クリスマスくらいから作り始めた初コラボ作品、温かい目で見て貰えれば幸いです。
―――――樹海。
人の背を遥かに超えている木々が広がる世界。と言っても、これは一般的に聞かれる樹海とはまた別の意味を持つ。空は暗黒に染まり果てがなく、地面から聳え立つ樹木はまるでこの世の植物とは思えない不思議な形をしていた。
これは、この世界を守護している神・・・神樹という土地神の集合体によって形成された結界、別の言い方をすれば異空間。
その不思議世界を駆け抜ける一人の少女の姿があった。赤い装束を身に纏い、少女の小柄な体躯に似つかわしくない二つの大斧を持っては、空中に漂っている巨大な怪物に怒声と共に突進していく。
この世界では四国を守護する神樹を破壊せんと結界の外から侵略してくる敵、”バーテックス”とそれを迎え撃つ御役目をもった”勇者”という存在があった。
「まだ・・・身体は動くッ」
赤い装束を持つ少女、
彼女の前に立ちはだかったのは蠍のような尾を持つバーテックスだった。長い尾を振り回しては器用にフェイントを混ぜつつ、銀のその身体を刺し貫こうとしてくる。
銀は斧を盾にしつつ、その威力のある尾の攻撃を受け流す。それでも威力を殺し切る事が出来ずに自身の腕からは出血があった。
「や、やったな・・・!!」
身に走る激痛をまるで喧嘩の小競り合いの気分で済まして、銀は奮起し、突撃を繰り返していく。
○
元々、銀のチームは銀を含めて三人いた。ちょっと抜けている所があり、トリッキーな行動をする槍使いのリーダー、
そして前衛特化のアタッカー、三ノ輪 銀。近・中・遠とバランスのとれた構成だが、何よりもこのチームは連携が取れていた。最初は苦難の連続であったが訓練、御役目、学校生活でお互いの心の内を知る事で彼女たちは結束し、辛い御役目も乗り越えることが出来ていたのだ。
だが、その日の御役目はいつもとは違った。
遠足の帰り、襲来してきた敵はなんと三体。今まで一体ずつ現れてきたが、急に数を増やしての襲来。
落ち着いていればなんら問題は無い。実際、敵が増えただけであり、鷲尾須美も乃木園子も銀自身も冷静で油断もしていなかった。
だが、バーテックスの戦法は常軌を逸したもので、その強靭な再生力を生かした強引な攻撃が三人に致命的な一撃を与えた。
須美と園子は血だらけだ。立とうとしても出血するし、地面で寝ていても血を吐いている。園子も同じくらいの負傷だった。銀だけは辛うじて、前衛に特化した装束のお蔭で防御力にその機能が振られていた為か、二人よりも軽度なダメージだった。
――――ここで奴らを食い止めなければ、神樹が破壊されて、世界が終わる・・・動けるのは、アタシ一人か。
選択などあってないような物だった。 勇者、三ノ輪 銀は覚悟を決めて地面に倒れ伏す二人にしばしの別れを告げる。
「またね」
「―――」
その場を後にしようとしたその背後で血だらけの須美が何か言おうとしていた気がした。だが、今は時間が惜しい。こうしている間にも敵は確実に神樹のいる場所へと進んでいるからだ。
○
そして、今に至る。つまり、銀はたった一人で三体のバーテックスを相手にしなければならなかった。
「うおおおおおおおッ!」
孤軍奮闘。そんな熟語を須美から説教がてらに教わった事を思い出した。ちょっとカッコいい響きだが、銀はこれよりも今の状況にしっくりくる言葉を知っている。
――――絶体絶命。
これだ。一体でも三人で対処しなければならないバーテックスを三体。しかも向こうはその強靭な生命力を生かした強引な戦い方を何度でも仕掛けてくることが出来る。
「だ と し て もッ!!」
三ノ輪 銀には守るべきものがある。この世界を、今は倒れている友を、学校のクラスメイトも、最近生まれてきた自分の弟分がいる。
銀が大斧を振るうには十分すぎる理由だ。
「痛かったんだぞ! 自分たちで・・・受けて見ろッ!!」
勇者としての身体能力をフルに生かし、敵の攻撃を最低限躱しつつ、眼前の敵に肉薄する。蠍型の尾を器用に利用し、他の二体のバーテックスにもダメージを蓄積させていく。
「お前たちはここから・・・出ていけぇぇええええ!!」
敵の表面を斧を連続で振り下ろし駆けあがっていく。一人の少女が三体のバーテックスに一進一退、否、これは押していると言ってもいい程の戦いを繰り広げていた。
・・・いける!!
