エリカ、転生。   作:gab

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修行を始めよう

 

 念修行、楽器練習、戦闘訓練、それから魔法。

 やらなきゃいけないことはいっぱいある。

 

 身体能力を鍛えるにはできるだけ小さい頃から始めた方がいい。これからいっぱい修行するよ、という話をすると気遣わし気にそっと寄り添って背を撫でてくるメリーさん。「頑張りすぎじゃないですか?」とでも言いたいのかな。

 

「だいじょうぶ。私、しゅぎょーすきだもん。影もあるしだいじょうぶだよ。それに、ちゃんといっぱい遊ぶしね!」

 

 幸いなことに……と言っていいのか、私が今住んでいる家には私以外はしもべ妖精しかいない。

 

 月に1,2度、親戚のおば様が様子を見にきてくれるくらいだ。

 

 当面は影を一人家に残して、私と残りの影はすべてガーデンで生活していくと決めた。

 

 

 

 私にとって久しぶりの、メリーさん達にとってはほんの少しの間ぶりの再会の挨拶を終え、私は屋敷を出て外に立つ。

 まずこの三歳児ボディがどれくらいのことができるのかを確認しておかなくちゃね。

 

 

 まっすぐ立ち、深呼吸を繰り返し精神を落ち着ける。

 身体の中にあるオーラを感じる。

 

 念は強力な生体エネルギーだ。出産のときに母体を傷つけてしまわないよう、記憶が戻る時まで身体の奥底に封印されていたんだそうだ。

 あの部屋で担当者さんに教えてもらった。

 

 記憶が戻った今は、まだ3歳ながら問題なく使えている。

 “ガーデン”が存在しているのだから私の“発”はすでに発動している。

 

「“纏”」

 

 身体にそっとオーラを纏わせる。

 

 ボディが変わってもオーラの量は前世の最期、12歳の頃と変わっていないようだ。3歳児なのにこのオーラ。

 “能力持ち越し”マジ素晴らしい。

 3歳でこれならまだまだ伸びしろがあるってことでいいよね?

 

 

「“纏”、“絶”、“練”、“隠”、“凝”、“円”、“周”、“硬”、“堅”、“流”」

 すべて問題ない。

 

 体感三年ぶりにする行動だけど、身体ではなく精神か何かがちゃんと覚えているようだ。“流”の滑らかさとか、“堅”から“硬”に移行する速さとか、まだまだてんでダメダメだけど。

 でも、今の私は3歳だからね。

 これからの成長を思うと夢が広がりんぐですわ。

 

 “発”も。

 シークレットガーデンの中は変わりない。(ドラポケ)(ポップ)(ゲート)なども試してみたけどちゃんと使える。

 この身体がまだ幼くて動きがぎこちないけどその点はしかたないのかもしれない。

 

 

「レディ・シルヴィア」

 

 手に現れた重い金属の手触り。

 さすがに三歳児の手では演奏は無理。肺活量だって少ない。

 たとえ演奏の必要がない衝撃波を放ったとしてもそれほどの攻撃力は見込めない。

 

 すべてはこれからだ。

 でも。シルヴィアは私の大切な相棒。演奏できる年まで具現化しないなんてできないよね。

 念で具現化するものは術者の愛情によってその威力が変わる。

 これからもちょくちょく出して触れていよう。私が大きくなったら何を吹くかシルヴィアにちゃんと語っておかなきゃね。

 

「これからまたよろしくね、シルヴィア」

 

 シルヴィアの冷たいボディをそっと撫でた。

 

 

 ……あ! そうだった。

 倉庫から念具を取り出す。

 ピアスと、5つに分かれたベルト。ディアーナ師匠に貰った訓練用装備だ。

 ピアスは“オーラに負荷をかけ、オーラの総量を増やす”念具。

 ベルトは5つのパーツに分かれていて、ウエスト、両手首、両足首に肌に直接触れるようにつけるもの。“全身に負荷がかかって筋力が鍛えられる”念具。

 

 これをまたつけたい。

 特にピアスは一刻も早く付けたい。オーラの総量は攻撃力と持久力にかかわる。

 

