私はハンター世界からジョジョの奇妙な冒険の世界に転移した。
1989年、日本国杜王町(もりおうちょう)に来た私は取りあえず前の世界で得た貴金属類の一部を売却して生活費にしていた。そして、承太郎たちがエジプトでDIOを倒した数日後に私は虹村形兆の家に向かった。
原作知識では虹村形兆の父親はDIOの配下で恐らくはスタンド使いだと思われるが、肉の芽が暴走しているため大した脅威ではないし、この時期は虹村形兆もただの小学生にすぎず、スタンドの弓矢の価値も知らないだろうから目的を達するのはこの時期が一番いい。
そこで私は虹村形兆に骨董品のコレクターと名乗り、スタンドの弓矢を一億円の購入したいと申し出た。虹村形兆も最初は幾分か警戒していたが、父親がおかしくなった今はお金は必要なので一億円というのは魅力的だったのだろう。割とあっさりと弓矢を売ってくれた。やっぱりどこの世界でもお金の力は大きいよね。前の世界でお金を荒稼ぎしておいて本当によかったよ。
さて、ここで弓矢と言っても本当に重要なのは矢に取り付けられている鏃なんです。これこそがスタンドの才能を引き出すアイテムですからね。そういえば原作では虹村形兆は人間に矢を突き刺した為に、スタンドの才能がある者は生き残りましたが、そうでない者は死んでいます。
まあ矢がまともに刺さったら当たり所が悪ければそうなりますが、別に突き刺さなくても普通に鏃で傷を負わせればそれでいいのではないのかと思うわけです。というわけで、鏃で私の指を少し傷つけてみた。
翌日、違和感を憶えた私はその違和感こそがスタンド能力のきざしだと判断して、それを引き出すべく試行錯誤を繰り返した。
その結果いくつかの事が分かった。まず私のスタンドは本体(私)と融合してその身体能力を大幅に引き上げる能力があるという事、次に本体及びその装備品(私の着ている衣服類と手持ちの武器)が任意の物質(生物)を透過できるという事、最後に戦う度に相手の能力を見切りどんどん強くなるという事だ。
これらの能力は第三部のアヌビス神によく似ている。違うのはアヌビス神が刀に宿り他人を操る事ぐらいだろう。このスタンド能力ではよくある策略を用いたトリッキーな戦いではなく、本体である私が直接敵と殴り合いや斬り合いをしなければいけないので、正統派といえば正統派といえるだろう。
しかし、よく考えてみればスタンドは本体の精神を表すものでもある。生身の戦闘能力を鍛え続けている私がこういう能力になるのは必然だったのでしょう。とりあえず私はこのスタンドを“戦士(ファイター)”と名付けて、スタンドを使いこなすべく訓練した。
アヌビス神のように刀を使って柱を透過してその先の物体を切り裂いたり、槍を使って壁を透過してその先の物体を貫いたり、とにかく色々と試すことが多くて、スタンドの訓練に五年ほど時間をかけた。
この能力はスタンドによる攻撃を除けば、敵の攻撃もすべて透過できるからある意味無敵だけど、スタンド使いとの戦いでは防御に難があるため何か微妙ですね。
さて、そろそろ次の段階に入りましょう。スタンドをあの矢で貫けばスタンドは更なる進化を遂げます。まあ私の場合は本体(私)と融合しているから私ごと矢で刺さなければいけませんが、仕方ありませんね。
私はファイターと融合した状態で鏃を私の右腕に突き刺した。そして、私のスタンドはレクイエム化して、“ファイター・レクイエム”となった。
このファイター・レクイエムは従来の能力の他に因果律を操る能力まで得ています。つまり因果律の操作によって、私の攻撃を敵に確実に命中させる一方で、敵の攻撃を確実に防ぐと言ったチート行為が可能になりました。マジで反則ですね。
そういえば、最近虹村形兆と虹村億泰が弓矢を返してほしいと言ってきました。なんでも父親を殺せるスタンド使いを見つけるためにスタンド使いを生み出す弓矢が必要だそうです。
ちなみに私のスタンドでも彼の父親を殺すのは無理です。確かに因果律を操れますが、レクイエム化して間もない私では命中率や回避率を弄る低度しかできないから、不死身の父親はどうあっても殺せません。そんな問答無用な攻撃力はありませんからね。
とはいえ、いっそのことマグマに叩き落としてしまえばあいつでも流石に死ぬと思うけどね。要は再生が追いつかない速度で肉体を破壊すればいいわけですから。第二部のカーズは火山のマグマに叩き落とされても生き残る事が出来たが、それはカーズだからできた事だ。
それを踏まえて、虹村兄弟の要求はどうしたものか。普通ならば上記の案を伝えて説得するべきだ。仮に強硬手段に出ても今の虹村兄弟はスタンド能力に目覚めていないから脅威ではない。だが、それでは原作ブレイクになってしまう。
仕方ないので、虹村兄弟と弓矢をレンタルする契約を結んだ。つまり弓矢の所有権は私にあるが、虹村兄弟に弓矢の使用権を一時的に認めるという形で、虹村兄弟が目的を果たすか目的を果たせない状態になった場合は、すみやかに私に弓矢を返却するというものだった。
これなら、虹村兄弟と対立しない為に彼らがスタンド能力に目覚めても私に牙をむかないだろう。まあ、たとえ向いてきても私の敵ではないけどね。
その後、原作通りに虹村形兆はスタンド使いを作りまくっていたが、東方仗助との戦いの後で音石明に殺されて弓矢を奪われた。まったく面倒なことです。あれは私の物なんですよ。
私は原作知識を活用して音石明と東方仗助の戦いの最中に、事前に調べていた音石明の部屋から弓矢を取り返しておいた。原作ではスピードワゴン財団の手に渡り保管される事になっていたが、この程度の原作改変ならば許容範囲内でしょう。
さて、余計な揉め事に巻き込まれるのはごめんだから、杜王町から離れた田舎町にでも住み着くとしましょう。そこでのんびりと能力の訓練をやればいい。