大魔王に転生   作:akyu

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ドラゴン

 悪魔達を喰らった後、魔力で人間界への出入口を造り人間界へと渡った。俺は最初に上空から人間界を見たが、大陸の形が前世と同じだった。そこから俺はこの世界がハーメルンの世界でないと悟った。だからといって、前世の世界の過去かと言われるとそれも違うと思う。

 力を隠し、人の中に紛れて話を聞いていると、今は俺がいた前世の年代から千年以上も前で、人間はドラゴンや魔獣といった存在が実在することを知っており、教会の戦士や国の軍隊が討伐に行ったという話が聞き取れる。

 そのほかには、別の神話の存在も実在することがわかったが、こんなごった煮状態の世界よく破綻しないなと思う。

 取り敢えずは、俺はせっかく人間界に来たので、百数十年ぶりに血や魔力以外の物を食べたいと思い、街を探索することにした。

 

 

 

 

 数十分後、俺は街から離れたドラゴンがいると噂の森へ来ていた。あの後、普通の食事を摂ったが、現代の料理の味を舌がまだ覚えていたようで、ほとんどの料理が口に合わなかった。ワインは物によっては美味しかった。

 

 そして俺は口直しとして、まだ喰らったことのないドラゴンを目当てに、街の住人が噂をしていた森へとやってきた。噂の信憑性としては、森に入った人が行方不明になり、そのことを知った教会が、教会所属の戦士を派遣したらしい。

 俺も森へ入り、奥の方から血の匂いと、魔獣以上の力を持った存在を感じた。

 

 これは当たりだな。しかし、人間も入ってきてるとはな。先を越されるのは癪だ、少し急ぐか。

 俺は足に力を込め、強い気配のある方へ急いで向かった。

 

 

 

 数分ほど走った後、目的のものが見えた。そこには、焦げ茶色のウロコに覆われた翼がない、十五m程の地竜が馬を食べていた。恐らくは森に入った人間の乗っていた馬だろう。

 初めて見るが、この個体はドラゴンとしては小さいほうだ。しかしそれでも、その身に宿す力は今まで喰らった魔獣よりも上質だとわかる。

 そんな風に観察していると、地竜もこちらに気づいた。

 

 「ギャオオオオオォォォォ!!」

 

 咆吼し、俺を喰らわんと突進してくるが、俺はそれを避けずに右手を前に突き出すことで受け止めた。口を塞ぐように掴んでいるので、口を開けることのできない地竜は首を振り、俺の拘束を振り払おうとしているが、俺の見た目以上に込められっている力により、それも叶わない。

 ならばと、地竜は鋭い爪で切り裂こうとしてくるが、それを空いている方の手で捉え、腕ごと引きちぎった。

 

 「ッ!!!!!???」

 

 地竜は腕を引きちぎられた激痛で悲鳴を上げようとするが、俺が口を抑えているため口を開けることすらできない。そのまま俺は地竜を持ち上げ、死なない程度に力を込めて地面に叩きつける。

 叩きつけた衝撃で、木は吹き飛び、地面には地竜を中心に小さなクレーターができた。

 

 「ギ、ァァ・・ァ、ァ」

 

 地竜は悲鳴もあげる力も残っておらず、ちぎれた腕と全身から血を流している。

 

 「このまま血を流されてはもったいないな。すぐにその命ごと喰らってやろう」

 

 杯を取り出し、それを地竜にむけ、地竜の全てを杯に注いでゆく。

 

 「ッッッッ!!!」

 

 杯に全てを吸われていく激痛に悶え苦しむが、逃れる力もなく、地竜は数分も経たずに全身が崩れ、塵となった。

 俺はそれに目もくれず、杯に満たされた命の水を飲み干す。

 

 「クッ、ハハハハハハハ!予想以上に美味い!魔獣や下級悪魔と比べるまでもない!しかもこれで弱い個体とは・・・・。これより強いドラゴンにはさらに期待できる!!」

 

 ドラゴンは力の塊と言われているが、この味を知れば納得だ。俺は上機嫌となち、暫くはドラゴン狩りでもするかと考えているところに、人の気配があった。

 

 「邪悪な悪魔め!ここで何をしている!」

 

 全員が十字架を下げ、剣や槍を等を武装した人間達がいた。おそらくは教会が派遣した戦士達だろう。

 俺は気分が良くなっていた時に水を差すように現れた人間達に対し、不快感を顕にする。

 

 「もう一度聞く。この森の惨状は何だ、貴様はここで何をしていた!?」

 

 いちいちうるさい奴らだ。ドラゴンを喰らったばかりで、それよりも不味そうな人間を喰らう気にならない。どうするか思考していると、俺を観察しているような存在の気配を感じた。正確な場所は分からないが、確かに俺を観察している。

 だが、問題はそこではなく、そいつは先ほど喰らったドラゴンよりも上物だということ。俺は口に笑を浮かべ、知らず知らずのうちに魔力を放出していた。頭の中にあるのはそいつを喰らうこと。人間など眼中になかった。しかし、しばらくするとその気配の持ち主はいなくなっていた。

 

 「チッ!逃したか。まぁいい。気配からしてドラゴンだろうが、あんな上物がいるとわかっただけでも収穫か」

 

 気を落ち着かせ、先程までうるさかった人間どもを見ると、全員気絶し倒れていた。俺は殺す気も起きなかったので、そのまま放置して人間の街に戻っていった。

 

 

 

 

 

 俺、クロウ・クルワッハは、キリスト教の介入が煩わしくなり、修行と見聞を兼ねて人間界を回っていた。 今回俺は、感じたことのない悪魔の気配を察知し、そいつの気配がする森へ来ていた。この森には下級の地竜の気配もあったが俺の敵ではないだろう。

 そうして件の悪魔を観察していると、奴は瞬く間に地竜を殺し喰らっていた。今までいろんな悪魔を見てきたが、ドラゴンを喰らう悪魔は見たことがなかった。驚いている間に、悪魔を囲むように武装した人間達がいた。

 敵うはずがないので、すぐに殺されるだろうと思っていたところ----奴に気づかれた。

 正確に俺のいるところを察知したわけではないだろうが、奴は観察していた俺に気づいた。それと同時に放出された魔力にゾッとし、俺はすぐさま奴から逃走した。

 戦いと死を司ると言われた俺が心から恐れた。戦いにすらならずに殺され、命を喰われることを想像すると身体が震えた。あの化物とは戦いたくない。そう、思わずにはいられなかった。  

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