 でも衣食住すべてをロニーに管理されている子供が、いつの間にかピアスしてたらおかしいよね。

 

 外出できるようになって、ある程度私物を持てるようになるまで待つしかないか。

 うん。子供って不便だ。

 

 とにかく、ピアスは私物を買えるようになればすぐに、ベルトはある程度身体ができてからじゃないと駄目だから10歳から、と決め、念具をもう一度倉庫へ(収納)した。

 

 

 ……と。

 倉庫の中に見慣れない本を見つけて、ん? と感じ、そして、思い出した。取り出してみる。

 

 本、だ。

 クロロの能力を奪えたわけじゃないんだけど、クロロが念能力で具現化させた、表紙に手のひらのマークのある、いかにも魔導書っぽい禍々しさに溢れた本だ。

 中を開くと、見開きに、左側に能力者の顔と名前、右側に能力の説明が載っている。

 能力を奪い、己の力として使うための、本。

 

 所有権は私にある。でも、ページに触れてオーラを込めても何も感じない。

 

 さすがに能力を奪えたわけじゃないものね。

 

 でもさ。()()()()()わけじゃないんだよ? 所有権を()()()()たんだ。

 使うたびに毎回念で生成するんだからまた新しく生み出せば使えるんだろうけど、でも次に生成した本も所有権が私のままなら、すっごく嬉しいのに。

 うーん。どうだろう。シルヴィアだって毎回新しいものが生まれる。欠けても折れても消して新しく出せばまた新品だ。同じものじゃない。

 でも、シルヴィアと私の親密度っていうか、経験値っていうか、使えば使うほどシンクロ率が上がっていくっていうか。だから毎回新しいけど、アバターは新品だけどマスクデータは当然継続しているっていうか……自分で言っててわけがわからなくなってきた。

 でも親密度ゼロどころか親密度極悪、経験値初期化、シンクロ率マイナスになっていそうじゃない? だって他人の所有物なんだもん。それでうんと苦労すればいいんだ。

 

 あの『転生の部屋』で、クロロがどうなったかも聞けばよかった。あそこにいる間は感情に制限が掛かっているからか、仲間達の心配はしても、クロロざまあできたかとかそんなことを問いかけるなんて思い付きもしなかった。

 

 所有権書き換えはきっと何某かの影響はあった、と思いたい!

 それか、クロロの制約か誓約に、“他者に奪われて取り戻せなければ能力が消える”とかあれば、すごく嬉しい。

 私を殺した奴だからね。

 

 原作漫画では、けっこう好きなキャラだったんだけど。

 原作ファンとしては、仲良くなりたかった。

 

 お母さん達は知り合いだったみたいなのに。

 うちのメリーさんの作った絶品プリンを一緒に食べるような、そんな穏やかな出会いをしたかったよ。

 もうどうしようもないことだけど。

 最後に、一泡吹かせることができただけでも、ヨシとしよう。

 

 この本、私に使い道なんてまったくないけど、まあ記念品のひとつとして残して置こう。いつか何か思いつくかもだし。ものすごい使い方ができるかもだし。

 私はまた、そのスキルハンターの本を倉庫へ収納した。

 

 

 他のアイテムもいろいろと見てみる。

 ただの紙屑になった百億ゼニーとか、記念品的なハンター証とか。

 グリードアイランドのアイテムがだいぶ没収になってしまったのは悔しいかな。

 でも、まあ、わからないでもない。

 だって安易すぎるのは担当者サマ的にNGなんだろう。

 

 私達被験者は上位者になれるとこまで頑張れって言われてるんだ。あまりに攻略が容易になりすぎるのはいつまでたっても私自身の成長にならないから、没収なんだろうなあ。

 

 だってたとえばさ、私は持ってなかったけど『縁切り鋏』を持って転生できたとする。

 この『ハリー・ポッター』の世界でさ、トム・リドルや死喰い人の写真なんて山ほど手に入る。ハリーや主要キャラと一緒にみんなで縁切り鋏を使ってざくざくやればさあ。ヴォルデモートが復活しても迷惑かからないんだよ。二度と会うことはないんだから。

