花山薫は極道である   作:バロックス(駄犬

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――――満足した出来だとは思ってないッ むしろコレが始まりなんじゃねェかッ

 本篇はこのお話でラストです。前回と書き方が少しばかり変わってるのでご了承ください。


侠客立ち(おとこだち)

―――――たった一夜の宿を貸し

    一夜でなくなるはずの名が

 

―――――旅の博徒に助けられ 

    たった一夜の恩返し

 

―――――五臓六腑を刻まれて

    一歩も引かぬ”侠客立(おとこだ)ち”

 

―――――とうに命は枯れ果てて

    されど倒れぬ”侠客立(おとこだ)ち”

 

―――――とうに命枯れ果てて

    男一代”侠客立(おとこだ)ち”

 

 

 

 

 

 

 

 

――――侠客立ち(おとこだ)

 

 花山家当主に代々受け継がれてきたこの入れ墨の始まりは、江戸時代初期。 

 当時、豪農として知られていた花山家は、ある晩、数十の野武士に襲われる。 殺戮の限りを尽くし、存続の危機に立たされた花山家、だが、偶然その家を宿として借りていた旅の博徒が、まだ幼かった花山一族の小さな跡取り息子、花山弥吉(はなやまやきち)を連れ出した。

 

 

 博徒と弥吉以外の大人は皆惨殺される。 屋敷を飛び出した博徒ではあったが、外には武器を持った野武士で溢れていた。

 

 

 

――――無策で行けば、ただ死あるのみ。

 

 博徒は寺の鐘を弥吉に被せ、彼を入れた鐘を自分の背に背負った。

 野武士達は鐘を背負った博徒を囲み、槍や刀を用いて男に斬りかかる。 だが、博徒は微動だにせず、何十という刃の嵐に晒されながら、その場を動くことは無かった。

 

 

 やがて、博徒の全身が刃の疵で埋まり、辺りが血の池を作った朝方。

 野武士は博徒が鐘を背負い、立ったまま絶命している事に気付いたのである。

 

 彼らは元々は先の戦で滅んだ豊臣兵の残党だ。 その博徒の死に様は、見た野武士の一人に、

 

『こんな男が豊臣方にいれば、我々も盗賊に身を落とさなかっただろう』

 

 と、身も心も落ちぶれた彼らに感銘を与える程であった。

 

 

 この後、生き延びて大人になった弥吉は、当時の博徒の勇姿を讃えて詩に残し、花山家の代々当主には寺の鐘を背負った男の刺青を与えるとして、その博徒を”侠客の鏡”として後世に伝え続ける事になったのである。

 

 

 

 

 

――――そして現代。 この伝説を受け継いだ男、花山薫にとってそれは江戸時代から続く漢と漢の血の契り。 不倒の誓いなのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スゥ・・・・」

 

 大きく息を吸い込んだ花山の巨体が大きく縮んだ。 縮んだというより、身を屈ませて低い姿勢を作った、というのが正しいか。

 全身を敵の矢に貫かれても、その両目から闘志が燃え尽きる事が無い。 なお、その炎は燃え上がるかのように、熱い視線の先には有象無象の敵、バーテックス。

 

 

「・・・・・?」

 

 銀はその姿勢に既視感を覚え、その正体を考える。

 

 

(―――-なんだッッ!? ・・・投擲ッ!? ・・・跳躍ッ!? ・・・野球ッ!?)

 

 

――――否ッ、そのどちらでもなく。

 

 

 それは、まるでピストルの音という号砲を待つ、アスリートのスタートラインで行う絶対姿勢、クラウチング。

 

 

(こ・・・ッ これかァ~~~~~~~ッッッ!!?)

 

 運動会の時の記憶でやったのを思い出して、銀は漸く納得した。   

 190センチの巨体を持つ男が加速をつける為に用いた姿勢、クラウチングスタート。 その姿を見て、銀が花山の次の行動を察する。

 

(突進・・・ッッ!? エッッ 走る・・・ッッ!? あんな距離を・・・ッ!?)

 

 

 直後、その銀の予想通り、花山が踏み出す。 その一歩。

 

(歩幅―――――――――ひッッッッろッッ!!)

