氷結の女王   作:雪楓❄️

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更新が久しぶりになってしまい申し訳ありません。


あと少ししたら試験が終わるので、更新速度についてはしばらくお待ちください。


第3話

はっきり言って、魔王種へと進化したオークディザスターは先程までとは雲泥の差と言えた。

先程までとは比べ物にならないほどの魔素量に加えて、その身から感じ取れる妖気はクレイマンなどとも遜色ない。

 

「………これは厳しいかな」

 

先程までならリムルの配下たちでも倒せたであろうが、現状それは不可能に近い。

理由は、まさに私の眼下に広がっている光景が物語っている。「圧倒的までな再生能力」それがオークディザスターの最大の強みであろう。それは首を落とされようが、全身を焼かれようが関係はない。どういうスキルかは知らないが現実にそれが起こっているのだから疑いようはない。

 

「………どうする?リムルさん」

 

あの再生能力がある以上は何らかの対策を打たない限り、オークディザスターを倒しきるのは不可能だろう。私のような能力があれば、あるいは…。

 

 

戦況はリムルたちにとっては最悪であった。

端的に言うと、リムルの攻撃は何一つとして通用していなかった。彼女の攻撃は多彩だったが、それ故に威力が今一つ足りていなかった。

彼女の能力を知っている訳では無いが、彼女の技を見るに配下の者が使っていた技を使えるようだが威力はオリジナルのそれには及ばない。故に決定打となり得えない。

だが、このままジリ貧の攻撃が続くと思っていた私の予想はリムルの変化によって覆された。

 

(……あれは…なんだろう?)

 

先程と感じ取れる妖気自体には変化はないが、明らかに様子が変わった。

スキルを個々で使っていた戦い方から、最適化された動きになっている。まるで彼女の身体を違う人が動かしている様な、そんなイメージを抱かせる。

 

変化を遂げたリムルとオークディザスターの戦いは先程とは打って変わってリムルの圧倒だった。

オークディザスターご自慢の再生能力も黒い炎によってその機能を果たしていない。ただ抵抗も出来ずに切り刻まれるオークディザスターが負けるのも時間の問題だろう。

 

「…………これでリムルの勝ち…か」

 

オークディザスターは最後の抵抗にリムルをその手で捕まえ握り潰そうとしているが、それはスライムである彼女には意味が無かった。

 

(………へぇ、まさかイフリートの能力まで持っているとはね。少し離れよ)

 

掴まれることすら計算内と言わんばかりに、リムルは自分自身を中心に火柱を上げ、オークディザスターごと燃やし尽くすつもりのようだ。自分自身が【炎熱耐性】を持っていればこそ出来る荒業ではあるが。

 

(……終わりね)

 

新たなる魔王の誕生とはいかなかったが、リムルが魔王になってくれるならそれはそれで面白いだろう。私は念の為、ギィに事の次第を報告しに行こうとその場を立ち去ろうとしたのだが…。

 

「…あれは予想外ね」

 

そのまま燃え尽きていくはずだったオークディザスターは、燃え尽きることは無かった。理由は簡単【炎熱耐性】をこの土壇場で手に入れたから。

炎による攻撃が無効だと分かったリムルは炎を収束させた。

 

(……ふぅ、暑かったぁ。さてさて、どうする?リムル)

 

炎による決定打を与えられないとなった今、彼に決定打はないだろうと思った。だからこそ、彼女の取った行動に私は驚きを隠せなかった。

 

「…なにをする気…?」

 

リムルは自らの身体を液状化させ、オークディザスターの身体へとまとわりついた。

突然のことに私は驚いたが、冷静になりリムルにまとわりつかれた部分を見てみると徐々にだが溶解しているのがわかった。

 

「…………まさか捕食する気とはね」

 

オークディザスターの専売特許とも言える捕食の領域において勝てる算段をもつリムルのスキルに私は驚きを通り越して若干呆れた。

 

 

それから、決着が着くまでに時間はかからなかった。

捕食に勝利したのはリムル。最後は、オークディザスターを全て飲み込んで決着をつけた。

 

「………さてと、私は先に村にでも戻るかな」

 

戦後処理で忙しくなるであろうリムルたちの邪魔をするのも気が引けたので私は先に戻ってリムルたちのことを待つことにした。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

