今回はそんなラブ勢と指揮官のお話。
「「「・・・あ。」」」
日に日に気温が上がり続け、徐々に夏の足音が聞こえてきた頃。
S09地区の隣町の洋服百貨店のとあるフロアで、全く同じ声が聞こえた。
わざわざ隣町にまで買い物に来たのはスプリングフィールド、モシン・ナガン、Kar98kの三人である。
この町は洋服や下着等、ファッションの最先端を行く街として有名であり、今の季節最も人気なのは水着などの夏服コーナーだ。
その水着エリアで、ばったりと出くわしてしまったのだ。
「おやおやお二人とも、今日は任務ではなかったんですか?」
「そっちこそ、カフェはどうしたのよ?」
「結局考えることは一緒、というわけですわね。」
三人が出会ったのは全くの偶然。というのも、三人が三人とも互いに用事があると伝えていたからである・・・抜け駆け防止条例に則って。ちなみに残りのウェルロッドとガリルは本当に任務である。
三人ともある意味当然という反応をするあたり、この条例ももはや形骸化しているといえる。
「・・・まあいいでしょう。 目的は同じで、妨害する理由もありませんしね。」
「ふん、その日になれば分かることよ・・・誰が勝者かはね。」
「えぇそうですわね。 では皆さん、御機嫌よう。」
ニッコリと笑みを浮かべ、しかし視線だけは敵対心丸出しの三人はそこで別れ、各々目的のものを探しに行く。
全ては、想い人と過ごす夏のために。
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「ふ、ふふふ・・・これで・・・・これで今年は勝てるわ!」
水着が並ぶハンガーの隙間で怪しげに笑うモシン・ナガン。周りの客がドン引きしているのすら眼中になく、ただただ怪しげに笑ってはトリップしてまた笑うを繰り返す。とはいえその手に持つのはシンプルなビキニタイプの水着、昨年までとの違いはパレオがあるかどうかくらいしか違わない。
強がってはいるが想い人の前で肌を晒すのを極端に恥ずかしがる彼女は、今年は思い切って露出を増やす方向に出てみたのだ。
(でも、いきなりここまでして大丈夫かしら? はしたない女とか思われると嫌だし・・・でも・・・)
根は真面目・・・というかモシン・ナガンとガリルは比較的まともな部類なので、なんだかんだ考え込んでしまう。
水着の色にしたって、元々の服と同じ色にすべきかどうかで昨晩ずっと悩んでいた。
「うぅ・・・どうすれば・・・」
「お困りのようじゃな!」
「え!?」
突然降って湧いた声に驚き振り向く。そこにいたのは『ナガンM1895』に『AK−47』、『トカレフ』に『マカロフ』に『OTs−14』の同志一同だった。
「み、みんな・・・どうして・・・?」
「まぁちょっとしたお節介かな!」
「こういう時くらい手伝わせなさいよね。」
「そういうことよ。」
「ふふっ、じゃあ早速選びましょうか。」
同志との熱い友情に涙しつつ、モシン・ナガンは水着選びに取り掛かった。
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「・・・というわけなのだけど、何かいい案はないかしら?」
『いや、なんで私に聞くのよ。』
同じ頃、別区画にいるKarはとある人物に電話をかけていた。とある一件で交流が生まれて以来、割と親しい中になった二人である。
「そこをなんとかお願いします、デストロイヤーさん!」
『・・・まぁいいけど・・・で、どんな水着が好みなの?』
「この体型で忌まわしき巨乳に勝てるものですわ!」
『・・・・・言ってて悲しくならない?』
「すみません、少し。」
ハンカチで涙を拭う。電話越しのデストロイヤーは心底面倒臭そうだが、頼られたからには応えなければならない。
『ワンピースタイプとか、フリルがついたものとかかしら。』
「こ、子供っぽく見えませんか?」
『背伸びしてるのが丸わかりの方が子供っぽいわよ。』
妙に説得力のある言葉だが・・・そういう経験があるのだろうか?
