この世界に転生して百年程経った。
あの後魔界を放浪している。初めて魔獣に遭遇した時、急に現れたのと初めて見ることから驚き、咄嗟に魔力を放ち魔獣を消し飛ばしてしまった。さらには射線上にあったものまで巻き込んでいた。
このことから俺は経験を積むために、いろいろな魔獣に喧嘩を売った。お陰で度胸もついた。
放浪している中で自身について気づいたことは、俺の食事は普通の物も食べられるが、今の俺の好物になっているのは強い力を持った存在の魔力や血だった。最初は原作で血ないし魔力を食らっていたのを思い出し、好奇心から倒した魔獣も血を飲んだら美味しかった。そのことに対して罪悪感はなく、もっと美味いものを食らいたいという思いが強かった。そして改めて俺は、自分がケストラーになってしまったと実感した。
それから俺は色々な物を見るためと、美味い食事を目的にフラフラしていた。格の高い魔獣の味に慣れてしまうと、それより下の存在を不味く感じてしまうのが欠点だな。
そして現在俺は何をしているかというと------
「貴様だな。ここ百年程、辺境の魔獣を殺しているのは」
自分と同じ人型の魔族・悪魔達に囲まれていた。彼らは最近、辺境の魔獣が減少していることに気づき調べた結果百年程前から魔獣が分かり、原因を探ったところ俺の存在に気づいたらしい。
そして魔王から指令を受け俺の元に来たらしい。
「どうした、答えろ!」
取りあえずは答えるか。
「ああ、魔獣が減っているのは俺が原因だな」
「! なぜ魔獣を無作為に殺している」
何故?こいつらは俺と違って血や魔力を食わないのか・・・・・・一応答えておくか。
「魔獣を喰らうためだ」
「喰らう、だと?」
「正確には強い存在の血と魔力だがな」
「「「「!?」」」」
どうやら俺の食事は彼らにとっても異様らしい。彼らから強い警戒心と怖れを感じるな。
そう言えば彼らも魔力を持っているな。どんな味がするか興味がある。
俺は彼ら全員に視線を向けるとさらに警戒心を強めた。まぁ、無駄だがな。
「さて、君たちの魔力はどんな味がするのか------楽しみだ」
「!? 全員、奴に攻撃を仕掛けろ!」
司令官の悪魔が攻撃命令を出すが、もう遅い。
俺は魔力で杯を創り出し、それを彼らに向ける。
「ガッ!?」 「な、何だ!?」 「ち、力が、抜けていく!?」
素手でもできるが、杯でやったほうが趣がある為、杯を使っている。因みに俺は人型の存在を血の雫に変えて喰らうのにはまだ抵抗があるため、今回は魔力を直接喰らうことにする。
そうして魔力を吸い尽くされた彼らは全員地に倒れ伏し、意識のある者は俺を見上げている。
「き、貴様。何を、した・・・・・・」
「先ほど言ったとうり、単なる食事だ」
「魔力を、喰らう悪魔なぞ、聞いた、こともない」
「それはそうだろう。これは俺自身の能力のようなものだ」
それだけ答えると、俺は杯に満たされた魔力を飲み干す。
「ふむ。魔獣よりは魔力は多いが、質が少しイマイチだな」
杯を消し、その場を立ち去ろうとするが、背後から誰かが立ち上がる音がし、そちらに視線を向ける。
「ま、待て・・・・・・」
「何か用でも?」
「貴様を、野放しには、できん。刺し違えてでも、この場で貴様を殺す!!」
彼らの指令らしき悪魔が向かってくる。槍を持って俺を貫かんと突貫してくるが、俺は面倒なので少し眼に魔力を込め放つ。
「「「「!?」」」」
そして司令官の悪魔は、足首から下を残し消滅した。
「そ、そんな・・・・・・」「瞬きだけで、消し飛ばした?」「ば、化物・・・・・・」
残りの奴らが何か言っているが、振り向くことなく、俺はその場を立ち去る。
そう言えば彼らは、魔王から指令を受けてきたと言っていたな。魔王か、こちらから敵対する気はないが、あちらから敵対してきたら遠慮なく喰らうとするか。
まぁ、今は人型の存在の血にも慣れとかなくてはな。