あれから数日。

未だに私はリムルとゆっくり話せていなかった。あの戦いの後、この森の盟主となったリムルは村へオークたちを受け入れたりと忙しいらしい。

それでも魔王である私を待たせておくのに恐怖を覚えているゴブリンの長であるリグルドさんは気が気出ないようだで先程から、表情に焦りが見える。

 

「シヴァ様、なにかあれば私にお申し付けください」

 

「いえ、大丈夫です。私は別に待つの苦手じゃありませんし、この街の成長を見てるのも楽しいので」

私の返答に少し安心したのか、リグルドさんは表情を和らげる。

彼は私の言葉は別に彼を安心させるための詭弁だと思うだろうけど、この言葉は事実である。この街の雰囲気はどこか懐かしさを感じさせるし、何より発展していくのを見ているのが楽しく、飽きを感じない。

 

「あっ、リムル様!」

 

なんとも嬉しそうな声のリグルドさんの視線の先には、跳ねながらこちらへと向かってくるリムルの姿があった。

 

「遅くなってすまない、シヴァさん。色々と建て込んでしまって」

 

スライムだからあまり表情は読めないが、声音からその申し訳なさそうな感じが伝わってくる。

 

「いえ、大丈夫ですよ。無理を言ったのはこちらですし」

 

「それならいいんだが。リグルド、少し席を外してくれ」

 

「はっ!」

 

リグルドさんはとてもいい返事と共にすぐさまその場を去っていった。多分、私の近くにはあまり居たくなかったのだろう。

 

「よっと。それで、シヴァさんが俺に聞きたいことって?」

 

リムルはわざわざ人型に変化した。確かにその姿の方が話しやすいが、わざわざ人型になってくれるあたりとてもいい人なのだろうと思えた。

 

「そうね、それじゃあ1つだけ。あなた、転生者だよね?」

 

私の一言にリムルは少し驚いた後、「もしかして…」と呟いてそのまま私に質問を返してきた。

 

「てことは、シヴァさんも?」

 

「えぇ。とは言っても、転生前の記憶は一切ないの。どんな人間だったかもね」

 

「え?」

 

私の話を聞き、リムルは少し驚く。

これも当然の反応で、ギィにも聞いたことがあるが転生者の場合大体は転生前の記憶を持っていることが一般的らしい。召喚者の場合も言うまでもなく持っている。

つまり、私のような場合はかなりレアなのかもしれない。記憶のない転生など限りなくこの世で生誕したのと違いないのだから。

 

「だからね、リムルの前世のことを聞けば少しは思い出せるかもって思ったんだ。もし良ければ、私に話てもらえないかな?」

 

私のお願いにリムルは嫌な顔1つすることなく、楽しそうに転生してくる前の話を始めた。

 

「俺は前世ではサラリーマンだったんだ。結婚もしてなければ、彼女もいない悲しいね」

 

そこまで聞いた所で私はとんでもない勘違いをしていたことに気がついた。

 

「…………ごめん、リムル。もしかしてあなたって……男?」

 

スライムだからあまり性別がよく分からなかったため、人型の時の見た目で性別は女性だと思っていた。一人称が俺だったがそれは人それぞれだと思っていたため、疑問に思わなかったのだが。

 

「え、あぁ前世は一応男だよ。今はわからないけどね」

 

「あぁそう。ごめんなさい、止めて」

 

私は心の中で性別を間違えていたことを謝った。

それから、リムルは"彼"の前世について話してくれた。彼のしていた仕事や彼の趣味。そして、彼が死んだ原因についても。リムルは時折寂しそうな表情を浮かべたが、終始楽しそうに話してくれた。

 

「ありがとう、リムル」

 

「いや、俺も前世のことを久しぶりに話せて楽しかったよ」

 

そう言って微笑むリムルの姿はとてもじゃないが男性には見えなかった。

 

「それじゃあ、私は行くね。また来てもいいかな?」

 

「あぁ。シヴァさんみたいな魔王ならいつでも歓迎だよ」

 

そう言って送り出してくれるリムルを背に、私はミリム達が居るであろうクレイマンの屋敷へと移動した。

 

 





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