喫茶鉄血   作:いろいろ

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七月に入ったら書こうと思っていた海回、ついに解禁!
こんなの書いてますが水着スキンを一つも持っていない私です・・・いいもん、バレンタインスキン三つあるもん!


第七十二話:夏だ!海だ!!(前編)

サンサンと照りつける太陽、雲ひとつない青空、そしてその色をそのまま写したかのような青い海。

S09地区の人形たちは一斉に駆け出し、海に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の始まりはおよそ一週間前。

各々が用意を進めている中、グリフィンの社長であるクルーガーからある提案がなされた。

 

 

「実は軍の演習場であるプライベートビーチを貸してもらえることになったんだが、どうだろうか?」

 

 

クルーガーが軍時代のコネで勝ち取った・・・わけではなくなんと軍からの提案、カリーナら計画立案組も大丈夫だろうと了承し、行き先が決定した。

ではなぜ軍がそんな提案をしたか・・・・・もちろん目の保養のためである。当日は一応警護目的で十数名の軍人が同伴することになるが、その枠を争って現在血みどろの争いが繰り広げられている。

 

まぁ人形たちにそんなことなど知ったこっちゃないので、プライベートビーチを満喫すべく用意を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

で、当日。

わざわざ迎えに着た軍用輸送ヘリで近くの基地まで向かい、そこから歩いて演習場に併設されている簡易宿舎へと向かう。

簡易宿舎、と聞いて微妙な反応だった者も多かったが、着いてみるとそこにはホテルばりの立派な建物。内装から全て一新してくれたのだ、軍人が。

まぁ日々訓練漬けな彼らも暇なのだ。

 

 

「でも、思ってたより綺麗な場所ですね!」

 

「えぇ、なんでもこの日のために軍総出で清掃活動をしたとか。」

 

「・・・・・軍ってなんだっけ?」

 

「筋肉と変態の巣窟でしょ?」

 

 

呆れ顔で窓の外を見るペルシカ。まぁそこはカリーナもヴァニラもレイラも同じだ。しかしそんなことは些細な問題で、今はとにかく早く海だ。キャリーケースを開けて水着を引っ張り出し、日焼け止めなどの必需品も持っていく。

ちなみにちびっ子たち(ユノとミーシャ)はすでに飛び出していった。

 

 

「でも珍しいわね、引きこもりのあんたが海なんて。」

 

「SOPあたりにでも泣かれたんじゃないの?」

 

「・・・・・・・・。」

 

「「図星かよ。」」

 

「皆さん、そろそろ行きますよ。」

 

 

赤くなって黙り込んでしまったペルシカを引きずりつつ、人間組三人は部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・指揮官・・・」

 

「なんで来ないのよぉ・・・」

 

「・・・・・もういっそ、連中全員始末して・・・」

 

「いや、それはアカン。 あくまで最後の手段や。」

 

「・・・・・あれ? Karさんは?」

 

「カラビーナを連れて泳ぎに行きましたよ。 ふふ、なんだかお姉さんみたいですね・・・・・はぁ。」

 

 

いい天気にも関わらず顔色の冴えないのはこの指揮官ラブ勢(Kar除く)。指揮官との甘いひと時を夢見ていたのだが、蓋を開けてみれば指揮官はクルーガーと一緒に軍のお偉いさんと会合があるという。まぁビーチを貸してもらってるので当然っちゃ当然なのだが、彼女らの中で軍への評価は急降下中である。

 

 

「・・・泳ぎますか。」

 

「・・・泳げますか?」

 

「いえ・・・・。」

 

『・・・・・・。』

 

 

まだ昼前だというに黄昏る五人。

結局指揮官が帰ってくるまで待ちぼうけて日に焼かれてしまったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海を眺めているのは、何も人形たちやその関係者だけではない。この炎天下の中をビシッと軍服を着こなして木陰に待機する男たちもいるのだ。

 

 

「・・・なぁ相棒。」

 

「・・・なんだよ相棒。」

 

「美女たちの水着が見られるからって志願したが・・・こいつは新手の訓練なんじゃねえか?」

 

「同感だ、誰もこんなとこまで来やしねぇ。」

 

 

遠巻きに眺めるしかない彼らには、すでに志願当初の熱意も意気込みも消えかけていた。といっても彼らが勝手に過大解釈していたにすぎないため、自業自得とも言える。

そんな中、一人の影が近づいてくる。

 

 

「皆さん、お疲れ様です。」

 

「っ!? ど、どうも。」

 

「こ、これが仕事です、ので。」

 

 

突然の来訪者、というよりその姿に思わず息を飲む二人。やってきたのは黒のビキニに身を包み、トレーに飲み物を乗せた代理人だった。

元々からして色白な彼女が惜しげも無く肌を晒す、そんな姿をマジかで見た二人のテンションは静かに、しかし勢いよく急上昇していった。

 

 

「先程作ってみたカクテルです。 ノンアルコールですので是非。」

 

「え? いえ、お構いなく。」

 

「それにその・・・・・立場的に受け取るわけにもいかないので。」

 

「ふふっ、そうですね。 でも・・・・・・」

 

 

