エリカ、転生。   作:gab

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買い物三昧と旅行と新しい修行

 

 

 さて。

 6年間の集大成、500億という超大金を手に入れた。

 

 宝くじの一等前後賞あわせて10億ってのが50セット分ですよ、奥さん。

 ってまあジェニーは0.9円換算らしいからそれよりは少しさがるけど。

 

 天空闘技場での稼ぎの残金が30億。今まで身分証がなくて口座を開設できなかったからすべて倉庫に入っている。それとあわせて530億だ。

 

 

 当初この世界で生きるためにと決めた目標はこれですべて達成した。

 やり遂げた感がすごくてちょっぴり燃え尽き症候群っぽい感じになってる。

 でも。でも。私の人生はこれからなんだ!

 

 

 これからは自由に生きようと決めたんだ。

 まず世界を見て回ろう。

 

 いずれ、もっと自分が強くなれたと思えたら、キメラアントにもハンターの一人として立ち向かうかもしれない。

 それには修行が必要だけどね。“発”もまだだし。

 

 

 今回貰った500億、これ、ばーんと使っちゃおうと思っている。

 だってハンターになればこれくらい稼げるんだもん。

 生活費が手に入ったからって安心してハンターの仕事をしないのは駄目だよ。それにまずはガーデンの充実を図りたい。

 

 そう。

 お母さんと私の6年間の努力の集大成、これはガーデンのために使うつもりだ。

 

 メリーさんやラルクはあの場所から出られない。

 GIにいた頃もホームから出られなかった。今のガーデンのほうがずっと広いから行動範囲は広がったことにはなる。でも、広いだけでまだ何にもないの。

 うちの屋敷と畑や花畑があるだけ。今回の件につかったプレハブとか。

 

 前にメリーさん達に話したように、メリーさんのアトリエや私の音楽堂とかを作ってガーデンを充実させたいんだ。

 

 

 それに、これは次からの生にも持っていけるものだ。

 だって“能力を引き継げる”んだから。

 

 次の生、生まれ変わっても“わたし”であることは決まっていること。そして念空間は私の能力だから、あの空間に入れたものもそのまま持ち越せるだろうということは想像に難くない。

 

 安全で快適な自分の領域を持っているのは、これからの生でもきっと重宝する。

 

 

 実際のところ、私は別に戦いたいわけじゃない。

 ただ、弱ければ奪われるから。

 それだけのために強くなろうとした。

 

 

 安全で快適な領域がある。倉庫には何年も生きられるほどの食料が入っている。

 楽器やゲームや本にDVD、CDに趣味の道具。時間を過ごせるものもある。

 家族もそこにいる。

 

 何かがあれば、ガーデンに逃げ込めばいい。

 

 

 でも!

 それは“いつでも逃げられるから、この世界には関わらず生きよう”ってのとは違う。

 

 そんなのただの傍観者だ。ちゃんと“生きて”いない。

 私は柳原英里佳じゃなくて、エリカ・サロウフィールドだ。

 この地に生まれた、一人の人間だ。原作とかそういうんじゃなくて、ちゃんとここで地に足をつけて生きていかなきゃ。

 

 ただのヤドカリじゃダメなんだ。それじゃ負け根性がついちゃう。

 

 “安心できる家があるから。頑張って外へ出ていこう”

 

 その気持ちが大切なんだって、すごく思う。

 

 

 

 

 それに。

 私はハンターになった。

 

 これからハンターの仕事をしていけば、これくらいの金額はわりとすぐに貯められる。

 だからハンターとして独り立ちしている者からすれば、バッテラさんが出したグリードアイランドのクリアデータの懸賞って、大した魅力がないんだよね。

 だから中途半端な実力の者ばかりが集まったってわけだ。

 

 旅行も修行も大切だけど、せっかくなれたハンターなんだもん。

 しっかり仕事も熟していきたい。頑張ればまたお金は貯められる。

 そのためにもね、あぶく銭はちゃんと使い切っておきたいのさ。

 

 

 

 ってことで天空闘技場の30億は生活費に残して、この500億をばばんと使い切っちゃおうと思うのだ。

 