 

 地面を抉り、後ろの銀まで掛かる程のパワーで踏み込んだ一歩はスタート地点から推測で約2メートル。

 

 

(――――まるで全盛期のウサイン・ボルトの100メートルみたいな出だしッッ)

 

 

 旧世紀の陸上競技で世界に君臨した元チャンピオンを遥かに上回る歩幅で、大胆な加速をする花山は陸上競技の技術などまったくもって無知。 

 彼にとって、鍛える、技術を使用することに対して、こう結論付けている。

 

 

―――――鍛える事は女々しい。

 

 

 例えば、百獣の王ライオンはその肉体を鍛えるだろうか。 否、強いが故に鍛える事はしない。 生まれ持った五体を用いて狩りを行う。

 彼も、花山薫もそうなのだ。

 

 

 圧倒的強者である彼だからこそ、持ち得る矜持。

 

 

 このクラウチングスタートも、無知が故の産物。 故にオリジナル、花山だけの走り。

 大地を蹴り、花山は驚異的な歩幅でありながら、その一歩一歩で確実に加速していく。

 

「・・・・・あッッ!!」

 

 銀は気付く。 敵のバーテックスが既に次の射撃準備を整えていた。

 

(射撃準備・・・・でき、てるッ しかも・・・前みたい、複数じゃない・・ッ

恐らく・・・ッ 単発・・・・ッッ)

 

 バーテックスの上部にあったもう一つの顔がその口から光を発していた。 複数の矢を降らすのが下の大きな顔なのに対して、上の顔が繰り出す矢はたったの一本。 だが、一本に絞った故に生み出される威力は強大だ。

 

 敵も、花山の生命力に危険を感じたのだろう。 次の一撃で葬らなければ、自分たちの負けである――――と。

 

 

(間に・・・合わないッッ どうするッ!? 逃げるッ!? どこへッ!? ・・・・逃げる?)

 

 

 何故逃げる、そんな事を思い浮かべたのか。 銀は硬直した。

 

 

(アタシ、守護(まも)られてるッッ!? オカシイッ あの人に!、守護(まも)られてるッッ 違うッ アタシは―――)

 

 

 

―――勇者だ。 人々を守護る(まも)為の。

 

 

「ぐぅ、ぐ・・・・・・ッッ!!」

 

 

 身を起こそうとしただけで、銀の全身に激痛が走る。 立ち上がろうとすれば裂傷から血が溢れ、身を引き裂くような激痛がまた走る。

 

 

「だ、だけど・・・・ッッ」

 

 

 目の前で命を懸けて戦っている人が居る。

 自分と同じくらいに傷つき、絶望的な状況でも前を向き、立ち向かっている人が居る。

 

 

 そんな勇者よりも勇者している男を一人だけ戦わせる程、三ノ輪銀は薄情な女ではない。

 

(いつも須美と園子に言ってるだろアタシッッ  ・・・・勇者は気合と――――)

 

 大きく息を吸い、下腹部までため込んだソレを銀は叫んだ。

 

 

「――――-根性ォォォオオオオオオッッッ!!!!」

 

 口癖の如く二人に言っていたことを、当の本人が実行できなくてどうする。

 口にしたことも出来ないのであれば、勇者の名が廃る。

 

 

 身を立ち上がらせた銀が側に突き刺さっている自身の武器、大斧を掴むと気合の一声と共に引き抜いた。

 

「・・・・コレが人間様のッッ ・・・気合とッッ ・・・根性とッッ」

 

 大きく斧を振りかぶる。 その動作だけでも気絶するかのような激痛が銀を襲うが、彼女の覚悟は既に決まっている。

 

「魂ッってやつよォォォォォォォオオッッ!!」

 

 全身をバネの如く捻り、文字通り、全身全霊の精神で大斧の投擲。

 

 

――――放り出された大斧は大きくその身を回転させ、

 

 

 敵バーテックスの顔面へと突き刺さった。

 

 

「~~~~ッッ!!」

 

