Fate/Table Talk 偽史夢幻奇島ニライカナイ ~虚光のタウミエル~   作:珈琲菓子

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プレイヤーさんが探索判定に成功したので寄り道です
と言っても、アーデルハイトについての情報を得る程度
キャラクターのRP補助に使う話

短いんで裏側の話と抱き合わせ


09 導き & ≪裏側④≫ Faith

「さて、と…こっちには何もないっぽいのう」

四方八方、周囲をくまなく見回す

 

「なんか有ったかの? ランサー」

「…いや、特になんもねぇな」

振り向いてライダーに向かって首を横に振る

 

宝具により、数秒も掛からず海岸へ到着した2騎

キャスターの懸念に反し、津波どころか異常の類は見当たらない

 

「(被害は無し…、予兆も無さそうじゃな…)」

 

津波までののタイムラグもあるかもしれないが、今の所、水平線のも至って穏やかである

 

「こっちは外れのようじゃなあ… となると、今度は向こう側の方にいってみようかの」

「それじゃあさっさと確認しに行こうぜ」

 

 

≪探索判定≫

・【騎】→成功

・【槍】→失敗

 

 

目に映る遠くの海岸を目指し、再び宝具で飛び立とうとした時のことだった

ライダーは眼下の光景に違和感を覚えた

 

「む」

「どうした?」

 

長い海岸を隔てるように流れる河川

その岸辺に、僅かな魔力の残滓を感じた

 

「いや、何というか…微かに魔力…の反応が…」

「魔力…?」

 

サーヴァントのような強大なモノとは正反対の、今にも消え果てそうな微弱な流れ

集中しなければ見逃してしまうレベルだ

 

「…どっかの魔術師当たりがなんかやったのか?」

「うーむ、分からん」

 

感覚からして、脅威となる可能性は低い

しかし、

 

「(どうにも弱っちいのう… しかし気付いた以上、調べてみるべきじゃろうなあ)」

 

異常は異常である

2騎は僅かな魔力反応の正体を確認すべく、河川へと移動した

 

 

 

 

穏やかな流水が絶え間なく流れている

 

遠い山岳地帯から広大な海原へと続くその様は、自然のサイクルならではの美しさを感じさせる

 

最も、河岸に、巨大な消えかけの”陣”が描かれていなければの話だが

 

何らかの魔術に用いたと思われる、怪しげな模様文字の羅列

見る分には、微かな魔力の痕跡を感じるのみで、何かが起こるといった事は無さそうだ

既に使用済みの物であることは確かだろう

 

一体、何の用途の陣なのか、想像に難しくは無い

 

「これは…アレじゃな?カルデアに有った奴と似ておる…

 英霊を召喚するためのサークルって奴じゃな」

「あぁ、もう使い終わってカスみたいなもんだが」

 

「(…召喚された奴が、この近辺に潜んでなければ良いのじゃが)」

 

 

≪探索判定≫

【騎】→成功

【槍】→成功

 

 

周囲に何者かの気配は無い

気配遮断を持つアサシンが脱落した今、不意打ちの可能性は低い

 

そうして辺りの探索を続けていると

目立つ魔法陣の周囲に、ゴミのように散乱する紙片に目が止まる

 

ボロボロの紙切れは、本か何かの切れ端か

まるでワザと散らかしたかのような荒れ様だった

 

「む?」

紙切れを拾い集める

何かの図の破片や、文章の断片だ

 

「まるっきりゴミ…、ってわけでもねぇみたいだな…」

「繋ぎ合わせとる暇は無いのう、見れるものだけ集めるかいの」

「そうだな」

 

集めた紙片の中で、正確に内容が読み取れる物は少なく、後は汚れたり破れたりと、酷い有様だった

 

 

 

≪紙切れ①≫

 

『――――触媒については添付資料を参照、陣の配置ポイントの詳細を示す

 ≪場所≫    ≪詳細座標≫

 ・東海岸   838a 8393 8365 838c 8393

 ・西海岸   8354 8393 835e

 ・森林部   957a 9373 9550

 ・草原部   8cf9 9148

 ・河川部   89d4 8968 

 ・裏山道   8368 8344 8374 835e 836e   

 ・本館    8368 8393 8145 834c 837a 815b 8365 』 

 

