エリカ、転生。   作:gab

77 / 112
夏休み ゴブリンの剣と分霊箱の破壊

 

 

1993年 6月 夏休み

 

 休みに入り、ホグワーツから帰ってきた。レストレンジの屋敷に一旦帰った次の日には、“木漏れ日の家”へ行き、各部屋の掃除とセキュリティのチェックをすませた。

 

 

 “木漏れ日の家”は今、『忠誠の術』で守られている。守り人は私だ。

 そのため、“木漏れ日の家”をもともと知っていた人すら、家の場所を誰にも言えなくなっているし、家のすぐそばまで行ったとしても、家を見ることすらできなくなる。それが『忠誠の術』の効果だ。

 

 

 あのハロウィンの事件の時、ポッター家の守り人はピーター・ペティグリューだった。

 なぜジェームズが自分で守り人にならなかったのか?

 

 原作7巻で、グリモールド・プレイスの代わりにウィーズリー家の『隠れ穴』が不死鳥の騎士団の拠点となっていて、『忠誠の術』がかけられていた。家の持ち主であるアーサー・ウィーズリーが守り人となっている。もちろんアーサーは『隠れ穴』に住んでいる。

 

 『貝殻の家』も家主のビル・ウィーズリー本人が守り人になっている。

 

 ダンブルドアが死んだあとグリモールド・プレイスの秘密を知るものすべてが守り人になったけど、ハリー達は守り人となったあともロケットを奪うため魔法省へ忍び込むまであの屋敷で隠れて暮らしていた。

 

 つまり、『そこに住む者が守り人になれない』などということはない。

 

 

 『忠誠の術(Fidelius Charm)』の名前はラテン語のFidelis(信用、忠実)と言う意味からきている。

 秘密の守り人(Secret-Keeper)の身体に秘密を封じ込めて家を守るという魔術だ。

 

 守り人は『服従の呪文』で従わされたり、開心術や真実薬で秘密を聞き出そうとしても、秘密は漏れることがない。守り人本人の意志で、秘密を知らせなくては伝わらないのだ。

 

 この魔術のキモは、守り人の“守ろうとする意志”にかかっている。

 

 秘密を守る番人が、どれだけ忠実に秘密を守るかという強い意志が、守りの強さになる。そのため、守り人は、常に信用にたる人物だと示さなくてはいけない。鍵である番人自身が守るべき家の中に隠れていては、その忠実さを示せない。守り人はその家に住むことはできるけど、ある程度外出しなくてはいけないのだ。

 

 ポッター家の場合、ジェームズ達は家からほとんど外出していない。ジェームズは守り人足りえず、他者にその役を頼むしかなかった。

 グリモールド・プレイスが騎士団の拠点だった頃も、家主のシリウスは冤罪が晴れておらず、屋敷からほとんど外出できなかった。ゆえに、ダンブルドアが守り人となった。

 

 

 私は“木漏れ日の家”の家主だけど、学校に通っているし、買い物や外出もしている。私が“木漏れ日の家”の守り人となっても、『忠誠の術』によるこの家の守りはしっかり効果を発揮しているのだ。

 

 

 

 さて。

 今年も忙しい夏休みになりそうだ。

 “木漏れ日の家”のメンテナンスをすませ、次は、ダイアゴン横丁の仲介業者へと足を運ぶ。ゴブリンの短剣を受け取りに行くためだ。

 “木漏れ日の家”からは近くにあるニューハングローザンという町の“跳ね兎亭”の暖炉から煙突飛行ネットワークでダイアゴン横丁の“漏れ鍋”に移動できる。とても便利だ。

 

 

 

 

 

 銀色に輝く、美しい剣だった。

 

 両刃で剣身だけで35センチほどもある。思ったより長い。柄を含めると50センチ以上だ。

 このサイズでも短剣って呼ぶんだ。

 

 店主に説明を聞くと、中世の頃、街への刀剣の持ち込みが禁じられた地域が多くて、代わりに護身用に持ち込むために短剣が使われ始めたのだとか。

 隠し武器ではなく刀剣の代用品としての短剣だったのだ。

 だから使い勝手と携帯性の両方を鑑みて剣身が30センチから40センチほどの長さの短剣が当時は主流だったらしい。

 

 説明を聞きながらじっくり眺めた。

 

 

 ゴブリンが鍛えた最高級の純銀の短剣。

 

