エリカ、転生。   作:gab

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明けましておめでとうございます。
旧年中はたくさん感想や評価を頂き、ありがとうございました。誤字報告も助かっております。誤字多くてすみません。

今年もどうぞよろしくお願いします。



4年-11 ガーデンの整備

 

 

1995年 4月

 

 4月最初の週末はホグズミード休暇の日だった。

 私はいつものように友人達と休暇を楽しみ、その後、ドラコと一緒にハリーと合流し、『三本の箒』へ向かった。

 

「ハリー! こっちだ」

 

 中に入るとシリウスが嬉し気に手を振っている。ブラック家当主となって貫禄も出てきたのに、こういった時に少年の様にはしゃぐ彼は、幻のしっぽをびゅんびゅん振って嬉しそうに見える。黒犬成分がにょっきり出てる。

 一緒にテーブルを囲んでいたルシウス叔父様も苦笑気味だ。

 

 『第二の課題』をシリウス達も観に来ていたんだけど、ハリーとほんの少ししか話す時間がなく終わってしまったため、今日はゆっくり話そうと私達のホグズミード休暇にあわせてこちらへ来てくれたらしい。

 

 シリウス、ルシウス叔父様、ドラコ、ハリー、私の5人でテーブルを囲み、子供達はバタービールで乾杯する。ドラコも久しぶりに父親と話せて嬉しそうだった。

 

 そして、ハリーの『第二の課題』での武勇伝をたくさん聞かせてもらう。

 

「だからロンに言われるまで、ほんとうに人質が殺されてしまうって信じてたんだ」

 

 恥ずかし気に語るハリーの姿に、ドラコも頷いて、

 

「まあそんな水底の風景を見せられたらそう考えてしまうのもわかるな」

 

と話した。

 

「そうね、ドラコ。マーピープルの姿ってとっても怖そうにみえるもの」

 

「でも見たかったな、その風景。水底に囚われた人質とそれを取り囲むマーピープル、か」

 

「ハリー、君は正しかったとも。胸を張れ。君の点数がそれを証明してくれているだろう?」

 

 シリウスに褒められてハリーが照れ笑いを浮かべて頷いた。

 

 それから、クリスマスに話したとおり、シリウスから『ヴォルデモートの企みがわからないし、誰がゴブレットに名前を入れたのかも判明していない。気を抜かないように』と注意を促し、できるだけひとりで行動しないようもう一度念を押した。

 

 狡知に長けたルシウス叔父様だけじゃなく、直情的なシリウスも、理解していれば腹芸もしっかりできる。

 先日の課題当日にだって、マッドアイ-ムーディの中身がクラウチ・ジュニアだと気付いているなんておくびにも出さず、ムーディとも和やかに話していた。ハリーやドラコに不必要な情報をうっかり漏らすこともない。

 駄犬に見えて、彼もやはりブラックなのだ。

 

「『第三の課題』は最後の試練だ。怪我をしないよう、今の精一杯を出し切ってくれよ、ハリー」

 

「はい!」

 

 シリウスとハリーが笑顔を交わし、ルシウス叔父様が微笑まし気にそれを見ている。ドラコとハリーも仲がいいし、彼らの様子を見ているだけで原作ファンとしてはね、幸せだなあって思うよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕方、スリザリン寮の私室でロニーを呼び出した。

 数分後、主の呼びかけにうきうきとした表情を浮かべたロニーがバチンと音をさせて現れた。

 

「お呼びでございますか? ご主人さま」

 

「ロニー、急に呼び出してごめんね。話があるから、ここに入ってちょうだい」

 

 トランクに彼女を誘い、私も一緒に入る。

 居間のソファに座ると、ロニーはいつものように斜め横からちょっと身体を傾けるように私を見上げる。しもべたるもの正面に立つのは不敬だと考えるロニーはたいていこの位置に立つ。ほんの少し斜めに傾いた上体がとてもかわいい。

 

「ロニーに今から私の秘密を話します。このことは決して誰にも言ってはなりません。命令です」

 

「かしこまりましてございます。ロニーはご主人様のお話しになることをどなたにもおっしゃいません」

 

 

 お辞儀様の復活の儀式の日、何かが起きるかもしれない。失敗して死ぬかもしれないし、ヤバくてそのままログアウトなんて可能性もある。

 

