明けましておめでとうございます。
工藤くん───私が作った薬で幼児化し、江戸川コナンと名乗っている───彼が気にする聖(ひじり)という人の第一印象は、綺麗、この一言につきた。
ジンの銀色の髪は死を彷彿させるが、人が違うだけでこんなにも変わるとは思わなかった。
だが、驚いたのは博士の家に着いてからで、博士の机の作品を見るや否や、
『これは貴方が作ったんですか!』
と、博士に駆け寄り、満面の、庇護欲をそそられる可愛い顔で笑っていた。
そんな彼が、死にたい、と言っていたと工藤くんに聞かされたのは驚いたが、この私を救ってくれたぐらいだ。工藤くんなら、どうせ全て救ってしまうだろう。
他の子ども達が帰り、もう聖さんも帰ろうとしている。
「お兄さん、とても博士と話が弾んでいたね。お兄さんも研究者を目指しているの?」
「...違うよ。僕はそんなに頭が良くないしね。普段は、芸術系統のこと全般を仕事にしているよ。」
「仕事に?」
工藤くんが彼のことを知ろうと話を聞き出している。
私もあれだけ博士の話についていけるのだから、同じ研究者を目指しているのかと思っていた。
...それにしても、まだ学校に通っている年齢に見えるのに、働いているとは思わなかった。
「これでも、それなりにその道では成功できていてね...えっと君は女の子だから知っているかも。ちょっと耳を貸して?─────僕の名前はね、“カヌレ”だよ。」
「え...。」
「その反応は知っているのかな?」
私は首を縦に振ることしか出来なかった。
彼は、それなりに成功できていると言ったが、それなりどころではない。
“カヌレ”
その名前自体は世間にはあまり知られていないが、作品自体は誰もが知っている、世界的にも有名なデザイナーである。この前もカヌレがデザインした建物が東都に建っていた。
カヌレの凄い所は、そのデザイン力は云わずもがな、幅広い年代に幅広い作品で浸透しているところにある。
デザイナーというのは専門性が高い。ファッションやインテリア、建築関係等それぞれがほぼ独立してある。
カヌレはその点を越え、広くデザインを扱い、またそれを越えてデザイナーの仕事を越えた仕事にも手を出している。
そこまでいくと、一つでも失敗を起こしていそうなものだが、それもない。
“カヌレ”は視覚的に、ひいては聴覚的にも私達の近くにある。
何故、私がここまでカヌレを調べたかというと...
「...じゃあ、この前の“フサエブランド”のバッグも貴方が?」
「うん、そうだよ。」
「ほ、ほんとうに?」
私が好きなファッションブランドと共同で作ったバッグがとても好きになったからだ。
「んー、あのバッグを僕が作ったという証拠は示せないからな.....そうだ!今度出す次回作があるから、それを貰ってくれるかい?」
「っ!あ、ありがとう!」
今日はとても良い日だ。
本年もよろしくお願いします。