お蔵入り作品集   作:ADONIS+

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異世界で偽VRをやろう その二

<プレイヤー視点>

 

「ふ~ん、VRか。笑い話のネタにできるかな?」

 

 ゲーム専門学校の学生、長浦良二(ながうらりょうじ)はゲームをこよなく愛するゲーマーである。そんな彼は無料配布されたVR機器を見ていた。

 

 良二はゲームをするときは説明書などをよく読んでからするタイプであったので、同封の説明書と同人サークル『ウィッチズガーデン』のサイトを見て情報を得ていた。といっても良二はVRを信じてはいない。いくら何でも技術的に無理だからだ。それでも無料で貰ったものだから冷やかし感覚でやってみる事にした。

 

 このVRは装置を起動させると脳波信号を用いてゲーム内のアバターを操作する仕組みで、捜査中はプレイヤー本人は脳波信号が遮断されてしまうので、寝返りすらできなるなるらしい。その為、使用上の注意として、ログインはVR機器のヘッドセットを付けてベットもしくは布団に横になり、目を閉じてからログインしなければならないらしい。

 

 しかし、このVR機器と称するヘッドセットだが、VRMMORPGなのに電源コンセントやパソコンなどにつなげるケーブルすらない。本当にただ頭に装着するだけのパチモノぽい代物だ。流石に無料配布するだけはあるな。と思いながらも良二は実際にログインしてみた。

 

 

 

 結論から言おう。VRはマジものでした。ネタだとか思ってすみませんと、良二は心の中でウィッチズガーデンに詫びたのだった。

 

 まずログインしたときにキャラクター製作に入った。良二はネカマではないので当然性別を男にした。この設定では外見年齢、身長、座高、体重から始まり、肌、体毛、瞳の色、顔の造形などかなりこと細かく調整できたので、気合を入れて作り上げたけたけど、その直後には本当にどこの貴公子だよと突っ込みたくなるようなイケメン姿のアバターでVR世界の街にいた。

 

「おいおい、マジかよ」

 

 リョウ(良二はキャラクター名をリョウにしている為、ここではリョウと呼ぶべきだろう)は唖然とした表情でその光景をみる。その街は石畳に舗装された道、煉瓦や漆喰で作られた建築物が立ち並び、道を歩く人々もかなり古めかしいもので、中世ヨーロッパ風ファンタジー世界な雰囲気だったのだ。

 

「まさか異世界トリップなんてオチじゃないだろうな」

 

 あまりにリアルで信じられない光景にリョウはVRMMO物のネット小説で定番となっている異世界トリップを心配した程だった。

 

「まあ、とりあえず定番の情報収取をするか」

 

 ここでぼんやりしていても仕方ない。とにかくRPGのセオリー通りにやるとしよう。

 

 

 

 この世界ユースフィアは、女神ヒミカによって創造された世界で、人間だけでなく亜人と呼ばれる者たちもヒミカによって創造されて導かれている正に神代の世界。この世界には人間だけでなく亜人たちの小国家が乱立している状態であるが、だからといって争いがあるわけでもなく、女神ヒミカとヒミカを崇める女神教団の貢献もあって長らく平和な世が続いていた。

 

 しかし、突如として異世界から魔王とそれに従うモンスターたちがユースフィアに侵略してきたのだった。平和によって戦う術を知らぬ人々はそれに対抗する術もなく、この世界では多くの国が亡び、残された国もモンスターたちに多大な被害を受けている。

 この事態を打開するために、女神ヒミカは異世界から魔王を倒す勇者候補となる異世界人をこのユースフィアに召喚することにしたらしい(いうまでもないが、その勇者候補(異世界人)というのはプレイヤーの事である)。

 

 NPCから情報収集した結果、現在の情勢はこのような物だった。というか、これはゲームの説明書やサイトにのっていた情報とほぼ同じだ。やはり異世界ではなくVRゲームか。

 

 そういえばNPCの人間に俺が召喚された勇者候補だって教えてやったら、女神神殿にいくように進めていた。どうも女神ヒミカがこの街を含めた世界中の神殿に勇者候補生に便宜を図り手助けをするように通達しているようだ。これはまずはこの街の神殿に行ってイベントを発生させておいた方がいいだろう。

