マブラヴ世界では、1998年12月15日に謎の攻撃によって突如としてBATA大戦が終結することになったが、それで平和にならないのがマブラヴ世界であった。
突如としてユーラシア全土が解放されたことから各国は国境線や残された資源を巡って対立し、BETAという外敵によって無理やり蓋をされていた民族・宗教の問題が噴出してしまっていた。
アフリカでは資本流入がなくなり経済が混乱したところを民族対立が表面化して、東アジアでは中華人民共和国と中華民国が対立していた。
また国土の半分が焦土と化してしまった日本は復興資金確保の為に大規模な軍縮を行おうしたが、近衛軍と軍部がそれに反発して政府と軍部及び城内省が対立しており、復興を大きく妨げていた。
そんな中でアメリカは圧倒的な軍事力で各国を抑えつつも、月や火星から来る降下ユニットの迎撃をしていたが、流石に面倒になったのだろう。まずはBETA特に地球から近くに存在する月を攻略してからじっくりと地球の問題を取り組むことにした。
そのアメリカの切り札となったのがG弾であった。これはちとせが大量破壊兵器でハイヴを一気に潰したことも影響していた。誰がどのような兵器でそれを成したかはわからなかったが、強力な大量破壊兵器を用いてハイヴを一気に潰す戦略が妥当であるとアメリカは判断してしまったのだ。
その結果、アメリカは原作のバビロン作戦でユーラシア大陸に点在するハイヴに対してG弾集中投入するかわりに、月にG弾集中投入するトライデント作戦を立ち上げてしまう。その為、アメリカは本来ならばバビロン作戦に使用される予定だった宇宙移民船を戦闘艦として建造し大規模宇宙艦隊を用意した。
かくして2004年12月15日、アメリカ宇宙軍は月のハイヴをG弾で一斉攻撃した。その結果、月のハイヴは軒並み壊滅したが、その代償はあまりにも大きかった。本来ならバビロン作戦後に地球で発生する悲劇がこの世界では月で発生してしまい、月の一部が砕け軌道がそれてしまったのだ。
月の一部が砕けたことと、月そのものが軌道をそれてしまったことは地球環境を激変させた。火山の噴火や地震などの天変地異が次々に襲い掛かり、そこに砕けた月の欠片が多数の隕石群として地球に落下してきたのだ。
この隕石落下で多くの大都市が消滅し、その衝突で舞い上がった膨大な量の粉塵が太陽光を遮り、地球全土で氷河期のような寒冷化までもたらすことになった。
また、この大被害だけでなく、月の破砕でアメリカを筆頭とした人類の宇宙戦力は壊滅した影響で、人類の防衛網に大穴が空いてしまい、火星から来た降下ユニットが中国の長春市(ちょうしゅんし)に落下してしまった。
しかし、その降下ユニットを攻略する力など最早人類にはなく、BETAはオリジナルハイヴを構築して、人類は天変地異に襲われる中で第二次BETA大戦を迎えるのであった。
再び人類が迎えたBATAとの戦いであるが、それは前回よりも遥かに厳しいものであった。何故なら多くの国が国家体制を維持できずに崩壊する中で、この期に及んでも生き残った人類は協力することなく争い合っていたのだ。
それはまるで「人類あい争い、余力を以ってBETAと戦う」と言わんばかりの愚かな行動だった。といっても、ここまで末期的な状況では人類が全力でBETAにあたっても勝利するのは難しいだろうが、少なくとも、人類が一丸となってBETAに対抗しなければならない時にこのような内ゲバをやっていたのでは、状況が悪化する一方なのは言うまでもないだろう。
そんな状況でBETAに対抗できるわけもなく、次々にハイヴが増加してBETAが勢力を拡大していく。当然ながら日本帝国も例外ではなく、なまじ国土のすぐ近くでオリジナルハイヴができたものだからすぐにBETAの再侵攻を受けてしまった。
日本帝国は隕石の直撃こそ受けていなかったものの日本海や太平洋で落下した隕石によって発生した大津波の被害と、隕石落下の影響で巻き上げられた重金属や放射能などによって国土を汚染されて、食料の生産すらおぼつかない有様だった。ただでさえ国土が半壊していたところに一連の被害で経済が破綻していたこともあり、まともに戦える状態ではない。
一部には、かつてのように神風が吹いてBETAがやられるに違いないと言う楽観論者もいたが、そう都合よく救いの手が差し伸べられることはなかった。
結局、日本にできた事はBETAの足止めしつつ政府機関や一部の国民をオーストラリアに逃がす事だけだった。当然、オーストラリアで辛うじて再建できた日本の亡命政権はかつてとは比較にならない三流国に転落してしまったのであった。
解説
■トライデント作戦
原作では桜花作戦が失敗した時に発動するG弾を投下する作戦。この世界では月をG弾で攻略する作戦名となっている。
■長春市(ちょうしゅんし)
中華人民共和国吉林省に位置する副省級市で同省の省都。朝鮮半島や日本のすぐ近くにある。
■人類あい争い、余力を以ってBETAと戦う
『陸海軍あい争い、余力を以って米英と戦う』という史実の皮肉をオマージュしたもの。
あとがき
要は大量破壊兵器でハイヴを一掃なんかしたらG弾大好きなアメリカがユーラシア大陸のかわりの月をG弾で攻撃して滅茶苦茶にするでしょう、というお話です。