個性『英雄』   作:ゆっくりシン

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ゲムデウス強すぎ笑えない( ;´Д`)


34話 『ジーニアスは止まらない』

 神野に二つの脅威が現れた。

 一つはオールマイトと激戦を繰り広げている(ヴィラン)

 一つは仮面ライダーと戦っている超巨大なバケモノ。

 あまりにも強大で、あまりにも強すぎる圧倒的な脅威。

 オール・フォー・ワンの周りは壊れ、崩れ、破壊された建物の瓦礫が散乱している。

 ゲムデウスの周りは建物が倒壊し、炎が燃え上がり、生存者の姿は一切確認できない。

 たった一夜にして現れた絶望、恐怖。

 だが、それでもヒーローたちは誰かの為に戦う。

 その先には・・・・・・、

 

 

 

 

 

 

「うぉぉおおおおおおおお!!!」

 

 俺はラビットラビットフォームになると同時にフルボトルバスターでゲムデウスに叩き斬る様な攻撃を与えた。

 だが、俺の与えた傷は一瞬にして回復した。

 クソみたいに高いな、回復力。

 俺はゲムデウスの攻撃を避けながら状況の整理をする。

 今、この場にいる仮面ライダー全員で先ほどのように一斉攻撃を仕掛けようと、多分・・・・・・いや、確実に倒しきれない。

 超ゲムデウスは通常体以上のHPを誇っている。

 通常体ゲムデウスのHPが確かライダーゲージ50本分。

 それに対し、超ゲムデウスはライダーゲージ999本分という鬼畜さ。

 いや、確実に削り切れないだろう。

 仮面ライダーのラスボスあるあるだが、まず、基本スペックがおかしい。

 ゴーストに登場した“グレートアイザー”もそうだったが、平成二期の中でも飛び抜けているラスボスは“ゲムデウス”と“エボルト”だろう。

 アレはそもそのもスペックが勝てるようになっていない。

 ガチのバケモノだ。

 そして、それが目の前にいる。

 何? この極端な死刑宣告。

 勝てる気が一切しないよ・・・・・・。

 俺がそう思いながらも攻撃を仕掛けていると、

 

「てんこ盛りだぜ!!」

 

《クライマックスフォーム》

 

 そんな声と音声が聞こえてきた。

 てんこ盛り来たぁぁぁ!!

 うわっ、ヤッベエ。

 滅茶苦茶懐かしいんだけど。

 俺はそう思いながらフルボトルバスターにボトルを装填する。

 

《ロケット! ジェット! ガトリング! タンク! アルティメットマッチでーす!》

 

 フルボトルバスターの銃口にエネルギーが収束する。

 そして、

 

《アルティメットマッチブレイク!!》

 

 フルボトルバスターから強大なエネルギーがゲムデウス目掛けて発射された。

 それはゲムデウスの顔面に直撃し、大きな爆発を起こした。

 だが、それでもゲムデウスには決定打にはならなかった。

 それだけじゃない、ゲムデウスの全身にある目から強力な破壊光線が全体に放たれた。

 その破壊光線が俺たちを襲う。

 エネルギーの余波によって、辺りの火災が全て掻き消えた。

 ウグェエ。

 体中に鋭い痛みが走ってる・・・・・・。

 吹き飛ばされた俺たちはフラフラと立ち上がる。

 

「戦兎、大丈夫か・・・・・・?」

 

「なんとか。・・・それより、万丈が・・・・・・」

 

 戦兎が指差した方を見ると、万丈がいた。

 ・・・・・・瓦礫に頭から突っ込んで上半身埋まった状態で。

 さらに、その隣では電王も同じ状態になっていた。

 何でだよ・・・・・・。

 俺はそう思いながら二人を引っこ抜くために走った。

 

 

 

 

 

 

 ミキはあっちに行ったりこっちに行ったり走り続けているが、未だに迷子である。

 空を飛ぶことも考えたが、今、この状況で飛んだら確実にプロヒーローに目をつけられるため、走るしかない。

 

(まったく。面倒くさいことになったもんだ。・・・・・・しっかし、この子(わたし)はもう少し運動をした方が良い。少し走っただけでもバテてしまったよ)

 

 心の中でそんな悪態をつきながらも色々なところを見て回っていると、いきなりミキの視界がぼやけだした。

 体にも力が入らなくなり、壁に寄りかかってしまった。

 

(これは・・・・・・奴隷(スレイヴ)モードが解けかかってる。このタイミングで・・・・・・。まだ、ご主人様(マスター)の元に辿り着いていないってのに・・・・・・)

 

 ミキの思考がどんどんと鈍っていく。

 

(次、いつ会えるか・・・わからないけど・・・・・・。また、会おうね。■■くん)

