの経験不足な・・・」

 

「黙れっ!!!」

 

 

MG5が机を跳ね除けて代理人に詰め寄る。そのまま胸ぐらを掴み壁に叩きつける。

 

 

「私の仲間を侮辱するなっ! 確かにあいつらも実戦経験なんてほとんどない。 だからこそ、訓練を積んでいつでも出られるように備えてきたっ! それをお前はっ!」

 

「ええ、経験の不足を補うため、実戦に備えるために日々訓練を重ねてきたはずです。 今のあなたのように、下らない見栄のためではありません。」

 

「っ!!!!!!」

 

 

違う。見栄のためなんかじゃない。

否定したくてもできなかった。振り上げた拳を振るうこともできなかった。

 

いつからだ?

いつから、()()()()()()()()()()()()()()訓練になっていた?

いつから、訓練が日々の業務になっていた?

 

いつから、私は笑わなくなった?

 

代理人がMG5をそっと抱き寄せる。

ゆっくり包み込むようにし、頭を撫でながら言った。

 

 

「あなたはあなたです。 大丈夫、きっと受け入れてくれます。 あなたは誰よりも仲間思いで、正直な人ですから。」

 

 

それを聞いたMG5は泣いた。大声を出して泣いた。

今まで溜め込んでいたものすべてを吐き出すかのように、ただひたすら泣いていた。

その姿は普段からは考えられないほど弱々しかったが、同時に纏う雰囲気も柔らかなものになっていた。

 

よく泣くが仲間思いでまっすぐな人形。

それが彼女だ。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

あの騒動から数日。

店のメニューは日に日に増え、その中にはあの日教えてもらったドイツ料理もあった。

 

あの後MG5は迎えにきたちびっ子たちに連れられて帰り、それからは毎日手紙を送ってくれている。

司令部のみんなに話したこと。受け入れてもらえたこと。指揮官に実践経験を積む機会を与えてもらえるようになったこと。出発日が今日であること等々。

 

どうやら彼女は前に進むことができたらしい。手紙には毎度毎度感謝の言葉が綴られているが、自分はただ話を聞いただけだ。彼女の意思があってこそ、変わることができたといえる。

もっとも、

 

 

バタンッ

 

「代理人! 助けてくれっ!」

 

 

このあたりは変わってなさそうではあるが。

 

 

「何をしてるんですかMG5さん? さあさあ待ちに待った実地演習ですよ! 」

 

「ま、待ってくれ! まだ心の準備が・・・」

 

「訓練とはいえあんなスコアを叩き出しておいて何言ってるんですか? ご安心ください、私が三日であなたを小隊長クラスまで育ててあげますから!」

 

「ああ! 引っ張るな! く、首がっ! 助けてっ、助けてくれ代理人〜〜〜・・・」

 

バタン

 

 

MG34に連れられて行ったMG5を見送る代理人。

帰ってくるのは三日後かと考え、どんな料理で迎えてやろうかと思案するのであった。




というわけで今回はMG5でした。
元々はクールなMG5が代理人に相談を持ちかけるだけだったのですが、
「原作でのセリフは実はそういうキャラを作っているだけ」
という仮定を置いてみた結果、泣き虫ポンコツ娘になってしまいました。


では、本編のキャラ紹介です。

Gr MG5・・・他の地区から異動してきた人形。泣き虫ポンコツ娘。元の場所では内勤と訓練がほとんどであったため、事務系のスキルと基本的な戦術等は完璧ともいえるレベル。また料理が得意で、ドイツに限らず色々な料理を作れる。真面目で努力を怠らないためみんなから人気があり、416曰く「G11に爪の垢を煎じて飲ませたい」らしい。

使うかどうか分からん設定
恋愛話に疎く、免疫もほとんどない。


ちびっ子たち・・・司令部の問題児M9、司令部のイタズラ狂P7、日本の伝統世界標準化計画一〇〇式、一部分が全くちびっ子じゃない57。
ちなみに司令部の職員全員に突撃しており、お年玉をくれる者には笑顔を、くれない者にはイタズラが贈られる。



以上です。
活動報告に質問箱を置いた方がいいですかね?
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