 輝く銀色の剣身は細くて薄いが、途轍もない力を感じる。

 折れず、曲がらず、錆びず、腐らず。

 剣にとって不利な効果を受け付けず、自身の殺傷力を高める力を吸収する。

 手入れいらずの最強の剣。

 

 14世紀初頭、当時のゴブリンの王ラグナック3世が拵えたものらしい。

 

 残念ながら技術が廃れてしまい、現在のゴブリンにはこのクオリティの剣は打てない。そのため、非常な高額でやり取りされている。

 

 柄頭から握り、鍔に至るまで、細やかな文様が彫られていて、柄頭にサファイアが嵌っている。

 鍔と握りの十字の中心に、宝石に囲まれた空間がある。

 

 ここには以前の持ち主の家紋が入っていたらしい。

 今はそこに何もない。

 魔法界の家紋は持ち主が手放せば消えるようになっている。家紋のある品はその家の財産である印なのだ。先方の家紋が消えますから、そこにレストレンジの家紋を入れますか? と聞かれたが、レストレンジの宝じゃないので、空白のままにしてもらっている。

 

 いつか、ヴォルデモート卿ともろもろに決着をつけたら。私の、サロウフィールドの家紋を作って入れよう。

 

 支払いはレストレンジの金庫を指定した。これが一括で買えちゃうレストレンジの資産って素晴らしい。

 

 

 

 

 

 レストレンジの屋敷には影に戻ってもらい、私はガーデンへ入る。

 

 

 ガーデンでトランクに入り、魔法練習用に補強した部屋へと入った。

 念のため、念具で部屋の周囲にも補強をしてある。

 

 レストレンジの金庫で見つけた『バジリスクの毒』はジェイドに確認したところ、問題ないと保証してくれた。100年以上経っても劣化していなかったようだ。

 

 どの程度かければ剣が強化されるんだろう? 

 悩みながらも剣身に毒をとろとろかける。

 銀色の剣身が一瞬緑色にかわり、光と共に元に戻った。

 

 これでバジリスクの毒を吸収したってことでいいのかな? 原作のグリフィンドールの剣のように強化されたと見ていいんだろうか?

 

 

 

 分霊箱と対抗するため、私は装備を整えた。

 ピアスとベルトを外す。

 

「……おお」

 

 絞られていた蛇口が開いたかのように、オーラが身体中に湧き上がる。

 ベルトが取れて身体が軽い。空も飛べそうな身軽さ。

 ディアーナ師匠ありがとう。そっと倉庫にしまった。

 

 魔力があがり、オーラ量も増えた。

 魔力が高ければ魔力抵抗も高くなる。魔障もかかりにくいはず。

 

 おばあ様二人からもらった精神干渉遮断の指輪と呪い返しのブレスレット。おじい様の形見の純銀のチョーカーによる癒しと浄化、精神干渉遮断。神字をがっつり彫り込んで作った防御の念具。グリードアイランドのアイテム『聖騎士の首飾り』もつけた。

 今できる最高の防備を施す。

 

 

 

 補強したとはいえ、ゴブリンが鍛えた剣で突き刺せばトランクも無事では済まない。

 深く突き刺せるように大岩を持ち込んで、その上に『スリザリンのロケット』を乗せて置く。

 

 

 原作では、クリーチャーもハリー達も何の保護もせずにそのままずっと持ち歩いていた。

 おそらく分霊箱は彼らから少しずつ力を吸収していたんだと思う。

 

 今回は、手に入れた瞬間からずっと魔力遮断布と封印の箱にしまい込んでいたから、原作のように力を溜めこんでいなかった。

 

 おかげで原作ほど暴れることはなかった。

 でも……

 

 

 ロケットを岩に置き、剣を構えたとたん、ロケットがぶるぶると震えてガラスを擦ったような嫌な音が鳴り響く。怒りの声か、悲鳴か。

 

 眉を顰めて冷静に対処しようと閉心術でしっかり心を閉ざす。身体は“堅”で全身を守った。

 

『ひらけ』

 

 パーセルタングで言葉を紡ぐ。ロケットの蓋がぱかりと開く。黒い煙が吹きあがりそれは人の形になる。ヴォルデモートだ。

 

『我が娘よ。我のもとへひれ伏せ。お前は俺様の娘だ。

 俺様の庇護下以外に、お前の生きる場所などあるものか』

 

