Fate/Table Talk 偽史夢幻奇島ニライカナイ ~虚光のタウミエル~ 作:珈琲菓子
宝具対抗勝負からスタート
≪宝具対抗≫
【騎】
・スキル使用:『善悪判断(子供)』:EX ≪CT7≫
…自身に”悪しき子供”特攻付与、NP+10、攻撃↑2d6(1T)
・宝具使用:『この良き日に幸福を(ホーリーナイト・ジングルベル)』
⇒全体『A』宝具4d6
味方全体に攻撃↑2d6(共通2T)&HP回復3d6(共通)
【剣】
・宝具使用:『刻ヲ越エ王は此処に在リテ』
…『A』宝具(非攻撃)
敵全体にターン毎に減少する攻&防↓状態を付与(初期値1から1/1Tで増加)3T
自身にターン毎に増加する攻↑状態を付与(初期値1から1/1Tで増加)3T
・令呪使用:3→0
・宝具対抗:【剣】勝利
「令呪を以て、我が肉体へ命ずる…王剣よ、―――在れ」
傲岸に組んでいた腕を解く
セイバーの右手が輝き、浮かんでいた紋様が消失した
3画の令呪、その全てを使用したことを示している
吹き荒ぶ魔力の奔流が、ライダーの予想したタイミングを乱した
「(………あ、マズっ、…い…!?)」
勝ち取った不意の一瞬は、セイバーにとって多大な利を齎す
パリィィィィィィィイン、と
何の前触れも無く、宙に浮かんでいた全ての宝剣が一斉に砕けた
ガラス細工のように容易く、あっけなく、刀身のみならず美麗な細工の施された柄までも、粉となって宙に舞う
「自らの得物を、粉々にしたじゃと…?」
「…でなけりゃ、奴の獲物は”別に”有るってことか…」
「やはり、我が王剣で直々に誅さねばならぬ」
狂える瞳にギラギラとした光を湛え、餓狼は更なる力を魅せる
「―――『刻ヲ越エ王ハ此処ニ在リテ』―――」
粉々に砕けた筈の宝剣が、セイバーの手元に収束し、別の形を成してゆく
魔力の欠片から新たに生み出された物は、
「―――是こそ、我が真なる宝具にして、ワシその物よ…」
剣
8本の宝剣は、1振りの剣へと生まれ変わった
しかし、形成前と比べ出来上がった剣は地味な印象を受ける
宝石で装飾されてはいるが、1本となった事で派手さはかなり抑えられていた
「わざわざ数を減らしてくれるたぁな…」
「…油断は出来んぞ、ランサーよ」
「あぁ、…分かってる」
刃渡りは約60㎝、刃幅は5㎝程の両刃剣
刀身には文字が刻まれているようだが、特殊な字体であるため解読はできない
遠目に見ても、切れ味は余程の物だろうと予想できるが、それでも見た目は何の変哲もない銅剣だ
「訝しんでおるな? 何故剣を1本にしたか、我が宝具は如何な物か…」
切っ先が2騎を向く
正体不明の脅威が牙を剥く
「…直きに分かる、そして理解した後、―――死ね」
”越王八剣”
かつてその国の王は八振りの宝剣を所持していたという
王がとある刀鍛冶に命じ、造らせたのは
太陽を指すことで日光を消滅させる陰の剣
―――『揜日(エンジツ)』
水面を断ち割る剣
―――『断水(ダンスイ)』
月の生物を転倒させる剣
―――『転魄(テンパク)』
触れた鳥が、二つに斬り裂かれる程の切れ味を誇る
―――『懸剪(ケンセン)』
水面に浮かべただけで鯨が逃げ出す
―――『驚鯨(キョウゲイ)』
魑魅魍魎を遠ざける退魔調伏の剣
―――『滅魂(メッコン)』
悪霊に憑かれた者を平伏させる破邪顕正の剣
―――『却邪(キャクジャ)』
宝玉や金属を、木を削るように容易く斬る
―――『真剛(シンゴウ)』
の計8本
伝承には、王の命を受けた鍛冶師が、冶金の神を祀り特殊な力を持った剣を造ったと記録されている
先程まで宙を舞っていた数々の宝剣は恐らく、歴史に刻まれた『越王八剣』で間違いないだろう
歴史における伝承、伝説に刻まれた宝具は強力な力を有する
神秘の度合いにもよるが、古い物ほど信仰によって元の性質より強化される場合もある
実在が怪しい物であろうが、様々な尾ひれが付いて回ることもある
では”現存する宝具”はどうか?