 

 

 

 というわけで到着した神殿は、かなり大きくて壮麗ないかにもファンタジーな教会であった。そんな神殿を興味深げに見つめながらもリョウは神殿に入っていった。

 

「おおっ、勇者候補の方でしたか。お会いできて光栄です」

 

 リョウは神殿にいるいかにも神官という服装の青年に話しかけたが、神官は勇者候補であるリョウを歓迎してくれた。そこでリョウはその神官からいろいろと情報収取をしたが、改めてリョウはNPCたちの自然な言動に感心していた。

 

 NPCだけに機械的な会話しかできないだろうと思っていたが、この神官を含め街の住民たちはまるで本当の人間のように感じられるのだ。サイトでは新技術によってNPCに独自の思考ルーチンが構築されて限りなく人間に近くなるようにしていると書かれていたが、これは想像以上の出来だった。

 

 

 

 さて、一通り情報を得たリョウは街を出てフィールドに行く事にした。そうRPGの定番たるモンスターとの戦闘である。

 

 街の位置口からある程度歩いて草原地帯にいると、遠くから何かが接近してきた。よくみればそれはこげ茶色な肌に、120㎝ほどのやや小型の鬼のような外見だった。リョウはその外見からこの辺りの草原で出没するゴブリンというモンスターだと判断して、初期装備のショートソードを鞘から抜き取ってゴブリンに斬りかかる。

 

「ぎゃっ!」

 

 リョウに切り付けられたゴブリンは派手に血を流し断末魔の叫びを上げてその場に倒れこんだ。リョウは念のために倒れたゴブリンに剣を突き刺して確実に止めを刺したが、死亡したゴブリンはゲームのように消えることがなくその場に死体を晒していた。

 

「おおっ、リアル!」

 

 てっきり倒したモンスターは消え去ると思っていたのに死体がちゃんと残るし、流血までするとはやけに凝ったシステムだと感心した。リョウはゴブリンの死体を興味深げに見ていたが、別のゴブリンがまたこちらに接近してきたので、リョウはまた剣を構えてゴブリンと戦闘を開始した。

 

 

 

 こうして三時間ほどゴブリンと戦っていたが、HPがやばくなったので一端街に戻ることにした。街の入り口まで戻ったリョウが遠目から先ほどの草原を一瞥すると、ゴブリンたちが仲間の死体をどこかに運び込んでいた。あのゴブリンたちがどういう意図でわざわざ死体を運んでいるかは知らないが、モンスターの死体がそのままあれば邪魔だし、街の近くで腐敗したら衛生環境に悪そうなので処理しているのかもしれないな。

 

 そんな不自然なまでにリアルな事情を考えながら街に戻ったリョウは、そのまま街の中央広場にあるヒミカ神像のところまで行くと神像に祈りを捧げてステータスを全回復させた。

 

 このユースフィアではヒミカ神像は街や村などには必ず一つは存在しており、それに祈るとありとあらゆる怪我や病気などが治ってしまうという設定で、プレイヤーもその恩恵を受けられると説明書に書かれていたが、本当にそうらしい。

 

 このユースフィア・オンラインはどうもレベルアップではなく、戦闘や訓練で地力を鍛えていくという異色のシステムらしく、ついでにモンスターと戦闘してもお金が入手できない。こうなるとお金に困るのだが、プレイヤーは飲食は無用で、回復もヒミカ神像に祈れば全快するので回復薬を買い込む必要もないのでお金に困ることはない。というわけで、リョウは再び草原にモンスターと戦いに行くのであった。

 

 

***

 

 

【VRMMORPG】ユースフィア・オンラインを語るスレpart3

 

248:名無しさん:2011/4/20(水)18:20:15

しかし、本当にVRが実用化されていたなんで驚きだよな。

 

 

249:名無しさん:2011/4/20(水)18:25:48

それ言えてる(笑)。

俺もてっきりネタだとばかり思ってたんだよ。

でも、やってみたらマジだったんだよな(汗)

 

 

250:名無しさん:2011/4/20(水)18:42:08

それにしてもウィッチズガーデンって同人サークルなのに、よくまあVRなんて超技術を実用化できたもんだよ。

技術ブレイクどころじゃねぇだろ!