 まず、今まで買えなかった大きな買い物をすることにした。

 

 

 隠れ家に行く途中にある田舎町ルドルノン。

 この近くに何年も売りに出されたままの古ぼけた大きな建物があった。

 

 建物自体はすごく大きくて天井も高い。この街に活気があったころに巨大物流センターがあった場所らしい。中は空洞で古ぼけた建物だ。

 そこを買い取り、中を綺麗に片づけてもらう。

 床も掘り返してただの土を埋めて均してもらった。

 

 そうするとカマボコ型ドームの巨大な枠だけが残った。正面のシャッターを閉めると中の様子は外からは見えない。

 理想的な場所ができた。

 

 

 今回バッテラさん達を招待した部屋は2LDK程度の狭いプレハブ住宅。

 建築屋さんでこういうものは比較的安価で売っていた。

 一般人の目の前で大きな建物を収納するわけにいかないから、こういう組み立て式のものを買うしかなかったんだよね。

 

 

 だけど、この建物の中に建ててもらえば、できあがって誰の目もなくなってから収納すればいいんだもん。

 シャッターを締め切ってさえいれば、中身が空っぽになったなんて誰にも知られることはないし。

 

 

 念願の建物群を作る環境が整ったのだ。

 

 アトリエは近代美術館とかにありそうなおしゃれな外観の建物を注文建築。

 裁縫室、美術室、ギャラリー、倉庫、もろもろアーティストメリーさんの要望も取り入れた建物になった。

 

 図書館は書籍がたくさん並べられるよう天井まで届く本棚を作りつけにしてもらった。それからビデオやDVDを閲覧できる視聴覚室も作った。

 ちょっとしたシアタールームも。

 

 音楽堂は真ん中にこじんまりと小さなホールがあって、残響とかにもこだわってもらっている。

 当然防音の練習室も何室も並べてもらった。

 

 トイレや水回りはあとではめ込むから場所だけ用意して、と言ってある。ガーデンに取り込んでからGIの設備を設置するつもり。

 電気も同じ。

 

 どの建物もうちの屋敷よりちょっと大きいけど、私のオーラも増えたから収納は余裕だろう。

 

 燻製小屋や『酒生みの泉』のお酒類の貯蔵庫も用途に合ったものを頼んだ。

 

 

 楽器も思い切って一流のものを買うことにした。

 グランドピアノのグレードの高いものを注文した。スタンウェイみたいなやつね。

 バイオリンやギターも名のある名工の作品を。

 

 バイオリンとか身長に応じたサイズがある楽器は、大人サイズのものも各種取り揃えて注文。

 弦やピックみたいな消耗品や手入れ用品も多めに購入。

 楽譜やCD、演奏会のDVDも大量に注文した。

 

 シアタールーム用に大きなモニターとスピーカーなども設置してもらった。

 DVDもレンタルビデオ店かと思うほど買いそろえる。シリーズ物はボックスで買う。

 

 

 アトリエなどの建物とは別にプレハブ小屋を買って工場内に設置して、楽器や精密機器などが届けばそこに納品してもらうことにしておく。

 

 大型コンテナをいくつか購入して、これも設置。

 

 

 私が旅行している間、管理人のオジサンを雇った。高価なものが多いから真面目で信頼できる人を土地を買った時の不動産屋の人を通じて紹介してもらった。

 

 ここに注文したものをどんどん運んでもらう。

 届いたものは種類ごとにコンテナに収納してもらう。

 

 精密機器や、扱いに注意が必要な楽器類はコンテナじゃなくてプレハブ小屋へ。

 私は荷物の受け取りやなんかを気にせず、安心して旅行に行ける。

 食料品なんかは旅の途中でも私がちょくちょく取りにいく。

 

 あとで私がぜんぶ収納すればいいから。

 コンテナもプレハブ小屋も丸ごと収納するつもり。

 

 

 ってことでいろいろ注文。

 

 この世界のお金、ジェニーは次の世界では使えない。

 だからどんな世界に行っても換金しやすい金銀のインゴットや宝石とかに変えておくのは必要だと思う。

 もちろんこの世界での生活に差し障るほどじゃない。余剰分は貯金するんじゃなくて金銀に変えようって話ね。

 

