タイムスリップパンツァー・時をかける戦車少女たち 作:疾風海軍陸戦隊
角谷とりほたちが最初の接触をして翌日の夕方、森の奥にある、かつて自動車部が使っていた古い格納庫と小屋。その小屋の中で、りほたちは集まってお茶を飲んでいた。
「はぁ~すごかったね。過去の戦車道の試合を見れて私、感動したわ。しかもあのレジェンド時代の大洗の練習試合よ!」
「落ち着きなさいリリー。まあわたくしも同意見ですわ。でもまだ戦車道を始めたばかりですからぎこちなかったですけど」
と、ナポリとジャスミンがそう言う。あの後6人はこっそりとバレずそして巻き込まれないように大洗女子の練習試合を見ていたのだ。
「そうね。結果的にはりほのお母さんの乗るⅣ号が勝ったけど。あれってただ単に相手が勝手に脱落したって感じよね?」
「まあまあハルカ。そう言わないの。歴史ではみほさん除けば、皆素人だったみたいだったし。ね。りほ」
「うん。武部先生たちに聞いた話だと、お母さんを除けばみんな戦車道をしたことが無かったみたいだから」
「そっか~じゃあこれから強くなるんだ大洗女子・・・・・歴史での話だとな」
「うん。一応、練習試合ではね・・・・・・・」
そう言いりほは考える。今のところは歴史通りになっている。だが、この後は・・・・・
「そろそろ来ますわね・・・・・生徒会の人たちと戦車道の教官・・・・・・」
「そうね。もうそろそろだね。それよりも蝶野さんってやっぱこの時代でもアバウトだったわね。いきなり練習試合って言われて生徒たち困惑していたし」
「そうですわね・・・・・それにしてもやはりお若かったですわね、蝶野さん」
「それはそうでしょ。20年も前なんだし。私たちの時代と違って五十路のおばさんじゃないんだから」
「でも五十路のおばさんでも蝶野さんの美しさは今も昔も変わってないわね。蝶の名は伊達じゃないってことね」
アーニャがお茶を飲みながらそう言う。するとジャスミンが、
「それよりも大洗女子はこの後どういう練習をするんでしょ?やはりみほさんがいるから西住流のやり方かしら?」
「さあ?でもちょっと気になるね。ねえりほ。西住流の戦車練習ってどういうの?もしかしてあれ?滝の川を切ったり、ブーメラン投げつけたり挙句の果てにはジープで追い回されたり」
「リリー、それ戦車道関係ないじゃない。というよりそれ西住流じゃなくてモロボシ流よ」
「『お願いです!やめてください隊長っ!!』・・・・だったけ?あれBⅮで見たけどノースタントだけあって役者も鬼気迫る顔してたわね。とても私にはできないわ~。それ以前に私たちジープ持ってないじゃない」
「じゃあ、エーデルワイスでやる?」
「確実に挽肉が大量にできるわよ、ハルカ。私ハンバーグの材料になるのは御免よ」
「私だって人肉のハンバーグなんてごめんよ。美味しくないし、それより地面や履帯にこびりついた臓物や肉片片付けるの嫌だし」
「突っ込むとこそこ?というよりエグイわよ、ハルカ」
皆が苦笑して言う。戦車に体当たりする特訓なんてどう考えても死ぬ。虎の穴も真っ青な訓練法だ。そしてナポリが、
「で、りほ。やっぱり西住流の訓練ってそんな感じなの?」
「いやいや!そんなの無いよ。お母さんやお祖母ちゃんにも聞いたけどそんな過酷なのはないよ。強いて言えば・・・・」
「「「「強いて言えば?」」」
「重い砲弾を持って大声を出してランニング・・・・・かな?」
『『あ~』』
私の言葉に皆納得したように声を上げる。どうやら私以外でも同じみたいだ。
「やっぱり、りほもそこは同じなんだ。私もそう」
「同じく」
「プラウダもそうよ・・・・・て、りほ。さっきお祖母ちゃんって言っていたけど・・・・りほの祖母って西住・・・」
「うん西住しほだよ」
「大丈夫りほ?噂では怖い人って聞いたけど?」
「え?お祖母ちゃんは確かに目つき怖いけどとっても優しいよ?小さい頃なんかおばあちゃんの家に行ったときクマの着ぐるみ着てサプライズしてくれたり、とっても優しくて別に怖くはないよ。目つき以外は・・・・・」
『あの怖い雰囲気から、そ、想像できない・・・・・』
りほの言葉に皆はそういう。するとジャスミンが、
「それよりも遅いですわね・・・・・・・・・・生徒会の皆さん」
「そうね・・・・そろそろ来ないと夜になっちゃう・・・・・」
と、そう言いかけた時、
カラン!コロン!