ともかくデストロイヤーにアドバイスをもらいつついくつか選び、実際に試着してみる。
なるほど確かに、先までの背伸び感よりはマシに見える。
『まぁ気になるなら薄手のを一枚羽織るとかね。 それでもだいぶん違うはずよ。』
「あ、ありがとうございます! なんとお礼を言えば良いか・・・」
『ん、じゃあ今度そっちに戻った時に奢りなさい。 じゃあね。』
それだけ言ってブツリと切れる。
端末をしまったKarは、先ほどまでとは打って変わって晴れ渡るような笑顔でレジへと向かっていった。
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「うふ、うふふふふふふ・・・・・・」
またまた同じ頃、怪しげな水着が並ぶ一角で怪しげな笑みを浮かべた女が怪しげな笑い声を上げていた。
もう完全にトリップしてしまっているであろうそれは、あの清楚さNo. 1(グリフィン調べ)と言われるスプリングフィールドだった。
幸いこのコーナーは客も少ないため大衆の目に触れることはないが、戦術人形でなければ通報ものであろう。
「あら、あらあら、これなんてもうほとんど紐ですね♪」
そんなことを呟きながらしっかりとカゴに入れていくスプリング。カフェ経営という他にはない財源をふんだんに使って、気になったものはまとめて買っていくスタイルのようだ。
一応保険のつもりかまともな水着も見えるが、それも今やキワドイ水着に埋もれてしまっている。
「既成事実さえ手に入れれば、こっちのもの・・・・・」
物騒極まりない、がこれが彼女の最適解だそうで、もはや誰も止められないのだ。
「あぁ・・・・夏が待ち遠しいですね。」
またもやトリップするスプリング。
その日は両手に抱えるほど買って帰った。
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「・・・てなことがあったらしくてな。」
「あぁ、だからあんなに。」
翌日、喫茶 鉄血のカウンター席に座るガリルとウェルロッドからもたらされた昨日の情報によって、今なお満面の笑みを浮かべ続ける三人に納得する代理人。
聞いている感じでは前二人はまだ大丈夫だろう。
問題は・・・・・・
「・・・スプリングさん?」
「うふふふふふ・・・・・は! はい、なんでしょうか?」
「大丈夫ですか?」
「はい、私は大丈夫ですよ。 ・・・・・うふっ!」
ダメそうである。
まぁ気持ちは分からなくもないのだが、知り合いが道を外れるのだけはちょっといただけない。
というわけでなんとかまともな水着にさせようとするのだが・・・
「・・・一応、ほかのお客様もいるんですよ?」
「えぇ、ですが私は指揮官一筋です。」
「過激すぎる格好は小さな子の教育によろしくないと思いますが。」
「ご安心を、指揮官と二人っきりで過ごしますので。」
完全にそっち方面のスイッチが入ってしまたのか、全く聞く耳持たない。というかここまでダメな人形だったかと頭を悩ませる代理人。
もはや打つ手なしと思われたその時、一人の来訪者が流れを変えた。
「・・・む、今日は随分と集まっているな。」
「おや、いらっしゃいませ。」
「あ、指揮官!」
「へぁ!? 指揮官!? ど、どどどうしてここここに!?」
「いや、予定よりも早く仕事が終わったのでな。 たまに来たくなるんだよ。」
指揮官の来訪に驚き喜ぶラブ勢なのだが・・・スプリングだけはやたらと挙動不審だ。
その様子に、代理人は閃く。
「指揮官さん、もうすぐ海の予定ですね。」
「ん? あぁそうだな、君も来るんだろう?」
「えぇ、誘われましたから。 それよりも・・・」
視線をスプリングの方に向けると、顔を真っ赤にしてモジモジとしている。
・・・・・既成事実とか無理なんじゃないかと思うくらいに照れている。
「指揮官さんは、どんな水着を着てくれる娘が好きですか?」
『っ!?!?!?』
「と、唐突だな・・・うーむ・・・・・」
店内が一気に静まり返り、五人の人形は固唾を呑んで見守る。
「・・・私個人の意見だが、シンプルなものがいいと思う。 皆美人だから、それが一番映えるだろう。」
『指揮官・・・・・』
(なるほど、これは苦労しますね。)
ナチュラルにこれが言えるあたり、鈍感とかそんなレベルではないような気がしてくるが。
代理人はそぉっとスプリングのもとの行くと、静かに耳打ちする。
(・・・だそうですよ、スプリングさん。)
(そ、そうですよね、普通が一番ですよね!)
先ほどまでの暴走状態から戻ってこれたようだ。これで多分大丈夫だろう・・・多分。
「もちろん君もだ、代理人。」
『指揮官っ!?』
「うおっ!? なんだ?」
「ふふっ、ほどほどになさってくださいね指揮官さん。」
指揮官の余計な一言で再び騒がしくなる喫茶 鉄血と、それをクスクスと笑いながら見守る代理人。
乱闘直前の騒ぎに呆れながらも、やれやれといった調子で止めに行くのだった。
end
ゴジラ見てきました!
なんというか・・・ヤバイ!それでいてしっかりゴジラしてました!
大満足です!!!
ではでは今回のキャラ紹介
スプリングフィールド
ラブ勢のやばいやつ。
なんでうちの春田さんはこうなったのか・・・本当は究極の料理下手にする予定だったのに。
一応自制できたが、海に行けば再び目覚めるかも。
モシン・ナガン
ラブ勢ではまともな方。
普段の肌の露出が少ないせいか肌を出すことにやや抵抗がある。
「ハラショー」が可愛い。
Kar98k
ラブ勢のマスコット的存在。
行動力と空回りのサイクルを突き進む。
デストロイヤーとは番外2−3で仲良くなった。当時は「デスちゃんさん」だったが、デストロイヤーの猛反発で元に戻った。
ガリル&ウェルロッド
ラブ勢の計算高い方とおとなしい方。
今回は任務のため水着を買えなかった。
後日、指揮官と買いに行く約束を取り付ける。
代理人
どんな客であろうとクレーマーであろうとテロであろうと穏便に始末してきた凄腕店長。
これだけ問題児の絶えない店でありながら胃薬を必要としない猛者。