 

 行動するたびに『もしもテレビ』で敵がどう動くか確認してから行動すれば失敗はないし。

 『コネクッション』に相手を座らせさえすれば何でも一度はお願いを聞いてくれる。マルフォイパパに「『トム・リドルの日記』をちょうだい」、とか、銀行のゴブリンに「ハッフルパフのカップを取ってきて」とか。

 『レンタル秘密ビデオ店』で今ヴォルデモートがどこにいるか調べたりさ。

 便利すぎるんだよ。こんなの使って生きてたら私、アイテムに頼り切って努力を忘れる。成長どころか、のび太くんになるよ?

 

 実は内心、没収されるかも、って思いながら集めた。

 むしろそっちが目立てば『◎◎の卵』や『金粉少女』や『魔女の若返り薬』なんかが目立たないから良いかなあなんて考えていたんだ。

 『卵』は一枚だけになったのはちょっと残念だけど。

 でも、『マッド博士の整形マシーン』と『ホルモンクッキー』『ウグイスキャンディー』がOKだったのが幸運だと思う。小雪とシェルも仲間になったし。

 それにもう一軒家を建てた時用に美肌温泉とかもろもろを用意していたのが没収されてないのが嬉しい。これはまたもっと先まで大事に取っておこう。

 

 グリードアイランドのゲーム本体もあるけど、これももう使えないよね? たぶん。だってアイテム没収するくらいなんだし。まあこれも記念品かな。

 

 

 

 

 さてと。

 

 今の身体はこの世で新しく生まれた別の身体で、しかもまだ3歳の幼女。

 

 幼児は体のバランスが悪いから高度な動きは無理だし足も遅いし持久力もない。

 コツは知っていてもいきなり上手に動かせるわけはない。

 前に覚えた技術を新しい身体に馴染ませていく必要がある。

 

 これから幼い身体と未成熟な精神に無理のないよう、ゆっくり進んでいこう。

 ついつい応用技までやっちゃったけど、当面は“纏”“絶”までだな。影に分担させるのももう少し先にしよう。影を消した時に集約された情報を処理するのに私の若い脳に負担がかかってしまうもの。

 

 まず運動して体力つけて、それから精神集中法の“点”も始めよう。

 前世でもまだまだ成長途中だったのだ。これからももっと強くなれるはず。

 

 

 

 よし、ランニングだ、と気合を入れてガーデンを走りはじめる。

 ラルクが嬉し気についてきた。ちょっとこの子って猫じゃなくて犬っぽいのよね。そこがまた可愛いんだけど。

 

 んで、私がもたもた走るのを追い越して、「あれ?」って顔で戻ってくる。「遅い? なんで?」って顔が可愛い。

 ごめんよ。能力持ち越してもさ、体力はまだただの三歳児なんだってば。

 

 遊んでるのかと勘違いしたシェルもとたとたともたつく脚で追いかけてきて私にじゃれつく。

 こいつ可愛いなもう。よし、遊ぶか。

 

 どうせ三歳児にろくな体力なんてないんだから。遊ぶだけで十分トレーニングだ。

 

 しばらくラルクとシェルと転がって走り回って遊んだ。

 

 

 あ。パンダと猫の像は理由を説明して、ちゃんとメリーさんに修理を頼みました。

 メリーさんは作り直すらしい。今度はパンダと子猫と子犬にするんだって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて。

 『ハリー・ポッター』の世界なわけだけど。

 

 

 ここで素晴らしいお知らせがある。

 なんと。

 HUNTER×HUNTERの世界に、『ハリー・ポッター』、ありました!

 ちゃんと持ってます! 私!

