ケストラーは玉座に足を組みながら思考する。
不完全ながら復活したのはいいが、自身自らが力を取り戻すために動くのは、三陣営だけでなく他の神話体系の連中にも気づかれて色々と面倒なことになる。まずは情報収集をし、各陣営の状況を確認していた。
天使は神が不在となったことで、人間に加護を与えるシステムは著しく力を落とし、信仰に関わる事件一つでシステムに不具合が起きてしまう。その為、システムの不具合につながる神器所有者を異端として追放し、または処刑する場合もある。
だが、一部の教会の人間が権力を振りかざし、多くの異能の力を持つ者、特に女性を魔女として処刑している。所詮、魔女狩りと言われるものだ。中には処刑したと見せかけて奴隷にしている者もいる。
堕天使は、神器の研究に没頭している。神器所有者を勧誘、または拉致をして確保している。それによって自陣営の強化を行っている。だが、敵対陣営と小規模な小競り合いはあるが、大規模な戦闘を率先して行っていることはない。
悪魔は現在、他勢力への徹底抗戦を主張する政府と改革を掲げる派閥に分かれて内紛が起こっている。政府側は俺が殺した四大魔王の血縁を筆頭にし、改革派は最も強い力を持つ四人の悪魔を筆頭として争っているが、現在は改革派が有利となっている。改革派の四人は一人一人が魔王を超える力を有しており、四大魔王の血縁者は魔王に及ばないため劣勢となっている。
そのほかには俺が殺し、エルが神器に封じ込めた赤い竜と白い龍の神器保有者が争い合い、周りに被害を及ぼしていたというくらいか。
そこまで調べ終わると俺はこれからどうするべきかと思考する。エルは今だに結晶に閉じ込めている。力がある程度戻らないと封印を解いた瞬間エルに反抗される可能性がある。
だが、力を戻すためには質の良い存在を喰らう必要がある。しかし、今は表立って行動すると再び封印される恐れがある。
「・・・・・・・・・やはり下僕の一人二人は必要か」
俺は自分の代わりに動く下僕が必要と判断する。だが、今更俺に素直に従うやからはいないだろう。もし素直に従う奴らは弱い奴だろうしな。俺の下僕なのだから魔王クラスの力は欲しい。
俺はそこまで考えると一人の悪魔の女性を思い出す。
すぐにそいつを調べると、現在は政府側の主力として改革派と戦っていることがわかった。
俺は口に笑を浮かべ、そいつの元へと転移する。
◆
私は自室にて現在の悪魔の現状にどうすればいいか悩んでいた。私の家はルシファー家に使える家柄であり、その為に政府側に付いているが、政府側の主張では悪魔に未来がないことが理解できる。だが、家のこともあり私は動くことができず、改革派と戦っている。
そこへ、私の背後に誰かが転移してくるのを察知する。敵意がないことから味方の誰かだろうと判断し、振り返ろうとしたところ相手から声がかけられ・・・・・・・・・
「久しぶりだな、グレイフィア・ルキフグス」
私は動きを止めた。
(ありえない!何故彼が、ケストラーが封印から出ているのいるの!?)
私は大戦時の彼の振るった力を思い出し体が震えだす。それを抑えようと両腕で体を抱きしめるが、一向に収まらない。
「どうした、グレイフィア?---震えているぞ。」
「!?」
そんな風に声をかけてくるケストラーに対し、振り返らずに問いかける。
「・・・・・・・何故、貴方が復活しているのですか?」
「やっと口を開いたと思ったら、そのことか・・・・・・・・」
ケストラーは封印されたことに対して、気にしている様子はなく、いつものように語りだす。
「何、誰だかわからんが箱を開けようと過度の力を加えていたらしくてな。それによって箱が綻んで、中途半端だが復活することができたんだ」
(!?いったい誰がそんなことを!天使や堕天使はありえない。ケストラーの恐ろしさは知っている。・・・・・・・ん?中途半端に復活?)
私はケストラーが言ったセリフに疑問を覚えた。いつの間にか体の震えも収まり、いつもの調子に戻っていた。私はケストラーへと向き、先ほどの疑問を口に出す。
「先ほど貴方は中途半端に復活したと言っていましたが、それはどういう事ですか?」
「ああ、それはだな、長いこと封印されていたのと、箱の綻びから出たために力の大半がまだ箱に封じられたままでな。それを戻すために質の良い存在を喰らうか、箱を開けるのが早いのだが俺自らが動くと周りが騒ぐからな」
確かにそうだろう。だが、力の大半を箱の中に封じられたまま?
