タイムスリップパンツァー・時をかける戦車少女たち 作:疾風海軍陸戦隊
森の中、大きい轟音と金属のぶつかる音が響き渡り、山林の林を抜ける一輌の戦車がいた。それは国防色に色塗られた五式中戦車であった。そしてその戦車はそのまま速度を落とすことなく吊り橋や小川を渡り、試合相手である大洗女子戦車道チームの待つグランドへと走る。
そして、その五式の車内では、
『『『進め~桜~吹雪舞う~♪ 麗しの道~♪♪』』』
と、陽気に歌う、エーデルワイスチーム六人。今彼女たちの歌っている歌は、『戦車道行進曲』という戦車道をやる女子の中では流行りの歌であり、りほたちの時代では戦車道全国大会開会式に歌われる歌でもあった。
『笑顔と~優しさ~乙女の勲章よ!』
そしてりほたちの乗る戦車は吊り橋を難なく速度を落とさないまま進み、丘を越え、林の壁を抜け、そして大洗女子の待つグラウンドへと到着し、
『響き~響け~轟けよ栄冠~その日まで前進!!』
と、歌い終わるのと同時にエーデルワイス号は生徒たちの前で停車する。それを見た生徒たちが、
「あれがエーデルワイスチーム」
「なんか強そうな戦車だね」
「どんな子たちが乗っているんだろ?」
皆がそう言っているとエーデルワイス号のハッチが開き、そこから6人の少女たちが降りてきて整列する。それを見た生徒たちは、
「え?あれって指名手配されていた子?」
「どういうこと~?」
「それに一人、小学生が混じっているけど?」
一年生らしき子たちがそう言うと、りほが前に出て、
「え、エーデルワイスチームのリーダーのに・・・・伊庭りほです。今日はよろしくお願いします」
「副リーダーのアナスタシアです」
と、二人は丁寧にお辞儀する。因みになぜアーニャが副リーダーになったかというと、全員で話し合った結果、チームの中では一番経験が多いのと歳が上だからということでそう決まったのだ。アーニャもそれには不満の様子もなく快く引き受けている。そして二人がお辞儀する中、大洗の生徒たちの内、みほはじっとりほの方を見ていた。視線に気付いた、りほは、
「(お・・・・お母さん。さっきから私のこと見ている・・・・・な、なぜだろう?もしかしてバレてる?いやいやそんなはずは・・・・)」
じっと見てくるみほの視線にりほは顔をそむけたくなる。対してみほは、
「(この子・・・・・どことなくお姉ちゃんやお母さんに似ている・・・・・特に目つきが?)」
と、りほが不安に思っている中、みほはりほがどことなく姉であるまほや母親であるしほに似ている(特に目つき)ことを考えていた。皆が黙っていると、
「はいはいはい!皆注目!」
手をパンパンと叩きながら蝶野さんがそう言うと皆が注目する。
「せっかく挨拶してくれているのに、此方が何もしないのは失礼よ!ほら、大洗側の隊長も早く前に出る!」
蝶野さんがそう言うと角谷さんはみほを呼ぶ。どうやら戦車道経験豊富のみほを一日だけの隊長に任命したようだ。そしてみほはりほの前に立ち、
「初めまして伊庭さん。え、えっと……………大洗女子学園戦車道チーム隊長、西住みほです!こ、此方こそ!きょ、今日は、よろしくお願いします!」
そう言って、みほは凄い勢いで頭を下げる。それを見たエーデルワイスのメンバーは、
「(あれがリホーシャのマーマで伝説の戦車乗り、西住みほ・・・・)」
「(な、なんかイメージと全然違うわ・・・・・確かにお母様の言う通り面白そうな人ですけど・・・・)」
「(なんだろう・・・・軍神!て呼ばれているからもっと怖い感じかと思っていたけど・・・・・)」
「(なんだろう・・・・なんか癒されるというか、なんというか・・・・・)」
「(なんか私の中でのイメージ像が崩れた・・・・・)」
伝説(りほたちの時代で)と言われた西住みほを見てそう思う中、りほもあたふたするみほを見て
「(お母さん昔はこんな感じだったんだ・・・・・私の知っているお母さんと少し違う)・・・・はい。こちらこそよろしくお願いします。お・・・西住さん」
そういい二人は握手すると、蝶野さんが試合の説明をする。
「じゃあ、両チームの挨拶も終わったことだし、試合の説明をするわよ!範囲は先日の模擬戦と同じとするわ。そして今日の試合内容はフラッグ車を倒せば勝ちとするフラッグ戦とします。因みに、我々大洗女子学園戦車道チームが勝てば、彼女等は大洗女子学園戦車道チームの特別チームとして、此方に所属することになります!」
