関係ないですけど第9戦役を(友軍部隊で)クリアしました。
ジャッジちゃんクソ可愛いな!
あと復刻ガチャで57ちゃんの水着でたよヤッター!
微妙に眠れない一夜を明かした人形たち。もっとも、人形にとって睡眠は必ずしも必要なものではないので問題なかったが、ペルシカやカリーナにとっては結構堪えたようだ。
「も、もう肝試しなんてやりません・・・・・。」
「やったとしても参加しないわよ・・・・。」
そんなグロッキーな二人を含め、彼女らが乗っているのは軍が所有する訓練艦。今はビーチからずっと沖に出た、綺麗なサンゴ礁が広がるマリンブルーの海である。
昨晩の体験で疲れ切っていた人形たちも、透き通った海やその下を泳ぐ魚たちにはしゃぎ回る。
その様子を微笑ましく眺めるのは海軍きっての鬼教官。部下たちには見せないその表情は、ある意味とてもレアかもしれない。
「はい皆さん、艦は暫くここで止まりますから、ここで自由行動です。 慣れない海ですのではしゃぎすぎないようにしてくださいね。」
すっかり引率役になった代理人の指示に、人形たちは元気に返事をする。ちびっ子や元気の有り余っている人形は浮き袋をつけて海に飛び込み、のんびり過ごしたい者は浮き輪を浮かべて波に漂い、またある者は用意されてある釣り竿を持って外に行く。
「はい、艦長さん。」
「どうも・・・・・あなたは遊びに行かなくても?」
「ふふっ、楽しんでいるあの子達を見るのが、私の楽しみですから。」
「まるで保護者ですな。 ですが、彼女たちはそう思っていないようですよ。」
振り返ると、ゴーグルやらフィンやらを持ったM4とダネルがそこにいた。二人に半ば強引に引っ張られていく代理人だが、その顔は困ったような嬉しいような顔だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「し、指揮官は泳がれないのですか?」
「む? あぁその・・・実は泳げないんだ。」
「そ、そうなんですか・・・」
一人釣りを楽しむ指揮官の周りに集まったラブ勢たちは、皆一様に落胆の表情を浮かべる。
自分たちどころかどの人形にも(そういった方面で)興味を示さず、男色の疑いすら出ている指揮官の興味を引くべく、海で遊んでみんなでポロリして悩殺作戦(命名:春田さん)を画策していたのだが泳げないのでは始まりもしない。
「なぁなぁ指揮官、ウチにも釣り教えてくれん?」
「ん? 構わないが・・・泳がなくていいのか?」
「あはは・・・泳ぎたいんは山々やけど、
『っ!?』
誰よりも早く軌道修正し、指揮官と仲良く釣りコースに乗っかるガリル。ようやく魂胆に気がついた他の面々も、次々と指揮官に詰め寄る。辛いだけだった日焼けだが、今だけは感謝しかなかった。
とはいえ基本的に指揮官の分と予備がいくつかあるだけで、とてもではないが全員分はない釣竿。仕方なしにローテーションを決め、交代で楽しむことになる。
「し、指揮官、これどうやって付けるんですか?」
「ゴカイか・・・まずは針を刺して、次に針が隠れるように・・・・・・」
とまぁそこは人のいい指揮官。全員が楽しめるように善意100%で教えていく。
無論、その教え子たちにあるのは下心でしかないことなど気付くはずもない。
(ち、近いっ! 指揮官の顔が! 顔が〜〜〜〜〜!!!)
