喫茶鉄血   作:いろいろ

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う〜んこの不定期っぷり・・・そして今回は短め。


無骨な機械だろうと女の子のイラストさえあれば可愛くなるという一例・・・はっ! ならガチタンに美少女のイラストを書けば可愛なるということでは!?(錯乱)


第四十六話:妖精のいる喫茶店

ここはS09地区にある、そこそこ大きな街。

その路地を少し入った先にある小さな店が、人間と人形の集う『喫茶 鉄血』である。

その日、開店前の店の前には小さなバンが止まっており、従業員たちがそこから大きな箱を運んでいた。

 

 

「・・・これで全部、ですね。」

 

「いやぁ悪いね、付き合ってもらっちゃって。」

 

「構いませんよ、日頃からお世話になっていますから。」

 

 

搬入作業を見守るのはこの店のマスターである代理人、そして16labのペルシカだ。

最後の荷物が店に運ばれると二人はそれに続いて入る。中では先に運び込まれた箱がすでに開けられており、中から何やらゴツい機械が顔をのぞかせている。

 

 

「これが、ですか?」

 

「そう、これが試作の新型ドローン。 ・・・あ、箱から出したら下のスイッチだけ入れてね。」

 

 

最後の箱の梱包も解かれ、床に並べられた三機のドローン。形状こそ違うものの武装のようなものは見当たらず、作業用ドローンであることは伺える。

ドローン全ての電源が入ったことを確認すると、ペルシカは手を叩きながらやや大きめの声で言い放った。

 

 

「はーいおはよう! 仕事だよ!」

 

 

するとドローンたちの眼?の部分が光り、ほとんど音もなくスゥーっと浮き上がる。

そして上面の平らな部分がピカッと光り・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・二等身くらいの少女が現れた。

 

 

「・・・は?」

 

 

間の抜けた声が漏れる。こんな物々しい機械には明らかにミスマッチなそれに、しばし言葉を失う。

 

 

「驚いたかい? これが新型ドローンの『妖精ちゃん』よ!」

 

「よ、妖精・・・?」

 

 

ペルシカの説明によると、職種別に機能を割り振られた作業用ドローンであり、鉄血工造がもつ浮遊ビットの技術を解析、応用したものなのだそうだ。サイズはやや大きいが浮遊するという特性上移動しても邪魔になりにくく、工場や倉庫、飲食店などで幅広く活躍できるという。

・・・・・が、こんなメカメカしい外見ではアレなので、ホログラムで少女の姿を映すことにしたという。

 

 

「ちなみにこの子達も自分のことを妖精だと思ってるから、話は合わせてあげてね。」

 

 

ペルシカの説明を聞いて、改めて妖精を見る。

作業用らしいゴツめの外観に、『妖精』というメルヘン感溢れる名称。こう言ってはなんだが、出来の悪いファンタジーと科学の融合のように思えてくる。

しかも、違和感はそれだけではない。

 

 

「・・・なぜ、この服装に?」

 

「ん? あぁそれはね・・・」

 

『この方がかっこいいからだ!』

 

『ふふ、素敵でしょ?』

 

『落下傘って、こんな感じですよね?』

 

 

突然喋り出すドr・・・妖精たち。というか喋れるのか。

彼女たちの服装だが、まず一人目はかなり身軽な格好になぜか洋弓を持っている。二人目は服装こそまだまともだが、背中や足に飛行機を思わせるパーツが付いている。しかもなぜかあの対地番長のようなヤツだ。三人目はパッと見では一番まともだ。まともだが、落下傘は傘と書いてはいるが傘ではないと言いたくなる。

 

 

「というわけで、しばらくこの子達を預けるからモニターよろしく。」

 

「まぁ構いませんが・・・ええっと、では皆さんよろしくお願いします。」

 

『『『お願いしまーす』』』

 

 

そんなわけで、この奇妙な仲間を加えて本日の業務が開始した。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「・・・なんだこのドローンは?」

 

『我々はどろーんなどではない、妖精だ!』

 

 