 

 

251:名無しさん:2011/4/20(水)18:55:32

それだけスゲーってことだろう。

ウィッチズガーデン、マジ天才!

 

 

252:名無しさん:2011/4/20(水)19:02:04

あのVR技術を知った俺の知り合いがウィッチズガーデンにメールで問い合わせしたけど、部外秘の一点張りでお断りされたんだよな。

 

 

253:名無しさん:2011/4/20(水)19:11:47

まあ、あれだけの技術だからな。

断られるのも無理ないぜ。

 

 

254:名無しさん:2011/4/20(水)19:17:21

そういえば、ゲームでNPCを強姦したプレイヤーがNPCの兵隊に捕まって牢屋にぶち込まれたらしいぜ。

 

 

255:名無しさん:2011/4/20(水)19:22:54

またか、マナーが悪いプレイヤーが多いな。

 

 

256:名無しさん:2011/4/20(水)19:30:21

まあ、ゲームでいくら悪事をやってもリアルじゃ犯罪にならないから、調子に乗って羽目を外しているプレイヤーが多いよな。

おかげで何もしてない俺達まで悪影響が出てきてやがる。

 

 

257:名無しさん:2011/4/20(水)19:37:05

ああ、神官とかユースフィアの勇者たる俺を不信そうに見ているからな。

困ったもんだぜ。

 

 

258:名無しさん:2011/4/20(水)19:42:34

おおっ、いきなり勇者宣言か!

まだ誰も勇者認定されていないのにやるな。

 

 

259:名無しさん:2011/4/20(水)19:48:04

ふっ、その通り。

ユースフィアの勇者とは俺の事だ!

 

 

260:名無しさん:2011/4/20(水)19:55:11

しかし、このユースフィアはリアルの24倍だから時間がたっぷりあるよな。

 

 

261:名無しさん:2011/4/20(水)20:01:20

ああ、リアルの一時間がゲームじゃ一日なんて、どこのネ○まの別荘だよ(笑)。

 

 

262:名無しさん:2011/4/20(水)20:07:15

時間の有効利用している感じがしてとてもいいよな。

というか、教科書とか持ち込んでテスト勉強とかできたら便利だよな。

その辺りのサービスとかやってくれたらもっと人気がでるんじゃねぇ?

 

 

263:名無しさん:2011/4/20(水)20:12:50

おお、確かにリアルで一夜漬けするよりも楽だな。

 

 

264:名無しさん:2011/4/20(水)20:19:03

でも、ゲームで勉強というのもアレだよな。

 

 

265:名無しさん:2011/4/20(水)20:22:24

それは確かに言えてる(笑)。

 

 

266:名無しさん:2011/4/20(水)20:28:51

そういう考えもあるけど、いざというときに役に立つと思うから、ウィッチズガーデンには是非とも導入してほしいシステムだよ。

 

 

267:名無しさん:2011/4/20(水)20:35:41

おいおい、無料で遊べるんだからあまり無茶言うなよ(汗)。

 

 

268:名無しさん:2011/4/20(水)20:41:36

そういえば、このゲームは定額課金のみならずアイテム課金もないよな。

おかげで完全無料で遊べるけど、これ利益ないんじゃね。

ウィッチズガーデンは本当に大丈夫かよ?

 

 

269:名無しさん:2011/4/20(水)20:47:21

企業じゃなくて同人サークルだから利益度外視なんだよ。

ありがたい話さ。

 

 

270:名無しさん:2011/4/20(水)20:52:35

サイトにも“リアルの金銭事情に影響されずにすべてのプレイヤーが公平にゲームを楽しめるように完全無料にしました。”と書かれていたからな。

そうなんじゃね。

 

 

271:名無しさん:2011/4/20(水)20:59:04

ところでさ。

このユースフィア・オンラインは剣と魔法のファンタジー世界って謳い文句だけど剣ばかりで全然魔法が出てこないよな。

ちゃんと魔法あるの?