「・・・・これでよし。 ・・・ん? どうしたウェルロッド、顔が赤いぞ?」
「ひぇ!? な、なんでもありません!」
「? そうか。」
絶好のチャンスにもかかわらずヘタれたウェルロッドは逃げるように釣り場に向かう。一応海に糸は垂れているが、本人はそれどころではないほどの興奮と後悔に揺れていた。
「あ〜もったいない・・・・あ、指揮官! 私も餌つけてほしいな!」
それに便乗する形でモシン・ナガンが指揮官を呼び、餌を取られた針をゆらゆら揺らす。もう指揮官は自分の釣りどころではないが、楽しそうだからまぁいいかと思っているようだ。
「釣りって思ってたより難しいね。 もっと簡単だと思ってた。」
「釣りは魚との駆け引きだ、焦れたほうが負ける、と聞いたことがある。」
「そっか・・・・・じゃあ気長にやろっか! 指揮官も一緒n「きゃあ!? し、指揮官助けてください〜!!!」・・・・・チッ。」
「ん? どうしたスプリング。」
せっかくいい感じだったのに邪魔しやがって・・・といった恨み顔でスプリングを見るモシン・ナガン。ところがスプリングは割と本気で困っているようで、指揮官の急接近にもそれどころではなさそうだ。
「か、かかったみたいなんですが・・・・どどどどうすれば!?」
「落ち着けスプリング。 まずしっかり竿を握って、ゆっくりリールを巻くんだ。」
「で、でも・・・・・」
「私も手伝う。 ・・・失礼するぞ。」
『ああ〜〜〜!!!!』
一言言うと指揮官はスプリングの後ろから手を回し、釣竿を支える。側から見れば抱きついているようにも見え、それはそれは羨ましい光景だった。当のスプリングはその状況を理解していないが。
「そうだ、いいぞ。」
「は、はい。」
指揮官はやはり手慣れているのか、さっきまで振り回されていたスプリングも落ち着いて魚を釣り上げる。上がっても暴れる魚を網で掬い、驚きと感動の入り混じった顔で指揮官を見る。
「や、やりました! 釣れましたよ指揮官!」
「おめでとうスプリング。 ・・・・そろそろ交代か。」
釣った魚をボックスに入れ、それを満足げに見つけるスプリング。
(うふふ・・・釣れちゃった釣れちゃった♪ でも指揮官が支えてくれなかったら釣れなk・・・・・・・・・・・・・)バタンキュ〜
「うわっ!? スプリングが煙ふきよった!」
「あ〜今来たか〜・・・」
「だ、大丈夫かスプリング!?」
「大丈夫よ指揮官、ちょっと興奮しすぎただけだから。 奥で寝かせてくるわ。」
そう言うとG36は幸せそうな顔で倒れるスプリングを(やや乱暴に担ぎながら)部屋に連れて行った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
場所は変わって艦の下、横付けされた救命ボートに集まる人形たちは、一応泳いだことのあるレイラから軽いレクチャーを受けている。水中任務用の人形もいるため泳ぐ程度なら可能な人形だが、性能的にできるのと実際にできるかはまた別問題。安全のためにもきっちり説明する。
「・・・・・はい、これで説明は終わり。 じゃあ早速入りましょうか!」
『いぇーーーーーい!!!!!』
我先にと海に飛び込む者、浮き輪を浮かべて乗っかる者、気ままに波に漂う者・・・・・それぞれが思い思いに海を楽しむ。
その中の一組、代理人とダネルとM4はゆっくりと海を潜って行った。
『代理人! 魚が泳いでる!』
『お母さん! こっちにも可愛い魚が!』
『そんなに慌てると魚が逃げてしまいますよ。』
まるで子供のようにはしゃぐダネルとM4に苦笑する代理人。ちなみに人形たちは呼吸もある程度調整でき、無制限ではないが息をしないことも可能だ。よってシュノーケルもボンベもいらないし、気泡も出ないので魚も逃げにくい。
『綺麗・・・・・』
『あれは・・・ウミガメか?』
『大きいですね・・・・・その後ろにいるのは・・・・・あら。』
『うわぁ!? サメだぁ!!!』
慌ててもがき、慣れない水中でクルクル回る二人に、代理人はおもわず笑ってしまう。確かにサメはサメだが特徴的な頭部のそれはハンマーヘッド・・・いわゆるシュモクザメと呼ばれる、おとなしいサメだ。
その証拠にゆら〜っと代理人のそばを通り過ぎ、そのまま泳いで行った。ちなみにシュモクザメは群れでいることが多く、後から続々とやってきた。
『あーあー、代理人? サメを間近で見た感想は?』
『あら、レイラさん? ふふっ、楽しいですよ。』
『だ、代理人! 食べられるぞ!?』
『さ、最近のサメは竜巻に乗って人を襲うんですよ!?』
『映画の見過ぎですよM4。』
とはいえこうも群れの中に居続けると流石にアレなので、そのまま沈むように下に降りる。明るい海面をバックに泳ぐサメたちが、とても優雅だった。
が、海というのは綺麗なだけではない。広大な自然界の一部であり、弱肉強食の世界だ。
たっぷり楽しんだ代理人はそろそろ戻ろうかと姿勢を変える・・・と同時に近くの岩場からナニカが勢いよく飛び出してきた。
『っ!?』
突っ込んできたそれを体をそらして躱した代理人。すぐに目で追い、その正体を掴む。