世界各国には、現代まで保存された神器が存在する
確かに宝具として強力な力を有し、学術的・魔術的にも価値は計り知れないだろう
しかし、現代人にはその宝具持つ力を十全に活かすことが出来ない
担い手が居なければ観賞用のアンティーク、文字通りの宝の持ち腐れでしかないからだ
英霊あっての宝具、宝具あっての英霊
現存する程の神秘を、その担い手自身が扱えば、一体どうなるのか
≪6巡目収支≫
【槍】HP69
NP19
スキル:『ルーン魔術』残りCT2
『啜る黒水』残りCT5
攻&防-2(ターン毎に増加、あと2T)
【騎】HP61
NP4
スキル:『聖者の贈り物』残りCT3
『善悪判断(子供)』残りCT6
攻&防-2(ターン毎に増加、あと2T)
【剣】HP11
チャージ0/4
毒状態(あと1T)
精神異常耐性(あと1T)
攻+2(ターン毎に増加、あと2T)
≪7巡目≫
【槍】
カード選択:Q(1)
命中判定:失敗
「大層な代物だろうが、ただの骨董品にしか見えねぇぜぇッ!!」
警戒半分、牽制半分
臆することなく槍を突き出す
「遅いわ小僧ッ!!」
ランサーの動きを読んでいたかのような迎撃
遂に現出させた宝具である王剣を巧みに使い、突き出された槍の威力を殺すと共に弾き返した
「うッ!!」
「クカカカ…どうした小僧? 槍捌きに冴えが感じられぬぞ?」
「…アンタは、逆に動きが良くなってねぇか…?」
「勘が良いな小僧…、褒美にその首を斬り落としてやろう…」
「チッ!!」
弾かれた槍の反動を利用し距離を取る
全身を血に染め、到底反撃など出来そうもない状況にあったセイバー
しかし、宝具の使用と共に、明確に”何か”が変わりつつあった
「(…あの剣になってからか…? ”何か”がおかしい…)」
自らの手応えに違和感を隠せないランサー
槍に込めた筈の力が普段よりも劣っているように感じる
「(俺の速度はこんなもんだったか…? 俺の一撃はあんなもんだったか…?)」
動きを読まれていたかのように対応された
手負いに見切られる程度のスピードだったからだ
殺す気で放った一撃が、いとも容易く弾かれた
死にぞこないに負ける程度のパワーだったからだ
「(―――…普段より、ヤり始めた時より…いや、”数秒”前よりもだ…!! チカラが、…上手く出せねぇ…!!)」
全力の上限そのものが低く設定されたかのように
…まるで、衰えたかのように
―――『越王勾践剣』
セイバーの持つ剣こそ、まさに現存する宝具
近代に中国で発掘されたその剣は、勾践の生きた紀元前から2000年の時を経て再び日の光を浴びた
ターコイズ、青水晶といった宝石で装飾された銅剣
その刀身には鳥蟲書体によって文字が刻まれていたという
恐るべきは、2000年以上の時を土に埋もれながら、全く劣化が見られない点
錆の一つも無く、切れ味はほぼ当時のまま落ちることも無い
現代の技術を以てしても解明できない製法、完全なるロストテクノロジー
加えて、刀身に刻まれた文字―――『越王勾践 自作用剣』
その剣を、勾践が自らの手で焼きしめ、鍛え、造り上げたという証
時を経て尚、決して錆びつかぬ意志
宿敵の召使いにまで身を墜としながらも、遂に折れることの無かった不撓不屈の復讐心
越王八剣という、特異な力を宿した宝剣を数多く所持しながら、その力を完全に信じず、自らの為の剣を自分自身で造り上げるという、他人への疑心
夫差に敗れてから呉を滅ぼすまでの20余年
いずれ来たるべき時のため、復讐心を研ぎ澄ませながら、日々募る憎悪を一滴も零すことなく内に抱え続けた
セイバーが、剣を自分自身と言ったのも頷ける
20年間身を焼き続けた憎悪、その果てに研ぎ澄まされた強靱なる意志
時を越え、劣化しない剣
その宝具は、勾践と言う男を十全に体現していた
「王とは不滅にして至高の存在!! 天に、人に、時にすら侵されぬ、あらゆる力の及ばぬ遠き頂き!!!」
餓狼が吼える
自らの現身である剣、爪であり、牙
磨き抜かれた切れ味は魔剣にも聖剣にも届きうるだろう
「貴様等はその頂を、このワシを越えると申すか?! よき思い上がり! よき蛮勇!! 見上げた意志よ!!」