と、蝶野さんがそう言うと大洗女子の生徒たちは驚きそして歓声を上げたが、一年生チームのリーダーである澤梓が、
「あ、あの・・・・もし負けたらどうなるんですか?」
と、そう聞くと角谷はにっと笑い、
「もし負けたら、大洗女子学園戦車道チーム全員でこの子たちの前でアンコウ踊りをしてもらうことになっているから。あ、それとスーツも用意しているからみんな頑張ってね~」
--ピシィッ!!--
瞬間、大洗女子学園の生徒達の空気が、一瞬にして凍りついた。その様子を見て6人は、
「(な、なんかすごい寒くなった感じが・・・・)」
「(向こう側、零下140度の世界になっている・・・・・)」
「(りほが見せてくれたけど本当にあの踊りをするのか?私だったら発狂しちゃうわよ)」
「(なんかすごい罪悪感を感じますわ・・・・少し見てみたいですけど)」
「(なんかこの勝負、たとえ勝っても人間として負けそう・・・・・)」
「(角谷さん・・・・平気な顔してるけど。ほかの皆さん目が死んでいるわ・・・・・)」
いまさらながらこの勝負を引き受けて後悔するエーデルワイスチーム。そして蝶野さんが地図を広げて、
「さあ、各チームの隊長は此方に来てー、所定の位置を教えるから」
そういい各車両の車長を呼び、そして定位置を伝える。そして所定の位置を聞いた後各自戦車に乗り込みその場へと向かう。そしてりほもチームのもとへ行こうとすると、
「ああ、伊庭ちゃん」
「ん?何ですか角谷さん?」
突如、角谷さんに呼び止められる。
「ん?そんなに警戒しなくてもいいよ~何なら『干し芋姉ちゃん』っと呼んでもいいよ?なんてたって伊庭ちゃんは20年後の後輩なんだからさ。気軽にね」
「い、いえ・・・・さすがにそれは・・・・・で、何の用ですか?」
「うん。試合の件なんだけどさ~こんな雰囲気になっちゃったけど歴史云々は気にしないで、遠慮しないで全力でおいでよ」
「鬼ですか・・・・あなたは?」
角谷さんの言葉にりほは顔を引きつってそう突っ込む。そしてりほもエーデルワイス号に乗り込み、ナポリに先ほど蝶野さんに教えられた場所を言うとナポリはうなずいてその場へと向かう。そして向かう中、
「ねえ、リホーシャ。なんか重い試合になっちゃいそうだね・・・・歴史とか関係なく」
「そうだねアーニャ・・・・・何か悪いことした気分・・・・・」
「そうですわね。あの時の生徒さんたちの顔を見てもどれだけ恥ずかしいかわかります・・・・・」
「yes。私もよ。あんなピンクのぴっちりスーツを着てあの踊りを踊ったらと思うと・・・・いえ、それだけじゃなくもしその踊りをネットでアップされたらと思うと・・・・」
「私だったら、一生部屋に引きこもっているわ・・・・・」
「私もだ。そうなるくらいなら三食おやつ抜かれてパスタもペペロンチーノだけになったほうがましだ」
「え~ペペロンチーノおいしいじゃん?何がまずいの?」
「ペペロンチーノはイタリアでは貧乏食だ。それと同時にパスタの腕を確かめる料理でもあるけどな…で、どうするりほ?母さんのためここはわざと負けるか?」
「う~ん・・・・・角谷さんは手加減無用って言っていたし、それにわざと負けたら相手に失礼だよ」
「そうね。私の母もいつも言っていたわ『試合は手を抜かず全力でやらないと相手にもそして頑張っている仲間たちにも失礼』ってね」
「へ~さすがハルカの母。いい言葉言うのね」
「私はてっきり『わに』だけだと思ってたわラウラ・トートちゃん」
「それ母さんに言ったら睨まれるわよリリー。というより誰がラウラ・トートよ。確かに似ているって黒森峰の皆に言われたけど。それにそれを言うならあんたもそうじゃないカーラ・ルクシック!」
「アハハ~♪そうね。確かに私コーラ好きだし、髪型もそうだしゴーグルもつけているから、その人に似ているかもね~」
ハルカの皮肉な言葉にリリーは笑顔で返す。確かに言われてみれば二人とも少し似ているような・・・・・そうりほが思うと、
『それでは………………試合、開始!!』
蝶野さんから試合開始の合図を知らせるアナウンスが聞こえる。
「いよいよですね」
「そうね私たちエーデルワイスの初陣。そして私たちの歴史が・・・・・」
「今始まろうとしている・・・・」
と、そういうとりほは、
「みんな行くよ」
と、いうと5人はうなずき、
『バディーゴー!!』
6人一斉にいうと、エーデルワイス号が相手の戦車を撃破するために向かわんとして、勢い良く飛び出した。
こうして彼女たちエーデルワイスチームの歴史が始まるのであった。