喫茶鉄血   作:いろいろ

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合法ロリババァというある意味強キャラ。
年来確認待った無し。


第六十一話:おばあちゃんの憂鬱

ロリッ娘、という存在がいる。呼び方は幼女だったりチビだったり天使だったりと色々だがようは小さな子供のことである。

一方で合法ロリ、という言葉がある。類義語にロリババァや見た目は子供などがあるが、つまりは見た目はアウトだけど年齢的にはOKというやつである。

 

 

「まったくグリフィンのお偉方は頭が硬いのぉ! ワシだってウォッカが飲みたいし未成年でもないというのに!」

 

「いえ、見た目というかイメージというか・・・面倒な団体に目をつけられるからでは?」

 

「言いたい奴には言わせておけば良い、ところでこの店にはウォッカはあるか?」

 

「まぁ一応は。」

 

 

とある金曜日の夕方。

まだまだ明るいが店によっては閉め始める時間であり、喫茶 鉄血も『喫茶店』としての営業時間もあと僅かになった。そんなタイミングでやってきて涙をこぼして熱弁するのは、グリフィンの古参人形のナガン M1895である。

彼女の悩み、それは単純に見た目の問題なのだが、これには一応訳がある。IoPが人形を開発した当時、そのプロジェクトの責任者がこう言った。

『武器の大きさに合わせて体を作ろう』と。

その結果、初期に設計されたハンドガン人形の多くは年齢の低そうな見た目で、しかし元となった銃はわりとロングセラーなものを選んでしまった。そうして出来たのが、見た目と中身のミスマッチである。

ナガンの場合はモデルがロシア銃、同国モデルのモシン・ナガンがそうであるように、彼女もまたウォッカ好きだった。

 

 

「それは良かった。 この後はバーになるんじゃろ? 一杯用意しておいてくれ。」

 

「・・・司令部に戻らなくていいんですか?」

 

「くくっ、言い訳など山のように用意しておるわ。」

 

 

黒い笑みでそういうあたり、碌でもない言い訳であることがうかがえる。というか指揮官(上司)を騙してまで飲みたいのか。

そんなことをしているうちに店の奥の時計からアラームが鳴る。どうやら閉店時間のようで、それを聞いた客たちも荷物をまとめ帰り支度を始める。

もっとも、ナガン同様に何人かはこの後も残るようだが。

 

 

「くくく、楽しみじゃな。」

 

「ほどほどに、ですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、なぁにが『子供はお酒買っちゃダメよ?』じゃ! グリフィンの社員証を見せても信じてもらえんかったぞ!」

 

「・・・はぁ〜〜〜〜〜。」

 

 

喫茶 鉄血改めBar 鉄血、開店してわずか十分後の出来事である。この店では代理人のこだわりでちょっとでもいいものを直接仕入れていることが多い。コーヒー豆や茶葉などはよく知られているが、実は酒類もちゃんと選んで仕入れている。

結果、ナガンはいつもの安いウォッカから格段にグレードアップした味に、完全にペースを間違えたらしい。

 

 

「モシン・ナガンと買い出しに行った時でさえ、『可愛いお子さんですね。』なんて言われる始末じゃ! モデルの製造年もそこまで違わんわ!!!」

 

「それ、モシン・ナガンさんもショックだったのでは?」

 

 

実際『母親』に見られたモシン・ナガンは、その時こそかろうじて笑顔で乗り切ったが、司令部に戻るやいなや部屋に閉じこもってしまったという。

まぁ身長差といい体型といいカラーリングの似た服といい、親子に見られなくもないが。

 

 

「うぅ・・・いいんじゃいいんじゃ、どうせ世の男なんてボインなナイスバディが好きなんじゃろ? わしだってその気になればできるんじゃぞ!」

 

「飲み過ぎですよナガンさん。」

 

 

ちなみにナガンはこれで誰かに話しかけているというわけではない。酔った勢いでただベラベラと喋り続けているだけだ。

またナガンの言う『なれる』とは、以前にKarが作ってもらったヤツ(番外編2–3参照)のことである。ペルシカ曰く技術的に難しいことではないらしいので、頼めば理想の体型がすぐ手に入るのだ。

 

・・・・・特に胸と身長を気にする人形から注文が殺到しやすい。

 

 

「代理人、おかわり。」

 

「・・・これが最後ですよ?」

 

「代理人もそんなことを言うのか・・・世間は老人に厳しいのじゃ。」

 

「都合の悪い時だけ老人にならないでください。」

 

 