薄汚れた紙の上に、謎の数字とアルファベットによるコードが乱立している

 

「…これは…、ずいぶん細かく座標を設定して配置していたようじゃな」

「ここ以外にも、陣はあるって事か」

 

目を引くのは”7つの場所”

思い起こされる、今まで通過した戦いの軌跡

 

草原のセイバー

森林のアサシン、そしてキャスター

今までサーヴァントと戦った場所と重なっている

 

河川部が現在地なのだろうが、周辺にはサーヴァントの気配は無い

しかし、陣がある以上、この場所で召喚された者がいるのだろう

 

7つの場所に、7騎のサーヴァント

出会った者達を除くと、残るはバーサーカーと、アーチャーの2騎

既に敗北していなければ、必ずこの島のどこかに存在する

 

「ふむ、東の海岸がさっき見た場所として…反対側の方角にもあるらしい海岸にもう一騎と」

「セイバーが落ち、アサシンが落ち、キャスターと同盟を組んで……残り二騎か」

「アーチャーとバーサーカーじゃな」

「まぁ、必ずしも座標に居るとは限らねぇが」

「うむ、少なくとも移動はするじゃろうしのう」

「7か所の召喚陣で7騎を呼ぶ…

 こんな紙切れ作って丁寧にお知らせまでするたぁ……殺し合うにしちゃあ、随分と協力的だな」

「作為的なモノを感じるわい…儂等が来たのも、やはりそういう事かもしれんのう」

「俺達も、この召喚陣で呼ばれたってか… だが、ソレだと座標が合わねぇ…どういう事だ?」

「まあ、それについては一旦後回しで良いかの」

 

 

≪紙切れ②≫

 

『 ≪参加のしおり≫

  日時:2003年12月24日 AM 2:00

 

  場所:A班→東海岸 D班→草原部 G班→本館

     B班→西海岸 E班→河川部

     C班→森林部 F班→裏山道

 

 持ち物:触媒、陣設計図

    ※触媒は前日に班長が受け取りに来てください

 

 注意事項

  ・時間も時間ですので、寝坊等、遅刻しないよう気を付けて下さい

  ・召喚成功時、連絡を怠らないこと

  ・サーヴァントへの無礼な態度が無いよう、敬意を持って接する事

  ・正々堂々戦いましょう

  

  以上                              』

 

 

「………ガキの遠足みたいなもんだったのか? 今回の聖杯戦争は…」

「主催者はそのつもりだったのやもしれぬなあ… 見通しが甘いと言わざるを得んのう」

 

紙切れは、学校の遠足でよくあるような”参加のしおり”だった

そして、本来レイシフト予定だった年代

古い時代の物では無い事も、重要な手掛かりである事も理解できる

 

”召喚”、”サーヴァント”と、不穏な単語が記述されている以上、事前の情報と照らし合わせるに、本来マスターと共にレイシフトする筈だった時代に2騎達だけ招かれたのだ

 

「して、この年代は…まあわかりやすくて助かるわい」

「…確か俺らが行く予定だった時代だっけか?」

「うむ、来る前のミーティングで聞いていた通りじゃ

 しかしこうなってくるとマスターやマシュ嬢が来なかったのは良かったやら悪かったやら…」

「まぁ、下手に巻き込まれてヤバいことになんなかったのは、不幸中の幸いってか」

「カルデアの方には何も無いといいんじゃが…」

 

文明社会と手つかずの自然が入り混じった謎の孤島に訪れてから数時間

2騎のサーヴァントを失ったカルデアの状況は気になる所だった

 

「しかしまあ、わざわざ何を狙っておったんじゃろうな…? 聖杯戦争の準備をしておきながら、指揮はせずに令呪を儂等に与えて…」

「…実はこれをやろうとした奴らが、すげぇ大事な部分でミスって偶々起きたとかだったりしてな」

「そうだったら間抜けな話じゃのう」

「だよなぁ…」

 