 『コインドック』があるから若干のジェニーはこれからも必要だけど、その分だけは置いておくとしてもそこまでの量はいらないもん。

 

 次の生でどんな劣悪な環境に生まれ変わるかもしれないのだから、食べ物や着るもの、換金しやすいものに変えておくのは必要だと思う。

 

 

 倉庫は時間が止まっているから、小麦やパスタや米なども大量に買っておくといいだろう。

 肉もいろいろあると嬉しい。

 燻製小屋も頼んでいるから、メリーさんが美味しいハムを作ってくれる。

 

 それに、本だ。

 いつかどこかの世界で困ったとき、この世界の知識が役に立つこともあるかもしれない。

 その時にここの字の読み方を忘れてしまっていてはだめだ。

 

 だから子供用の絵本や教科書やらあいうえお帳みたいな文字の対応表も必要になる。

 本は小説や漫画、歴史書、専門書まで幅広く買おう。

 小説や漫画は風俗や文化を知るのに必要だよね。

 

 それにさ。

 ここって英里佳時代の日本で人気だった小説や漫画、アニメ、ゲームがいろいろある。

 これからの転生先が、そのどれかになる可能性だってあるじゃん。なら資料はあるに越したことはない。

 人気の作品は買っておかなきゃ。

 

 しかもアニメ版、ノベライズ版、映画版、OVA版、ゲーム化、舞台化で微妙に設定が変わるなんてこともある。どのバージョンの世界に転生するかわからないんだから全部揃えておかなきゃだよね。

 

 もともと本やアニメは大好きだ。純粋に娯楽としても揃えたい。

 

 

 それからついでに今言うけど。これがすごく大事なこと。

 念に関する情報をしっかり纏めておくこと。念は秘匿技術だからどこにも秘伝書みたいなものがない。

 

 でも何回も転生を繰り返しているうちに、念を忘れてしまうこともあるかもしれない。

 四大行や応用技、《六性図》と水見式の系統別変化、系統ごとの特性なんかの知識、効率的な修行方法などを今のうちに自分で纏めておかなくては。

 念能力者同士の戦いのビデオも資料として申し分ない。これもどんどん集めよう。

 

 これは重大だ。サロウフィールド流念能力指南書だね。

 

 これについては今影がコツコツと進めている。

 ビデオカメラまで買って、撮影もしている。うん。記録は大事だ。

 

 

 筆記用具も必要だね。

 ノートやペンも。大量に買おう。

 パソコンとプリンターも買おう。影と手分けして作業することもあるだろうし、数台買ってもいい。

 インクは倉庫にストックすれば劣化しないのだし、買い漁ろう。

 パソコンやプリンタの故障は心配ない。だって、うちには『リサイクルルーム』があるからね。

 

 石鹸やシャンプー、リンスも。その他雑貨。トイレットペーパーも忘れちゃいけない。あ、生理用品もいるね。まだ必要ないけど。

 中世風な世界に生まれたら文化的な生活は難しいもの。

 

 公園や庭を整えるために、木材、石材、レンガや土、花壇や畑用の土やプランターも大量購入した。

 

 

 

 

 

 隠れ家にあるゲーム機を倉庫へ収納しておく。

 ゴン達に渡すのは9月だからそれまではいらないものね。

 

 私の指輪が使えないのは困るから……ええっと。別に困らないのか。倉庫から直接カードを出し入れできるから。

 でも、まあ指輪とバインダーっていうスタイルが気に入ってるからロムカードはこのままにしてもらおう。

 ガーデンの中でもバインダーってちゃんと宙に浮くんだよ。これがゲームっぽくてすごく好き。

 メモリはあと3人分あるんだからゴンとキルアの分は十分だよね。

 

 

 

 さあ、準備は完了。

 私は旅行だ!

 

 エリカ・サロウフィールド、世界を回ります!