 いろいろ買い込んだ前世の私偉いぜ。

 

 

 持っててよかった『ハリー・ポッター』全7巻プラス『呪いの子』。

 買ってよかった『ハリー・ポッター』全7巻プラス『呪いの子』。

 

 残念ながら『ファンタスティック・ビースト』はHUNTER×HUNTER世界になかった。私が死んでから発売されたのだろうか。ニュート・スキャマンダー、好きだったけど詳細は覚えてないなあ。

 とにかく、忘れていることも多いから、またじっくり読み込まねば。

 

 

 この世界の魔法は怖いのが多い。

 

 この危険な世界でなんとか生きていかなくちゃ……

 

 

 

 私はこの世界でどうしたいのか、というと。

 私がどういう立ち位置なのか、今がいつなのかわからないからどうしようもないのだけどね。

 

 ヴォルデモートのことは、ちょっと憎み切れないというか。

 

 だってさあ。

 彼の人生って、同情の余地がありすぎませんか?

 

 まず生まれた時代が悪かった。

 戦争中だよね。食べるものも着るものも少ないあの時代に孤児院暮らしなんてすごくつらかったと思う。

 

 それに魔法族に理解のない孤児院だったから、彼って何度も精神科医を呼ばれたりしてたって書いてた。

 子供時代にそれはキツイ。

 

 院長も他の保母も、気味悪がってトムを愛してなかった。

 子供って周りの大人の感情に敏感だもん。院長達の態度を見れば、孤児たちはトムを排除したり虐めてもいい存在だと判断する。

 陰惨ないじめの始まりだ。子供って残酷だからエグイこともされたはず。

 

 なら、やり返す力を望んでもしかたない。そうしたら魔法使いの力が発現した。望んだのが“他者に勝つ力”なんだから発現した方向がそういうものになったのも無理はないよ。

 

 二度と攻撃する気が起きないよう、強めに反撃しちゃうのもわかるよ。もし私だって自分を守るためなら“さざなみ”吹いちゃう。泣いて土下座してしっかり私との上下関係を叩き込むまで吹き続けるよ。

 服従の呪文(物理)だよ。

 

 トムはきっと自分の味方は誰もいないって考えてたと思う。

 そりゃあもう全方向にウニみたいにトゲトゲ尖らせてたのも無理はない。

 

 「おかしい」「へんだ」「狂ってる」って言われ続けたから、「変なんじゃない、僕はトクベツだから偉いんだ」って思うことで自分の心を守ってたんじゃないかなあ。

 

 

 11歳になってやっと魔法使いだってことを知って。

 でもそれを説明に来たのがダンブルドア。

 

 本読むとさ、『彼の攻撃性に気付いた』みたいなこと言ってるんだけどね。

 トム・リドルは見知らぬ『教授(Professor)』が訪問してきたから、とうとう精神病院に収監されるって思ってたんだよ。攻撃的にもなるよ。

 

 その後、やっと魔法使いってことを信じられて。

 そしたら有頂天になるのもしかたなくない?

 やっと、やっと認められたんだもん。「トクベツ」の意味が本当にいい意味で「トクベツ」なんだって思えたから。

 

 

 入学してからも、ダンブルドアの態度はひどい。

 ダンブルドア、めっちゃ疑ってたじゃん。

 監視して、上から目線で『愛じゃよ、愛』って言うだけで、ダンブルドア自身は決してトム・リドルに気を許していなかった。

 油断しなかった。疑い続けた。そりゃあもうしつこく監視し続けた。

 

 見守る、じゃなくて、監視。

 

 もうちょっと愛してやれてたら、変わったんじゃないかなって思うんだよね。

 

 就職だって邪魔してた。

 じゃあもう悪い事するしかないじゃん。生きていくにはお金がいるんだから。

 

 疑って疑って疑って疑って、実際に殺したら「ほらご覧!」みたいな。ちょっとひどくない?

 

 

 ……まあ、何が言いたいかというと、母親がしっかり生き残って息子を愛してやるか、ダンブルドアがもっと愛情を持って接してやれば、あんな風にならなかったんじゃない? って思うかなってこと。

 

 

 彼は16歳で既にひとりの女生徒を殺している。

 

 でも。忘れちゃいけない。

 私はもっと殺している。

 

 お母さんの仇を討ったのは、7歳の時。

 7歳で二人。9歳で二人。

 そのあともハンターになってから、仕事で何人も殺している。言葉の通じるアリ達も、たくさん、殺した。

 