特異点発生の切っ掛けとなった、聖杯戦争

英霊を呼び出す”触媒”を管理する存在

召喚者と思しき、班長と呼ばれる者達

 

複数の存在が、徒党を組んでいるのは明白

これでは、本当に聖杯”戦争”なのかも怪しい所だ

 

マスターがサーヴァントと契約を交わし、争い合うのが聖杯戦争

だが、今回召喚されたどのサーヴァントにもマスターは存在していない

 

しおりの文面を読めば、召喚者が居る前提の話で書いてある

人間自体は村人達が居たが、関わりは無いだろう

そもそも、魔力の流れを辿れるキャスターが気付かない筈がない

 

そして同時に、彼女は契約についても言及していた

魔力供給のパスは土地に繋がっている、と

 

何故か?

 

魔力量の問題などで、供給先をマスターとは別にするケースもある

そういった都合で、最初から土地に繋ぐつもりだったのか?

 

それでは、令呪まで明け渡す意味は無い

令呪とは安全装置であり、制御装置だ

幾ら孤島の中とは言え、7騎のサーヴァントが好き勝手に暴れるとなれば被害は甚大

 

召喚者である7人の班長は、一体何を行ったのか?

目的は? 何処へ消えたのか?

この場の手掛かりだけでは何も掴めない

 

「ここだけで分かるのはこんなところかのう…」

「正直わけわからんってことが分かったな」

「じゃなあ まあ…情報が入っただけよしとするべきじゃの」

「こっち側にはもう何もなさそうじゃな、向こうの海岸に向かうとしようかの」

「応、頼んだぜ」

 

聖杯戦争の裏側

召喚者達の本当の目的

孤島に潜む、残りのサーヴァント

 

隠された全てを暴くため、再び動き出した

 

 

 

 

 

 

≪裏側④≫ Faith

 

 

『あーアレ、私が作った奴じゃん、しおりとか座標の一覧

 んだよ大した動きでもなんでも無いじゃん CM明けたよ、ホラ』

「そんな物は無い」

 

書の廻廊でモニタリングと自問自答は続く

 

『で、話の続きだけど』

「私が呼ばれた理由についての予想、だったか」

『そうそう』

 

まぁ、聞いてくれたまえ、と謎の尊大さが続き

静寂に数秒の間が訪れ

 

『ヘロドトス、って居るじゃん? 紀元前…、まぁ昔の人』

「あぁ、古代ギリシャの人物だな 歴史学の父とも言われている」

 

 

 

『アンタの真名だろ』

 

 

 

『―――って、最初は思った』

「残念ながら外れだ、私はヘロドトスでは無い」

『だろうね』

残念でも無いと言った風に語る

 

『そう、だからこそ…―――アンタの真名は、”トゥキディデス”だ

 …そうだろう? 自称セイヴァー』

「あぁ、その通りだ」

『いまいち盛り上がらねーなぁ…』

 

肉体を共有しているのだ

真名の一つや二つ、見破られる事もある

彼女の起源が”観る”ことなのであれば、尚更の事だ

 

「で、それだけか? まさか、真名を当てただけで終わりではないだろう」

『うん、全てを解明する程じゃないけど、アンタの真名は、ちょっとしたヒントになった』

「ヒント、か」

何か掴めると良いのだが

 

『アンタを観ていて気付いたんだが、私とアンタは似てるんだよ』

「心外だな」

『うるせぇ …根拠としては、役割だ』

「”観測”か」

『うん、アンタはこの世界で起きた事を観測し、星の歴史として記す記録者だ

 聖杯戦争に呼ばれるような英霊や、掃除屋の守護者ともまた違う、裏方の存在…』

 

『私もね、物心ついた時から観てきたよ 世の中の色んな事、人、物、歴史…』

「…」

『でさ、私ね、覚えてるんだ…私の先祖の記憶、爺さんの爺さんとか、名前しか知らない様な奴等の記憶がね…

 朧げだけど、頭ん中にあるんだよ』

「特異な一族だ…起源だけでなく、記憶の引き継ぎも行われるとは」

 

