氷結の女王   作:雪楓❄️

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大分間が空いて申し訳ないです。

あと少しで受験も終わるのでそうしたら、更新自体は以前のように出来ると思います


シヴァのスキルを時空之王に変更しましたのでよろしくお願いします。能力自体はクロエのものとほぼ同じです。



第2話

村への滞在許可を得た私は特に何かをするということも無く、ただただ村の見学をしていた。

私が魔王の1人だということは既に村中で周知のこととなっており、私に話しかけてくるような人は残念ながらいなかった。リムル=テンペストと名乗った彼女も、オークロードとの来るべき戦に向けて毎日のように特訓をしているため、私の話し相手と言えば彼が私の案内役に付けてくれたこの村の村長であるリグルドさんぐらいなものなのである。

 

「シヴァ様、失礼を承知で質問なのですが……魔王であるあなた様がこの森にいらしても大丈夫なのですか?」

 

かなり畏まった様子で彼はそう聞いてきた。

彼が言っているのは多分不可侵条約のことだろう。確かにこのジュラの大森林は人間、魔王共に不可侵としている。理由は暴れん坊のヴェルドラのせいなのだが。

彼が心配しているのは多分私自身のことだろう。他の魔王との条約違反になるのではないかと。

 

「そうだね…、別に干渉しているわけじゃないから大丈夫じゃないかな?ギィたちには探索の許可は貰ってるし、問題のヴェルドラは反応すらないわけだからね」

 

と言ったものの、私がこの場にいるということ自体全く干渉していないとは言い難い。魔王ともなれば、他の魔物とは魔素の桁が違うわけで抑えていなければ周りへ影響を与えかねない。

 

「そ、そうでありましたか。余計な心配を……」

 

「いえいえ、ご心配ありがとうございます」

 

これ以上畏まられるのは私としてもあまり気分がいいものでもないため、謝られるよりも前に感謝の意を伝え彼の言葉を遮った。

 

(……それにしても、彼は勝てるかな。見たところ、現状は彼の方が上だろうけど……今回は如何にもって感じだし)

 

戦とは何が起こるかわからないが、私の心配が杞憂であることを願うだけだった。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

私がこの村を訪れてから1週間ほど。

彼らは沼地へと出立していった。

 

(………ギィのやつめ……、あそこまで怒ることも無いのに…。それに、リムルたちの人の良さにも驚いたなぁ。そう言えば、ミリムに誘われてたのすっぽかしちゃったけど……、まぁフレイがどうにかしてくれるか!)

 

この村に少しの間滞在することになったため、ギィたちへの報告に一度だけ向かったのだがその際にかなり怒られたのだ。

不可侵条約を無視してこの村に関わった私が悪いのだが、転移先が転移先だったのだがら許して欲しいものである。

とはいえ、怒られはしたもののこれ以上の干渉をしないということで滞在自体は許してもらった。だが、許可してもらったのは残念ながら滞在のみで防衛については干渉になるからダメとのことだった。

そのため、私はリムルにその旨を伝えたのだが彼女はそれでもこの村に居てくれて構わないと言ってくれた。だからこそ、私はこの村にいることが出来た。

 

(……さて、私も見学させて頂こうかな。リムル=テンペスト、あなたの力がどれほどのものかを)

 

私は【氷月之王】の能力により背中に氷の翼を発生させて、戦闘が行われているという沼地へと向かった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「やるね、あの鬼人たち」

 

私の眼下に広がる光景は、戦というよりは蹂躙という言葉の方が当てはまる状況だった。

圧倒的に数で勝っているオーク軍は、リムルの配下である鬼人たちの手によってその数を見る見る間に減らしていた。

 

「………お、今度は何かな?」

 

1匹の牙狼の咆哮に反応するかのように変わりゆく空。それに伴って、鳴り響く雷鳴。

そして、牙狼の2度目の咆哮により嵐が巻き起こった。

 

「……うわぁ」

 

前世で目の当たりにしていたら確実に死を覚悟していたであろう現象。今では少ししか驚かなくなってしまった辺りにこの世界にたいして適応していることに気が付かされる。

 

(………彼らは未だに動かないか)

 

両大将はただこの現状を私と同じように傍観しているだけで全く動こうとはしない。戦況が圧倒的に有利なリムルはまだしも、オークロードに関してはそろそろ動きだしてもいい頃合い。とはいえ、彼が動いたところで現状勝ち筋はない。むしろ、彼一人では鬼人たちすら倒せるか怪しい。

 

「さてさて、この戦況をどう覆すのかな?黒幕さん」

 

 

 

 

私の考え通り、数分もしないうちに状況に変化が訪れた。

どちらの大将が動き出したという訳ではなく、たった一人の乱入者の手によって。

 

(………ゲルミュッド?そんなのいたかな…)

 

突然の乱入者"ゲルミュッド"は自分自身を上位魔人だと名乗ったが、私の記憶の中にそんな名前の上位魔人は存在していなかった。流石に全上位魔人を覚えている訳では無いが、魔王たちの配下にいる強者の顔と名前はある程度覚えている。

あのような力無き魔人が今回の1連の騒動の黒幕だとしたら、私からしたら興醒めもいいところだ。

 

「…………帰ろうかな」

 

既に勝負の見えた戦いをこれ以上見ていても楽しい訳もない。それこそ、あの魔人がもう少しマシならば可能性もあったがそれもない。その証拠に彼の攻撃はリムルによって、完全に防がれていた。

 

 

状況がさらに変わったのは私が見切りをつけ、一足先にリムルたちの村へと戻ろうと振り返った時だった。

 

「……わぁお」

 

それは余興として楽しんでいる私にとっては嬉しい展開。戦っているリムルたちにとってはこれ以上ない最悪の展開と言える。

オークロードによるゲルミュッドの捕食。それが意味するところは新たなる魔王種の誕生である。

【魔王種】。魔王になり得る可能性を持った魔物をそう呼ぶらしいが、この目で見るのは初めてである。私自身は、魔王とは呼ばれているが魔王種ではない。言うなれば、魔王であって魔王ではない。それが私だから。

 

(………魔王種に進化したオークディザスターか、リムル。これに勝った方が新しい魔王になり得る……か…。もしリムルが勝って魔王になるつもりなら、後押ししてあげようかな)

 

不干渉。それを守るべく、私は上空より新たな魔王の誕生の可能性を見届けることにした。

 

 

 

 

 

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