タイムスリップパンツァー・時をかける戦車少女たち 作:疾風海軍陸戦隊
大洗女子学園の森の中の倉庫
「みなさん。紅茶が入りました」
「茶菓子の鳥のミルクケーキも出来たわよ」
「ああ、ありがとジャスミン。アーニャ」
「あら、この紅茶いい香りだね」
「本当だ。これなんだろう?」
リリーとナポリが不思議そうにそう訊くとジャスミンが、
「これ、ディンブラよ。クオリティーシーズンのじゃないけど私のお気に入りのお茶なのよ」
「へ~これ元の時代から持ってきた物?」
「ええ、家出する際、急いでで鞄に詰め込んだんですの。やっぱり紅茶は欠かせませんからね」
「さすがグロリアーナの出身の人は・・・・」
テーブルに座り皆はジャスミンの淹れた紅茶を飲み、そして次はアーニャの作ったケーキを食べる。
「このケーキも美味しい!」
「でしょ?プラウダでも人気ナンバー1のお菓子なのよ。あ、それとハルカ。冷蔵庫からジャム出してくれない?」
「いいけど何味?イチゴ?ブルベリー?それともマーマレード?」
「そうね・・・・じゃあイチゴで」
「あいよ。ちょっと待ってて」
そう言いハルカは席を立ち冷蔵庫へ向かい、そしてイチゴジャムの瓶を持って戻ってくる。
「はいイチゴジャム。これでいい?」
「ありがとハルカ」
アーニャが遥かにお礼を言うとナポリが、
「それよりアーニャ。なんでジャムなんか?トーストでも焼くの?」
「違うわよ。紅茶と一緒に飲むのよ」
「あ、聞いたことがある。ロシア流の紅茶の飲み方って確か紅茶をジャムに入れて飲むんだよね?」
「ちょっと惜しいわね。ロシア流はジャムをなめながら紅茶を飲むのよ。一緒に入れたら紅茶がべとべとになるじゃない」
「それもそうだね」
そう言い6人はスプーンでジャムですくい口に入れ、そして紅茶を飲む。
『うん。美味しい』
どうやらロシア流の紅茶の飲み方は好評のようだった。
「はぁ~いいわね・・・・・こうして昼間から紅茶を飲んでお菓子を食べてのんびりするのも」
「Me、Too」
「そう言えばこのお菓子。どこで買ったの?アーニャ?」
「買ってない。私の手作りよ」
「へ~手作りでこの腕なら戦車じゃなくてもパティシエとしても食っていけそうね?」
「そうでしょ?いや~この料理実はアリーナ姉さんに教わったのよ」
と、のほほんとした雰囲気の中6人はお茶を飲んでいた。そして・・・・・・
「て、呑気にお茶を飲んでる場合じゃなあぁーい!!!」
「「「「「はっ!?」」」」」
りほの突込みに皆はあっとした表情をする。
「そ、そうだ。美味しい紅茶とお菓子ですっかり忘れていた」
「そうね。私たち今後についての会議をしてたんだっけ」
「私としたことが・・・・・」
「す、すみません。私が紅茶を持ってきたせいで」
「いや、ジャスミンのせいじゃないわよ」
「そうそう。かたっ苦しい会議を柔らかくするためにしたことだし、ノープロブレムよ」
そう言うアーニャとナポリ。そう今6人がこうしてテーブルに集まっているのは今後についての会議をしていたのだ。
「で、どうしよう。角谷会長に見つかった今、もう秘密裏に動くことはできなくなったわね」
「そうね。幸いこの倉庫はいままで通りに使ってもいいって言ってくれたし」
「それって単純に倉庫使わせる代わりに何かの見返り頂戴ねって言っているようなもんでしょ、あの人」
「まあ、角谷さん世代の生徒会って色々黒い噂とかあったからね・・・・・でも多分ハルカの言う通りだと思うよ。あの人のことだから絶対に私たちをこっち側につけたいと考えているよ」
「まあ確かに廃校になるか否の状態。少しでも戦力が欲しいのは当たり前か」
「それに私たちは今でも、資金を稼ぐ方法を見つけていないに等しい。あの会長のことだ。衣食住、そして賃金を払う代わりに協力しろなんて言い出しかねん」
