タイムスリップパンツァー・時をかける戦車少女たち   作:疾風海軍陸戦隊

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事情聴取です

20年前の大洗にタイムスリップした私たちは一週間、秘かに潜伏生活をしていた。誰にもばれないようにひそひそとみんなで暮らしてはいたが、そんなに悪い生活ではなくむしろ楽しいくらいであった。しかしそんな生活も生徒会と風紀委員が私たちを拘束したことによって終わり、そして現在、私たちは両手を縛られた状態で生徒会室のソファーに座らされており、そして私たちの前にはなんか高そうな椅子に座った小柄でツインテールの少女と方眼鏡をかけた人、そしてポニーテイルの人が立っていた。

 

「やあやあ、よくここに来てくれたね~。ごめんね荒っぽく連れてきて」

 

「いえ、ちょっと新鮮な体験を経験できたので・・・・」

 

『同じく』

 

ちょっと皮肉っぽく言った私たちに、杏さんはにっこりと笑い、

 

「そっか。自己紹介していなかったね。私は大洗女子学園の生徒会長の角谷杏だ」

 

「(・・・・やっぱり。干し芋姉ちゃん・・・・・いや角谷理事長か・・・・)」

 

杏の自己紹介にりほはやっぱりという顔をする。

『角谷杏』

大洗女子学園で数多くいる歴代生徒会長の中で伝説的というか他の生徒会長とは違う有名な人だ。まあ、その後、後を継いだ生徒会長も癖の強い方だったらしいけど・・・・大洗女子学園で有名な生徒会長はと訊かれたらまず、角谷会長の名が出る。

角谷杏、私は干し芋お姉ちゃんと呼んでいるけど、学生時代、お母さんを再び戦車道の道に連れ戻した張本人であり、大洗女子学園廃校を全力で阻止しようと奔走した人で、他人からは「真面目にやっていない」、『豪放磊落』なんて呼ばれてはいるが、誰よりも愛校心のある方だ。そして卒業後はなんか大学でも派手にやったらしく、その後は政治家になって一時は茨城県の県知事になったが、なぜか辞任して、また不思議なことに大洗女子学園の理事長になっている。因みに理事長になってもあの人はいつも干し芋を食べているし、何より・・・・・

 

「(・・・・全然歳とってないわね・・・角谷さん)」

 

そう、私のいる時代もそして今の時代も、杏さんは身長どころか外見が全然変わっていない。なんだろ、杏さんって不老不死の薬とか飲んでいるのかな?そして縛られているほかの皆も、

 

「ねえ…なんであそこに中学生がいるの?」

 

「しかもあの人がチームトータスのアンジー?母さんが話していたのとちょっと違う?特に身長とか」

 

「確かにもっと背が高いと思ってたんだけど?」

 

「別に身長とかどうでもいいじゃない。うちのマーマも同じようなもんだもん」

 

こそこそ話す中、

 

「おい!何をこそこそと話をしているんだ!!」

 

と片眼鏡をかけた人がそう言う。ああ、この人知ってる、河嶋さんだな。たまに会うから知っている。ということはその隣にいるポニーテイルの人は恐らく小山柚子さん・・・・のちの教頭先生か・・・・・

 

「まあまあ・・・・で、君たち。ここでの生活はどう?何か不自由とかはない?」

 

『え?』

 

りほたちは、突然聞かれたことに戸惑いを見せた。

 

「あの……………いきなり何を……………?」

 

「あー、いやね?生徒会長として、一応その辺りの事については聞いておいた方が良いと思ってね~。それで、どうかな?聞けば山林の中の倉庫で住んでいたみたいだけど・・・・・」

 

「え?ええ・・・それなりに不自由はありませんわ」

 

「そうね。クーラーもついているし」

 

「確かに旧部室棟での生活に比べれば・・・・・・まあ、ましかな?」

 

ジャスミン。リリー、ハルカがそう答えると、

 

「へ~そうなんだ。じゃああの旧部室の幽霊はやっぱり君たちか~」

 

「す、すみません。騒ぎを起こすつもりはなかったんですけど・・・・・」

 

「謝って済むか!お前たちのせいで旧部室棟に幽霊が出ると噂が出て怖がる生徒が続出してパニックになったんだぞ!」

 