 

 

272:名無しさん:2011/4/20(水)21:03:25

そりゃ始まりの街があるユーヤット王国は剣の国だからな。

剣士や騎士ばかりで、魔法使いなんていないざ。

 

 

273:名無しさん:2011/4/20(水)21:14:36

そうそう、ウィキペディアにも書かれていたけど人間が魔法を使うにはまず魔力とMP上げておかないと使い物にならないらしいぜ。

だから序盤は剣ばかりだよ。

 

 

274:名無しさん:2011/4/20(水)21:21:56

NPCに聞いたけど、魔法の国イマジカ王国にいけば魔法を学習できる筈だから頑張ろうぜ。

 

 

275:名無しさん:2011/4/20(水)21:28:12

めざせ国境越えだな。

当然、その辺りのモンスターは強力だろうから、能力を引き上げておかないとな。

 

 

***

 

 

 良二がユースフィア・オンラインを始めてからすでに二週間がすぎていた。その間、多くのプレイヤーがユースフィア・オンラインに参加して大いに盛り上がっていた為、某掲示板の書き込みも多かった。

 

 良二はこのゲームのトッププレイヤーの一人である。何と言っても配布初日にVR機器を入手したのが大きかった。勿論専門学校に通っている為にネット廃人のようにゲーム三昧ではなく、ゲームができる時間は限られているが、良二は睡眠時間を使用してプレイ時間を確保していた。

 

 これで気付いたのが、どうもこのVRは仕組みが特別らしい。通常VRという事は自分の身体を動かしていなくても脳自体は起きているから徹夜にしかならないはずなのに、何故が肉体的には疲れがぐっすりと取れており、十分睡眠をとったと実感できるのだ。例えるなら精神的には覚醒状態なのに肉体的には睡眠状態になっているみたいなのだ。まあ、不都合でもないから別にいいが不可解な事だ。

 

 さて、ファンタジーといえば何といっても魔法である。ところが、このユースフィア・オンラインでは魔法は初期段階では使用できない設定になっていた。始まりの街に相当する剣の国ユーヤット王国でステータスを上げていき、国境を越えて、魔法の国イマジカ王国にいかないと魔法を学ぶことすらできないのだ。

 

 前回は訓練や戦闘で地道でステータスを向上させた良二は国境を越えてイマジカ王国に到着した所でログアウトしたが、某掲示板の書き込みではまだ良二以外にイマジカ王国に到着した者はいないようだ。とりあえず、イマジカ王国を観光がてら情報収集するとしよう。

 

 

 

 そんなわけで、イマジカ王国城下町で情報収集したリョウは王立図書館で霊子学初級教科書を読んでいた。この世界のユースフィア式魔法は生命体が持つ魂の力である霊子力を制御して、詠唱で意味を持たせて発動させるというシステムであった為に、霊子力を学ばないと話にならないのだ。

 

 初級教科書と言うだけあってあくまで初心者レベルであるが、それでも魔法で炎や氷などを出せたときには興奮したものだ。これまでやったRPGでも魔法は当たり前のようにあるが、VRだからとても臨場感があって、まるで自分が本当に魔法使いになったような錯覚してしまうほどだ。

 

 リョウは魔法にハマり霊子力初級教科書の知識をものにしていった。そうこうしている内に後続のプレイヤーも魔法を習得していき、リアルで一ヶ月後には魔法を使えるプレイヤーがかなり増えていたが、そんなときにプレイヤーがリアルでユースフィア式魔法を使えるようになったという事態が発生して世間を驚愕させた。

 

 

***

 

 

【VRMMORPG】ユースフィア・オンラインを語るスレpart21

 

120:名無しさん:2011/5/24(火)18:02:55

ユースフィア・オンラインってゲームじゃなかったのか。

なんでゲームの魔法が使えるようになってるんだよ!

 

 

121:名無しさん:2011/5/24(火)18:08:32

わけわからんけど、サイトではバグって話だよな~。

何か苦しい言い訳だけど。

 

 

122:名無しさん:2011/5/24(火)18:15:36

めっちゃ苦しいな(笑)。

大体バグで魔法が使えるわけないだろ。

これってあれか、あれは本当はゲームじゃなくて異世界トリップしてましたというオチ?