その体質は読めなかった

読み取れない記憶の裏に、彼女にはまだ、何かを抱えているのか

 

『薄気味悪いけどねぇ、悪い事ばっかじゃないよ

 経験の積み重ねみたいなもんだし、役立つ事だってあった』

「君個人で、一族の記憶を内包している、と…?」

『そう 私を含め、一族が見てきた時間が、私と言う歴史書ってわけ』

「君の言いたい事は理解できた、根拠としては有りうる」

『うん、つまり、アンタの触媒は”私自身”…

 冬木の聖杯を参考にしたとは言え、散々システムは弄ってきたからね

 意図しない不具合が色々起きちゃうのも否めないよ』

 

具体的な触媒が無くとも、サーヴァントの召喚は可能だ

その場合、召喚者に所縁のある者や、性格・趣味嗜好が似通った者が聖杯によって自動的に選ばれる

現時間軸における、冬木第4次聖杯戦争のキャスターが良い例だろう

 

観測を起源とする一族

観測を業務とする私

 

観るだけで何も出来ない一族

観るだけで何も介入しない私

 

同類か、縁か

陳腐な言葉だが、召喚された理由としては納得するしかない

彼女の特異な性質と、この状況こそが、私を引き寄せたのだ

 

『てかさぁ… この聖杯戦争が終わって、アンタが座に帰るとなると、私ってどうなるのかな?

 自我はこうして、きちんと有るけど、肉体はアンタが使ってるわけじゃん』

「さてな…元に戻るかもしれないし、戻らないかもしれない

 仮に戻れたとしても、肉体の機能に支障が出る可能性もある」

過去に事例が無い以上、どうなるか見当もつかない

 

『おいおい、勘弁してよ…何のためにここまでやってきたと思ってんだ

 このままじゃ、何も成せずに無駄死にじゃねーか』

「…そう言えば、自らの起源を修正するのが目的だったな」

『うん、聖杯なら出来んじゃねーかなって』

「伝承にある、万能の願望器ならば可能だろう

 …紛い物の儀式で作り上げた聖杯が役立つかは判断しかねる」

『まぁ、基本的には同じなんだし、ご先祖様の遺した資料を信用したまでよ』

「起源による精度の高い物とは言え、よく一から創ろうと思ったな」

『確信が有ったからね…一族の名も革新を現しているだけにね!』

「フリューゲリンク…ドイツ語でFlügel(翼)と、link(左)…つまりは日本語で左翼か」

…何故日本語なんだ

名前から出身はドイツだろう

 

『この国の事は、Dr.ブライトが教えてくれたんだ

 色々面倒も見てもらったけど、今回は悪い事しちゃったなぁ…』

「Dr.ブライト……君が言っていた協力者の事だな…、死亡したのではなかったのか?」

『肉体的にはね…まぁ基本的に死なないから、大丈夫かな、多分』

「…良く分からん」

 

死んだのに、死んでいないとはどういう事なのか

説明を待たなければ、理解できないというのがもどかしい

通常ならば、記憶を読み取れば済む物を

 

憑依による弊害なのか、彼女自身の事情が有るのか、いまいち彼女の記憶、というか情報が辿りにくい

何かに妨害されているような感覚が有る気がするが、それもよく分からない

 

この状況を理解するため、必要な事

自らの役目を果たすため、すべき事は…?

 

らしくない思考に逆らい、観測と記録を続ける

何があろうとも、不偏の歴史を紡ぐ

 

ソレこそが、ただ一つ

私に許された使命なのだ

 

 

 

 

 

 

その崇高な使命が”とある存在”によって、完膚なきまでに妨害されたのは、それから暫くしての事だった

 

 

 




救世主(Saver)かと思ったか、ただの記録者(Saver)だよ
という一発ネタ

こっから広げて考え付いたのがこのシナリオ
ネタを活かせているかは微妙

居る意味? あるよ勿論
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