花山薫は極道である   作:バロックス(駄犬

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 別に●●編とか振らなくても、書き方でどっちサイドのエピローグか分かってしまう不思議。


エピローグッッッ ~花山編~

「へっほ、へっほ!」

 

 花山組構成員、田中KEN。 彼は日本庭園が美しく映える屋敷の長大な廊下を走っていた。

 慌ただしく走るKENの両手に抱きしめているのはバスケット。 その中にはバナナ、リンゴ、パイナップル、オレンジと数種類のフルーツが入っていた。

 

 障子を勢いよく開け、まるで少年のような笑みで彼はその客間へと入る。

 

「大将~~ お待ちどうでさぁ~~~!!」

 

「うるせぇぞKENッ 大将のキズに障んだろォがッッ」

 

 KENの開口一番をぶった切るように叫んだのは黒髪をオールバックでまとめた一人の男だ。

 花山組若頭・木崎は怒号を飛ばし、悪びれる様子もないKENの頭部を拳骨で殴りつける。

 

「え、オレ なんで殴られたんですか? ほら、フルーツ持ってきたんスけど」

 

「~~~~~ッッ こンのォ~~~~~ッッ」

 

 バカたれッ、と再びその間抜け頭をぶっ叩く。 彼は年齢はまだ若く、こういう風に間違いを犯しやすい性格だ。どこか抜けているか、と言った方がいいのか。 少しばかり配慮が足りないのが玉に疵だ。

 

 

「木崎・・・・」

 

 木崎の後ろで、声が聞こえる。 その声は二人の動きを止めるには十分な重圧で。

 

「大将・・・・」

 

「うるせぇ」

 

「へい」

 

 布団にて胡坐をかいていた花山に注意を受けた木崎は小さく頭を下げる。 隣にいたKENも状況を半分理解して、苦笑いしながらその場に座って果物を剥き始めた。

 

花山は現在療養中の身である。

 

 

「いやー、それにしても大将が二日前に血だらけで帰ってきた時は驚きましたよ~」

 

 リンゴの皮むきを顔の割に丁寧にこなすKEN。 ものの数十秒ほどでリンゴ一個の皮むきが完了し、花山の目の前に切り分けられたリンゴが差し出される。

 

 

「・・・・」

 

 無言でそのリンゴを受け取って、花山は巨体に似合わず遥かに小さい爪楊枝を用いてリンゴを刺しては、軽快な動作で自身の口へと運んだ。

 果実を咀嚼し、果汁を堪能する花山に木崎が口を開く。

 

 

「大将、教えてください。 どこの組の奴らにやられたんですッッ!?」

 

 目をギラつかせた花山の側近、木崎がそう言うのは理由がある。 この花山への襲撃、彼に対して恨みを持っている組の人間は多い。その強大な勢力となっている花山組を潰さんと外部と内部で手を引いている人間がいるかもしれないと、木崎は考えていたのだ。

 

「大将の目撃情報の元、すぐに敵対組織の構成員を炙り出して、潰しにかかろうと思うンですが・・・・ッ」

 

「・・・・・」

 

 言葉を発さない花山に、木崎は冷静だ。 彼は腕っぷしはあまり立たない極道だが、頭の方が良く回る。故に任された花山薫の側近、花山組の若頭と言う立ち位置。その役目を存分に果たそうとしていたのだ。

 

 

―――――そして、

 

「あのよォ木崎――――」

 

 花山の唇が重々しく動き出す。息を呑んだ木崎が聞いた言葉は、

 

 

 

 

 

「―――カニがな・・・・襲ってきた」

 

「・・・・え?」

 

(――――エッッ!? ・・・・カニッッ!?)

 

 木崎、一瞬にして混乱。

 

(カニ・・・? なんで・・・ッ カニッ? カニッ!?)

 

「そう言えば、サソリにも襲われたな・・・・」

 

(――――さ、サソリィィィィィィ~~~~~~~ッ!!?)