『だまれ』

 

 聞いてはだめ。

 聞いたら引き込まれる。

 

 心を閉ざせ。

 

『ああ、誰にも愛されぬ哀れなエリカ。

 だが俺様は違うぞ。

 可愛いエリカ。俺様の愛しい娘よ。大切に思っているとも。

 お前を愛せるのは俺様だけだぞ』

 

『うるさい』

 

 これは私の心が見せたただの幻だ。聞いてはだめ。

 

 私を愛しているのはお前じゃない。心をしっかり保て。エリカ。

 私は、エリカ。

 私は、英里佳。

 私は、“わたし”だ!

 

 激昂すると力に取り付かれる。心を落ち着け、緑の硝子目掛けて剣を突き刺した。

 

『おまえがああああああ、殺すのかあ!! 我が娘がああ!! 親殺しめええ! おぞましいバケモノめええ』

 

「ざっけんな」

 

 うるさい、だまれ、誰が親だ。誰が娘だ。

 馬鹿にするな。

 

 さっさと死ね!

 

 暴れるロケットを剣で押さえ付けてより深く剣を刺す。大岩へ突き通すよう、力を込めた。

 

『ぎゃあああ!! 親不孝ものめえ』

 

 物理的な衝撃を伴った悲鳴が鳴り響く。

 吹き飛んだ岩の欠片が飛び散って壁にあたる鈍い音が続いた。

 無視して剣を捩じるとロケットの震えは徐々に収まり、最期にびくりと震えて静かになった。

 

 

 

 ふぅ……

 

 

 剣を取り落とし、床に倒れ込んだ。

 荒い息をつく。

 

 

 つかれた。

 

 

 影を出し、二胡で“ほむら”を奏でてもらう。すさんだ心が癒されていく。

 そうだった。

 “ほむら”も最初から奏でておくべきだったな。

 すごいな。この世界の呪いも浄化できる。ずいぶん息がしやすくなった。ああ、ついでにチョコも食べておこう。

 

 

 ……バカバカしい。

 あの幻影は、ヴォルデモートは『愛しい娘』と言った。

 あれは私を惑わす。

 

 

 原作でロンは、ハーマイオニーとハリーが抱き合っている幻を見た。ロンの心の奥底に潜む怖れを幻影として見せ、心を折ろうとしたのだ。

 

 

 あんな男に。

 

 あんな言葉をかけて欲しいだなんて、自分がほんの少しでも考えていたかもしれないって思うだけでもう……もう。

 

 未練すぎる。

 

 

 ばかじゃないだろうか。私も……まだ親の愛情を欲する、ただの13歳の少女なんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゅうぶん休んだあと、私はゴブレットと髪飾りも順に壊した。

 

 ちなみに、ゴブリンの剣を使わず、別の武器で、オーラをめいっぱい込めた“周”をして壊してみようとしたけどできなかった。気合いを込めて突き刺すと、台にした大岩が大破しただけで終わった。分霊箱は傷ひとつなかった。物理攻撃では壊せないみたいだ。

 なるほど。闇の物品は念では壊せないものがあると。エリカ覚えました。

 

 

 『スリザリンのロケット』『レイブンクローの髪飾り』『ハッフルパフのカップ』の3つはこれで破壊できた。

 

 破壊したものはそれぞれまた魔力遮断布で包んで巾着にしまう。ピアスとベルトの念具をまたつけなおす。

 よし。

 分霊箱は……あと4つ。

 ルシウス叔父様にも手紙を書いて知らせなくては。

 

 

 トランクにいるおじい様の肖像画にも報告した。

 「レギュラス叔父様の仇が討てました」とロケットを見せれば、頑張ったと褒めてくれて、ヴァルブルガが喜ぶだろうから早く見せてやれと言われた。

 

 

 ブラック本家はもう暖炉を閉じてしまっている。玄関から入るしかない。

 ロニーに付き添い姿現わしで連れていってもらう。

 

 

 ロニーを帰し、グリモールド・プレイスの11番地と13番地の間に立つ。

 この辺りはすっかり寂れてしまっていて、ブラック家の数代前のご先祖様が惚れ込んだ外観は既に見る影もなく朽ちて古ぼけた屋敷が立ち並ぶ場所となっている。

 だけど――

 私はその二つの古ぼけた建物の間に立つブラック本家の屋敷、グリモールド・プレイス12番地を惚れ惚れと見上げた。

 