 

 ミキは意識が途切れる最後、少年の名前を呼んだ。

 機鰐龍兎の“前世の名前”を。

 

 

 

 

 

 

 超ゲムデウス登場15分前。

 何百体もの脳無が街を埋め尽くしていた

 脳無は人を襲い、嬲り、殺し、好き勝手暴れていた。

 そこに、腰まである青く長い髪を靡かせながら一人の“転生者”が現れた。

 その転生者は『ファウスト』の幹部であった。

 転生者の姿を確認した脳無たちは一斉に攻撃を仕掛けた。

 だが、その攻撃は転生者に当たる寸前で掻き消え、何も起こさなかった。

 そして、

 

「喰らい尽くせ! 暴食之王(ベルゼビュート)!!」

 

 転生者がそう言うと同時に何百体もいた脳無が全て、まるで煙だったかのように姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 どれだけ時間が経過しただろうか。

 何度全力で攻撃をぶつけようと、一斉攻撃をしようと、一切のダメージを与えられていない。

 俺たちに目に見えて疲労が出てくると、ゲムデウスがいきなり口を開いた。

 

「無駄な抵抗よ。生きとし生けるものよ。あらゆる命を破壊しよう!!」

 

 と。

 喋れたのかよ・・・・・・。

 いや、確かに劇中でも言葉を発しているシーンはあったけど、あまりにもそのシーンが少なすぎる。

 ゲムデウス(マキナ)は滅茶苦茶喋ってたけど・・・・・・。

 そんなことを思っていると、

 

「命を破壊? 出来るモノならやってみろよ。・・・・・・だが、その前に、俺がオマエを破壊するがな」

 

FINAL ATTACK RIDE(ファイナルアタックライド)・・・・・・DECADE(ディ・ディ・ディ・ディケイド)

 

「ハァアア!!」

 

 ゲムデウスに直撃する『ディメンションキック』。

 だが、ゲムデウスは右手(龍の顎)でディケイドを掴み、大回転して勢いをつけ、思い切り地面に叩きつけた。

 ズドォォオオオオンという大きな音と共に土煙が舞い上がり、地面が揺れた。

 ・・・・・・あれ? 生きてるよね?

 死なれたら洒落にならんぞ。

 そう思っていると、土煙の中から、

 

ATTACK RIDE(アタックライド)・・・・・・BLAST(ブラスト)

 

 瞬間、土煙の中から強力な光弾が放たれる。

 それがゲムデウスの目に当たった。

 だが、それでも一時の目くらましにしからならなかった。

 俺は小さく舌打ちをして“あのボトル”を取り出し、戦兎に投げ渡す。

 

「戦兎! 使え!!」

 

「っ! これは・・・・・・分かった!」

 

 戦兎は俺の渡したボトルを起動させた。

 

《グレート! オールイエイ!》

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

 戦兎はそう言うと同時にジーニアスボトルをベルトに差し込む。

 

《ジーニアス! イエイ! イエイ! イエイ! イエイ!》

 

 レバーが回されると同時に“プラントライドビルダーGN”が現れる。

 そして、

 

《Are you ready?》

 

「ビルドアップ!」

 

《完全無欠のボトルヤロー! ビルドジーニアス! スゲーイ! モノスゲーイ!》

 

 黄金のビルドマークが戦兎に重なると同時に白いスーツが出現し、コンベア上を流れる無数のフルボトルがスーツに刺さり戦兎は、『仮面ライダービルド ジーニアスフォーム』への変身を完了させる。

 うぉお。

 滅茶苦茶格好いいんだけど。

 戦兎はレバーを一回だけ回す。

 

《ワンサイド! Ready Go!》

 

 戦兎の右腕にボトルのエネルギーが収束する。

 

《ジーニアスアタック!!》

 

 瞬間、戦兎は飛び上がり、ゲムデウスを殴り飛ばした。

 だが、それでも大きなダメージには、なっていないようだ。

 俺と万丈もベルトのレバーを回す。

 

《Ready Go!》

 

 俺と万丈は同時に飛び上がる。

 そして、

 

《ラビットラビットフィニッシュ!!》

 

《ボルケニックフィニッシュ!!》

 

 全力でライダーキックを叩き込んだ。

 なのに・・・・・・、

 

「ヌゥン!!」

 

「グアァッ!!」

 

 ゲムデウスには届かない。

 俺たちが全力で与えた攻撃によるダメージもみるみる回復していく。

 アホじゃねえの?