「この傷! この痛み!! この屈辱!! 故に、ワシは貴様等に―――報復する!!!」
剣が脈動する
勾践その物と言える宝具『刻ヲ越エ王ハ此処ニ在リテ』、その真価は―――
「―――時、万象蝕ム病トナラン…」
ランサー、そしてライダーの両名
全身に降りかかる謎の倦怠感
「ふうむ…この怠さ…!」
「酷くなってきていやがる…!」
「―――人、互イ蝕ム毒トナラン…」
サーヴァント2騎の猛攻を受けて尚、セイバーは健在
先程までクッキー人形に醜態を晒していたとは思えない程だ
一方で2騎の状態は芳しくない、むしろ悪化している
まるで進行性の病に侵されているような感覚
反応速度が鈍っている、体が動かしづらくなってきている
そして、その事実を差し引いてもセイバーの様子は今までを逸脱している
「理解したかァ?、ワシの剣を」
ギラギラと輝く双眸が2騎を捉える
「絶えず流るる時は、貴様等のみを蝕み、傷を受けたワシは屈辱に身を焦がす…」
時間が経つ毎に不利となる殺し合い
セイバーは勝手気ままに煮えたぎり、相対する者は弱体化を余儀なくされる
20年以上に渡り己が内に飼い続け、肥え太らせた復讐心
晩年、自らを支え続けた忠臣をも死に追いやった猜疑心
他人への、敵への異常な執着
人生を復讐に捧げた報復王の成せる業だ
「理解したであろう? では死に晒すがいい…」
「…いやじゃよ そんな、自分をいじめるのが趣味みたいな奴に負けてなどおられんわい…!」
【騎】
カード選択:A(3)
命中判定:強制敗北(ファンブル)
「(…くぅ、しかし堪えるわい…怠いわ腰は痛いわじゃし…)」
軋む体、痛む節々
寄る歳には勝てず、満足に動くことも出来ない
「ククカカカ!! 道理だな!! 爺さんには余程、この呪いは堪えるらしい!!」
「…爺がいい歳こいてはしゃぐと、暫し後の筋肉痛が怖いからのう…」
怠そうにセイバーを見る
【剣】
攻撃対象:槍
命中判定:成功
ダメージ:13
「死にぞこないは後回しで良かろう、―――なァ!!」
不動のまま剣を顎で使うだけだった男が、遂に動いた
自らの足で地を踏みしめ、一息にランサーまでの距離を詰める
「なっ!!」
あまりの速さに驚き咄嗟に槍を横薙ぎに振るう
「クカカカカカカカカカカカッ!!」
重傷である筈の体からは想像も出来ない程の動き
迎撃に振るわれた槍をモノともせずに躱し、自らの分身である剣を一閃させる
「グ、…ッ!!」
槍の隙間を縫って与えられた一撃
ランサーの体に紅い線が刻まれる
「(確かに俺の動きは鈍っていやがる…! だが、それだけじゃねぇッ…!!)」
痛みに耐えながら、追撃を避けるべく槍をセイバーに振り回す
「ほう…、やはり若いだけに活きは良い…」
苦し紛れの反撃をゆらりと躱す
時の呪いは、両者の間に多大な差を齎している
「……俺達が弱っている分、テメェは強くなってる…そうだろ、…爺さん?」
「ククク…理解した所で手遅れ…
手負いだからと気は抜かぬ…昔、痛い目を見ただけになァ…」
「…あぁ、正直こっちは気ぃ抜いていたぜ…今の状況で油断とか自分が情けねぇわ、ホント…」
時の呪い
膨れあがる復讐心
広がる両者の差
「(…如何に強力な宝具でも、限界はある筈じゃ…)」
復讐心による強化を受けているとは言え、勾践の傷が癒える訳では無い
令呪による宝具のブースト使用
復讐心によるトリップ状態
2つの要因が男を手負いの餓狼に変えている
与えたダメージは蓄積しており、その躰を無理に動かしているに過ぎない以上、限界は必ず訪れる
時が呪うのは、果たしてどちらなのか
≪7巡目収支≫
【槍】HP56
NP26
スキル:『ルーン魔術』残りCT1
『啜る黒水』残りCT4
攻&防-3
【騎】HP61
NP7
スキル:『聖者の贈り物』残りCT2
『善悪判断(子供)』残りCT5
攻&防-3
【剣】HP8
チャージ1/4
攻+3
≪8巡目≫
【槍】
カード選択:Q(6)
命中判定:失敗
「(…やられる前にやるしかねぇッ!)」
一直線の突き
槍での利点、防ぎづらい”点”での攻撃を仕掛ける