ノンアルカクテルを差し出しながら、代理人はいたずらっぽくウィンクしながら言った。

 

 

「バレなければ、大丈夫ですよ。」

 

「「ありがたく頂きますっ!!!」」

 

 

いうや否や一気に飲み干す二人。強すぎず弱すぎない炭酸と柑橘系の爽やかな味、何より代理人の優しさが染み渡る・・・気がする。

というかあんな表情で渡されて断れる男などいない、二人はコップを返しながらそう思った。

 

 

「ありがとうございます。」

 

「美味かったです。」

 

「ふふふ、ありがとうございます。 ではこれで。」

 

 

踵を返し、とことこと歩いていく代理人。その後ろ姿を見つめ・・・・というより凝視する二人には、その姿はまさにヴィーナスのようだったという。

 

 

「来年も志願しねぇか相棒?」

 

「当たり前だぜ相棒。」

 

 

男たちは単純だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてそんな代理人が向かった先、即席で作ったであろう簡素な建物がぽつんと建っていた。店内にはいくつかのテーブルと椅子、外にもバラソルが張ってあり、その下にも椅子とテーブル。

手書きで書かれた看板には、『喫茶 鉄血・海の家』と書かれていた。

 

 

「あ、お帰りOちゃん! どうだった?」

 

「好評でしたよ、早速メニューに加えましょうか。」

 

「熱っ!? ちょっ、あぶっ!油がっ・・・ギャー!!!」

 

そんな格好(水着一枚)で鉄板の前に立つからだろ、エプロン着ろ。」

 

 

中ではおなじみのメンツが、いつもとはちょっと違うメニューを作りながら過ごしていた。この店は代理人が伝えた要望で、Dの店長訓練の一環でもある。そのため店の内装や出すメニュー、価格帯(今回は決めるだけでお金はとらない)に至るまで全てDが決めている。もちろん代理人を始め喫茶 鉄血初期メンバーらのサポートや監修はあるが、それでも取り仕切っているのはDだ。

 

 

「・・・・・あんたらここでも働くのね。」

 

「好きでやっていることですし、皆さんも喜ぶでしょう?」

 

「これ、一応あなたの慰安でもあるんだけどね。」

 

 

そう言いながらもかき氷をチビチビ食べるペルシカ。その横ではSOPが頭を抑えて震えており、目の前にはごっそり削られたかき氷の山が見えている。

まぁ見たこともない食べ物にかぶりつくのは分からなくもないが、今回は相手が悪かった。

 

 

「SOP、大丈夫?」

 

「う〜〜〜〜ペルシカ〜〜〜〜〜〜」

 

「(やばい涙目可愛いじゃなくて堪えろ私!)・・・ほら、ゆっくりでいいから。」

 

「ペルシカって、SOPのこと本当に好きよね。」

 

「あのすまし顔の下で相当葛藤しているようだがな。 ほら、アーン。」

 

「あーーん・・・うん、美味しいわ。」

 

「ず、ずるい! 私も!」

 

 

ペルシカが理性と戦い続けている横で、こっちはこっちでアイスを食べさせ合っているAR-15とハンターとD-15。丸いテーブルにも関わらずハンターを挟むようにして座っている二人は、時に笑い合い時に睨み合う良きライバルだ。

 

 

「ふふっ、そんなに膨れるな・・・・そっちのアイスも美味しそうだな、()()もらうぞ。」

 

「んっ? んむっ!?」

 

「あ、あーーーー!?」

 

「・・・・ぷはぁ、ご馳走さま。」

 

「//////」

 

「は、ハンター! D-15だけズrんんっ!!」

 

「ほら、これで問題ない。」

 

 

臆面もなくやりやがったよ、と観衆が思うほど派手にやってくれたハンター。ちなみにこの三人は海に来てからずっとこんな感じで、ハンターが二人をいいようにしているといった感じだ。

・・・・・まぁ二人もまんざらでもなさそうだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユノちゃん! もっと右だよ!」

 

「ユノ〜、もうちょっと前〜!」

 

「ふぇえええどこなn(グニュっ)にゃあああああああ!!!!!」

 

「あ、クラゲ踏んだ。」

 

 

慌てふためくユノとそれを見守るレイラたち。彼女らは今、喫茶 鉄血組から渡されたスイカでスイカ割りを楽しんでいた。

さっきから全く違うとこしか言わないミーシャと微妙に違うとこしか言わないレイラのせいで、ユノは打ち上げられたクラゲを思いっきり踏んづけてしまう。その感触といったらないだろう。

 

 

「わぁあああお母さああああん!!!」

 

「あ〜よしよし、大丈夫だよ。」

 

「じゃあ次はミーシャね。」

 

「うん! 頑張るよ!」

 

 

目隠しをして棒を手にその場で三周すると、ややふらつきながらも前に進む・・・・・もちろんその先にスイカはない。

 

 

「お、お母さん、どこなの!?」

 

「ふふふ・・・もう少し左に向いて、そうそうそのまま真っ直ぐ。」

 

「真っ直ぐ・・・真っ直ぐ・・・」

 

「もう少し・・・・そこよミーシャ。」

 