黄土色のまだら模様、蛇を思わせる長くしなやかな体、獰猛な顔つきと捕食者であることを隠す気もない歯・・・・・海のギャング、ウツボだ。代理人は慌てて海面に上がり、ボートにしがみつく。
「うわっ!? どうしたの代理人?」
「う、ウツボが・・・噛みつかれそうに・・・・・」
「あ〜なるほど、下に住処があったのね。 とにかく災難だったわね、上がりまsy・・・・・って代理人! 前!」
「・・・・・前?」
レイラが慌てた様子で手を引っ込め、身振り手振りで何かを伝えようとする。何事かと甲板から身を乗り出した屈強な軍人らはさらに身を乗り出し・・・・・あ、ヴァニラにしばかれてる。
「代理人! どうした・・・・うわっ!?」
「お母さん! 前隠して!!!」
「え? 前?」
みんなしてどうしたのか、と思いつつ彼女らの視線・・・顔ではなく胸の方に向いているのを追って自分も視線を下に移し・・・・・
「っ!?!?!?」
勢いよく体を沈めた。首から上だけ出した代理人の顔はすでに真っ赤で、珍しくパニックになっていることが伺える。
それもそうだろう、なにせ気がついたら
一体いつ? 潜った時は付いていたしサメに囲まれた時もあったはず。激しい動きなんてウツボに会ったときにしか・・・・・
「! まさか!」
心当たりはそれしか無い、とばかりに顔を水面下に向け、人形としての機能をフル活用してあの岩場を探す。
程なくして、岩場の陰からひょっこり顔を出すウツボを見つける。そしてその口には、
・・・・・ウツボの顔がどことなく笑ってるように見えなくも無い。
「・・・・・あ〜その・・・とりあえず上がりましょうか。」
「お母さん、元気出して。」
「よし、私が取り返してこよう!」
「無理だと思うけど行ってらっしゃ〜い。」
その後とりあえずタオルを巻き、日焼け対策で持ってきていたパーカーを着ることでなんとか解決する。若干いじけてしまった代理人だが、ユノたちの相手をしているうちに機嫌を戻してくれた。
なお、ダネルはウツボに完敗したらしく、こちらも上だけ剥ぎ取られてしまった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はぁ〜もう終わりか〜・・・」
「明日は昼頃の出発ですが・・・・・遊び納めでしょうね。」
「カラビーナ、海はどうでしたか!」
「えぇ、楽しかったですよ。」
日も暮れて真っ暗な海を眺める人形たち。指揮官らが釣ってきてくれた魚と最後の夕食ということで、Dたち喫茶 鉄血組が腕をふるって豪勢な料理を作っている。疲れ切って瞼が重くなってきた人形たちも、匂いにつられて続々と食堂に集まってくる。
「・・・あれ? 代理人は?」
「ん? Oちゃんならユノちゃんの部屋だよ。」
「呼んできましょうか。」
「そうね、ついでにユノとミーシャも連れてきて。 ・・・多分また寝てるだろうけど。」
それに頷くと、M4は階段を登ってユノたちの部屋へ。部屋の前に着くが、中からは物音や話し声は聞こえない。
もしかして入れ違いになったのだろうか、と思いつつドアを開けると中はしっかり電気がついている。
「・・・お母さん、ユノちゃん、ミーシャちゃん? ごはんですよ〜・・・・・・あら。」
部屋を覗き込むと、確かに三人ともいた。きっと直前まで写真を見ていたのだろう、カメラを覗き込むようにして眠るユノとミーシャ。
そしてそれを撫でていたのか、頭に手を置いたまま代理人も眠っていた。
「・・・・・お、なんだ全員寝てたのか。」
「あ、姉さん。」
「どうする? 起こす?」
「・・・・・いえ、このまま寝かせておきましょう。」
そう言って大きめのタオルをかける。いつも働いてばかりの代理人の寝顔が、M4はなんとなく嬉しかった。
起こさないように優しく撫で、にこりと笑う。
「・・・いつもありがとう、お母さん。」
end
意地でも描きたかった『泳ぐ代理人』。
ちなみに描写の参考にしたのはWiiの名作『フォーエバー・◯ルー』、の『海の◯び声』の方。グラフィックは時代を感じるけどひたすら癒されるのでオススメ!
というわけで長きに渡る海回は一応終了。
番外編では本編で書ききれなかった人形たちのワンシーンを書きたいと思います。
というわけで解説!
訓練艦
実際にあるのかどうかは知らないが、要するに戦闘艦のレプリカ。シミュレーションによる訓練が主であるため、砲や機銃、ミサイル等はハリボテ。
今回はそんなハリボテを取っ払って甲板を広く開けたもの。流石に海面からの高さはあるため、海に出る際は救命ボートを使う。
ラブ勢
日焼けしたため海には入れない(スゴクイタイ)
指揮官と釣りを満喫したが、気がつけば釣りに夢中になって当初の目的を忘れてしまった。
まぁ楽しかったからいっか!
海の生態系
ぶっちゃけどの海域にどんな魚がいるかさっぱり知らない。よって書きたいように書いたのでおかしなところがあるかも。
でもいいんだ、こんな海で泳ぎたいって思えば。
ウツボ
ほんとは代理人の谷間にウナギっていう選択肢だったんだけど、果たして泳いでて天然ウナギなんかに出会うだろうかという疑問から変更になったやつ。
谷間には入れないが持ち前のパワーで水着を奪い取る。
モ◯ハンで例えるなら歴戦王