「ぬるい、あまりにも軽いぞ? 小僧…」
満足に力を発揮できないランサーの攻撃を難なく外へいなす
そのままバランスを崩したランサーに、何をするでも無く無警戒にズイ、と体を寄せる
「ククク…頃合いか? そろそろ首を刎ね楽にしてやろう…」
「…そいつはお断りだッ…!!」
追撃で深手を負わせることも出来ただろうに、ただ嘲け嗤うのみ
完全に舐められ、遊ばれていた
「(クソッ!!)」
苛立ちをを抑えながらバックステップで距離をとる
「幾ら逃げようとも、必ずや追い縋ろう…倶に天を戴ずとも、地の果てまでなァ…!」
「…やべぇな、色々と…」
不吉な伏線を敷きながらも、それ以上追撃しようとはしなかった
結局は、どこまでもこの状況を楽しんでいるのだろう
セイバーの方が遥かに重傷を負っているにも関わらず、隙も弱さもまるで見えない
歪んでいようと、一国を背負った王
呉国を喰らい、中原の覇者として立った孤高の餓狼なのだ
【騎】
カード選択:A(6)
命中判定:強制敗北(敵側クリティカル)
「むぅ、やっぱりどーにも気だるいのう…」
軋む体に鞭を打つ
それでも見る分には投げやりなおもちゃ投擲でしかない
「…成る程、小賢しい演技も出来ん程に衰えたか…」
迫り来る玩具を切り捨てる
ライダーの状態を疑っていたのか、一挙一動を抜け目無く見張っていた
油断しないと言ったのも真実だ
「誰のせいじゃ誰の…いっそ剣からビームが出るぐらいの方が楽じゃったなあこれは」
疲労感滲み出る答えを返す
元々の肉体年齢に加え、時の呪いによる劣化が重なっている
その実、今までの挑発も出来ない程に余裕は薄いらしい
【剣】
攻撃対象:槍
命中判定:成功
ダメージ:9
「ではその首、貰うぞ―――!!」
宣言通り、ランサーの頸部へと剣を走らせる
態々宣言しつつ、挙動も正直過ぎる程真っ直ぐだ
「(舐めやがって…!!)」
空を滑るように迫る自然な死の直線
槍を縦構え、宣言された首の手前で王剣を受け止める
「―――ん、オっ!?」
そのまま防ごうとするも、衰えた足に上手く力が入らず、体勢を崩してしまう
「ムっ…」
剣は目標からズレ、ランサーの腕を浅く裂いた
致命的な一撃には至らなかった分、ある意味幸運だった
「阿呆が…もう少しで楽になれた物を…」
「チッ、うるせぇんだよ、化け物爺が!!」
直ぐに体制を立て直し、槍で牽制する
”死”を、実感した
心臓が早鐘を打つ
浅く裂かれた筈の傷痕から血がどんどん湧いてくる
一歩間違えば、体勢の崩し方を誤れば、今ので勝負が決まっていてもおかしくは無かった
「ほう…まだ立てるか…良いぞ、来るがいい…永遠に殺してやろう…」
嗤い、バックステップで距離をとるセイバー
追い詰める寸前であろうとも、警戒は怠らない
いき過ぎとも言える疑心が必要以上に機能している
「(…畜生…ビビってんのか、まさか…)」
抱いている感情は間違いなく、畏怖
死の実感に対してでは無く、目の前の存在の理解不能さに対してだ
価値観が、在り方が、自分や身近な者とはかけ離れ過ぎているが故の解離感
戦闘技能の面では勝っていても、精神面では気圧されつつあった
「(…この、…俺が…?…)」
後ろ向きな臆する心は戦場で足を引くのみ
心の折れた者に肉体は付いてこない
「―――ざけんなよ…」
「あァ?」
ただし、それは常人か、精神が脆弱な者に限っての話だ
「…ざけんなよ…俺のチカラはこんなもんじゃねぇってのに…」
「…レオニダスの御仁に曰く、不調との付き合いこそ学んでおくべき…、じゃからあまり気にせんでも良いのじゃぞ」
「不調との付き合い、ねぇ…、まぁ今後の課題ってところか…」
「それに、名に聞くケルトの戦士はこの程度でへし折れる枝っきれじゃあるまい?」
「当然だ、このままだとフェルグスの奴にまたブン投げられそうだしな…」
ケルトの戦士にとって、逆境など日常茶飯事
常人の理屈など通じず、この程度で折れる脆弱な精神など持ち合わせない
やられたままで終わる事は、何より己自身の矜持が許さない
「ならば、愚痴って後ろ向きになっとる暇なんぞない事は分かるじゃろ?