本日の客一号、AR小隊のM16の疑問に妖精が抗議の声を上げる。このAR小隊はペルシカから頼まれたモニターで、新型の業務用ドローンの感想が欲しいとのこと。ちなみに飲食代は全てペルシカ持ちなので、五人とも財布は持ってきていない。

 

 

「接客態度には難ありね。」

 

「でも、仕事はきっちりしてますよね。」

 

「あと、とても静かですね・・・埃も舞ってないですし。」

 

「けど妖精っていうには無骨すぎんだろ。」

 

「え〜私は可愛いと思うけどなぁ。」

 

 

それぞれが感想を述べながら手元の調査用紙に記入していく。なんだかんだで真面目に記入するあたりは流石エリート人形たちではある。

ただ、あくまで16lab製だから安心できるのであって、これに17labやらアーキテクトが加わっていたら気の抜けない時間になっていただろう。

 

 

「おや、思いのほか高評価ですね。」

 

「あ、お母さん。」

 

「・・・M4のお母さん呼びもなんか普通になっちまったな。 あ、コーヒーおかわり。」

 

「じゃあ私スペシャルケーキ!」

 

「そ、SOP!? 流石にそれは・・・」

 

「気にしなくていいわよRO、ペルシカが()()()()頼んでいいって言ったから・・・てことで私も一つ。」

 

 

「じゃあ私たちも貰おうかしら。」

 

 

ふと聞き慣れた声がした方を見ると、そこにはグリフィンの暇人部隊・404小隊の面々。どうやら彼女たちもモニター役に選ばれたようだ。

 

 

「機能的には問題ないでしょうけど・・・やっぱり外見が悪いわね、店の雰囲気とは合わないわ。」

 

「相変わらずの辛口ね。」

 

「モニターってそういうものでしょ?」

 

 

416のコメントに肩をすくめる45。AR小隊の隣の席についた45たちは、改めて店内をぐるりと見渡す。

 

 

「・・・いつの間にか賑やかになったわよね。」

 

「そうですね。 お母さんもよく笑うようになりました。」

 

「あなたが『お母さん』って呼ぶようにもなったしね。」

 

 

開店当初は代理人と人形二人、あとはダイナゲートだけというこの喫茶 鉄血だが、今ではDやダミーたち、マヌスクリプト、そして妖精と、店の規模に対して充実したスタッフが揃うようになった。

 

 

「これは、そろそろ店の拡張も視野に入れるのかしら?」

 

「なるほど、それもアリですね。」

 

『その時こそ我々の出番だ!』

 

『お役に立ちますよ』

 

「私たちも協力しますね!」

 

「あ、じゃあテラスもつけましょう!」

 

「地下にも部屋を作って、そこを本格的なバーにするとか!」

 

『敷地拡張(爆撃)ならまかせろ〜!』

 

「「「「「それはやめて」」」」」

 

 

騒がしいくらいに賑やかな、ある意味いつも通りな喫茶 鉄血。

妖精たちのモニターも終えて、AR小隊と404は揃ってケーキを食べながら残りの時間を過ごしていった。

 

 

 

 

後日、九人分のケーキと飲み物代にペルシカは頭を抱えることになるのだが、それはまた別のお話。

 

 

end




??妖精『よう指揮官、まだ生きてるか?』
指揮官「ファッ!?」

・・・ただ思いついた一発ネタです。



というわけでキャラ解説

妖精
16labが開発したドローン。本体が妖精だと思い込んでるのは原作通り。今回は原作でいうところの勇士妖精、空襲妖精、空挺妖精の三体。ただし、戦闘能力はほぼない。
アーキテクトあたりに捕まると確実に魔改造されるので要注意。

AR小隊
この作品で一位二位を争う扱いやすい部隊。404と違って暇というわけではないが、なぜかよく居る。

404小隊
多分グリフィン一暇な部隊。もともと特殊部隊だったことが原因で、有事の際にしか呼ばれない。
きっつい性格だった416が穏やかになるくらいには暇な部隊。

スペシャルケーキ
久しぶりの登場。厳選した食材をふんだんに使い、なおかつ利益を得られるようにしているため一切れのくせにめちゃくちゃ高い。
当店の嗜好品人気No. 1であり、子供の笑顔と親の涙が見られる一品。

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