「怖がってたの桃ちゃんだけじゃない」

 

「桃ちゃん言うな!」

 

「そうそう、逆に心霊スポットとか言って肝試しに行く生徒が増えて、ちょっとした観光スポットぽくなったけどね~」

 

「会長まで!?」

 

二人の言葉に桃さんがそう言うと、

 

「まあ、何一つ不自由がないのはわかったよ~・・・・・・・で、ここからが肝心なんだけどさ・・・」

 

とにこやかに笑っていた杏さんだが、急に表情を変え真剣な顔つきになり、

 

「君たち6人は一体何者?」

 

今までのほほんとした表情とは違い怖いぐらいの真剣な表情に6人の顔は強張る。そして杏は何かの資料を取り出し、

 

「この一週間。君たちのことを調べてたんだけど。ここの生徒じゃないこと以外にこの大洗の子じゃないこともわかった。かといって戦車道を始めたばかりの私たちを探る他校のスパイの類でもない・・・・・・では誰かという話に戻るけど?」

 

「「・・・・・・・・」」

 

杏さんの鋭い視線に皆は黙秘する。そしてみんなは私を見て、

 

『どうするりほ・・・・・・私たちのこと話す?』

 

『でも、アーニャ。私たちが20年後の未来から来たなんてそんな馬鹿げた話信じてくれると思う?』

 

『それはそうだけどハルカ。でも変な誤魔化しは訊かないわよ。あの杏さんだし・・・・』

 

『私たちはこの杏さんのことは知らないけど、そんなにまずい人なのりほ?』

 

『一言で言えば、変な小細工は効かない策士って。杏さんを良く知っている人たちがそう言ってた』

 

『それは‥‥まずいですわね・・・・・』

 

目線でそう話す6人。するとナポリが、

 

『正直に言った方がいいよ。変なぼろ出すよりましだし』

 

『え?』

 

『確かに。まあ全部正直に話す必要はないけど、私たちが違う時代から来たことは言わないと、あと後苦しくなるわよ』

 

『ナポリ・・・・アーニャ・・・・うん、わかった。みんなもいい?』

 

『車長はりほさんよ。あなたに任せるわ』

 

『yes。嘘をついて誤魔化すよりはいいしね。私も賛成よ』

 

『私も異論はないわ』

 

みんなは頷き、私は決意し三人に顔を向ける。

 

「角谷さん。先ほど私たちが何者かって聞きましたよね?」

 

「うん。そだよ・・・・・で、君たちは・・・・」

 

「角谷さん・・・・あなたが戦車道を復活させ、そして在校する戦車道経験者及び戦車道名門家西住流の西住みほさんに戦車道を履修させたのは、学園の廃校を阻止するためですよね?」

 

「「「っ!?」」」

 

りほの言葉に今度は生徒会三人衆が目を丸くして驚く。

 

「な、なんでそのことを・・・・・」

 

「その話は我々以外だれもしらないはずだぞ!何処で知った!!」

 

「・・・・・・・」

 

柚子、桃が驚く中、杏はただ黙って聞いていた。

 

「知ったのではなく知っていたからです。小山さん、河嶋さん。そのことは大洗女子学園の最大の事件として記録されていますから」

 

「記録?それはどういう意味だ?」

 

「三人ともタイムスリップという言葉を知っていますか?」

 

「え?タイムスリップて、あのタイムスリップ?違う時代に行ってしまうという?」

 

「それと、お前たちと何の関係・・・・・・・・まさか」

 

「ええ、そのまさかですよ河嶋桃さん。私たちは俗にいうタイムトラベラーというやつなんです。そして私たちのいた時代は20xx年。そう、今から20年後から来た人間なんです」

 

「そんな馬鹿げた話を信じろと言うのか?」

 

「私たちだって信じられないですよ。ですがこれは事実です」

 

「ふ~ん・・・・タイムスリップね~。ということは君は私たちの遠い後輩になるのかな?」

 

「そう言うことになります。角谷さん・・・・・・」

 

「そっか・・・・・じゃあ、未来から来た君たちに一つ訊きたいことがあるんだけどさ~」

 

「なんでしょうか?」

 

杏さんの言葉に私がそう訊くと杏さんはニヤッと笑い、

 

「・・・・・・・この先の未来で大洗は廃校を免れるの?」

 

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