「そこで俺の代わりに動く下僕を必要としてな。お前に目を付けたというわけだ」
私は話を聞きつつ、ここから離れたところへとケストラーと転移するため、彼に気づかれないように転移魔法陣の準備をする。
「私が素直に従うとでも?」
ケストラーは気づいていない。これなら・・・・・・・
「従うさ」
その瞬間、私はケストラーを巻き込み冥界の奥地にある岩石地帯へと転移する。
「どういうつもりだ、グレイフィア?」
(今のケストラーはあの時よりも弱くなっている。今ならば殺すことが出来る!)
私はケストラーの問には答えず、ありったけの魔力で攻撃を仕掛ける。その衝撃に地面は抉れ、あたり一帯にある岩なども吹き飛んでいく。私はそれに気にすることもなく攻撃を続ける。
ケストラーが立っていた場所はクレーターとなっており、ケストラーはその中心で倒れていた。
(今なら!!)
私は魔力を手に集中し、ケストラーの首を切るため接近する。私が接近しているのにも関わらずケストラーは倒れたままだった。そして私の手刀がケストラーの首に触れた瞬間-------
「ッ!!?」
崖に叩きつけられていた。
何が起きたのか分からなかった。気づいたら崖に叩きつけられており、崖に体が崖へとめり込んでいた。視線を前に向けると、ケストラーが無傷で立っていた。
(そんな・・・・・・・あれだけやっても無傷だなんて)
ケストラーはゆっくりと私の方へ歩いてきた。
「流石だな、グレイフィア。弱っているとはいえ、少し痛かったぞ」
そうして私の元まで来るとケストラーは私の首を掴み地面へ叩きつけた。
「ッ!!」
それから逃れようと体を動かすが、ケストラーは私の頭を押さえつけており動くことができなかった。
「だがお前は、俺が大魔王だということを忘れていたようだな!」
殺せると思った。だが、ケストラーの力は私の想像以上だった。弱っていてもこれだけ強ければ本気の彼に勝てる存在はいるのだろうか・・・・・・・・・
「しかしグレイフィア。お前が俺の下僕になるのなら今のは忘れてやろう」
(!?・・・・・・下僕になれば、助かる?)
それを聞き私は迷う。自分の命惜しさにケストラーの下僕になっていいのかと。だが、この身に刻まれたケストラーのへの恐怖は従うべきだと訴えてくる。
「返事は?」
だが、ケストラーに声をかけられ、私の心はケストラーに屈した。
「な、なります!貴方の下僕に・・・・・・なります!」
しかし、突如持ち上げられ、壁に叩きつけられる。
「ッ!!!」
息が詰まる。何で・・・・・・。
「違うだろグレイフィア。----下僕にしてくださいだろ」
ケストラーはそう言うと手を離し、私は地面に倒れる。立ち上がろうとする私の顎に手を添え、私は顔をケストラーの方へと向けさせられる。
「あ・・・・・・わ、私を・・・・ケストラー様の、下僕に・・・・してください」
言ってしまった。私はそのセリフを口にした瞬間、私の中の何かが崩れていく感じがした。目尻から涙が流れている。
「クッ、ハハハ。いいだろう、グレイフィア。お前は俺の下僕だ。----そしてこれは褒美だ」
(い、一体、何を!?)
いきなり口づけをされ慌てるが、突如ケストラーから濃厚な魔力が流れてきた。あまりにも強力な魔力が流れてきたため、体が熱くなってきた。
(あ、熱い!・・・・・・・か、体が!?)
暫く身悶えたあと私は気を失った。
ケストラーは気絶したグレイフィアの服を破り捨て肌を露出させる。そして胸元へと手を添え、魔力を集中する。すると、グレイフィアの胸元にケストラーの刻印が刻まれた。それは下僕ではなく奴隷を思わせるものだった。
ケストラーはグレイフィアを抱き上げ、自らの居城へと転移する。
悪魔の内紛は、政府側の主力のグレイフィアが行方不明となり、その隙を付いた四人の悪魔を筆頭とする改革側は勝利した。
敗北した悪魔達は冥界の片隅へと追いやられ、勝利した改革側の筆頭となっていた四人の悪魔は新たな魔王となった。
少しずつエロをいれていきたいなと思います。