 もちろん、殺しを楽しみはしなかったよ。傷つけて喜んだりもしなかった。

 でも私も人殺しであることは確かだよ。

 だから。私の倫理観は、たぶん、日本で暮らしていた、あの柳原英里佳とは違うんだ。

 

 

 

 って言ってもね。別にヴォルデモートと仲良くなりたいとか、考えていないよ。

 

 だって私には絶対に守りたいものがある。大切な家族と、ガーデンだ。

 これは、誰にも奪われたくない。

 

 

 この世界には“開心術”や“真実薬”、“服従の呪文”なんていうとっても恐ろしいものがあるんだ。

 

 どれだけ守ろうとしても、どれだけ家族を愛していても。

 万が一私が奴に“服従の呪文”をかけられたら、もうそれでおしまい。

 

 このガーデンの王は彼になり、私はガーデンの維持と、彼が出入りするための扉役のため生かされる木偶になりさがる。

 メリーさんとラルクはきっと戯れにいたぶられて殺される。小雪とシェルは生きた金銀製造機として閉じ込められて飼われるだろう。

 

 安全で誰にも見つからない便利な拠点と奴隷を手に入れた彼は悠々とアズカバンからシモベ達を呼び戻す。

 

 死喰い人がここを闊歩する。

 考えただけで悍ましさに身震いする。

 

 

 そんなこと、誰にもさせない。

 

 私は、絶対にここを守り抜いて見せる。

 

 

 

 

 前回の生は短かった。

 念能力者は120年とか普通に生きていられるはずだったのに。

 なによ、享年12歳って。おのれ、クロロめ。

 

 やっぱりただの元日本人がちょっと力を貰っただけじゃ、まともに生き抜くことすらできなかったか。

 120とは言わん、せめて50か60まであのまま修行を続けてたら、もっと念のエキスパートになれてただろうに。

 

 まあ念の修行方法はちゃんと覚えている。

 これからも修行を欠かさず続けていれば、いつかもっと技の高みへ到達できるだろう。

 

 初回限定みたいだけど、能力付与が強すぎて能力マシマシになっていたらしいしね。

 

 私の世界がHUNTER×HUNTERで、メモリ量が多かったのは私的に凄くラッキーだったと思う。だって派生技が多かったとはいえあれほどの“発”を作れたんだから!

 

 

 ってかさ。

 今回は長生きしたいよね……せめて成人したい。

 

 

 

 

 

 

 ってことで、結論。

 強くなろう。

 

 “堅”でアバダケダブラ……は無理っぽい気がするけど、“周”で攻撃魔法くらい切り裂けそう。『プロテゴ』は念を纏わなくても蹴り抜けそう。そういうのも調べないとね。

 あと念プラス魔法という戦い方を工夫しなくちゃ。

 

 

 念具も魔法に対処できるのか調べなきゃ。

 

 物理&念攻撃用に右手を開けて左手に杖を持つか、(ドラポケ)で杖を自在に出し入れしながら戦うようにするか。それも訓練次第だな。

 シルヴィアや呪曲用の楽器を奏でることも考えると、ドラポケで杖を出し入れするほうがいいのか。

 

 念はこの世界の人に見えない。影やシルヴィアは具現化させているから見えてしまうけど、念弾や“隠”状態の影やシルヴィアは見えない。

 念弾は放出系の技術で特質系の私は苦手な分野だけれど、ここで戦うには念弾は鍛えるべきだ。

 

 ああ。

 影分身に魔法を使ってもらうのはいいかもしれない。後衛だから防御力が低くてもいいし。杖も殴るわけじゃないから複製でじゅうぶんだし。

 

 私が前衛。影が後衛。素晴らしいフォーメーションだ。

 いろいろ考えてみよう!

