<NPC視点>
この世界ユースフィアに千年ぶりに魔王が現れて、各地で魔王率いるモンスターの軍勢が人々を襲うようになった。いくつもの国々が滅び、危機に陥った時、女神ヒミカが千年ぶりに異世界人の勇者候補たちを召喚した。
実のところこの勇者候補召喚というのは、かなりリスクを伴うものであり、安易に行えるものではなかったが、状況が状況なだけに仕方がない。
ここで、何故召喚にリスクを伴うというかというと、召喚される勇者候補は必ずしも善人ばかりではないからだ。むしろこの世界の危機を無視して好き勝手に活動するのはまだいい方で、最悪なのが強姦殺人などの犯罪を繰り返す悪人を呼び出してしまうことすらある。
実際、千年前は勇者候補の犯罪者たちによってユースフィアの人々はかなりの被害を受けた。要はこの世界を救うべく召喚された勇者候補によってこの世界の人々が害されるという笑えない状況になってしまったのだ。
当然、こうなるとユースフィアの人々が勇者候補を見る目が非常に厳しくなるが、それでもなんとか魔王討伐に成功したという過去があっただけに勇者候補の召喚には消極的ながらも一応賛成していた。
案の定、今回召喚された勇者候補たちもその多くが魔王討伐に興味を持たずに犯罪に手を染める者まで出てしまった。そうした者たちはその罪状に合わせて禁固刑に処されることになったが、ユースフィアの人々が勇者候補たちを警戒するようになったのは言うまでもないだろう。
これにはユースフィア・オンラインをクリアしてしまったらこのゲームは終了していまいプレイできなくなるという理由もあった。プレイヤーにとってNPCの苦難よりも自らの娯楽の種の方がよっぽど大事だったのだ。
それでも攻略組と呼ばれる一部の勇者候補たちは攻略に熱心で、魔王討伐まであと一歩のところまで進んでいたので、ユースフィアの人々は何とか我慢するのであった。
そして魔王侵攻の50年後にようやく勇者候補のパーティが魔王討伐を果たして、ユースフィアに再び平和が訪れたのであった。
<地球視点>
西暦2035年、地球は魔法科学が文明の最先端となっていた。あらゆる分野で霊子学と科学を融合させた魔法科学技術が幅を利かせており、むしろ先進国ではそれがスタンダードだったのだ。
この時代の波に一番乗っていたのは言うまでもなく日本国だった。そもそも魔法科学とはユースフィア・オンラインで入手した霊子学の知識を元にしているだけにプレイヤーの大多数が日本人であった為、日本国がその情報を一番早くそして一番多く確保できたのは言うまでもない。
そもそもの切っ掛けは、20年前に日本でユースフィア・オンラインをプレイしたプレイヤーたちが魔法という新しい力を得た事だ。当然、魔法を悪用した者が出てきたために社会問題になった。
勿論、政府も馬鹿ではないので、速やかにその対策を講じる為にユースフィア・オンラインや魔法に関する情報を集めた。その過程でユースフィアの霊子学がとても価値があることに気づいたのだ。そうとわかれば政府も国家ぐるみで霊子学の研究に乗り出して次々に成果を出すのであった。
そんな日本に他国も魔法の情報を得ようとしたが、ここでキリスト教やイスラム教などの一神教の国々は宗教問題に引っかかってしまった。その所為で動きに乗り遅れ気が付いた時には日本とかなりの差がついてしまっていたのだった。
とはいえ、基本的にスパイ天国な日本だけに各国は日本から技術を盗み出すことに成功して、先進国で魔法科学が研究されることになるのであった。
魔術協会や聖堂教会もこの事態には気付いていたが、ここまでくるとどうすることもできず傍観するしかなかった。かくして神秘が薄れて衰退する魔術を他所にユースフィア式魔法が大いに発達するのであった。
あとがき
今回、エリーゼが魔術師たちをあざ笑うためにわざわざ型月世界で未知の魔法技術を広めましたが、やはり下位世界に不必要な技術漏洩を避けるという監察軍の方針に反する行動ですから正史ではこんな事は実行できません。だからあくまで嘘ネタです。後、エリーゼはゲームクリア後にさっさと型月世界から撤退しており、型月世界は魔術師はエリーゼにさんざん引っ掻き回された挙句逃げられてしまい、いいところなしです。