「「「「「っ!?」」」」」」
急にドアの傍に引っ掛けておいた多数の空き缶が揺れ鳴り出す。それは格納庫に忍び込んだ人がナポリ達の作った罠に掛かった時に鳴る音だった。
「りほ!」
「うん!!」
その音を聞いてみんなは護身用にプラスチックのバットやフライパンをもって、戦車格納庫に続く扉に近づく。
「良い、みんな。開けるよ?」
りほの言葉に皆は頷き、りほがドアを開けると・・・・・・
「うわぁ~ん!!!降ろして!!柚子ちゃん助けて~」
「あわわ、桃ちゃんそんなに激しく動くと危ないよ」
「これはなかなかの罠だね~」
「そうね、戦車のセキュリティはバッチリみたいね」
そこにはエーデルワイスに触れようとしたのか、ナポリ特製の吊るし上げトラップにかかり逆さ宙吊りになってべそをかいている河嶋さんと、その河嶋さんを下ろそうと必死になっている柚子さん。そしてそれを見る杏と蝶野さんの姿があった。
数分後、小屋の居間
「えー、改めて名乗ろうか、私は角谷杏。大洗女子学園の生徒会長だよ!んで、此方の片眼鏡の子が……………」
「河嶋桃だ。生徒会広報をしている」
「小山柚子です。生徒会副会長をしています」
「それで、私が蝶野 亜美。大洗女子学園戦車道の教官をしているわ。よろしくね」
蝶野さんが笑みを浮かべながら言うと、りほは、
「あらためて初めまして。私はチームエーデルワイスのリーダー兼車長のに・・・・伊庭りほです」
「同じく操縦手のナポリ」
「砲手のジャスミン」
「通信手のアナスタシア」
「装填手のリリー」
「装填手補助のハルカです」
と、りほたちは4人に挨拶すると、河嶋さんが、
「それより貴様ら、なんなんだあの罠は!」
「なんだって、決まっているじゃないの。私たちが作った泥棒よけのセキュリティよ。それに黙って戦車を触ろうとしたあんたが悪い。来たなら来たってちゃんと言ってくれないと困るわよ」
「なんだとっ!」
アーニャの言葉に河嶋はさらに突っかかろうとするが、
「かわしま~、うるさい」
「しかし会長!」
「それに伊庭ちゃんたちの言うことも一理あるからね~。声もかけずに勝手に格納庫に入って戦車触ろうとした私たちも悪いんだし」
「うっ・・・・」
正論を言われ黙る桃。すると蝶野さんはりほたち6人を興味津々で見る。
「話は角谷さんから聞いたけど。あなた達って20年後から来た子なのよね?」
「は、はい。私たちは20xx年から来たんです。信じられないと思いますが・・・・・」
「いいえ、信じるわ。だって戦車乗りに嘘つく子はいないんですもの。何よりあなたたちのその目。嘘をついていたらすぐにわかるわ。でも、やっぱり未来の道具とかそういうのは気になるわね。何か持っていない?」
「えっと・・・・お金なら持っていますけど」
そう言いりほたちは未来のお金を見せる。お札や小銭という物は偽造することは不可能で確実な証拠となる。それを見た蝶野さんは、
「平成の次は令和ね・・・・・もっと違う物だと思っていたわ。ねえ、あなたたち次の証拠っというより未来にある物とかないの?空飛ぶ車とか?」
「えっと・・・さすがに。後、持っているのはスマホぐらいしか・・・・・車も今の時代とあまり変わりませんし・・・・」
「そう、空飛ぶ車に一度は乗ってみたかったんだけど残念だわ。それよりあなたたちはどうやってこの時代に来たの?その目的は?」
と、そう訊くとナポリが
「それがわからないんだ」
「わからない?」
「はい。エーデルワイス・・・・・あの5式のことなんですがみんなでエーデルワイス号のエンジンのスイッチを入れた瞬間、雷に打たれて気が付いたらこの時代にいたんです」
「そうなの・・・・・・・それで、あなた対はこれからどうするの?大洗女子学園の子たちと一緒に戦車道をするの?」
蝶野さんの質問に6人は首を横に振る。
「いいえ、私たちは歴史をあまり変えたくないんです。歴史が狂ったら未来が変わってしまうから・・・・・」
「それにわたくしたち賞金稼ぎになるって決めましたので」
「ああ、昨日もそんなこと言ってたね。『賞金の出る試合に出て元の時代に帰るまで稼ぐんだ』って」
干し芋を頬張りながら言う杏に、蝶野さんは困ったような仕草をして考えこみ、
「う~ん・・・・・・あなた達の時代には賞金付きの試合はあると思うけど。この時代、特に日本ではそんな試合は存在しないし、聞いたことないわ。連盟でもそんな試合やっていないし」
「「「えっ!?」」」