 威風堂々とした美しい屋敷だ。壁にも窓ガラスにも汚れのひとつもない。

 クリーチャーが今もこの屋敷を最盛期のままに維持している。

 

 この屋敷だけが異様に真新しい。ひび割れひとつない壁も磨き上げられた硝子窓もさびれた街並みの中で異彩を放っているが、マグル避けが掛かっているため誰もその異質さに気付かない。

 

 原作のように“忠誠の術”で守られていない今は魔力ある者ならその姿が見える。

 でもそこに入れるのはブラック家に連なる者のみだ。

 

 私は埃ひとつない石段を上がり、シックな黒の扉を杖で一度叩く。カチッカチッと大きな金属音が何度か続き、扉が静かに開いた。

 

「いらっしゃいませ。エリカお嬢様」

 

「こんにちはクリーチャー。久しぶりね。変わりはない?」

 

「はい。クリスマス以来でございます、お嬢様。クリーチャーは元気にやっております。どうぞ中へお入りください」

 

「ありがとう」

 

 

 

 

 ブラック本家はヴァルブルガおばあ様が何の処理もしないまま亡くなってしまった。

 きっとそれは……おばあさまは何も言わなかったけど……おそらく、シリウス・ブラックのためだ。

 彼は家系図からは消されているけど、ブラックの財産の相続人から外されていない。

 おばあさまが『誰それへ』と指定していない屋敷や財産は、順当な相続順位に従い、シリウス・ブラックが相続している。

 

 

 原作を読めばわかる。

 『不死鳥の騎士団』の巻で、シリウス自身が「屋敷しもべ妖精はトンクスの指図には従わない」って言うくだりがある。

 クリーチャーはアンドロメダとその娘ニンファドーラ・トンクスの指図には従わない。それは家系図に名前がないからだ。そうシリウスがハリーに説明している。

 だけど、クリーチャーはシリウスのことは「ご主人様」と呼ぶし、指図にも文句を言いながらも従っている。

 シリウスの名前も、家系図から消えているのに。

 

 それが母の愛だと、なんで気付かないんだろう。

 

 気付かないだけじゃない。

 ヴァルブルガおばあ様の部屋にヒッポグリフを放し飼いして、屋敷の財宝を捨てて、マグル生まれや、マンダンガス・フレッチャーみたいな盗人まで入り込ませて。

 

 そりゃあ怒るよ。

 泣き叫んでわめき散らしたくもなるよ。

 

 肖像画は記憶でしかない。

 本人の生前の想いと記憶と知識を籠め、本人らしく振る舞うようにしている“記憶保持及び再生装置”だ。

 

 先人の知恵を自分の代で途絶えさせないため、これまで知りえた大切な知識や知恵を子孫に引き継ぎ、伝統を廃れさせないためのもの。

 死ぬ直前の状態を未来永劫、肖像画が消滅するその時まで“変わらずに”保持しておくもの、なのだ。

 

 つまり、学習はしない。変わっては意味がないから。

 肖像画をどれだけ説得しても、新しい価値観に生まれ変わりはしないのだ。

 

 

 自分の大切な住み家を荒らされれば、私だってわめき散らす自信があるよ。

 

 肖像画は最期の想いを残している。

 だから原作の中のヴァルブルガは、行方の分からぬレギュラスを想い、思想を違えグリフィンドールに入ったくせに友人を裏切って人殺しとなりアズカバンに入れられたシリウスに怒り、途絶えかけているブラック家の未来を嘆き、いつもいつもヒステリックにわめき散らしていた。

 

 でも今のヴァルブルガおばあ様の肖像画は、あの原作みたいにヒステリックに叫んだりしていない。

 私がいたもの。

 私がおばあ様を何度も訪問して彼女の孤独をやわらげた。

 レギュラス・ブラックの死の真相を伝え、レギュラスの代わりにヴォルデモートの分霊箱を壊すと宣言した。明確にヴォルデモートをレギュラスの敵と明言したから、ヴァルブルガおばあ様も過度な純血主義を多少やわらげた。

 ことあるごとに口を出す先代の老害を遠ざけた。

 