 

「後は・・・・あぁ、変なカオから、矢が・・・・」

 

(や、矢って・・・・アンタ・・・ッッ)

 

 

 長年彼の側近として勤めていた木崎が敵対組員とは思えないような単語の数々にひたすら困惑を極める。

 ついには痺れを切らした木崎が――――、

 

「――――大将ッッ」

 

 バンッ、と畳を叩いて、聞いた。

 

「その、”マジ”・・・ですかッッ!?」

 

「ああ・・・マジ、だ」

 

「~~~~~~~~ッッッ」

 

 腕を組みながら花山が続ける。

 

「異世界、俺が居たこの世界とは違う世界に・・・・行ってきた」

 

「イヤイヤイヤイヤイヤッッ」

 

 手をブンブンブンと振って木崎は否定する。

 

「ありえないでしょッ ンな変な話ッッ」

 

「木崎・・・・俺の記憶が正しければ・・・・」

 

「イヤイヤ大将・・・・ッッ  大将傷つけるカニとかサソリとか、イセカイとかあるワケが・・・ッ」

 

「しかしだ」

 

「イヤ・・・ッ しかしとかじゃなく  大将ッ」

 

 事情聴取、という驚異的な捜査の初歩的段階で、互いの主張(?)が対立。結局花山を襲撃した犯人の捜索は難航。 

 それでも取り敢えず木崎は世界で一番大きいとされているサソリとカニをインターネットを使って調べてくれているらしい。 ご苦労なことである。

 

 

「・・・・フゥ」

 

 

 自身が病人だという事も気に留めず、側に置いてあった煙草に火を点け盛大に吹かす。 紫煙が空に向かって放たれ、小さく風が吹いただけで煙はすぐさまどこかへ消えてしまった。

 

 

――――紫煙を吐きながら思い出すのは、一人の少女だ。

 

(三ノ輪・・・銀、って言ったか・・・・)

 

 どこまでも真っ直ぐで炎のように熱い魂を身に宿した少女は、あの怪我で無事でいられるのだろうか、と密かに気にかけていた。

 三ノ輪、と聞けば、東京にそんな名前があった気がしたので、花山はその苗字を持つ少女を探そうかと考えていたほどだ。

 

 

 下手をしたらこちらが訴えられかねないが。

 

 

「・・・・まァ」

 

 名刺も渡し、いつでも来い、と言ってしまった訳で、そんな彼女に会うまで自身もその言葉を放った責任者として、漢として生き続けるまでだ。

 それに、奇妙な事に花山は感じている。 また、あの少女に会えるのではないか、と。

 

 

 同じ世界に行く手段も、手がかりも見つからない、そんな状態なのに花山にはあの赤い勇者に会うような気がしてならないのだ。

 花山は煙草を灰皿に落として、呟く。

 

「――――互いに生きてたら、な」

 

 花山は新しく煙草に火を点け、再び紫煙を空へと吹かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――花山薫は極道である   完ッッッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――とある樹海にて。

 

 

「散歩がてらに四国に来てみれば・・・・面白ェ事になってんじゃねェかッッ」

 

 黒のカンフー服、カンフーシューズを身にまとった色黒の男が四国の樹海を駆け、蹂躙していく。

 

「バーテックスに勇者・・・・俺の闘争本能をここまで刺激する世界があるとは・・・・・ッッッ」

 

 悪魔的な、野獣的な笑みを浮かべる男が見据えるは一人の少女。

 

「何だァ・・・・”お前”も、”鬼の力”ってのを持ってるじゃねェかッッ!!」

 

 いいぜ、と言わんばかりに、男は鍛え抜かれた両の腕を広げ、構える。 その背に”鬼”を宿す者として、”(オーガ)”と呼ばれる者として。

 

「――――(オーガ)は世に二人と要らねェ ・・・・決めようじゃねェか、どっちが本物の”鬼”なのかッッ」

 

 

 

 

 

 

――――西暦2018年、四国を守る勇者と鬼の貌を持つ男の闘いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――続くッ!?

 

 




こっちのエピローグで完結、ですね。
最後のオーガさんは、もしかしたら、時間があったら書く、またしても長引きそうなスタイル。 多分オーガさんなら天の神相手でも打ん殴れますよね。

わすゆ編で頑張ったせいで、こっちはどちからというとギャグ寄りになってます。
木崎とかKENの喋り方とかかなりあやふやだったので違和感があったら申し訳ないデス。

 では、これにて最後になります。感想、意見がありましたら、よろしくお願いします。 ありがとうございました。
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