◇に漢字を入れて四字熟語を完成させなさい。
◇器◇成
坂本雄二の回答『大器晩成』
教師のコメント 正解です。特にコメントはありません。
吉井明久の回答『便器完成』
教師のコメント 下品すぎます。
黒田SIDE
「えー、おはようございます。Fクラスの担任を務めます・・・・・・」
担任らしい教師は、薄汚れた黒板に視線をやり手を伸ばそうとして……視線を皆の方に戻した。
「福原慎です。よろしくお願いします」
「チョークすら無いとは・・・・・」
「後で申請しておきますので、授業には間に合うはずです」
全員が改めて、ここが最悪の環境であることを実感していることだろう。
「皆さん全員に、卓袱台と座布団は支給されてますか?不備があれば、申し出てください」
不備という言葉に、全員がありまくりと言わんばかりに名乗り出た。
と言うか。
どこが完備されてるのかむしろ聞きたい。
「俺の座布団、綿が入ってないんですけど」
「我慢してください」
「俺の卓袱台、脚が折れてます」
「木工ボンドが支給されてるので、後で自分で直してください」
「窓が割れてて、隙間風が寒いんですけど」
「ビニール袋とセロハンテープを申請しておきますので、後で直してください」
1つ1つの質問を丁寧に応えていっているが・・・
対応が “我慢してください”か、“自分で何とかしてください”の2択のみでは、意味が無いと思うぞ。
「では必要なものがあったら、極力自分で調達する様にしてください」
「これがFクラスか……」
「そういう事です。これがこの学園の方針ですから、不満があるならしっかり勉強して来るべき試召戦争に勝ちあがってください。それでは、自己紹介をお願いします。そうですね、廊下側の人からお願いします」
とりあえず自己紹介の一部を省略。
権現が聞いた面白い所だけ抜粋しておく。
SIDE OUT
家康SIDE
このクラスは本当に面白い者が多い!!
自己紹介から、わしは笑ってしまった。
ケース1・島田殿の場合
『趣味は、吉井を殴る事です☆』
あっはっはっはっはっはっはっはげほえほ!!
それは趣味とは言わないぞ!!島田殿!!
ケース2・明久の場合
『え~っと、吉井明久です。気軽に『ダーリン』って呼んでくださいね♪』
『ダァアーーリィーン!!』
わぁっはっはっはっはっはっはうえごほごほ!!
明久も明久だが、クラスがこの冗談に載ってくるとは思わんかった!!
いやはや!!
このクラスは本当に面白いな!!
これなら、退屈しないですみそうだ!!
SIDE OUT
黒田SIDE
ま、こんな感じだった。
さて次の奴は・・・・誰かね。
ガララッ
「あの、遅れて、すいま、せん・・・・・・」
ん?
なんか、ふわふわした奴がきたな・・・・お?
「姫路?」
「姫路殿?」
「あれ、黒田君に家康君?なんでここにいるんですか?」
そう。
そこにいたのは、元同クラスの同級生、姫路瑞希だった。
抜けるような白い肌に、ふわふわとした長い髪。
自己主張の高い胸が特徴だ。
優しい性格で同クラスの頃は何度か世話になった覚えがある。
少々体が弱く、咳き込んでいる所を何度か見かけた事がある。
島田と同じく、恋する乙女との噂あり。
「テスト中の居眠りだ」
「右に同じだな」
「そうなんですか・・・」
「ちょうど好かったです。今自己紹介をしているところなので、姫路さんもお願いします」
「は、はい!あの、姫路瑞希と言います。よろしくお願いします!」
一生懸命な自己紹介だな。
あいつらしい。
「はいっ、質問です!」
「あ、はいっ。なんですか?」
「何でここにいるんですか?」
ま、傍から見れば失礼な質問だが、ほぼ全員がそう思っていた事だろうな。
姫路は容姿も人目を引くし、テストでは学年次席の学力の持ち主だ。
当然Fクラスに来る訳はなく、最高設備であるAクラスに入ってしかるべきと誰もが思うのは必然だろう。
だから、この質問をするのもある意味必然だ。
「そ、その・・・振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして・・・」
そう。
AからFまでのクラス分けは、学年末に行われる振り分け試験で決まる。
その試験は鬼のように厳しいという評判だ
その程度は、途中退席は0点扱いにされる程。
「そういえば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに」
「ああ、化学だろ?あれは難しかったな」
・・・・おいおい。
今のは、言い訳にしても酷すぎるぞ。
「俺は弟が事故に遭ったと聞いて、実力を出し切れなくて」
「黙れ1人っ子」
「前の番、彼女が寝かせてくれなくて」
「今年一番の大嘘をありがとう」
「・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・バカばかりだな。
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」
権現は、その言い訳を聞いて大爆笑してるし。
「・・・・はぁ」
カオスだ・・・・・・
「で、では今年一年よろしくお願いします!」
姫路の自己紹介も終わったか。
「き、緊張しましたぁ〜」
「・・・(すっ)」
お?明久、姫路に声をかけるようだな。
頑張れよ、明久。
「あのさ、姫」
「姫路」
坂本・・・・わざわざ今話しかけなくとも。
ほれみろ、明久が今にも泣きそうな表情に。
「は、はいっ。なんですか?ええっと・・・・」
「坂本。坂本雄二だ。これからよろしく頼む」
「あ、姫路です。よろしくお願いします」
深々と頭を下げる姫路。
あいつの性格からすれば、当然と言えば当然か。
「ところで、姫路の体調はまだ悪いのか?」
「あ、それは僕も気になる」
確かに。
姫路が試験を受けていたときの様子はお世辞にも良いとは言えなかったからな。
小生も少し気になって「よ、吉井君!?」
な、なんだ?