何れにせよ、こいつをどうにかせにゃカルデアに帰るもへったくれもないんじゃし」
「そうだな、こいつ以外にもあと4騎いるわけだしな」
「…ってかここまで愚痴れるとか、実はお前さん余裕綽々じゃろ」
「へっ、この程度…、俺がビビるなんて有り得ねぇだろ…!!」
まだ初戦、5騎の内の最初の1人なのだ
躓きはしても、ここで倒れるなど本末転倒
「…って言うとるが? こやつ、お主の宝具の影響受けて実は余裕らしいぞい」
「…活きを取り戻したか…青きだけに威勢だけは余っておるか…」
「言うて儂もなんか怠くなくなったしのう お、これはもしや慣れたって事かの?」
「或いは、死が近くあるやも知れぬなァ…」
「いいや、お主の、な さぁて、反撃の時間じゃ…!!」
「おうさ…!」
怒りで畏怖をねじ伏せる
恐怖に打ち克つ意志は、あらゆる壁を超えるチカラとなる
戦場に交錯する意志
決着は、近い
≪8巡目収支≫
【槍】HP56
NP26
スキル:『啜る黒水』残りCT3
【騎】HP61
NP7
スキル:『聖者の贈り物』残りCT1
『善悪判断(子供)』残りCT4
【剣】HP8
チャージ2/4
≪9巡目≫
【槍】
カード選択:B(2)
スキル使用:『ルーン魔術』
命中判定:スキルにより必中
ダメージ計20
【剣】
スキル使用:臥薪嘗胆 A+++ ≪CT7≫
⇒ガッツ付与(2d6復活・1回)+復活後に攻撃↑1d6(3T)
ガッツHP9、攻撃↑1(3T)
「調子も戻ったことだし、デカいの一発行くぜ…!」
槍を片手で大振りに構える
「喰らえや、”イヴァル”ッ!!」
筋肉と関節をフル稼働、勢いを槍に乗せての全力投擲
空間を裂く勢いで、セイバーに向かって突き進んでいく
「―――先刻の術か…!!」
槍の挙動が不自然、やけに進路が真っ直ぐ過ぎる
直感で回避は不可能だと理解する
「(避けられぬ、ならば…)」
防がない
両手を広げ、回避すら放棄
迫り来る槍を、そのまま受け入れた
「はぁ!?」
「グッ、ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
必中の槍は腹のド真ん中に深々と突きささる
勢いのままにその場では止まらず、セイバーを数m後ずさりさせた
傍目から見れば、完全に致命傷
どれ程の耐久を誇ろうとも、死は避けられない
しかし、
「―――是で、ワシを殺したと思うたかッ!! 夫差ァァァあァアアァあッ!!!」
倒れない
膝を折る事すらない
毒に侵され血を吐こうと、内臓を潰されようと、餓狼は未だ立ち続ける
「何だよ、アレは…」
回収の咒によって槍を手元に戻し、理解の外の存在に顔を顰める
ランサーの知るクランの猛犬も、”生き汚い”と形容される程の生命力を有していたが、これ程狂気に満ち溢れた生命ではなかった
「(…コイツ…本当に人間か…?)」
神の血を引く訳で無く、天性の肉体を授かった訳でも無く
ただ、意志の強さのみで肉体を世に留めているのだ
【騎】
カード選択:Q(2)
命中判定:失敗
「…こういう手合いが一番恐ろしいのう…そら行っといで」
再三ジンジャーブレッドマンを放つ
しかし、当の菓子人形達はセイバーの様子を目の当たりにしたのか、少々嫌々そうな様子を見せながら特攻を仕掛けていった
「オオオォォォオオオオオッッ!!!!!」
迂闊に接近を許す筈も無く、裂帛の声と共に、自らの宝具を地に叩きつける
巻き起こる衝撃にジンジャーブレッドマンは無惨にも粉々になって宙を舞った
「勿体ないのう…」
毒に侵され、腹を穿たれ、全身を血に染めた男
致命傷、と誰もが評するだろう
事実、損傷は霊核にまで届いていた