 だからロニーとマーリンにも当日はガーデンに避難していてもらいたいのだ。

 そのためにはロニーにそろそろ話をしなきゃなんだよね。

 

 

「ロニー。ロニーは私が生まれ変わってもずっと私のしもべ妖精でいるって言ってくれたわよね?」

 

「はい、ロニーはずっとエリカご主人様のしもべ妖精です」

 

「ロニー。私はね、生まれ変わっても前の事をずっと覚えていられるっていう能力を持っているの。だからこの世界で死んだあともまた記憶を持ったまま次の世界に行くことになる。そうやってずっと生まれ変わっていくの」

 

 ロニーは怪訝な表情を浮かべて私を見ている。ちょっといきなりすぎる告白にぽかんとしているロニーに、記憶を持ち越して転生していることをゆっくり細かく何度も説明し、やっと納得してくれた。

 

「それでね、前の人生で私だけの空間を手に入れて、家族も家ごと連れてきたの。ロニーに会ってもらいたい。だってロニーも次の生にもその次の生にもずっとずっとついてきて欲しいの」

 

 彼女はとても驚いたようだ。棒立ちになって耳がぴんと開いて、驚愕に見開いた目が零れ落ちそうなほどになっている。『生まれ変わってもずっと私のしもべ妖精でいる』ということが一挙に現実味を帯びたからだ。

 そして最初の衝撃が覚めるとやっと喜びの表情を浮かべた。

 

「この世界の子じゃないから当然純血貴族じゃないわよ。それでもちゃんとできる?」

 

「ご主人様のしもべ妖精でいるために必要なのでしたらロニーはちゃんとお仕えできます。ロニーは賢いしもべ妖精です。ご主人様のご家族はロニーのご主人様です。ロニーはちゃんとおわかりでいらっしゃいます」

 

 レストレンジ家との盟約から『マスターエクスチェンジ』を使ってロニーを解き放ち、私の所有物としたあと、彼女が言ったことだ。

 彼女はまた同じことを言ってくれた。彼女はほんと、ブレがない。

 

 

 私はロニーに語った。

 ガーデンのこと、家族のことを。

 

 メリーさんはパンダだけど私の大切な乳母だと言うと「ロニーもお小さい頃のご主人様をお世話なさいました!」と対抗意識を燃やした。メリーさんの本業は芸術家だから、家事はロニーが助けてくれるととても嬉しいと言うと途端に機嫌を直して、「ロニーのお仕事なのです」と胸を張った。

 

「ロニーが私の家族達と仲良くしてくれると嬉しいわ」

 

「ご主人さまやご家族さまのお世話はロニーのお仕事なのです」

 

 ロニーも家族だよ、とは言えない。私は家族だと思っているけど、そんなことを言うとロニーを怯えさせてしまう。だから大事なしもべだと言い、ロニーのお陰で助かっていると褒めることしかできない。もどかしいけど、距離を見誤ってはだめなのだ。

 

 見上げてくるロニーのやる気に満ちた笑みを眺め、私は(ポップ)(ゲート)で小窓を開いて見せた。空間を割ってガーデンの風景が見える様を、ロニーは大きな目をぱちぱち瞬かせて恐々と覗きこむ。私の顔を見上げ、それからそっと足を踏み入れた。

 

 

 

 家族達との対面は友好的に終わった。

 ロニーは他の屋敷しもべ妖精同様ごりごりの純血主義だったけど、マスターエクスチェンジで私の所有物となったあとで『魔法族以外に生まれ変わってもお嬢様はお嬢様だ』と宣言したことで大いに認識をかえたようだ。

 

 メリーさんや小雪を見て嫌がるかと思ったけど、すぐに一緒に並んで楽し気に家事をするようになった。ラルクやシェルの世話も丁寧だ。ジェイドにはとても驚いて最初はすごく怯えたけどね。

 

 

 実のところロニーは、私がずっとホグワーツにいるせいで仕事に飢えていた。

 

 広いガーデンにはいくつも建物が建っていて、家族がたくさんいて、炊事洗濯掃除、農作業、温室トランク内の薬草の世話などやることがたくさんある。

 

 手助けを求められて彼女の承認欲求が満たされていくのか、ガーデンでの暮らしを楽しむようになってくれたことが、私もとても嬉しい。

 