 花山が見たのは後方から飛来した大斧の攻撃で大きく態勢を崩したバーテックスの姿だった。

 直後、バーテックスの口から矢が発射される。 だが、それは花山がいる射線から大きく外れ、誰も居ない地面を穿つだけで終わった。

 

 

 バーテックスは次弾の装填へ急ぎ、口にもう一度光を溜めこむが、それはもう遅い。

 

「次があると思うか・・・?」

 

 この一瞬に賭けた花山が大跳躍を見せる。これもまた高い。 地表から十数メートル離れてるであろうその距離を飛び、バーテックスの顔面へと肉薄していた。

 

 

 拳は既に”タメ”を終えている。 9秒台を叩きだす事が可能な助走を利用しながらの一撃。

 

「いっけえええええええええッッ!!!」

 

 銀の叫びが木霊し、その声に応えるように繰り出されたその一撃がバーテックスの額部分に激突する。

 

 

 作用と反作用で来る衝撃。 だが花山は飛ばず。

 敵バーテックスだけが後方へと大きく殴り飛ばされる。 その全身を崩壊させながら、バーテックスは地面を転がった。

 

 体の各パーツが瓦解し、その身体から菱型の物体を出現させ、壁際まで転がって、物体は動くのを止める。

 直後、樹海全体が光を発し、花びらを舞い散らせてはその光で転がっている菱型を光へと変質させて消失させていった。 

 

 

「はぁ・・っ はぁ・・・・っ」

 

 静寂が流れて、束の間、肩で大きく息をした銀がバランスを崩し、地面に尻餅をつく。

 そして大の字になって空を見上げ、

 

「や、やった・・・・ッ お、おわ・・・たッ」

 

 絶望的な状況から一変、逆転して、生還。 

 銀は腕を空へと伸ばして心の中で叫ぶ。 勝ったぞ、と。

 

 

「あ、れ・・・・」

 

 突如、去来したのは眠気。 とてつもなく、大きな。

 

 

(なんで、眠気・・・ 血、流し過ぎ・・・・ 来る・・・ まさか・・・ アタシ、死・・?)

 

 

 それが極度の緊張から解放されたことによる眠気だったとは、銀は知らなかっただろう。

 糸の切れた人形のように、銀の腕は地に落ち、意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

「・・・・あ」

 

 次に目が覚めた時、樹海の中ではなく、天国だと思っていた銀が見たのは”また”樹海だった。

 

「どれくらい、寝てたんだろ・・・・アタシ」

 

 全身が軋むような痛み、だが、少し寝て立てるほどまでに回復するのはなかなか自分の頑丈さも捨てたもんじゃないと思った銀であった。

 

「そう、だ。 あの人・・・・おじさんッ」

 

 思い出した、背に刺青を持つ男。 最後に彼が一撃を与え、戦いが終わった所から銀の記憶は途切れている。

 その男を探すべく、銀は周囲を見回した。 大柄の男は見当たらない。

 

 

「・・・・ッッッ  血・・・ッ!?」

 

 銀が見つけたのは血痕。 男の者であろう血が、その道を記すように先へ先へと続いていていた。

 息を呑んで、その血の跡を追う。

 

 

「お、お礼・・・・いわな、きゃ」

 

 足を引き摺りながら銀はそう考える。 今、こうして自分が生きていられるのは彼のお蔭なのだ、と。

 だが、銀はその血の跡を追うごとに表情が徐々に変化していった。

 

 

 

 血の量が、増えている。

 

 

 

 通常の人間がこれだけの血を流して、生きていられるのだろうか。 と、銀は疑問に思った。 

 思えば、花山は銀が本来戦闘を続行していたら受けていたであろう全てを肩代わりするように受けた。 頭蓋を打ん殴られ、全身を貫かれて血を流しながらも戦ったその男が、もう事切れているのではないかと、銀に一抹の不安が過る。

 

 

「あ・・・・ッッ」

 

 数分程歩いたところで銀は漸く、大柄な男の背を見つける。

 見つけた場所は樹海の壁際だ。 こんなところまで一人で傷を負いながら、歩いてきたのかと、銀は息を呑む。

 

 

――――男は、まるで壁をじっと見つめるように、その場所に立っていた。

 

 