「え? えいっ!・・・・・当たった、のかnみゃああああああ!!!!」

 

 

フルスイングで叩きつけ、おそるおそる目隠しを取ると同時に逃げ出すミーシャ。そりゃスイカだと思ったらクラゲでしたは衝撃だろう。

 

 

「お母さんのバカぁ!!!」

 

「あははは! ごめんごめん・・・・はい。」

 

「・・・・・・・え? わしもやるのか?」

 

「あんたとFMG-9もでしょ? Vectorは・・・・まぁいっか。」

 

「おばあちゃん頑張れー!」

 

 

渋々、といった感じで準備するナガン。この後人形ゆえの高い位置把握能力を駆使して見事スイカを割ったのだが、勢い余って割るというより砕いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・で、そのスイカがこれと。」

 

「ほぼかけらですわねコレ。」

 

 

割られたスイカは喫茶 鉄血に運ばれ、人形たちに配れるだけ配ることに。まぁ流石に少ないのと形が不揃いなので、代理人らが新たに切ってくれることにはなったが。

それでも早く食べたい人形や、そんなに大きいのはいらないという人形はこうして先に食べているのだ。

 

 

「・・・・・甘い。」

 

「カラビーナ、塩を振るともっと甘くなりますわ。」

 

「え、えぇ・・・・あら本当。」

 

 

長きに渡る拒食・・・というより何か食べるという動作を怠ってきたカラビーナの味覚は正直言ってかなりズレている。以前もイギリス勢渾身のネタ料理である『うなぎゼリー』を美味いと言ってしまい、16labに緊急搬送されるに至ったこともある。

そんなわけであまりにもカラビーナの将来が不安になったKarは、指揮官に会いたい気持ちを抑えてカラビーナに付き添っている。

 

 

「食べるって・・・大事なことなんですね。」

 

「えぇ。 とある国では『食べるという字は人が良くなると書く』と言った方がいらっしゃったそうですわ。」

 

「なるほど・・・・でも、わかる気がします。」

 

「ふふっ、すぐ出なくても構いませんわ。 ゆっくり変わっていけばいいんです。」

 

「・・・はい。」

 

 

カラビーナの笑顔が見れたところで話を区切り、自分の皿のスイカに手を伸ばして・・・・・そこに何もないことに気がつく。

 

 

「? あの子(P7)が持って行きましたわよ。」

 

「なっ!? お待ちなさいP7! それは私のスイカですわ!!!」

 

「取られる方が悪いんだよ〜! ほらほら、追いついてごらんよぺったん子!」

 

「ぺっt!? も、もう許しませんわ! お待ちなさぁああああああい!!!!」

 

「・・・・・ふふっ。」

 

 

砂浜を猛ダッシュで追走するKarに思わず笑ってしまうカラビーナは、きっと追いつけないだろうなと思いながら彼女の分のスイカを取りに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまんな、お前も部下たちと遊ばせたかったんだが。」

 

「いえ、お礼を言いに行くのは当然のことですし、明日もありますから。」

 

「そう言ってくれて助かる。」

 

 

演習ビーチの近くの軍基地。

廊下を歩くクルーガーと指揮官は、明日の予定について話し合う。

 

 

「明日は沖に出るんだったな。 ・・・・彼女らは泳げるのか?」

 

「浮き袋をつけさせますし、軍も水中作戦用の人形を配置してくれるそうです。」

 

「・・・で、君は?」

 

「・・・・泳げないので、釣りでも。」

 

「そうか・・・ところで、お前は気になる人はいないのか?」

 

「な、なんですか藪から棒に。」

 

「いや、普段から彼女らに囲まれているだろう。 で、気になる娘は?」

 

「いませんよ。 彼女らとは上司と部下ですし、彼女たちも嫌がるのでは?」

 

「(刺されても知らんぞ)・・・まぁ、それはそれで面白いかもな。」

 

「???」

 

 

ただの独り言だ、と言い放ってガハハと笑うクルーガーに首をかしげる指揮官。

何はともあれようやく解放された二人は、軍の送迎でビーチへと向かうのだった。

 

ちなみにこの後無事海についたものの、指揮官だけを待ち望んでいたラブ勢から蹴り出されてしまうのだがそれはまた別のお話。

 

 

 

続く




キャラ出しすぎた・・・めっちゃしんどい・・・
でもどれかなんて選べないよね!

リアル司令部ではコツコツ貯めたダイヤがもうすぐ1600になるわけですが、AEK–999のスキンを買うべきか迷い中・・・・・どうしよ?


さて今回はキャラ紹介・・・すると長くなるので行くつく簡単に。

喫茶 鉄血・海の家
代理人発案の元、プレハブで作られた小さな海の家。
設営には軍が全面協力し、運営はDが行なっている。

軍人さん
ビーチのいたるところにいるよく訓練された軍人。
なおこの警備任務の志願に階級は一切関係ないため、二等兵もいれば中佐もいる。

クラゲ
幼女に踏まれ、幼女に棒で叩かれる。
<ありがとうございます!

人形たちの水着
明確な描写はあまりしないので脳内補完よろしく。
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