次の瞬間にも、その場に崩れ落ち、消滅したとしてもおかしくは無い
おかしくは無い、のだが
「愚かな夫差よ…俺は…、貴様のようには、…ならぬ…」
寧ろ、消滅していなければおかしい
それでも、
彼の王はその足で、大地に立ち、更なる殺気をぶつけてくる
夥しい量の血を流しながらも、未だ倒れない
朽ちず、錆びず、決して折れない
まるで、
一振りの剣の如く
「(…これでバーサーカーじゃないから恐ろしいわい…)」
セイバーを支える要素は、大きく2つ
1つは、宝具使用に消費した3画全ての令呪
絶対命令権は、全て自らの肉体に対し宝具の使用を課した
結果、令呪の魔力は宝具発動のために肉体を動かす燃料となっているのだ
そして、もう一つは、セイバー固有スキル―――『臥薪嘗胆』
春秋戦国・中華における復讐譚
歴史が物語る、2人の王の争い
十八史略、”臥薪嘗胆”に曰く
『呉王夫差、朝夕薪ノ中ニ臥シ、讎ヲ復セント志ス
越王勾践、胆ヲ坐臥ニ懸ケ、即チ仰ギテ、之ヲ嘗メン』
己が目的がため、朝晩薪に身を臥せ、復讐を誓う男
己が目的がため、肝を嘗め、苦汁を味わい続ける男
敢えて苦境にその身を浸し、内なる憎悪を肥え太らせる
敗北を知った男のその後の20余年は、憎き敵の全てを喰らい尽くした
王は立ち続ける
報復を果たすため
屈辱を晴らすため
時を越えて尚、錆びる事も、折れる事も無い意志
”耐える”という一点において、越王勾践という男は他の追随を許さない
「(…確かに、お主の精神はワシ等では折れぬ程強固じゃろうて…じゃが…)」
宝具による時の呪いが弱まっているのも事実だ
身体の衰えも、徐々に回復してきている
令呪を犠牲にした強制力も、そう長くは持たないのだろう
寧ろ、精神面が強靱すぎるあまり、肉体が耐え切れないのだ
負った傷を無視して動けるとは言え、定められた限界を超える事は出来ない
流れは、2騎へ傾き始めていた
【剣】
攻撃対象:槍
命中判定:成功
ダメージ4
「死に晒せェ、夫差ァ!!!!」
血を撒き散らしながら、変わらぬ速度で迫るセイバー
扱う武器に過去を重ねているのか、ランサーを執拗に狙う
「人違いだって言ってんだろ、ボケてんのかクソ爺ィよォ!!」
セイバーの気迫に負けず、剣劇を捌く
「自ら死を選んだ愚物が…!!! 俺に敵わぬと逃げた弱者がァッ!!!!」
狂気を目に宿しながらも、剣のキレは冴えわたるようだ
斬り結ぶ度に、ランサーに小さいながらも、傷が刻まれてゆく
「ッ、うおオオオッ!?」
「―――万死」
とどめと言わんばかりに首元へ剣が飛ぶ
「ッ!」
軌道は見えていた
斬首への拘泥から、最終的にはそこへ王剣が迫る事も予測は可能だった
結果、読みは勝り、一瞬の間を縫って距離をとるも、浅く切られてしまう
「躱したか…、どこまでも俺の温情を撥ねつけようとは…」
「んな温情要らねェんだよ…!」
「あァ、良かろう…勝手に自死せぬよう、どこまでも追い詰め屈辱の内に殺してやるわ…」
二人の王の争いの結末
呉王夫差と、越王勾践の血で血を洗う復讐譚の決着
悲願の内に呉を滅ぼした越
自らに屈辱を強いた夫差に対し、勾銭は敢えて赦しを与えた
国を亡くし、全てを失った呉王へ、”自分と同じように這い上がり、復讐を果たしに来い”とでも言うように
しかし、宿敵である夫差が選んだのは、―――自決
薪に臥せ、痛みを糧にした王は、絶望による死を選んだ
宿敵は死んだ
復讐心よりも、全てを失った絶望が勝ったのだ
国を滅ぼした憎き敵よりも、楽となれる死を選んだ
”何だ其れは?”、と
”己が焦がれ続けた敵は、この程度のものだったのか?”
”俺とお前は、同じ類のモノでは無かったのか?”