 

 

 

 

 

 ううう。

 私の状況を知りたい。

 

 しもべ妖精がいるくらいなんだから、純血で、裕福な家庭なんだろう。

 家も豪華だし。服だってレースやフリルがたっぷり。ご飯もイギリスなのに美味しい。

 

 とりあえず、魔法使いの家系に生まれたことに感謝した。

 マグル生まれなら、もしかするとホグワーツから入学許可の手紙が来るまで、ここがハリー・ポッターの世界だと気付かずに暮らしていたかもしれない。

 11歳までの貴重な8年を無駄にするところだったわけだ。

 

 まだ状況は読めてないけど、しもべ妖精がいることで気づけてよかった。

 ここがどこなのか。何と戦うのか。

 

 

 純血。

 怖いな。もしかしたら、闇陣営かもしれない。うちの家族って誰だろう?

 まだ自分のフルネームすら知らないんだもん。

 

 今っていつだろう?

 

 ハリー・ポッターの主要な時代で言えば、ハリー同世代、シリウスやスネイプと一緒の親世代、トム・リドルの爺世代、『呪いの子』の子供世代って可能性も、ニュート世代って場合もあるね。

 魔法族はおしゃれが特殊すぎて私のドレスや家具を見ても時代背景が読めない。今が何時なのかさっぱりだ。

 

 今って何年ってまだ聞けないよ。

 しもべ妖精は用事がないと姿を見せないし、おしゃべりの相手にはならない。

 

 他によく会うのは、月に1、2度顔を見にきてくれる叔母様。

 あとは叔母様の家族にたまに会うくらい。叔父様と私と同じくらいの男の子。

 今度会ったら、もう少し話を聞いてみよう。

 

 それまでは、今の私にできることをするだけだ。

 

 

 

 

 それからは、影をひとり外に残して本体の私はガーデンにほぼ入り浸り、たくさん遊んで、身体を動かして。

 念修行は、まずは【燃】の“点”や“舌”からはじめて、“纏”と“絶”を重点的に。

 

 走り込みや曲の演奏、演奏に合わせてのダンス、念修行と、幼いなりにできる範囲の活動をはじめた。

 

 能力持ち越しはだてじゃない。

 オーラ量は死んだ12歳の時のものまで既にある。

 影分身もすでに耐久性の低い者であれば15体は出せる。

 

 身体は新しく生まれたから基礎体力をつけるところからだけれど、今回の身体も優秀のようでありがたい。

 

 ガーデンにはメリーさんやラルク、小雪、シェルがいるから寂しくない。三歳児の甘えたい衝動はメリーさんがしっかり抱きしめてくれる。

 小雪も優しいお姉さんだ。

 友達はラルクとシェルがいる。

 

 修行は順調だし、けっこう幸せな子供時代を送れそうだ。

 

 

 そうそう。『超一流パイロットの卵』も温めはじめよう。今から始めたらホグワーツ入学前に孵る。

 大丈夫。『超一流ミュージシャン』でコツはわかっている。

 今度はあんなに時間はかからないよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『わたしって誰?』という疑問は、会いにきてくれたおば様の顔を見て、目星がついた。

 

「いい子にしていましたか? エリカ」

 

 煙突飛行ネットワークで暖炉から現れたおば様の顔。

 瀟洒で上品なローブを纏う、気位の高そうなブロンド美女。

 

 記憶が戻ってからあらためて見ると。一目瞭然に誰かわかった。

 

「こんにちは。おばさま」

 

 頭の中は大混乱だけど、にっこりわらって挨拶できた私を誰か褒めてほしい。

 

 シシー叔母様だ。

 ナルシッサ・マルフォイ。あの、ドラコのママ。

 

 ってことはあの叔父様はルシウス・マルフォイ? え? たまに遊ぶ男の子はドラコだったの?

 え? 待って! じゃあ私って……私の親って……ま、まさか……

 ええええええええええ

 

 

 




感想ありがとうございます。
新しい世界を楽しみだと言ってくださる方が多くて嬉しいです。
ハリー・ポッターの世界って怖い呪文が多いですよね。

※原作をHUNTER×HUNTERから、多重クロスに変更しました。アドバイスありがとうございます。

※けっこう何度も誤字報告を受けるので追記します。点、舌は誤字じゃないです。
【燃】点(テン)、舌(ゼツ)、錬(レン)、発(ハツ)
【念】纏(テン)、絶(ゼツ)、練(レン)、発(ハツ)

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