人間だけでも十分キャラが濃いのはドルフロの魅力だと思います!
「はい。 こちらが注文分の品です。 確認をお願いします。」
「・・・はい、確認致しました。 ありがとうございます。」
「ではこちらにサインをお願いします。」
年明けムードも落ち着きを見せ始めた今日この頃。
閉店間際の店内には人形の客はおらず人間の、それもグリフィンに関わりのある者ばかりであった。
代理人に荷物を渡し、代金を受け取ったカリーナはヘリアン、ペルシカ、クルーガーのいるテーブルに戻る。
彼らはオープンして間もない頃に査察という名目で訪れ、以来たまにこの四人で閉店間際に訪れては店じまいになるまで話し込んでいるのである。
ちなみにこの四人が訪れた時は、面の掛け札は裏返すが店内は彼らが帰るまで営業し続けている。
「さて、早速本題に入ろうか。 ペルシカ君。」
「はい。 ではまずはこちらをご覧ください。」
そう言って話し始める四人。
その内容は社の会議室で行われるような機密性の高いものがほとんどだが、代理人含め鉄血員の方の硬さを評価しここを会議室がわりに使わせてもらっている。
代理人も、注文して代金を払うなら長居しても構わないというスタンスを取っている。
「今年の春に向けた新たなスキンの案です。」
机に広げられているのは人形数名分の資料と、同じ枚数分の
ちなみにこの
・・・もちろん製作者の趣味全開なのは言うまでもない。
なお今回のテーマである
想定される場面は要人や施設、式典の警護である。
「6P62、Gr MG4、M950Aはセーラータイプ。 ST AR-15はブレザータイプにしました。62は腰部にマガジンポーチを装備、MG4とAR-15にはパーカーを装備することで弾薬の携行数を増やします。 逆にハンドガンであるM950Aは夏服にすることでより身軽にしました。」
ペルシカの説明を聞きつつ資料に目を通す三人。
それぞれがコンセプトや実際に運用することを想定して話を詰めていく。
「私から一ついいかね?」
「ええ、どうぞ。」
厳しい目つきで周りを見渡すクルーガー。
彼の手にはMG4のスキン資料が握られている。
「MG4の上着はもう少し切り詰めるべきだと思うのだがどうかね?」
「賛成で。」
「その方が可愛いですわね。」
「清楚感の中にエロスを混ぜる・・・さすがですクルーガーさん。」
訂正、欲望のままに話を進めていた。
もっともこの会議の参加者が、
性欲を持て余すクルーガー
可愛いは作れるを地でいくペルシカ
金になるならなんだっていいカリーナ
夏と冬にとある国のアリーナで祭りに参加するヘリアン
と言うメンツなのだからしょうがないといえばしょうがない。
「冬服とパンストと言う完全装備! 肌の露出が極限まで抑えられた中でヘソチラと言う無防備な一点! そこに神秘性が宿るのだよ。」
「では、AR-15にはマフラーと背負うタイプの学生カバンを追加します。 いずれも使い込まれていないような色合いにし、一年生の初々しさを出しましょう。」
「でしたらM950Aには逆にアクセサリー類は付けず、夏服の健康的な肌を晒してもらいましょう!」
「そういえば学生にありがちな『メガネキャラ』がいませんね・・・。」
「「「それだ!」」」
こうして議論は加熱し、凄まじいペースで完成形に近づいていく。
と、クルーガーが資料の一番下にあったメモ書きを見つける。
「ん?・・・『MP-446』の案か?」
「あぁ、それですか。 途中まではまとまっていたのですが、流石にそのデザインは色々と非難を浴びそうでしたので。」
そう言ってため息をつくペルシカ。
たしかにそのデザインはランドセルを背負いリコーダーを吹く『小学生』の出で立ちであり、まぁ確かに世のお母様方から何を言われるか分かったものではない。
とはいえこのまま白紙にするのではもったいない、と言うよりも思っていたより早く話がまとまり色々消化不良の四人はこの最後の案を考え始める。
が、なかなか思うように案が浮かばない四人。それでも彼らは日が暮れるまで、場合によっては日が変わっても考え続けるだろう。
そうなって困るのは場所を提供している店側である。流石に翌朝までいられては困るので、仕方なしに手助けすることに決めた代理人。
「フォーマルと言うのであれば何も『学生服』にこだわる必要はありませんよ。 例えば学生らしく部活動とか。」
「!?」
それを言われてペルシカに電流が走る。
(学生服だけが学生じゃない。 そうだ、勉強するだけが、
凄まじい勢いでペンを走らせるペルシカ。
ものの十数分で書き上げたイラストに描かれていたのは、ラフな格好で左手はポケットを突っ込み、右手で愛銃をくるくる回す446だった。
「真面目に制服を着るだけが学生ではありません。 ストリート感溢れる服装にし、学校に馴染めないやんちゃっ子路線でいきます!」
「えぇ〜〜〜・・・・・」
何故そうなった、という思いを表情と声に乗せる代理人。
しかし他の反応はよく、あれよあれよという間に採用されてしまう。
全ての案がまとまり、テーブルに残った飲み物を飲み干した彼らの表情は、とても清々しいものだった。
そして帰り際、クルーガーは代理人の手を取り厚く感謝を気持ちを述べる。最後には、
「もし君さえよければまたこの会議に参加してくれないか? 報酬は出そう。」
と言い、自分の名刺を渡す。
首を突っ込まなければよかったかと後悔する代理人であったが、結局できたのは彼らを見送ることと、あの案が実装されないことを祈るだけであった。
後日、新たなスキンを四月に実装することが発表され、そのスキンのイラストが公開された。
その中にはあのやんちゃっ子446のイラストがあり、代理人は一日中頭を抱えていたという。
グリフィンはもうダメだと思う。
まぁ変態が溢れるのはそれだけ平和だってことで。
というわけでキャラ紹介に移ります。
クルーガー・・・グリフィンの親玉。ガチムチのイイ男。イラストを見た瞬間に某潜入蛇に似てると思った。人形のことを第一にが考えてくれるいい人なのだが、セクハラが趣味というほどの変態でもある。既婚者。
カリーナ・・・愛称はカリン、なのだが誰も呼んでくれない。別に貧乏だったとか逆に大金持ちだったとかではなくシンプルにお金が好きなだけ。商売上手であり、あっちこっちにツテがある。喫茶 鉄血はお得意様。自分のプライベートは切り売りしないが他人のプライベートは売ってくれる。彼氏いない歴≠年齢。
ヘリアン・・・本名ヘリアントス。グリフィンの上級代行官。早い話が指揮官の上官。部下が優秀すぎて暇になり、なんとなく手を伸ばした同◯誌が彼女を変えた。以来、部屋にこもって何かを書いていることが多くなり、夏と冬のある時期には1週間ほどいなくなる。彼氏いない歴=年齢。
以上です。
次回もお楽しみに。