私、風間ちとせは誰もが認める大和撫子です。前世が男だったことから理想の大和撫子を演じてきたことから女形の魅力すらもつ私はトリッパーの間でもある意味有名です。
そんな私は、BETA地上侵攻の5年後の1978年に『マブラヴ』の世界から撤退して監察軍に所属することにして20年がすぎましたが、ここで『仮にも故郷を見捨てて知らないふりをするのは大和撫子としてどうなのか?』と思ってしまいました。
一度思ってしまうとそれは気になって仕方がありません。ですが、だからといって私の外聞だけで今更あの世界に干渉するのは気が引けてしまうという理由から思い切った行動ができずに悩むことになりました。
そうこうしている内にBETAの日本侵攻が行われて帝都京都が陥落してしまいました。現地の日本人にとっては悲劇なのでしょうが、私にとってはそこは重要ではありません。問題なのは故郷を見捨てたことで発生するでろう外聞の悪さなのです。
仕方ないので、私はトレーズ総司令官にマブラヴ世界に対して干渉する許可を貰うことにしました。本来あの世界は私の縄張りなのでどう行動しても自由なのですが、今回は監察軍の装備を使用する関係上、総司令官の許可を貰わなければなりません。
ついでにいうならば、表立って故郷を救おうとしたという行動をすることで私の評判を守るという意味もあります。つまりこの行動はパフォーマンスにすぎないので却下されても問題ありません。要は故郷を救うべく動いたという姿勢を見せておけばいいのです。
しかし、意外なことに私の要請は司令部から許可を貰いました。やはり私の行動計画が効率的すぎたから問題ないと判断されてしまったようですね。
正直却下されると思っていたのですが、許可されてしまったからには実行しないといけません。そんな事情で私はあの世界に向かう事にしました。
かくして、私は監察軍の巡洋艦でマブラヴ世界の地球近郊まで来ていた。この巡洋艦は監察軍が主に使うガーティ・ルー級汎用巡洋艦で、巡洋艦でありながらざまざまな用途で使用できる汎用性の高さを持っているが、特にミラージュ・コロイドを用いたステルス機能の高さはかなりのものである。
当然ながらそんな巡洋艦なだけにマブラヴ世界の宇宙軍ではこの巡洋艦を発見することなど不可能です。とはいえ、今回の主役はこの艦そのものではなく、この艦に搭載しておいた新型巡航ミサイルです。
ブリタニア帝国軍では可変戦闘機に使われるマイクロミサイルの他にも対艦・対地攻撃用の巡航ミサイルも当然ながら配備されていますが、この手のミサイルは使い捨てな上に、迎撃されることが前提にしているので、数で攻撃する飽和攻撃が重視されていました。
しかし、第一次ベヅァー戦争後の戦力再編の過程でこの巡航ミサイルの改良に監察軍は着手していた。
ここで言うまでもありませんが、ミサイル迎撃に一番有効なのがレーザー砲です。ディストーションフィールドであっさりと防げるので過小評価しがちですが、その命中率はあらゆる兵器の中でも最も優れています。それはブリタニア帝国軍では駆逐艦のレーザー攻撃でミサイルを掃討するのが基本戦術であることからも伺えます。
そこで、レーザー攻撃に耐えられるミサイルを開発すればミサイルの命中率が大幅に向上する、という考えからディストーションフィールドを展開することができる新型巡航ミサイルを開発されました。
この巡航ミサイルは従来の巡航ミサイルにディストーションフィールド発生装置とその動力源としてパワーエクステンダーを組み込んだもので、その分ミサイルが大きくなってしまいましたが、それだけの価値はあります。
ちなみにディストーションフィールドは言うまでもありませんが、『機動戦艦ナデシコ』で登場する光学兵器、特にレーザー砲に対しては極めて強力な防御力を発揮するバリアで、監察軍およびブリタニア帝国軍では広く使用されている防御手段です。
またパワーエクステンダーは『機動戦士ガンダムSEED』のオーブが開発した大容量バッテリーで、ブリタニアでは民生品として自動車などに広く使用されています。
ここでミサイルのような兵器にバッテリーを搭載するのは意外かもしれませんが、そもそもミサイルは一度だけそれも限られた時間だけ使用したら終わりの使い捨てですから、ディストーションフィールドを発生させる為とはいえ一々動力炉を搭載する必要がないことから、より安価なバッテリーで済ませたわけです。
このディストーションフィールド搭載型巡航ミサイルの弾頭は純粋水爆、N2兵器、フレイヤなど用途に応じて弾頭を切り換えているが、今回はフレイヤ弾頭にしています。やはりハイヴがやたら頑丈で地中深くに根を張っている以上、地下に対しても威力を発揮するフレイヤの方が効果的です。
私は巡洋艦より多数のディストーションフィールド搭載型フレイヤ弾頭ミサイルを発射した。そのミサイルは一気に大気圏を突入してユーラシア各地と日本列島に点在するハイヴに向かっていった。
当然ながらアメリカ軍や国連軍は突如として現れた未確認物体に驚愕して、慌ててそれを迎撃しようとしたが、到底間に合う筈もなくハイヴへ降下していった。
そして標的たるBETAの方でもミサイルを感知して光線級や重光線級にレーザー攻撃を加えたが、ミサイルのディストーションフィールドによってことごとく防がれてしまう。そんなミサイルを迎撃しようとさらにレーザー攻撃の集中攻撃を仕掛けるがそれでも効かなかった。
そして目標地点に到着したミサイルはフレイヤ弾頭を起爆してハイヴを多数のBATAもろとも消滅させたのであった。
ちとせはフェーズ4以下の小規模のハイヴの場合はその規模に応じてフレイヤ弾頭にリミッターを付けて威力を抑えているが、オリジナルハイヴを含めたフェーズ5以上のハイヴにはリミッターを外した最大出力のフレイヤを打ち込んでいた。
いくら核兵器にも耐える頑丈さをもつハイヴでもコードギアス世界において猛威をふるったフレイヤにはどうにもならなかった。かくしてマブラヴ世界は1998年12月15日にBETA大戦の終わりを迎えるのであった。
「こんなところですね」
私はすべての地球上のハイヴがすべて消滅したのを確認して、その場から引き上げました。
流石に他国の領土に勝手に宙対地爆撃を加えたと公表するのは拙いから、今回の攻撃は対地攻撃訓練として扱われることになります。その為、もしも後々この件で追及されても、異世界の惑星で訓練をしていたらたまたまその惑星に文明があったとしらを切りただの誤射扱いになるでしょう。
まさに「一発だけなら誤射かもしれない」というところですね。といっても、私は1発ではなく20発以上もミサイルを撃ち込んでいますけど(笑)。
それはともかく、ここまでしてあげれば後はこの世界の人間だけ十分対処できる筈です。流石に各国の復興支援までしてあげるつもりはありません。第一そんな許可がおりないでしょうから私にできる事はここまでですね。
「ああ、孤軍奮闘して故郷を救うなんて、私はなんて健気な少女なのでしょう」
私はそんな自画自賛に浸りながら監察軍に帰還するのであった。