蝶野さんの言葉に6人の目は点になり口をあんぐりと空けた。そしてその脳裏には『詰んだ』という文字が出ていた。そしてそれと同時に今までネットや雑誌で探しても見つからなかったということに納得していた。
そして角谷さんは、
「・・・・で、どうする?君たち。未来から来たんじゃ、履歴書や住民票とかうんぬんでアルバイトもできないでしょ?ここは私たちのチームに入りなよ。いろいろやりくりしてあげるよ。それに伊庭ちゃん」
「は、はい」
「君たちは歴史を変えたくないんだよね?」
「はい。できるだけ元の歴史のままにしたいんです。戻った時。自分のいる場所が無くなるのは嫌なので」
「そっか・・・・・じゃあ、そうならないように私たちを監視しながら戦車道チームに入ってくれる?もし歴史と違うことになりそうだったら止めればいいんだし」
「それはそうですが・・・・はいそうですっというわけには・・・・・・」
何か裏があると疑う6人。話が並行のまま進むと蝶野さんが手を叩き、
「よし!議論をしてもしょうがないから練習試合をしましょう!」
「「「・・・・え?」」」」
突然の言葉に6人はおろか生徒会三人衆も驚く。
「戦車乗りたるもの議論ではなく戦車で語るべきじゃないかな?それにこの試合は非公式だから歴史の表舞台には出ないし。大きく歴史が変わることはないでしょ?」
「え?ええ・・・まあそうですけど。いいんですか?」
「私たちは別にかまわないよ~。伊庭ちゃんたちはどうかな?」
と、いたずらっぽい笑みでそういう角谷さんに私たちは、
「ねえ、どうするりほ?私的には練習の成果を試したいから構わないけど・・・・・」
「私もそう。それに非公式で秘密裏にやるのなら、歴史が激しく変わることはないんじゃないかな?」
「私もだ。賞金付きの試合が存在しない以上。その憂さを晴らすためにもここはやるべきでは?」
「わたくしはりほさんの判断に任せますわ」
「私もよリホーシャ。あなたがどんな判断しても私はあんたについて行くから」
「みんな……うん。わかった。・・・・角谷さん。その試合。受けて立ちます」
「よーし決まりだね!じゃあ、負けたら伊庭ちゃんたちには、大洗女子学園戦車道チームに加わってもらうよ~」
「やはりそれが本音ですか・・・知っていましたが。ではもし私たちが勝ったらどうしますか?」
「そうだね~。干し芋三日分じゃダメかな?」
「「「「安すぎる。まじめに考えろ」」」」
杏の言葉に6人が突っ込み、杏は少し考え、
「そうだな・・・じゃあこうしよう。全員の前で、大洗女子学園戦車道チームのメンバー全員、アンコウ踊りでもやろっか!」
「「「っ!?」」」
杏の言葉に生徒会二人は固まり、そしてアンコウ踊りを知らない、りほを除いたメンバーは首をかしげるが。その意味をよく知っているりほも固まってしまう。
「か、会長!本気ですか!?」
「うん!わざわざ遠い未来から漂流して苦労しているのに、無理やりこっちに引き込もうとしているんだからこのぐらい当然だよ。無論、私も踊るからね。どう伊庭ちゃん。受けて立つ?」
そう言うとりほは少し黙っていたがすぐに真剣な目つきで、
「わかりました・・・・・に・・・戦車乗りに逃げるという道はありません。それに角谷さんがそこまでの覚悟を持つというのなら受けて立ちます」
「そっか。ありがとね伊庭ちゃん。じゃあ試合の日時は電話で連絡するから。これ私の番号。何かあったら連絡して。それじゃあ、6人とも試合で会おうね~。河嶋。小山。行くよ」
「はっ!それじゃあ試合でな、伊庭」
「失礼します」
そう言い生徒会三人と蝶野さんは部屋から出たのであった。そして残されたりほたちはその後、夕ご飯の支度をした。今回の夕ご飯はナポリ特製のパスタとイタリアン料理であった。
そして試合に向けての作戦会議をした後、りほはアーニャたちにアンコウ踊りは何かと聞かれ、りほはスマホに保存していたアンコウ踊りの映像を皆に見せる。そしてその映像に写されたアンコウ踊りをしていたのはりほの母であるみほで、その映像を見て皆はドン引きした表情になり、りほも言葉で言うよりはわかりやすいだろうと見せたのはよかったが、やはり自分の母親が踊っている姿を見て少し恥ずかしくなり、そして、そんなりほに皆が同情の目を向けたのは言うまでもなかった。
何とか書き終えることができました。挿絵としてりほたちエーデルワイスチームの絵とか描こうとしたのですが下手くそすぎてできず。いっそのこと他の方に募集したいとか思いました・・・・・
それはさておき、未来組。りほの母である、みほと練習試合をすることになるのか?それは次回のお楽しみに!!