 

 

 

 最近メリーさんやラルクとの時間の話が少ないけどさ。

 私本体は外にいる時間が増えたけど、常に影が何人もガーデンにいて、メリーさんやラルクともいつも一緒にいるから、私も家族と離れている感覚はない。

 あいかわらずべた甘に仲良しな家族だ。

 

 

 

 最初に行ったのはやっぱりまたジャポン。

 前には行けなかった場所も多かったから。

 

 ハンターライセンスがあれば飛行船も無料、ホテルの部屋も無料。

 去年の夏、ジャポンで「子供だから」と泊めてくれなかった格式の高い老舗旅館もハンターライセンスを見せれば大歓迎で泊めてくれた。

 

 今までは夜はガーデンに帰ってたけど、どこにも宿泊記録のない旅人って怪しいもんね。移動の飛行船の記録も残っているのに宿泊は野宿ってのはよくない。

 だからこれからはちゃんと泊まるつもり。

 

 「お子様お一人では……」と断られたレストランもいい席に案内してくれる。

 

 美術館や、演劇、音楽公演も大丈夫。拝観に審査がいるような神社仏閣でも奥の院まですすっと入れる。

 

 たとえ10歳だろうと、私はもう大人と同じ扱いを受けるんだ。

 嬉しい反面、背筋の伸びる感覚もする。責任ある立場なんだなってね。

 

 まだハンターとしての仕事はしてないけど、この高待遇に見合うだけの実績をつけていかなきゃ。

 ちょっと責任感が芽生えてきた。

 

 

 

 私は今後、何を狩っていくべきか。これがハンターとしての目的だものね。

 

 “ハンターたるもの何かを狩らなければいけない”

 

 ライセンス授与の時にうけた説明で一番に言われたことだ。

 

 

 会長も言ってたけど、ハンターは何をハントしてもいいんだ。

 

 遺跡ハンターか、幻獣ハンターか。

 どちらもやりがいがありそうだ。狩猟生活にも慣れたし野営もできるようになった。

 危険な場所へ行くんだから、命がけなのはわかってるよ。でもこれは夢がある。

 

 賞金首ハンターはちょっと趣味じゃない。

 ビスケみたいに宝石ハンターってほど宝石は好きじゃない。

 どちらかというと美味しいものを探して食べる美食ハンターのほうが私にはあってるよね。

 

 

 そうだ。

 私は超一流ミュージシャンだ。

 

 世界各国の津々浦々を巡って、民族音楽を調べるってどうかな?

 各地固有の楽器や楽曲を集めていくの。楽しそう。

 

 文明があがると各地の民族音楽や民俗芸能などは廃れていく。文化遺産を守るのもハンターの仕事だもの。民俗音楽の保護も、ハンターに相応しい仕事だと思う。

 

 旅はできるし、美味しいものも食べられる。知識も深まる。辺境へ行くなら魔獣や猛獣もいるから武力だって必要だ。

 旅はきっと私を強くしてくれる。新しい出会いだってある。

 

 それに私がしっかり気持ちを込めて奏でれば、聴いた相手に効果を発揮する。これは私の必殺技たりえるものだ。

 いろんな楽器と私が想いを込めやすい楽曲を探して、それを“発”に組み込むことを考えてもいいかもしれない。

 

 お金にはならなさそう(むしろ楽器購入なんかで出費がかさみそう)だけど、私がやりたいこととしては一番近いと思う。

 

 お金はハンターサイトで仕事を受ければいいんだし。もともと旅をしてるんだもん。行き先行き先でいい仕事があれば受ければいいんだ。

 他に割のいい仕事を見つければ、私にはジャンプがあるし!