「そ、そんな・・・・」

 

 

 男が一体、どれくらいその場に立っていたかは分からない。 だが、おびただしい量の血だまりが男の足元にある事から、かなりの時間、男はそこに立っていたのだろう。

 

 

「う・・・あ・・っ」

 

 銀の視界が歪む。 それは後悔の涙でだ。

 勇者として、彼を守護る(まも)事が出来なかった。 前で戦うことが出来なかった。

 

「うあああああああ!!」

 

 涙の叫びが、樹海に響く。 地面に膝を着き、両手を地面に叩きつけ、銀は呟く。

 

 

「ご、ごめん・・・なさい・・・」

 

 

 何度もそう呟く。自身は勇者失格だ、と同時に思いながら。

 銀はその血にまみれた男の背を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・おい」

 

 

「・・・・ッッ!?」

 

 

 その銀の言葉への反応は遅れて返ってきた。 周囲を見渡して、銀はその声の出所を探る。

 

 

「だからよォ、 ・・・・言ったじゃねェか」

 

 その二言目にして、銀はその言葉の発信源が目の前に立っている”命尽きたと思っていた”男からのものだったということに気付いた。 

 

「”勇者が簡単に泣くようじゃ・・・・締まらねェぜ”って」

 

「お、オジサンッッ!!」

 

 銀は鼻水を垂らしながら、彼が生きていたという事実に驚喜した。

 花山は、小さく息をつきながら、

 

「・・・・カニがな」

 

「へ?」

 

 突然の節足動物の名を挙げられて、銀が思い当たるのは、花山に鋏を破壊されたあのバーテックスの事だった。

 

「壁ン外に出ていくのが見えた・・・・。 また、ここに来るのか?」

 

「あ・・・・」

 

 

 バーテックスが来るのはいつも壁の向こう側。 いつもは追い返して、敵がまた戻ってきても戦えるように樹海化が解ける瞬間まで警戒していたのを、銀は忘れていた。

 

 

「まさ、か。 ずっと一人で壁際で見張りを?」

 

「・・・・・」

 

 無言は肯定と受けった銀は驚愕する。 自分よりも遥かに重傷なのに、その身体で気を一切緩ませることなく警戒を続けるなんて常人では出来る事ではない。

 

 

敵バーテックスが戻ってくる気配はない。恐らく、樹海化ももうすぐ解けるだろう、と銀はその静けさから予測した。

 

 

(―――スゴイ人、だなァ・・・・)

 

 

 銀は心底そう思う。 

 花山は銀がずっと寝ている間、敵が再来してくることを警戒して、ずっとその場に立っていた。 寝ている銀を起こすことなく、だ。

 

 

 その優しさ、器の大きさに触れて、銀は思う。この人みたいになりたい、と。

 強さと優さを持ったこの漢のように。

 

 

――――男を、いや、自分は女だから、

 

(女を磨くッッ 磨きたいッッ この人の元でッッ)

 

 

「オジサンッッッ」

 

「やめとけ」

 

 即座の返答が、花山から返ってきた。まだ内容を一言も発していないというのに。

 だが花山は、銀が何を言おうとしてきているのか分かったのだろう。

 

 

 花山が銀に見たのは、街で見かけた若い男たちが花山を敬うような、そんな眼だ。

 喧嘩師、花山薫の名を耳にし、実際に見て、その漢を感じた者ならば、誰もが口を連ねて言う。

 

―――――あの人の元でッ 漢を磨きてェッッッ!!

 

 事実、花山組には花山のその姿に惹かれ、目指す漢の理想像を抱き、組の門を叩いてきた人間は多い。

 その若い連中と同じ眼を銀がしていたことに花山は気付いたのだ。

 

 

 だが、彼女は小学生で、この世界の勇者。

 

 こちらはヤクザ、世の日には当てられ事は許されない、所詮ははぐれ者。 酒と金と暴力、義理人情の世界に生きる闇の住民だ。

 一緒に居てはいけないのだ。 銀と花山は。 銀側の世界を把握していない花山がそれを直感的に理解して、銀の言葉を遮ったのだ。

 

 しかし、

 