報復者の王は、その熱を燻らせる
自らの求める敵を、際限の無い欲望を満たす事の出来る相手を、いつまでもどこまでも探し続けるのだろう
「(…お前さんの求める敵なんぞどこにも居らぬよ…復讐に魂を染める者なんぞ稀じゃからなあ)」
≪9巡目収支≫
【槍】HP52
NP28
スキル:『啜る黒水』残りCT2
【騎】HP61
NP7
スキル:『善悪判断(子供)』残りCT3
【剣】HP9
チャージ3/4
【槍】
カード選択:Q(3)
命中判定:成功
ダメージ4
「いい加減にくたばれオラァッ!」
意趣返しとばかりに、勢いに乗り果敢に攻め続ける
「クカカカ!!! 漸く様になってきたではないか!!」
死の淵に在る身で、それでもランサーの攻めに応じて見せる
剣と槍のぶつかり合いに火花が幾度も散っては轟音に消える
「そこだァッ!!」
さらに猛攻を繰り返した末の、腹に一刺し
完全に対応しきるには、負った傷が大きすぎた
「ぬゥッ!!!」
槍を突きさされた影響で距離が開き、強引に攻防を中断させられる
痛覚は既に吹き飛んでいるようだが、物理的に肉体の稼働に支障が出るのは無視できない
「まだだ、足りぬ…向かって来い…俺を再び追い詰めてみせろ…」
「望み通りにしてやるよ…、ただし、ソレで終いだ、次は無ェ」
獣の、餓狼の欲に底など無い
有るとすれば、人間としての限界のみ
越王勾践を打倒するならば、報復者の王として引導を渡すより他は無い
【騎】
カード選択:Q(6)
命中判定:成功
ダメージ6
【勝利】
「…もはや言葉は通じぬか…ならば、せめて安らかにと祈るかの…」
十字を切りつつ放たれたジンジャーブレッドマンが四方から飛びかかる
「また小賢しい呪具か…!!」
度重なる襲撃に険しく顔を歪める
「其奴らは害を加えはせんよ 只々、幸福と無病息災を祈る為のモノ…、お主の眼にはもう、敵としか映らんのだとしても、じゃ」
「オオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
斬る、砕く、踏み潰す
その悉くを拒絶する
「もしそやつ等でおぬしが傷つくというのならば…」
己を取り囲む”敵”に応戦し続ける
切っ先が人形を砕く度、セイバーの体もまた軋む
「それはもう”自傷”じゃ 遍く物を敵としか見なさぬ己が、自らを傷つけているに等しい」
斬り、砕き、踏み潰し、数多の残骸が王の足元に転がる
悪意とも、憎悪とも無縁な屍が、其処には在った
「ほれ、よく見ろ そやつ等は本当に、お主を害そうとしておるのか? 傷つけたくて飛びかかったのか?」
見ればジンジャーブレッドマンは飛びかかりはするものの、殴りも襲いもしない
寧ろ自分の体をちぎって差し出そうとしたり、食べやすいようにと小さくなる者達がいた
「ハッ、ハァッ…!! ―――オオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
細くなった破片が、暴れる勾踐に刺さったり、剣を振る体にしがみ付いたせいで負荷になったりはしているが
決して、決して傷付けようとしての行いではない
それは純粋な献身
誰であろうとも、どんな人であろうとも
病と無縁でいてほしいという祈りが宿った物
「目をそらすな、現実を受け入れよ
お主が望んだ復讐はここにあるのか? 誰かを思っての行いを敵として暴れるお主は…―――本当に復讐者たり得ておるのか?」
やがて、残骸が足元を埋め尽くす頃
「―――ククッ、ク…カカカッ」
静寂に響き渡る不気味な声
其れは、新たな獲物を見つけた獣の嗤う声
「ワシが、望んだ…復讐だと…? 何を言うか…此処に、在るではないか…」
王剣の切っ先が2騎を向く
「ククッ、クカカカッ、クカカカカカカカカカカカッ!!!」
「………」
致命的な傷、霊核も破損している
もとより、限界はとっくに訪れていた
如何な宝具、スキルであっても修復は不可能
消滅は免れない
「哀れ、とは言うまい…さらばじゃ復讐の亡霊、次の機会がないことを願うぞい」
「…あァ? 終わりと、思うているのか? この場で…ワシを打倒した程度で、終わりなどと…?」
二度目の”死”の経験だというのに、悲壮など全く感じられない
きっと男にとって死は嘆く物ではないのだろう
それどころか―――
「その面、その技…覚えたぞ… 忘れぬ許さぬ逃さぬ、確実になァ…」
英霊と化したことで、死は終わりでは無くなった
復讐を自身のアイデンティティとする男には願っても無い事だろう
永い時の中で再び遭いまみえる可能性は決してゼロでは無い
呪いや怨念のような不確実な物と違い、”ソレ”はいつか確実に訪れる
「是こそ我が痛み…他の何物でもない、無二の証…!! 忘れようとも、決して消えはせぬ…」