 おばあ様が亡くなっても、折に触れ本家に伺いますと約束もした。

 シリウス・ブラックが釈放されれば、おばあ様の御心に寄り添うよう話しますとも約束した。

 

 だから、最期の時を迎え肖像画となったおばあ様は、ブラック家としての自信に満ちた、厳格で美しい初老の婦人だった。

 

 そして、ブラック本家の屋敷とヴァルブルガおばあ様の肖像画を守るクリーチャーは、家事の手を一切抜かない忠義溢れる真面目な老しもべ妖精で、毎日屋敷を最高の状態で保たせることに喜びを見出している。

 

 原作のクリーチャーはヴァルブルガの狂気と、おそらくヴォルデモートの分霊箱の影響も大いに受けていただろう。その分霊箱はとうの昔に私が持っている。悪影響は全く受けていない。

 

 原作とは似ても似つかない、居心地のいい素敵な屋敷なのだ。

 

 

 

 広い階段をあがり、居間へと足を運ぶ。

 大きな肖像画が出迎えてくれた。

 

「ヴァルブルガおばあ様、エリカが参りました」

 

 厳格な笑みを浮かべる老女の絵姿に、淑女の礼をとって挨拶する。

 

「良く来ましたね、エリカ。また少し背が伸びたかしら?」

 

「そうですね。半年ですが、少し伸びたかもしれません。ブラックの女性は長身が多いと聞いてます。私もシシー叔母様みたいにすらりとした綺麗な大人になりたいですわ」

 

「そうですね。それは楽しみですわ、エリカ」

 

「おばあ様。それからクリーチャー。

 今日はご報告に参りましたの」

 

 私はローブのポケットから巾着を取り、そこから魔力遮断布のクロスに包まれたものを取り出した。二人に見えるように広げてみせる。

 『スリザリンのロケット』の残骸だ。

 どす黒く変色し、見る影もなく歪んで蓋が開いたロケットには、剣に刺し貫かれた傷跡がはっきり残っている。

 

 肖像画のおばあ様とクリーチャーが目を見開いた。

 

「まあ、これは!」

 

「お、おじょうさま。クリーチャーは信じられません。何をしても壊れなかったあのロケットが! クリーチャーは目がおかしくなってしまったのでしょうか」

 

「ゴブリンが鍛えた純銀製の短剣を手に入れましたの。

 その剣にバジリスクの毒を含ませたものはこの闇の魔法具すら壊せる武器になるそうです」

 

「では、ようやっとそれを壊せたということですのね、エリカ」

 

「はい、壊しました。報告のためにこうやってお持ちしましたが、念のためこれは私が持ち帰り、完全に燃やし尽くすつもりですわ」

 

「お優しいエリカお嬢様、ありがとうございます。クリーチャーはやっと、やっとレギュラス坊ちゃまのご命令を果たせました」

 

 クリーチャーは床に倒れ込むようにぬかづき、泣きながら礼を言った。おばあ様も感慨深げにハンカチで目を押さえた。

 

 私はひとつやり遂げられたことを嬉しく感じながら彼らを見守っていた。

 

 

 屋敷を出るまえに、私はまた二人に約束を交わす。

 

「おばあさま。また次の休みにも話をしにまいります」

 

「この屋敷へはわたくしの家族とブラック家の血族は入れます。また顔を見せに来なさい、エリカ」

 

「はい。ヴィヴィおばあさま」

 

「エリカお嬢様。ありがとうございました。クリーチャーは、クリーチャーはエリカお嬢様に感謝申し上げます」

 

「クリーチャー。また来ます。それまでこのお屋敷を守ってね。クリーチャーも身体に気を付けて」

 

「もったいないお言葉でございます。お嬢様。クリーチャーはエリカお嬢様のお越しをお待ちしております」

 

 

 

 




なんでポッター家はジェームズが自分で守り人をせずにシリウスやピーターが守り人をしなくては行けなかったのか、どこにも理由が書いていません。守り人になればその家には住めないのかと思っていたら、7巻でハリー達は普通にグリモールド・プレイスで暮らしているし、アーサーも『隠れ穴』に住んだまま守り人になっているし。ビルも同じく。

ハリー・ポッターの原作者さんって後だし設定多いし、自分で設定忘れもあるから、ほんとのことはわかりませんが、こんな感じで捏造設定。術の名が『忠誠の術』なので、守り人の忠誠を問うのかな、と想像。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。