 メリーさんもすべてをロニーに任せるのではなく、仲良く一緒に料理をしたり楽しそうでなによりだ。嫁姑問題じゃないけど、誰がイニシアティブを取るのか揉めるかと少し不安だったのだけど、奥向きの取り締まりはあくまでもメリーさんで、ロニーも上手にメリーさんの補助のポジションに納まったみたい。

 

 ロニーの部屋は階段下の空間を塞いで小さな部屋を作ってそこに住むことになった。メリーさんが彼女の体長に合わせて小型のベッドを作ってくれて、ロニーは喜びのあまりむせび泣いた。

 

 

 

 

 ロニーにガーデンの存在を教えたことで、今まで気になっていたけどできなかったことをいろいろ試してみた。

 

 ロニーは念空間を認識できないらしい。

 

 外にいるロニーにガーデンから呼びかけても彼女には聞こえない。反対にガーデンにいるロニーを外から呼びかけても聞こえない。

 ガーデンの存在を知った今でも、ロニーは自力でガーデンに出入りすることができない。

 

 念空間は屋敷しもべ妖精でも超えられないようだ。他のしもべ妖精が入って来られないようでちょっと安心した。

 

 

 ロニーがガーデンに居る時に用事があれば、(ポップ)(ゲート)で小窓を開いて、空間同士を繋げてから名を呼ぶと聞こえる。ガーデン内ならロニーもどこにでも姿現わしできるから、小窓を開いて呼びかければロニーが中央まで飛んできて、そこからゲートを通って外にでてくる、という感じ。

 

 

 ロニーは私がどこからでもガーデンへ行き来できることを知ったし、私が影分身で何人にもなれることも知った。

 驚きのあまり目をまわしながら「ご主人様が……ご主人様がたくさんいらっしゃいます!」と叫んだ。その驚きの声にちょっと喜びの色が混じっていたのがロニーらしいと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 ロニーのガーデン参入のついでと言ってはなんだけど。

 そろそろガーデンの整備が必要だと思う。

 

 魔法で拡張した空間は電化製品が使えなくなる。それに、魔法をたくさん使っている場所は空気中の魔力含有量が多くなり電化製品に悪影響を及ぼすのだとか。

 

 検知不可能拡大呪文のかかったトランクに一、二度しまったくらいで電化製品が壊れるわけではないのだけど、ガーデンには私、メリーさん、小雪の魔女3人(と影十数人)がいて家事や練習で日々たくさんの魔法を使っている。強い魔法生物バジリスクのジェイドもいる。そのうえ今後はロニーもここに加わることになった。

 そろそろ電化製品が壊れるかもしれない。

 

 うっかり壊してしまうのが怖いから、『パソコン類や電化製品を使う場所』と『魔法三昧する場所』を分けることにした。

 

 空気中の魔素の量が問題なのだから建物群も電化製品を使うものだけ距離を取ったほうがいい。

 私達は魔女で、日常で魔法が手放せない。

 ハリー・ポッター世界の魔法は、日常生活にとても便利な魔法が多いのだ。これに慣れてしまった今、基本的に魔法を使わず生活するのは難しい。

 だから、電化製品を使える場所を隔離するという感じになるだろう。

 

 

 家にある生活用品の電化製品はほとんど魔法具や魔法で賄えるから日用家電は必要ないのだけど、問題は図書館と音楽堂。

 

 データ処理は手書きよりパソコンだし、原作チェック用にいろいろ買い貯めたビデオやDVD、ゲームは今後の転生のために絶対必要なもの。それから音楽プレイヤーは『超一流ミュージシャン』の私には必須アイテムだ。

 

 パソコンが置いてあって、DVDやゲームができる視聴覚室のある『図書館』、それからシアタールームや音響設備のある『音楽堂』は電化製品に溢れている。

 私達が振りまく魔素をさけるため、図書館と音楽堂を別の場所に移したほうがいいよねという話になり、ガーデン内を大幅に配置換えすることにした。

 

 

 

 

 円形のガーデンの中心、楕円形の公園には派手なプラカードを掲げたパンダと子猫と子犬のオブジェが立っている。

 公園の正面に私達が暮らす家があって、家の周囲には花畑、燻製小屋、貯蔵庫などがある。昔あった菜園は『山神の庭』通称『森』に移動した。

 