へっ、と鼻で笑いながらウォッカをあおるナガン。まぁ普段は自制できている彼女がここまで荒れるのだから、古参なりの苦労とか苦難があるのだろう。

と思っている間にまたコップを差し出してくる。

 

 

「・・・それ以上飲むと言い訳できなくなりますよ?」

 

「人形のアルコール分解機能を使えば問題ない。」

 

「ん? そんな機能ありましたっけ?」

 

「一応全員に積まれておるが・・・まぁ知っておるのは初期に製造された人形くらいじゃな。」

 

 

これのおかげで騙せとるんじゃよ、とケラケラ笑うナガン。おばあちゃん扱いが嫌だったりするわりにはその立場をちゃっかり利用するあたり、意外とそこまで気にしていないのかもしれない。

さて再び差し出されたコップにウォッカを注ごうとした代理人だったが、ふと入り口の方に目を向けて急いで引っ込める。目の前でお預けをくらったような形となったナガンはムッとするが、肩にポンっと手を置かれて一気に青ざめる。ついでにさっきまで赤くなっていた顔が一気に冷めていくのは、例のアルコール分解機能を使ったからなんだろう。

 

 

「ナガンさん?」

 

「ど、どうしたんじゃモシン・ナガン?」

 

 

振り返った先、代理人ですら見たことがないほど真顔のモシン・ナガンが見下ろしていた。そこでようやく、代理人が酒を隠した意図を知る。同時に、それが手遅れであったことも。

 

 

「ねぇナガンさん、ナガンさんは今何してたの?」

 

「ま、待て、これには深いわけが・・・」

 

「な・に・し・て・た・の?」

 

 

怒鳴るわけでもなく、にらみを聞かせるわけでもない、ただただ真顔で迫ってくるだけ。

司令部での立場はナガンが上だが、今この場では見事に逆転した。

ここまでモシン・ナガンが切れる理由、それは・・・・・

 

 

「騙したの? 指揮官を。」

 

「えっと・・・その・・・・・」

 

「騙したの?」

 

「わ、悪かった! この通りじゃ!」

 

 

愛しの指揮官に迷惑をかけるものは敵、とまではいかないが言語道断だと判断するモシン・ナガン。指揮官ならまぁわけを話せば許してくれるだろうが彼女は無理そうだった。

 

 

「・・・ねぇ代理人、なんで止めなかったの?」

 

「私に飛び火しますか・・・・来ていただいた方は等しく『お客様』ですから。 注意喚起はしますけど。」

 

「あとは自己責任、と?」

 

「えぇ。」

 

 

これがDとかマヌスクリプトだったらしどろもどろになった挙句余計なことを言っていただろうがそこは代理人、この程度で動じる人形ではない。

モシン・ナガンもとりあえずは納得したようで、改めてナガンに詰め寄る。

 

 

「・・・・・帰ろっか?」

 

「そ、そうじゃな! 指揮官も心配すr

 

「つべこべ言わずに会計して。」

 

「アッハイ」

 

 

後ろからの無言の圧力に怯えながら代金を支払うナガン。さっきまでとは一転して悲壮感溢れているが、まぁ自業自得だろうと努めて無視する。

会計が終わると同時に、ナガンは首根っこを掴まれて引きずられていった。

 

 

「ま、まて! 歩ける! 歩けるから!!!」

 

「・・・・・・・。」

 

「なんとか言ってくれぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

悲痛な叫びを残して店から消える白服二人組。

徐々に遠ざかる悲鳴を聴きながら、代理人は・・・・・

 

 

「・・・さて、片付けましょうか。」

 

 

今回のことは見なかったことにした。

 

 

 

 

end




頼れるおばあちゃんだったり副官だったりツッコミ役だったりすることが多いナガンおばあちゃんですが、うちではこんな感じです。


というわけでキャラ紹介

ナガン
多くの指揮官が初期からお世話になるであろうハンドガン人形。
ウォッカ好きなのじゃロリという犯罪臭漂う人形。
作者はリボルバーが好きなので割とお気に入り。

モシン・ナガン
信じられるか?この娘、この作品の最初のゲストなんだぜ?
指揮官ラヴァーズの中では問題行動の少ない方だが、指揮官過保護でもある。
彼女の真顔だけは全く想像できないが、きっと怖い。

代理人
開店前は人権団体に、開店後はこんなトラブルに巻き込まれやすいある意味幸薄な人形。
それでもめげずにほぼ毎日営業している。
この世界のロボット協会では喫茶 鉄血は聖地として、代理人は聖母として崇められているとか。
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