 さすがに強すぎると思うよ。

 あのクロノスだってもう少し簡単に攻略できると思うぞ。

 そう思いながらゲムデウスをを観察していると、回復スピードが遅くなっている事に気付いた。

 そうか。

 アレは仮面ライダークロニクル産のバグスターであって、仮面ライダークロニクルに登場する“ゲムデウス”とは違うのかもしれない。

 そうだ、何で気が付かなかった。

 ゲムデウスは確かに他人に感染するウイルスだが、実体化するために生物の体を使う事はしないはずだ。

 それをするのは、完全体になろうとしているバグスターだけではないか。

 つまり、目の前にいるゲムデウスは完全な、完璧な訳ではない。

 そうだとしたら、もし、今現在も無理をしているだけだとしたら。

 そこに、その一瞬の隙間に、

 

 勝機はある。

 

 俺はフルボトルバスターを取り出し、ゲムデウスに向かって超跳する。

 このゲムデウスが感染した脳無がどういったストレスをもって、どうして発症したかは知らない。

 どんな人間で、どんな人生を歩んで、どうして脳無なんかになったかも知らない。

 だから、同情もしないし、どうなろうが知ったこっちゃない。

 だけど、礼は言っておこう。

 お前のおかげでゲムデウスに普通、存在しない筈の弱点が出来た。

 

「皆!! 一斉攻撃後に今できる最高威力の必殺技を!!」

 

「っ! わかった。何か手があるんだな!」

 

「よく分かんねえけど、わかった!」

 

「最高威力・・・・・・。わかった」

 

「なるほど、そういう事か!」

 

「俺の攻撃が必要って事だな!」

 

「なるほど。・・・・・・だいたいわかった」

 

 何名かよく分かっていない方がいるぅ。

 俺はそう思いながらフルボトルバスターにボトルを装填する。

 

《ラビット! ドラゴン! ウルフ! フェニックス! アルティメットマッチでーす! アルティメットマッチブレイク!!》

 

《ワンサイド! 逆サイド! Ready Go! ジーニアスブレイク!》

 

《ボルケニックナックル! アチャー!》

 

《スペード2・スペード3・スペード4・スペード5・スペード6・・・・・・ストレートフラッシュ》

 

《ソイヤァ! キワミオーレ!!》

 

FULL CHARGE(フルチャージ)

 

ATTACK RIDE(アタックライド)・・・・・・SLASH(スラッシュ)

 

 俺たちはゲムデウスに全力の一撃を与えた。

 戦兎はジーニアスブレイクによる蹴りを、万丈はクローズマグマナックルによるパンチを、ブレイドは重醒銃キングラウザーで斬りつけ、鎧武はバナスピアーと影松による刺し攻撃、電王はデンガッシャーの刃先にエネルギーを溜めた一撃、ディケイドはライドブッカー(ソードモード)での斬撃攻撃。

 そして、俺はフルボトルバスターを一気に振り下ろす一撃。

 一度にぶつけられた高破壊力の攻撃。

 それを喰らったゲムデウスは大きな叫び声を上げた。

 そして、その体は目に見えてその形を保てなくなっていた。

 つまり、あと一歩だ。

 俺たちは全身全霊で必殺技を放つ。

 

《Ready Go! ラビットラビットフィニッシュ!!》

 

《ワンサイド! 逆サイド! オールサイド! Ready Go! ジーニアスフィニッシュ!!》

 

《Ready Go! ボルケニックフィニッシュ!!》

 

《スペード10・スペードJ・スペードQ・スペードK・スペードA・・・・・・ロイヤルストレートフラッシュ》

 

《ソイヤァ! キワミスパーキング!》

 

Charge And Up(チャージアンドアップ)

 

FINAL KAMEN ATTACK FORM RIDE(ファイナルカメンアタックフォームライド)・・・・・・DECADE(ディ・ディ・ディ・ディケイド)

 

 俺たちは一斉に飛び上がり、全力全身全霊のライダーキックを繰り出す。

 この一斉攻撃の威力はあまりにも凄まじく、辺りにエネルギーの嵐が吹き荒れた。

 そして、ゲムデウスはその姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 ゲムデウスを撃破してすぐ、仮面ライダーたちは俺の目の前から去って行った。

 戦兎と万丈とは多少の会話をしたが、夜が明ける前に二人も去って行った。

 そして、壊れ、崩れ去った瓦礫の山を歩いていると、偶然形を保っていたTVからあのセリフが聞こえてきた。

 

『次は・・・君だ』

 

 ・・・・・・ここから、時代は動いていく。

 俺はそう思いながら朝焼けの下を歩いて行った。




ディケイドの必殺技を“ファイナルカメンアタックフォームライド”にしたのは、私の個人的好みと気分で決めました。
もしも、不快になられた方がいたらごめんなさい。

この作品のヒロインって……

  • 白神神姫
  • 使原弓
  • 紅華炎
  • 暗視波奉
  • 赤口キリコ(安藤よしみ)

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