 

 ああ。

 なんかやっとこの世界で生きていける気がしてきた。

 

 

 

 せっかくジャポンにいるのだから、ジャポンらしい楽器も覚えよう。

 お金はいっぱいあるから練習用と一級品と両方買えるし。

 

 三味線っていろんな種類がある。

 中棹三味線、津軽三味線、沖縄の三線。

 どれも音に違いがあって、甲乙つけがたい。

 

 外で演奏するなら津軽三味線がいいね。なんて言うの? これって日本のロックだね。極寒の大地を生きる人の強さを感じるもの。

 

 フルートの澄んだ音もいいけど、日本の篠笛の音もいいよね。感情を揺さぶられる。これは私の魂が日本人だからだろうか。

 ボーカロイドみたいな曲を弾いてもぎゅんぎゅんするんだ。

 

 琴もいいね。弦が長いから音がものすごく複雑な響きでさ。

 

 

 

 

 ジャポンで音楽三昧な毎日を送っていると、戸籍が用意できたと連絡を受け、バッテラさんの会社のあるサヘルタ合衆国へ向かう。

 

 守秘義務契約で私とバッテラさんには何の関係もないことになっているからバッテラさんと会うこともなく、彼の顧問弁護士さんの事務所へ行って必要書類をいろいろと貰った。

 

 サヘルタ合衆国の国民であることを示す国民番号とパスポート、エリカ・サロウフィールドを世帯主とした戸籍証などを渡された。

 これで私は万が一ハンターを辞めても、ハンターライセンスを誰かに奪われたとしても、ごく普通の一般人として暮らしていける。

 

 サヘルタ合衆国の国民になれた。

 この事実は重い。

 宙ぶらりんの根無し草に、帰属する社会ができたんだ。

 当然選挙権だってある。

 税金などの義務も発生するようになった。(ハンターだから免除されているけどね)

 

 

 サヘルタ合衆国のどこか風景の綺麗なところに家を買おう。

 自然がいっぱいで平和な街がいいね。多少うら寂れていても、のどかな田園が続くような優しい街を探そう。

 急ぐことはない。たくさん見て回って一番気に入ったところにすればいい。

 

 

 

 ここが自分の国なんだと感慨深くサヘルタ合衆国をぐるっと回る。

 

 ヨークシンシティに、ここがあのヨークシンシティか、と変な感動をした。

 いるわけがないのに旅団員が歩いていないかと目が探してしまう。サザンピース、ホテルベーチタクルなんて見たら映画のロケ地巡りみたいな気分で楽しんでしまった。

 

 あとでふと我に返って楽しい気持ちがしぼんでしまった。

 ……9月にはここでたくさんの人が死ぬんだった。原作どおりゴン達が無事に切り抜けられますように。

 

 

 

 北上してマーリポスという街で、いったん旅行を終えた。

 

 当面ここで滞在することにする。

 別に住みたい街が見つかったわけじゃないよ。

 

 見つかったのは新しい修行場所。

 電脳ページにあるハンター専用サイトで、神字の修行ができる場所を見つけたのだ。

 ここでしばらく神字の勉強をするつもりだ。

 

 音を使った“発”にも神字が使えるんじゃないかと考えている。

 それに、操作系の“発”から守るためのお守りも作りたい。

 

 

 

 

 神字は一つ一つの文字にそれぞれ意味があって、それを組み合わせて効果を発揮させるものだ。

 形は違うけど漢字やルーン文字みたいなものだね。

 

 たとえば照明なら、灯、明、暗、点、滅、などに該当する文字でスイッチの入り切り、明るさの調整などを命令していくわけだ。それをどの順番に書くかで効果が違っていたりとなかなか奥が深い。

 文字の数があるから覚えるのも大変だし、それに重ねると効果が増えたり、打ち消したりする組み合わせもある。

 

 一文字一文字、念を込めて書くから時間もオーラもかかる。

 

 効果を高めるため、墨や薬品を溶いて作った墨汁に自分の血を混ぜたもので書くとか、石に血を付けた彫刻刀で刻んでいくとか、色々方法がある。

 やりだすと楽しくて、日々没頭していた。もちろん念修行は欠かさないけどね。

 すごく面白い。

 

 

 これで、私の音楽系の“発”と組み合わせるお札が作れないかと考えている。

 

 

 バフは味方にだけ効いて、デバフは札を持つ者には効かない。

 私の癒しや高揚の歌は味方にだけ効いて、不協和音の衝撃は敵にしか効かない。

 そんな感じにしたいのだ。

 

 神字の師匠にも相談して、私が守りたい者にだけ私の印をつけるという方向で考えている。

 

 

 

 

 


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