 家の裏庭を出ると広場があって、そこにはグリードアイランドのカードをゲインした『豊作の樹』『不思議ケ池』『酒生みの泉』『山神の庭』が設置してある。

 

 その奥にアトリエ、図書館、音楽堂が並んでいる。

 付近にはいくつかのプレハブや保管庫用大型コンテナなどが置いてある。

 

 中央より逆側は修行用に大きく場所を開けてある。

 

 

 んで。まずそこから『図書館』と『音楽堂』を向かって左手側の最奥に並べて設置しなおし、建物周辺に『NO MAGIC』と立札をいくつか建てて注意を促し、うっかりその近辺で魔法を使っちゃわないようお互い注意している。

 この2つの建物は掃除も普段はできるだけ魔法なしにした。

 

 

 

 それから、これも念のためなんだけど。

 万が一。

 ガーデンが何者かに襲撃されたとする。

 

 一番守りたいのは家族だ。もちろんみすみす彼女達を殺されるようなことにはならない。ガーデンには常に影が15体いるし、バジリスクのジェイドと念能力者のラルクもいる。危なければ影がジャンプで外へ逃がせる。でも、警戒は必要だよね。

 

 

 メリーさん達を守りたい。

 それからもう二度と手に入らないグリードアイランドのアイテム類も、戦いの余波で壊れてしまうのが怖い。

 

 我が家を囲む柵を作りなおして『山神の庭』『酒生みの泉』『不思議ケ池』『豊作の樹』のある広場も一緒に囲う。そして『忠誠の術』をかけた。

 守り人は私。

 

 『“サロウフィールド邸”はシークレットガーデン中央公園の正面に存在する』

 屋敷と広場を囲む柵の中を防衛圏内とする。

 と、心に強く刻みつける。お父さん達が作ってくれた屋敷を、広場を、この空間を“私の記憶”を鍵として閉じ込める。

 

 これで大丈夫。

 これで、万が一襲撃があっても家の中に逃げ込めば安全だろう。

 

 もちろんロニーを含む家族全員に場所を教えた。

 

 

 

 

 

 それから、もうひとつ。

 

 お辞儀様の復活の儀式までに、『木漏れ日の家』をガーデンへ持ってきたい。

 だって、あれはおじい様から頂いた大切な家で、私はあの魅力的なツリーハウスにべたぼれなのだ。絶対次の世界にも持っていきたいもの。

 

 

 『木漏れ日の家』は魔法族のための家で、至るところに魔法具が付いている。電気もガスも必要なくて、水道の蛇口をひねれば水が出て、排水口からいずこかへ水が捨てられ、トイレも洗面も水洗で、すべての部屋が明るく灯りが付いている。

 そのすべてが魔法。

 マジ思う。

 魔法はmagic。ミラクル。ファンタジー。

 

 その『木漏れ日の家』をどこに設置するか。

 

 

 

 HUNTER×HUNTER時代、“発”で初めてガーデンを生み出した時は、殺されたお母さんの遺体を一刻も早く取りにいきたいと思っていた。とりあえずガワだけ作ればいい、私達が安全にいられる場所が欲しいと願って作った。

 

 だからガーデンは地面があるだけの空間で、天候も時間変移もない。常に明るくて春先あたりくらいの気温が続く場所なのだ。

 昼夜の違いもなく、お日様にあたることもない。人が暮らす環境としてはあまりよろしくないのがメリーさん達に申し訳なかった。

 念獣だからそんな空間でも体調を崩さなかったんだけど、普通の人間だったら体内時計がおかしくなって体調や精神に不調をきたしたかもしれないよね。

 

 でも、ガーデン内に『山神の庭』を設置できたおかげで環境は改善できた。私達が『森』と呼んでいるそこは、ちゃんと季節が巡って太陽も星もあるし、雨も降る。台風や雪が降ることだってある。緑豊かな自然いっぱいの場所。

 メリーさん達も毎日『森』に行って散歩したり日光浴したりできるようになって喜んでいた。

 

 

 で。なんでこの話を言い出したかというと、『木漏れ日の家』はツリーハウス、生きた木の上に建った家だから。

 木の為には、ガーデン内よりは『森』に植えたほうがいい。

 