銀自身もそう思った、その矢先だ。背後からの一撃に、銀は気付かなかった。激痛が全身に駆け巡る。気付いた時には自身の腹部に穴が空いていたという事実だった。
「・・・がっ、は」
背中から腹部に掛けて銀を貫いたのは敵バーテックスの光の矢。遠距離攻撃に特化したバーテックスの攻撃はもう一体の反射板のような体の一部を利用し、銀の死角から攻撃を仕掛けて来ていた。
「く・・・そっ!」
ぽっかりと穴が空いたという事実に気をまだ保ち続けるが続けざまに蠍型の尾が身動きできない銀の身体に直撃し、弾丸のようなスピードで地面へと叩きつけられる。
叩きつけられて数メートルを転がった所で銀は口から大量の血を吐いた。腹部からの出血も激しい。
三体のバーテックスは自身も大量の光の矢の攻撃を食らっていたというのに既にその傷を高速再生させていた。
卑怯だ、反則過ぎる。これがゲームであったなら速攻でカセットのリセットボタンを押していただろう。
だが無常なことにこの戦いにリセットは無いのだ。ゲームでもなければ、遊びでもない。負ければ終わり、自分にも死が訪れる。
・・・こいつらが神樹様に辿り着けば、世界が終わる。
意識が朦朧とした銀が思い浮かべたのは自分が守るべき、大切な人々。友人、家族、日常、世界。それが、壊されてしまうのを銀は否定した。否定は意識の覚醒となって銀を奮い立たせる。
「さ、させるもんか・・・」
直後、起き上がって間もない銀に蠍型の尾が襲い掛かる。地面に再び叩きつけられては、蠍の尾は何度も、何度も銀の身体を攻撃し続けた。
まるで銀の闘志をかき消すように、何度もだ。
「か・・ふっ・・」
数分による敵の一方的な攻撃が続き、蠍の尾にはおびただしい程の血が付着していた。それは全て銀の血だ。紅の勇者装束を自身の血で染め上げ、血の池を作り上げる惨状。それでもなお、銀は意識を手放していなかった。身体はとっくに限界を超えていたが。
・・・頼むよ、神樹様……アタシが動かなきゃ、誰がみんなを守るのさ!
激痛を無理に起こそうとしてもまったく反応が無い身体に銀は涙を流す。このままでは自分は大切な者たちを守る事が出来ずに、世界もなにもかもを失ってしまうという悔し涙だった。
三体のバーテックスが銀へと近づいていく。まさしくそれは銀に死が間近まで迫ってきている事を教えていた。
「須美・・園子・・・」
負傷し、気を失っている友の名を口にする。そして後で銀は付け加える。守れなくて、ごめん、と。
銀が違和感に気付いたのは死の覚悟を決めた数十秒後だった。目を閉じている間に自分が死んでしまったのではないかと自分の身体を確認するが、まだ自分は生きている。重傷ではあるがまだこの身体は動いていたのだ。
バーテックスは三体とも健在だったが、ここまで無防備な銀を攻撃しない理由が分からなかった。
「・・・・え?」
不意に発せられた銀の一言、その視線の先に目がいった。それは三体のバーテックスが進行を中断した理由となるもので。
銀の前方には巨大な背が見えた。自分や教官である大人たちも遥かに凌駕する大柄な背が。白スーツに身を包んだ大柄な体躯を持つ”男”がいた。まるで巨木、人間の腕にしてはあまりにも太すぎる、丸太のような腕、脚、胴。全てが銀がこれまで見てきた人間の体型としては初めてであった。
「・・・・・」
―――其の男の名を
この作品を作るにあたって思ったことがありました。刃牙キャラとゆゆゆキャラって結構クロスできるネタ多いんじゃないか。タグ編集してたら鷲尾須美は勇者であるの次のタグで範馬刃牙って打ち込んで見直したら一人で勝手に笑ってしまった。
なんだろう、もう高嶋、結城が愚地独歩と神心会道場で稽古するとか。
東郷さんに”強くなりたくば食らえッ”と激励するオーガさんとか。棗さんとヌンチャクで戦う列海王とか。宮本武蔵に挑発されてキレる夏凛と芽吹とか。いちいち戦闘を解説する本部さんとか
そんなこと考えてたらゆゆゆい時空とグラップラー達で一つ作品が作れる気がしてきた。一応、この作品は速めに終わらせる予定です。この作品は花山薫がメインなので。