 

 

123:名無しさん:2011/5/24(火)18:26:11

そりゃないだろと言えそうにないのがつらい!

 

 

124:名無しさん:2011/5/24(火)18:33:03

どっちでもいいけど、お前ら絶対にリアルで魔法を悪用すんなよ。

ウィッチズガーデンが潰れたらゲームできなくなるからな。

 

 

125:名無しさん:2011/5/24(火)18:38:22

それがあるか。

そういや、サイトでもリアルで魔法を悪用しないで下さいと書かれていたけど、使う奴は使うだろうなあ。

やばくねぇ?

 

 

126:名無しさん:2011/5/24(火)18:44:41

やばいなんてもんじゃないぜ。

魔法を使えるようになったプレイヤーが何人いると思っているんだよ!

ただじゃすまないよな。

 

 

127:名無しさん:2011/5/24(火)18:50:01

嗚呼、血を見ずにはいられないということか。

犠牲になる人は南無~だね。

 

 

128:名無しさん:2011/5/24(火)18:53:45

魔法犯罪か。

新しい時代がくるな。

 

 

129:名無しさん:2011/5/24(火)18:58:14

新しい時代がくる。

日本の夜明けじゃーーー!!!

 

 

***

 

 

 良二は情報集めの為に某掲示板を眺めていた。彼にとってもこの事態はあまりにも想定外だったのだ。そんなときにあるニュースが流れた。それは魔法を用いた連続殺人事件が発生したというもので、それを見た良二の顔は引きつるのだった。

 

 その事件以降、魔法という超常の力を手にしたプレイヤーたちは当然ながらリアルでもそれを使いたくなり、魔法犯罪が続発するようになった。といっても魔法という未知の存在に治安当局もまるで対応できずに動揺していた。

 

 さもあらん。剣や銃器で武装した犯罪者が事件を起こるというのは想定されているだろうが、剣や銃器ではなく、魔法というファンタジーな代物が相手なのだ。そんな代物と対処しなければならなくなった政治家や警察官はたまったものではないだろう。

 

 当然ながら、魔法を使えるプレイヤーの存在を日本政府と警察が危険視するが、何を持って彼らを抑えるのかすら決まらない。というのもこれが武器で武装してるのならば銃刀法で逮捕できるし、爆発物を保有してるのならば爆発物取締罰則が適応できるが、魔法を規制する法律などありはしないのだ。そこで彼らがとった方法が大本のウィッチズガーデンを強制捜査することだった。

 

 罪状は何?と突っ込み処満載であったが、警察としてもいちいち罪状を調べようがなかったのだろう。なにせ彼女たちはゲームの運営をしてるだけで武器を所持しているとか詐欺をやったなどという問題は何もやっていないのだ。

 

 とにかく、ゲームを廃止させて魔法使いなどという存在が出てこないようにしようとしたのだろうが、これが上手くいかなかった。

 

 それは、いくら捜索してもゲームの運営に使われている機材が発見できなかったからだ。ぶっちゃけWebサイトの更新に使用していたパソコン位しか押収できなかったのだ。勿論、警察はウィッチズガーデンのメンバーたちにも尋問したが、何も知らないと一点張りで、埒が明かないと判断したのか彼女たちは全員警察署に連行されたのだった。

 

 当然ながらこの無茶ぶりには色々と問題になったが、そこまでやってもユースフィア・オンラインがつつがなく運営されていた事には良二は驚きを隠せなかった。サイトの更新こそなくなったが、VR機器の配布は日本各地で行われており、次々に新たなプレイヤーが参加していった。

 

 政府はユースフィア・オンラインをプレイしないように呼びかけているがあまり効果がでていない。世界初にして唯一のVRゲームというのもあるが、このゲームで魔法を覚えたらリアルでも魔法を使えるようになるのであまりにも魅力的なのだ。かくいう良二にしても今更ゲームをやめるつもりはない。

 

 この世界にはまだ霊子学中級教科書と霊子学上級教科書があり、これらをマスターすればもっと沢山の魔法が使えるようになると知って挑まない筈がないだろう。

 

 こうして、第97管理外世界にユースフィア式魔法が広まっていき、日本は魔法技術先進国となっていくが、それはまた別の話。

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