冥界悪魔領の首都・ルシファードの王城の一室に四大魔王とその従者であるグレイフィア・ルキフグス。そしてケストラーの六人がいた。
ここで行われる四大魔王とケストラーの会談は正式なものでなく秘密裏に行われるため、この場にいる六人以外は部屋はおろか、周辺に一人もいない。
六人、正確には四大魔王とケストラーの五人の会談はルシファーが口を開いたところで始まった。
「初めまして、といったところか。私が今回君と会談したいと言った、ルシファーだ」
「能書きはいい。俺を呼んだわけを話せ」
俺の態度が気に入らないのか、室内にピリピリとした雰囲気になってくるが気にすることもないので、俺はいつもと変わらぬ態度のままだ。
「報告にあった通りの奴だな。まぁいい。今回君を呼んだのは我々悪魔の陣営に正式に入ってもらうために来てもらった」
「何?」
どういう事だ?今まで俺を始末しようとしていた連中が仲間になれだと。
「今まで俺を目障りに思っていた奴らが、どんな心変わりだ?」
「その事についてだが。ケストラー、君は今我々悪魔、天使、堕天使の戦争があるのは知っているな」
「ああ。俺がその戦争に影響を及ぼすのではと思い、お前らが始末しようとしていたこともな」
少々、皮肉を入れてみたがルシファーは、その通りだと頷くだけだった。
「そうだ。しかし、そこで私は一度考えを改め、君に我らの陣営に入ってもらおうと考えた。もしくは敵対しないと確約してくれればいいとな」
「成るほど。俺を始末できないのであれば、内に入れてしまおうというわけか」
「そうだ。返答はこの場で言ってもらいたい」
ふむ。こいつらとしては戦争における戦力とも考えているのだろうが、俺が大人しく命令に従う気がないと考えて敵対しない約束をさせたいわけか・・・・・・・。
デメリットは今のところないか・・・・・・・。丁度いい。ケストラーの名称だけでは寂しいと思っていたところだ。
「いいだろう。お前たちの提案を受けよう」
「そうか!よかっ「ただし」?」
ルシファーが言いきる前に中断させる。
「お前達が俺の下になれ」
俺がそう言うと、室内は暫し沈黙に包まれ、次の瞬間、四大魔王全員から怒号が飛ぶ。
「ふざけるな!!!」
「貴様!我々を愚弄するのもいい加減にしろ!」
「このような提案を受けるだけでなく、今までの貴様が我らの陣営に与えた損害を許そうというのに!」
その他にもまだ罵詈雑言が飛んでくるが、俺はいい加減五月蝿くなったので黙らせることにした。
そして、突如室内に凶悪なまでの魔力が襲いかかった。
「「「「「!!??」」」」」
俺から発せられる魔力の圧力に四大魔王はテーブルに突っ伏している。椅子に座っていなかったグレイフィアは床に倒れている。
「少し黙れ。俺は自分より弱い奴らの下につく気はない」
魔王達は突っ伏したまま聞くことしかできないでいるが、構わずに続ける。
「それに話は最後まで聞け。俺がお前達のトップにたったとしても、それは便宜上の話だ。お前達のやり方に口を出す気はない。ただお前達のような称号が欲しいんだ。大魔王という称号がなぁ」
「「「「「!?」」」」」
「それと、お前達が頼み事をしてきたら、俺の気分次第では手を貸してやろう。どうだ?」
そして、返答を聞くために魔力の放出を止める。
「っ、ハァッ、ハァッ!・・・・・・・・・いいだろう。ケストラー、君の要望を受け入れよう」
「ルシファー!貴様それでいいのか!?」
「ベルゼブブ。例え我ら四大魔王が束になろうとケストラーにはかなわん。それに形式上は奴が大魔王となろうと、今までと変わらず、ケストラーの気分次第だが、我らの協力要請を受けると言っているのだ。これ以上の結果はあるまい」
「クッ!」
ルシファーは他の魔王達を見回し、反論がないか確認する。
「反対の者はいないようだな。では俺はこれより大魔王ケストラーと名乗る!それとルシファー。これを貴様に渡しておこう」
そう言って俺は一枚の術式の書かれた栞を渡す。
「これは?」
「俺との通信手段だ。魔力を込めるだけで発動する」
「・・・・・・いただこう」
「では、会談は終わりだな。俺は帰るぞ」
俺は四大魔王達に背を向け扉へと歩いてゆく。背後から怒りと憎しみをぶつけられるが俺にとっては心地よいだけだ。そして今だに恐怖に震えて立てずにいるグレイフィアを一瞥し退出する。
「クッ、ハハハハハハハハハッ!」
ケストラー、いや大魔王ケストラーは笑い声とともに冥界を後にした。
ついにケストラーから名称が大魔王ケストラーになりました。