執着は、終わりなき復讐の連鎖
男が真に求めた物、欲望であり、深層に抱いた願い
宿敵を屠った時の達成感
本懐を成し遂げた充足感
苦境と困難からの解放感
全てが報復王の脳を焦いた
男は求める
―――自らに刃向う新たな敵を
王は求める
―――自らを蝕ばまんとする敵意を
呉を滅ぼし、諸侯を纏め上げ、中原の覇者となった後の在位およそ30年
没するまでの間、終ぞ現れることの無かった新たな敵
晩年の猜疑心は欲求不満の表れか
居もしない内の敵を探しつづけたまま人生の絶頂を向かえてしまった反動は、”王”を”獣”へと堕とした
「………はぁ」
ため息を一つ
「仕方あるまい、か… これがお主の救いならば…他所に持ち込んで迷惑になってもあれじゃからなあ」
何を言おうとも、男には響かない
聖人の言葉すら、ただの詭弁となる
ライダーは、報復者の王の本質と向かい合うことを決めた
「良かろう お主が覚えている限り、儂等が敵対してやるわい」
「…クク、カカカッ、いずれ…いずれ、来たる…その時まで、」
笑っている
楽しくて楽しくて仕方が無いと言う風な表情だ
獲物を得た獣
永い間待ち侘びた敵、求めていたモノがやっと自分の前に現れたのだ
戦場で敗北を糧に、男は執念の刃を研ぎ澄ます
”あの時”と同じ快感を味わうため、諦めなど欠片も無く
「…出来れば二度と来ないで欲しいんじゃがなあ まぁ、致し方あるまい」
そして、復讐を成し遂げた後、男は更なる敵を求め彷徨うだろう
獣の飢えは、渇きは、永遠に満たされることはないとしても
「その時は、かかってくるが良いわ」
”犭(けだもの)”の王
果たしてその正体は獣か、化け物か
「―――あァ…貴様等の、薄汚い首…預けておくぞ…」
不吉の塊のような言葉を吐き出し、剣士の英霊は消滅した
完全にその姿が無くなるまで、終ぞ男の眼球は1㎜も動くことは無かった
怨敵の顔を、その眼に焼き付けるかのように
宿敵の顔を、その魂に刻み付けるかのように
呪いの種を残し、消えた
通常、聖杯戦争において、サーヴァントは消滅後に座へ帰還する
次なる召喚の際には、以前の記憶はリセットされるのが常だ
過去や未来に至るまで、あらゆる時間の中で召喚される存在
”記憶”という矛盾を解決するための、座の苦肉の策である
故に、次にいつ会おうと、この島における殺し合いは”無かった”事になる
それなのに、何故か
拭いきれない不安
有り得ない、と断定しきれない何かが、あの男にはあった
セイバー、越王・勾践
紀元前中国、波乱の時代、春秋戦国の世を生き抜いた末、復讐に憑かれた男、報復者の王
一筋縄ではいかない相手だった
事実、2人掛りでの成果だ
「…何か、気持ちの良い勝ちじゃあねぇなぁ…」
戦闘の余韻
受けた傷が鈍い痛みを湛える頃
【察知判定】
両者成功
「ッ、ランサー!」
「!、おうッ」
戦場に起こる変化
その微かな違和感を、ライダーはいち早く察知した
「何かあるとは思っておったわ…あれだけドンパチやればのう…!」
足元が、微かに揺れている
小規模な地震が発生していてるようだ
それは少しずつ規模を増しながら、やがて視界ごと大地がグラグラと揺れ始める
まるで、孤島その物が鳴動しているかのようだ
「乗れ、ランサー! 一旦中空へ行くぞい!」
宝具を呼び出す
大きなソリが舞い降り、即座にトナカイを前へつけ乗り換える
「応ッ!」
跳躍し、現れたソリに素早く乗り込む
曲がりなりにも、セイバーと戦闘後のタイミング
何かしらの攻撃かと疑いを持つ
「さあて、竜が出るか悪魔が出るか…」
地を俯瞰し、辺りの様子を窺う
警戒に反し、地震以外に何かが訪れる気配は無い
やがて、揺れ自体も小さくなっていき、結果的に数分で地震は終息した
上空から目に見える限りでの被害も無いようだ
「………なんじゃ、何もなしか」
「…てっきり馬鹿みたいにでかい化け物でも出てくんのかと思ったぜ」
警戒を削ぐ肩透かし
単なる自然現象か、何か他の要因があるのか
疑わしくはあるが、判別は付かない
セイバーの遺した言葉が後を引いている今、必要以上に過敏になってしまったのかもしれない
「……やれ、まぁ何もなくてよかったと思いたいところじゃが」
「あぁ、警戒しておくに越したことはないからな」
勝利の余韻は消えてしまったが、事実として一勝を収めた
残るサーヴァントは自分達を除き、4騎
イレギュラーだらけの聖杯戦争を生き残り、果てに待つものの正体を、彼等は予測すら出来ていなかった
誰も信用しない男は、他人の善意で自ら命を落とす
結末の発案はライダーの中の人 RPGJ
サイコロ運のせいでのっけから大分苦戦したけど、これはこれで強者感出て結果オーライ
…だといいよね
セイバーのマテリアルについては後ほど