姫路の奴、明久の方を向いたと思ったらとんでもない声を・・・・・
・・・・・・なるほど、そういうことか。
姫路が誰かに思いを寄せている・・・・・・前に姫路と放した権現が言っていた
その姫路の思い人ってのは・・・・
明久の奴、運がいいじゃないか。
「・・・・・・・・あぁ(ポンッ)」
権現も気づいたようだな。
「え!?どうしたの姫路さん!!」
「え、えと」
「姫路、明久が不細工ですまん」
・・・・坂本が会話に割り込んだ。
それも明久への罵倒込みで。
「このバカの顔を見て、体調が余計に悪くなっただろ?このバカの友人として謝っておく」
おいおい。
「友人が言うセリフに聞こえないが?それと、会話に割り込むんじゃない」
「代表としてクラスメイトを気遣って何が問題あるか?黒田」
「代表として、ねぇ。なら、クラスメイト同士の会話くらい邪魔しないでおいてやるのも気遣いじゃないか?」
「この場合、この蛆虫野郎と姫路の優先順位を考えたら、この蛆虫野郎の事など、どうでも良く思えてな」
「ずいぶんと言うな。坂本、潰されてぇのか?」
「お前こそ、生ゴミにされたくなければ黙ってるこったな、黒田」
「「・・・・・・・・・!!」」(メンチの切り合い)
「二人とも落ち着け・・・・」(権現)
お前が、“明久の幸福の邪魔”をしようとしているのは分かっているぞ坂本・・・・・!!
「そっ、それより吉井君は不細工ではありませんよ?」
「え?」
「目もパッチリしてるし、顔のラインも細くてきれいだし、その、むしろ……」
「まあ確かに、悪くはないかもな。そういえば、俺の知人にも明久に興味がある奴が居た気がする」
明久に興味か・・・・・誰だ、そいつ?
「え?それは……」
「そっ、それって一体誰ですか!?」
明久の奴、少しうれしそうだ。
それにしても姫路の奴、ずいぶんと必死だな
「姫路、落ち着け。身体に障るぞ?しかしずいぶんと食いついたな?」
「え?そっ、それは……」
「ははっ、姫路さんも色恋沙汰には結構敏感なんだ?」
「そっその……はい。やっぱり恋をするって素敵な事だと思いますから、つい力が入ってしまって」
明久・・・・・この色恋沙汰にはお前も巻き込まれているんだぞ・・・・・
ほれ、坂本もあきれた表情をしている。
「ねえ雄二、話の続き聞かせてよ?」
「え?ああ、そうだな。確か、久保・・・・利光だったか?」
「・・・・・・・」
久保利光 性別(♂/オス)
現在Aクラス所属 学年次席
「おい明久、さめざめと泣くな」
「しょうがないだろう、よりにもよって男だぞ?小生だったら気絶している」
「明久、泣くな。明日があるさ」(権現)
「・・・・まあ、しょうがないと言えばしょうがないか」
パンパン!