「アタシ、アタシは――――強くなりたいッッ」

 

 銀は続けて、

 

「友達をッ みんなを守れるくらいにッ ・・・・オジサンみたいに強くなりたいッ」

 

 拳を握り締めて、銀は想いをぶつける。 真っ直ぐなその視線は、花山を捉えては離さない。

 炎のような熱い、花山組の若い者にも負けず劣らずといった覚悟を持っている。 十代そこらの少女が。

 

 

「・・・・・」

 

 小さく、頭を掻く。 銀の勢いは組長・花山薫の顔を動かすに十分な程だった。

 花山は恥じる。一瞬でも顔を縦に振ろうとしてしまった自分を。

 

 彼は小さく息を吐いて、 

 

 

「教える事なんざァ、なんもねェ・・・・俺はお前が思ってるほど、そんな強くもねェし、それに―――――」

 

 またしても、駄目。 銀が俯いて、気を落とす。

 だが、花山はすぐに、

 

「―――-もう、”3回”負けてる」

 

 一人は地上最強の男の血を引く範馬刃牙に。

 一人は地上最強の男、範馬勇次郎に。

 一人は空手界の神童・愚地克己に。

 

 どれも花山が認めた漢たち。 力と力の真っ向勝負故に敗れた純粋な敗北と言う名の黒星。

 

 

 銀にとって、それは意外だった。 これほどの力に溢れた男が、まさか三度も敗北を味わっている人間だと、思いもよらなかったのだ。

 花山は自分の破り捨てたスーツをまさぐると、胸ポケットの中から一枚の名刺を取り出し、銀へと投げた。

 

 

「・・・・花山組組長、花山・・・ 薫」

 

 本物だ、と、極道からの名刺をまじまじと見つめる銀に花山は続ける。

 

「こちとら喧嘩師 いつだって滾ってる ――――好きな時に来な」

 

「・・・・ッッ!!」

 

 銀が見た花山の姿に変化がある。 花山の身体が青白い光に包まれると同時に、徐々にその身体が透き通っていたのだ。

 まるでこれから消えてしまいそうな、そんな風に感じたのだ。

 

 そして銀は思う、多分この先、彼とは二度と会えないだろう、と。 そんな予感がしたのだ。

 だから、

 

「アタシは・・・・三ノ輪銀ッッ」

 

 短い時間しか残されていなかったとしても、せめて名だけは刻んでもらいたい。

 

 

「またどこかで、な ・・・・銀」

 

 血に染まった刺青の背を向けながら、花山がそう呟いたのを銀はしっかりと聞いた。

 銀は消え行く花山の背をその姿が完全に消えるまで見つめ続けた。

 

 

「花・・山、さん・・・ッッ」

 

 血だけを残して、完全に消えた花山のいた場所を見つめ、銀は涙を流していた。

 彼が一体、なんだったのか、そんな謎しか浮かばない事ばかり、だがこれだけは事実だ。

 

 

――――この日、勇者・三ノ輪銀はその命を散らす筈だった。

 

 

――――その絶望の運命を辿る筈だった命を救った、一人の侠客がいた。

 

 

「ありあたンしたァッッッ」

 

 その事実を、周りの誰もが信じてくれなくても、三ノ輪銀は夢、幻ではなく、事実であったと彼女だけは信じつづけるだろう。

 

 

―――――生涯、忘れることなく永遠に、だ。

 

 




 無事完結ッ 完結ッ 完結ッ 完結ッ 花山薫完結ッッ バロックス作品初完結作品ッ

 勢いで任せて書くにはあまりにも難しいコラボだった。 他の作品参考にしようにもこのサイト事態、範馬刃牙を題材にした作品が少なくて、一時、万策尽きかけた。

 年の初め、インフルエンザにかかりながら、執筆をつづける事は難しく、病院のベッドの上でひたすらラストのシーンを描いてました。 結局、自分なりに着地できたかな、と作った今でも考える事ばかりでした。

 でもやっぱり完結出来て良かった。その一言に尽きる。
残りはエピローグ二本が投稿されるので、そちらでも楽しんでいただければ。

短い期間でしたが、読者の皆様、ありがとうございました。

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