セルリアンハンター、かばんちゃん   作:エフジェイ

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プロローグ

あれからもうどれぐらい走ったでしょうか。

 

体の節々が痛く足は棒のよう、全身汗まみれで熱いのになぜか寒気を感じます。頭がズキズキと痛く意識はおぼろげで、何か悪夢を見ているようです。

普段はフレンズさんの姿を隠し、みんなの生活に潤いとやすらぎを与える森の草木も今の僕にとっては逃げ道を塞ぐかき分けなければならない障害でしかありません。

暗くて分かりませんでしたが、少し雨が降っているみたいです。時折落ち葉の足元が滑ります。

しかし、遠くから少しずつ少しずつ敵が近づいてくる音は狙い通り僕の方に近づいてくるみたいで、これって上手いこと囮になれているのかな。

サーバルちゃんは無事どこかへ隠れられたかなあ、他のフレンズさんたちも無事かなあ。

 

そんな時にとしょかんで博士さんに聞いた話を思い出しました。パークで生きていく上では時に戦う事も必要だと、お前はまだフレンズとしての戦い方を知らないと。そして、僕はどんな特徴を持った動物か、僕はどういう事が得意な動物であるのか、僕がどんな進化をたどった動物なのか博士さんは教えてくれました。

その後、僕たちは色々な事を経験してセルリアンハンターになりました。もちろん辛いことも怖いこともありましたが、それ以上に考えて、励まし合って、支え合って。遂には皆から頼りにされるまでになりました。僕みたいな動物にもこういう役割や暮らし方もあるのだと気づき、皆を守れることを誇りに感じました。…でも、僕にはそれが幸せなのかどうかは分かりません。

 

必死に走っていると少し開けた場所に出ました。と同時に雨が降ってぬかるんだのでしょうか、足元の泥溜まりに気づかず僕は滑り、強く体を打ちました。体は泥にまみれ、へとへとの体にさらに痛みがのしかかります。呼吸もままなりませんが力を振り絞り立ち上がり逃げます。その時後ろにちらっと僕を追いかけている敵が見えました。

そんな事はないのでしょうが、その目は僕を笑っているように見えました。自分が誰か分かってないフレンズさん、お逃げなさい、逃げて逃げて逃げたその先に私を倒す手段はあるのかしら。そう笑っているように見えました。

 

思います。僕は一体何なのでしょう、誰なのでしょう。生まれた時から常にそう思い続けているような気がします。なんでそんなことを考えるようになったのでしょうか。サーバルちゃんとパークを旅することで、色々なちほーに暮らしているフレンズさんと問題を解決することで、としょかんで自分が何の動物か知ったことで、最期にヒトが目撃されたみなとにたどり着くことで、みんなで大きなセルリアンを倒しパークの危機を解決した事で僕は自分がどういう存在なのか知れたような気がしました。知れたような気でした。僕は…。

 

他の方ならこの敵をどう切り抜けるのでしょうか。カバさんなら、カワウソさんとジャガーさんなら、トキさんとアルパカさんなら、ビーバーさんとプレーリーさんなら、ライオンさんとヘラジカさんなら、博士さんと助手さんなら、ペパプのみなさんとマーゲイさんなら、ギンギツネさんとキタキツネさんなら、アリツカゲラさんとキリンさんとオオカミさんなら、セルリアンハンターのみなさんなら、ミライさんなら、ラッキーさんなら、サーバルちゃんなら。

そして僕はどう切り抜けるべきなんでしょうか、そしてヒトはどう切り抜けてきたんでしょうか。

 

僕は必死になって考え必死になって走ります。雨は止み、雲が流れて少し月明かりが木を照らしはじめました。

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