「はいはい。そこの人たち、静かに」
バキィッ!パラパラパラ・・・・・
「してください・・・・・・・ね?」
「・・・・・・」
叩いただけで、屑と貸す教卓とは・・・・
「ちょっと替えを持ってきます」
「どんだけ酷い設備なんだよ!?」
「これがFクラスです」
・・・・・・改めて設備のひどさを理解させられるな。
「自習をしていてください。それでは」
福原先生が出て行ったな。
替えの教卓は、もう少しまともな物を持って来てもらいたいな。
「あは、あはは・・・・」
姫路も苦笑いしか出来ないようだな。
「・・・・・・雄二、ちょっといいかな」
ん?
「ん?なんだ?」
「ここじゃ話しにくいから、廊下で」
「別にかまわんが?」
「どうした、明久」
ま、見当はついているが。
「官兵衛。・・・ちょっときてくれる?」
「おう」
立ち上がって廊下へ行く明久の後へ続く。
「・・・んで、話って?」
HR中だから人もいないか。
「雄二。僕、このFクラスの設備を見て思ったんだ」
「何をだ?」
「そうだ、試召戦争をしよう・・・・ってね」
「どこのCMだよ・・・・・」
相変わらずの奴だ。
「ほう・・・何故だ?」
「この教室の設備、あんまりにも酷いからね。Aクラスの設備を奪ってやろうかと思って」
「嘘をつくな、勉強をするのが・・・」
「姫路のためか?明久」
「うえっ!?か、官兵衛!?」
ま、だろうな。
明久の事だ、姫路のためにAクラスの設備を獲得しようと思ったのだろう。
根の優しい明久の考えそうな事だ
「な、なんで!?」
「小生はお前の親友だぞ?お前の考えそうな事ぐらいは分かる」
「・・・官兵衛は凄いね」
凄くはないがな。
「まぁいい、俺自身Aクラス相手に試召戦争を仕掛けてやろうと思っていた所だ」
「ほう?勝算でもあるのか?坂本」
「あぁ。十分すぎる程にな」
というか・・・・・こいつがこんなことを言う時に、考えが無かった試しは無いか。
なら、もうこの話に乗らない手は無いな。
ガララッ!!
「話は聞かせてもらったぞ!!官兵衛、雄二、明久!!」
この声は・・・・
「権現」「徳川?」「家康!!」
権現が戸を開け放ち立っていた。
「明久!!そこまで姫路の事を心配していたとは!!わしは感動したぞ!!」
「家康!!」
「わしも協力させてくれ!!微力ながらも力になろう!!」
「微力!?そんな事無いよ!!家康がいれば百人力だ!!それに、官兵衛も、雄二もいる!!」
ザッ!!
「この四人が揃ったらできない事なんて無いさ!!」
「ちゃっかり自分も含めるな、このバカ」
「官兵衛っ!!雄二が酷い!!」
坂本・・・・・・
「だが、明久も相当の力を秘めているぞ」
「俺はそうは思わんが?」
坂本・・・・・・
「ま、何はともあれだ。小生達がAクラス戦の鍵になるのは間違いないだろう」
この四人には、何か光る物を感じるしな。
さて、そろそろ戻るとするか。
まだ自己紹介する奴が残っているからな。
さて、遂に坂本の番だな。
「坂本君、キミが自己紹介最後の一人ですよ」
「了解」
先生に呼ばれて坂本が席を立った。
ゆっくりと教壇に歩み寄る堂々とした姿。
先程までのふざけた雰囲気はないな。
「坂本君はFクラスの代表でしたよね?」
福原先生に言われ、頷く坂本。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。俺の事は代表でも坂本でも、好きなように呼んでくれ。さて、皆にひとつ聞きたい」
坂本が、ゆっくりと視線をFクラスの設備に移す。
「Aクラスは冷暖房完備の上、座席はリクライニングシートらしいが・・・不満は無いか?」
『『『『『『『『『『大ありじゃぁっ!!』』』』』』』』』』
だろうな。
小生はどうでも良いが。
「だろう?俺だってこの現状は大いに不満だ。代表として問題意識を抱いている」
『そうだそうだ!』
『いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ!改善を要求する!』
『そもそもAクラスだって同じ学費だろ?あまりに差が大きすぎる!』
ずいぶんと意見が出るな。
というか、Fクラスの大半(小生と権現と姫路を除く)が自業自得でここに来ているんだろう?(明久の考えに反発している訳ではないぞ!!)
「みんなの意見は尤もだ。そこでこれは代表としての提案だが—————」
坂本が真っすぐ小生達を見た。
始まるな。
「—————俺たちFクラスはAクラスに試召戦争を仕掛けようと思う」
さて、坂本。お前の手腕を見せてもらおうか。