武術の天才は世界を巡る   作:ADONIS+

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10.犬夜叉

『聖闘士星矢』の世界で死亡した私は『犬夜叉』の世界で、桔梗の双子の姉・零菜として転生していた。

 

 この『犬夜叉』の世界は戦国時代の日本を舞台に、妖怪の妖力を高めてあらゆる願いが叶えるという宝玉・四魂の玉を巡り人と妖怪が争いある世界だ。

 

 私と桔梗は巫女として修業することになったが、桔梗の双子の姉だけあって容姿は桔梗そっくりの美少女になった。特に私たちは長い髪を元結で束ねており尚更見分けがつかなくなっていた。

 

 ここで紛らわしいから髪の長さや髪形を変えるという事はできなかった。というのも、私たちは巫女なので髪の長さや髪形は変えられないからだ。

 

 アニメやゲームなどの創作物では巫女と言いながら髪形どころか髪の色までやたらカラフルですが、それは創作物だから許されている事です。この世界は妖怪とかが蔓延り巫女さんが妖怪退治を行うのに巫女の形式はやけにリアルなんですよ。

 

 私と桔梗は巫女になるにふさわしい強い霊力をもっているが、霊力に関しては私の方が高かったりする。これはGS世界で修業した成果だろうね。

 

 巫女になる修行の過程で、この世界の巫女の技術を貪欲に取り込んでいく。この世界の巫女は霊力を用いてお祓いや妖怪退治などを行うためその技術は興味深かった。とはいえ、破魔の矢(はまのや)を使うためには弓を使う必要があったが、この時代の弓はかなり原始的だった。

 

 ちなみに私は弓も習得しているが、それはアーチェリーで弓道ではない。つまり和弓ではなく洋弓をやっていたが、この違いは弓の改良にある。弓道は精神鍛錬を重視するために弓を改良していないが、アーチェリーは積極的に弓の改良が進められていた。

 

 そして、20世紀になるとコンパウンドボウが発明されて、その差が一気に開いた。コンパウンドボウは滑車を用いた構造で、的を狙っている途中の負荷が軽くなるため扱いやくすなり命中率も向上したのだ。

 

 いうまでもなく私もこのコンパウンドボウを愛用しておりアイテムボックスにいくつも入れている程だ。その為、当然ながら現世でもコンパウンドボウを愛用していた。

 

 しかし、巫女さんに和弓ならともかくコンパウンドボウでは違和感がありますね。まあ、この時代じゃそんな様式美なんて誰も気にしないでしょうけど。

 

 

 

 修行を終えて村も戻った私と桔梗であるが、妖怪退治屋から汚れた四魂の玉を清める依頼が来たので、それを受けて四魂の玉を妖怪から守る任に就くことになった。

 

 四魂の玉を清めることはすぐにできたが、これを狙う妖怪たちから守るのは難しい為、四魂の玉を私のアイテムボックスに入れてダミーの偽物を桔梗に持たせていた。つまり、表向き桔梗が四魂の玉の守り手で、私はその手助けという形を取っていた。

 

 その結果、桔梗は犬夜叉と出会い、次第にひかれていくことになる。その頃の私はどうしていたかというと、怪我人の治療などをしており、その一環として野盗鬼蜘蛛と接触することになった。

 

 しかし、戦国時代なのに動けなくなった怪我人(それもまっとうな人間ではなく野盗)の面倒を見てやるなど面倒見がいいですね。姥捨て山みたく山に捨てていたと思っていたけど、そういった意味ではこの世界は人道的です。

 

 最も原作知識を持つ私は桔梗のように甘くはありません。この鬼蜘蛛を放置すれば数多の妖怪たちと融合して奈落が誕生してしまいます。だから鬼蜘蛛に積尸気冥界波を使って鬼蜘蛛をあの世に送ってやりました。

 

 そして、桔梗の霊力が低下してしまい、四魂の玉の守護の任を果たせなくなった為に、偽装工作を止めることにした。桔梗を守護の任から外して、私が四魂の玉をもって旅に出る事にした。勿論、その事は村中に触れ回った。そうすれば四魂の玉を狙うものたちの目は桔梗や村ではなく私に向かうはずだ。

 