「そうね…賞金稼ぎすると言っても肝心の賞金が出る試合が見つけられないんじゃ・・・・・」
「世知辛いよね・・・・・・」
と、6人ともため息をつく。
「もしかしてこの時代、賞金付きの試合がまだ出てきてないんじゃないの?」
「賞金付きの試合っていつ出たんだっけ?」
「えっと・・・・・いつ頃だったかはわからないけど、確か始まりはタンカスロンがはやり始めたころだっけ?その中で百足チームと呼ばれた二人組の戦車乗りが始めたとか・・・・」
「そうなんだ・・・・・でもタンカスロンじゃ私たちのエーデルワイスの出番はないわね・・・・」
「そうね・・・あの試合は基本ルール以外はルール無用の上、使用戦車は10t以下、豆戦車か軽戦車なら・・・・・そう言えば私の学校にMk.IV軽戦車がありましたね。あれがあれば・・・・」
「あれじゃ力不足じゃない。ここは足の速いT70軽戦車が・・・・」
「待て待て、足の速さならアンツィオのCV33も負けてはいないぞ!」
「でも機銃だけじゃ心もとないわよ。ここはM22ローカストを・・・・・」
「いや、ここは2号戦車で・・・・・」
「まあ、戦車についてはおいおい考えるとして、チーム名はどうする?私たちの顔はあんまり表に出せないわよ」
「じゃあ、仮面をつけて名前も偽名で名乗って出ましょうよ」
「あら、面白そうねリリー。で偽名の候補とか考えているの?」
「もちろんよ。りほがゾフィーでアーニャがマン。ハルカがセブンでナポリがジャック。そして私がエースでジャスミンがタロウよ」
「全員合わせてパンツァー6姉妹・・・てか?」
「リリー、それウルトラ兄弟に怒られるからまずいのでは?特にゾフィーさんとか」
「ゾフィーのことなんかいいよ。それに確か初代アンコウチームもどこかの戦隊もののパロディやってたみたいだし」
「ああ、パンツァーファイブね」
「それに私たち姉妹みたいなものじゃない」
『え?』
リリーの言葉にみんなは目を丸くする。
「え?違うの?」
「まあ、姉妹みたいに仲がいいという意味ならその通りね」
「確かにリリーの言う通り私たちは同志であり姉妹かもしれないわね」
「じゃあ、タンカスロンに参加する時はパンツァー6姉妹って名乗る?」
「確かにそれなら私たちがそう名乗っても・・・・・・て、ちょっとストップ!なんでタンカスロンに参加する話になっているの?今は私たちの今後をどうするかっていう話じゃなかったっけ?」
「あ、そうだったわね。話が脱線してたわ。まあ、私としては戦車で試合できるのならあいつらに利用されてもいいと正直思っているわ。無論悪い方向に言ったら止めるけど」
「私もハルカと同じだ」
「そうね。このままただじっとしているのは嫌ですからね」
「そうね。私も冬眠中の熊みたいにじっとしているより、歴史を変える勢いで暴れてみたいわ」
「私も同意見よ。りほはどうしたい?」
「私はみんなと一緒に戦車道ができるのならそれでいいと思う。とにかく最終決定は明日、角谷さんが言っていた戦車道の教官と会って決めましょう」
「「「「「異議なし!」」」」」
と、りほの言葉に全員頷き、会議はここで終わるのだった。
「それじゃあ、私、もう一度エーデルワイスの様子を見るわ」
「私も手伝うよハルカ」
「いや、ナポリは昨日徹夜でこの倉庫の偽装や罠の設置で休んでいないでしょ?点検だけだからナポリはゆっくり休んでよ」
「そ、そうか・・・・悪いな」
「いいわよ別に」
そう言いハルカは部屋を出て隣の倉庫に入る。
「パンツァー6姉妹か・・・・」
ハルカは先ほどのことを思い出しふふと笑う。と、すぐに真剣な表情をすると、懐から赤い眼鏡・・・・・・ではなく赤いペンチを取り出し、にっこり笑うとエーデルワイスの元へ向かうのであった。