 それに『木漏れ日の家』はその名の通り、木漏れ日や星空を楽しめるようウッドデッキや天窓がたくさんあるのだ。陽の射さないガーデンでは魅力が半減しちゃう。

 『森』なら景観も綺麗だし、満天の星だって楽しめる。メリーさん達もきっと喜ぶ。

 

 

 と言うことで、『森』の中央、開拓した土地の傍に木ごと移動させることにした。

 

 これは私の力だけではうまくできない。

 『収納』は倉庫かガーデン内のどこかに移動できるだけで、『森』は私のガーデンとは別の念空間だから。私の『収納』では『森』に直接置くことができないのだ。

 ここは魔法の出番だよね。

 だからロニーにも手伝ってもらうことにした。

 

 

 ホグワーツの授業を影に任せ、私本体とロニーで『木漏れ日の家』へ行く。ロニーに秘密をばらしたことで動きやすくなった。

 

「じゃあ始めるね、ロニー」

 

「かしこまりましたご主人様」

 

 まず、私が『木漏れ日の家』の土台となっている木と、家を支える杭、階段、杭下の物置や家畜小屋、すべてに『軽量』の魔法をかけて『浮遊』させてキープ。

 

 ロニーが木の根を傷付けないよう注意しながら周囲の土を掘っていく。あっという間に根を含んだ大きな土の塊ができた。

 

 完全に根が露わになったところでロニーが『縮小呪文』で全体をぎゅっと小さくさせ、『エバネスコ』。

 さすがロニー。私はまだこんな質量のものを消失させられない。

 

 

 ガーデンへ移動して、そのまま『森』へ。

 あらかじめ穴を掘って準備していた設置予定地の上でロニーが小さくなった木とツリーハウスを出現させて『縮小呪文』を解除してゆっくり地面に下ろす。

 あとは掘り返していた『森』の土を被せて魔法薬で木に栄養を与えて土に馴染ませる。

 

 階段や杭の位置にズレがないかじゅうぶん確かめてから『軽量』と『浮遊』を解除。支柱の根元はしっかり固定させて地面を踏み固める。

 

「よし! 良い感じ。ロニーもお疲れ様」

 

「お屋敷のお引越しができてロニーも嬉しいのです」

 

 『森』に私達のふたつめの家、『木漏れ日の家』を置くことができた。

 基本的にはサロウフィールド邸に住むけど、ちょくちょく『木漏れ日の家』でも寝泊まりすればいいよね。ウッドデッキに寝袋を並べて夜空を見ながらお喋りなんてきっと物凄く楽しい。

 

 

 メリーさんと小雪はツリーハウスに大興奮だった。

 高いところが好きなラルクはみゃうみゃうとはしゃぎ、シェルは木の上の建物よりも杭の下にある家畜小屋に興味津々だった。ここは使ってなかったんだけど、どうやら家畜じゃなくてシェルの家になりそうな予感。ジェイドは木の上に住むのはあまり好きじゃないみたいで、中を見ないまま『森』の奥へ消えていった。

 

 メリーさんと小雪はさっそく自分の部屋を決めた。

 あとで全部の扉に猫ドアを付けなくちゃね。

 

 その日はウッドデッキで星を見ながら夕食を食べて騒いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今までの当主達が『木漏れ日の家』自体にかけてくれていた防衛の魔法は、移動させた『森』でもしっかり継続されているようで一安心だった。その上で『忠誠の術』ももう一度かけておいたから、ここの守りは万全だと言えるだろう。

 

 

 イギリスの“風啼きの森”のほうはどうかというと。

 屋敷にかけていたもろもろの防衛の魔法はなくなった。土地そのものに掛かっている呪文はたぶん継続しているはず。

 まあそれはどちらでも構わない。とりあえずの居場所があればいいんだもの。

 

 草原の中心にできた大きな穴は土を埋めて更地にし、ガーデンに置いてあったプレハブ小屋のひとつを代わりに置いた。そしてまた以前のように、草原を囲む柵の中すべてを防衛圏内として『忠誠の術』をかけ直す。

 

 これで私の住居ができた。

 この“風啼きの森”全体が私個人の所有地だから、その中の家が『木漏れ日の家』だろうとプレハブ小屋だろうと何の問題もない。もともと誰も入れるつもりないもの。

 

 

 

 

 

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