 というか、そうでもしないと村や桔梗が妖怪たちに狙われてしまい、桔梗が犬夜叉と幸せになる事はできないでしょう。妖怪たちだって四魂の玉がないのならわざわざ村や桔梗を狙ったりはしないから、これが一番いい方法なんです。

 

 また原作知識から桔梗は黒巫女の椿から呪いを受けていたようなので、グリードアイランドで入手したあらゆる呪いを跳ね返せる聖騎士の首飾りを桔梗に渡し肌身離さず身につけておくように言っておいた。

 

 余談だが、聖騎士の首飾りの呪い返しで黒巫女の椿(つばき)が悲惨なことになったが、それは自業自得だ。人を呪わば穴二つというように本来呪いとはリスクをともなうものだ。呪っていいのは呪い返しを受ける覚悟のある奴だけだ!

 

 

 

 こうして、四魂の玉を持って諸国を巡る旅にでた。さて、前々から考えていたが、この四魂の玉を有効利用する方法はないだろうか? 

 

 四魂の玉は聖杯のようにあらゆる願いをかなえると言われているが、実際には持ち主の本当に願いだけは叶えないという問題がある。というか、そもそも万能の願望器という代物は無色でなければいけない。

 

 その意味では四魂の玉自体が意思を持ち、奈落を操るという行動までしているのは明らかな欠陥だろう。歴史上、四魂の玉が善行に使用された前例がないと言われていたのもそれが理由なのでしょう。

 

 そんな四魂の玉を使おうとするなら、いっそ自分や知人縁者の願いを叶えない方がいい。つまり各地を旅して無関係の民たちへの施しに使えばいい。怪我人や病人などこの国のどこにだっているのだ。四魂の玉でそれらの者たちを救済していけばいい。

 

 なまじ知人縁者であれば、願いに私情が入ってしまうが、無関係の民衆であれば私情を挟むことなく願いを叶えることができるだろう。何せ、私自身は民たちが救われようがそうでなかろうがどうでもよく、ただ四魂の玉を有効活用しているだけなのだ。

 

 こうした救済活動は上手く行き、巫女零菜の名を大きく広めることになるが、その一方で四魂の玉を狙う妖怪や人間たちに余計に狙われる羽目になるのであった。

 

 

 

 そして、200年後。戦国時代が終わり天下泰平の江戸時代になっていた。それだけに私やその周囲では大きな変化が起きていた。

 

 桔梗は犬夜叉と結ばれて夫婦となったが、50年ほどで病に倒れて亡くなった。とはいえ、この時代で60歳以上になったのなら十分長生きだっただろう。

 

 犬夜叉は桔梗を看取り埋葬した後に旅に出たらしく、その後の足取りはつかめていない。

 

 そして私は200年の間、民たちの救済と、四魂の玉を狙う妖怪や人間と戦う羽目になった。特に人間は厄介で、権力者などが四魂の玉を求めてきたが当然ながら引き渡すことなどできないので権力者たちと敵対してしまい、私は表向きには罪人扱いされる羽目になった。

 

 でも、この生活も悪くはなかった。特に妖怪たちとの戦いの日々は私の霊力をより高める結果となり、私の能力は大きく向上していたのだ。

 

 これまでの修行の結果、現世では200歳までは10代の少女のままの若さを保つことができるようになったが、200歳を超えたあたりで限界が来てしまい急速に老化してしまった。  

 

 私はすっかり年老いて衰えてしまった体に溜息をついた。この身体は長く持ったがもう限界だったので、私は次の転生の為に毒を飲んだ。享年218歳。




解説

■破魔の矢(はまのや)
 桔梗、かごめなどの強力な霊力を持つ巫女が放つ矢。弓矢に己の霊力をこめて放ち邪気や瘴気を打ち砕き、浄化する力を持つ。妖気を払うことによって、一時的にだが鉄砕牙の変化を解くこともできる。

■呪っていいのは、呪い返しを受ける覚悟のある奴だけだ!
 ゼロ(コードギアス 反逆のルルーシュ)の「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」のオマージュ。



あとがき

 桔梗が死なず奈落が誕生しなかった為に、犬夜叉と桔梗のハッピーエンドを迎えました。おかげにかごめはいらない子になってしまいましたが、ここまで円満な終わりはないでしょう。
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