タイムスリップパンツァー・時をかける戦車少女たち   作:疾風海軍陸戦隊

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未来組、初試合頑張ります!

ついに時空を超えた練習試合が始まった。そしてりほたちエーデルワイスチームは、見つかりにくい山林に入った後、停車し、りほは車内で地図を広げて見ていた。

 

「ついに始まったのはいいけど・・・・相手は5輌。対して私たちはたったの一輌・・・」

 

「フラッグ戦なら一発逆転だけど相手は伝説の大洗。この時代でまだ無名とはいえ油断はできない・・・・・・」

 

「ねえ、りほさん。相手がどう動くかわかります?」

 

ジャスミンがそう聞くと、りほは地図を見て、

 

「おそらくお母さんのことだから偵察を出すと思う。そして偵察に来るのは八九式・・・・」

 

「アヒルさんチームね。あのチームは私たちの時代でも有名だから」

 

「そうねサンダースでも偵察部隊のエキスパートとか言われているわね。カタログスペックを超えたチームなんて呼ばれていたわ」

 

「そう言えば乗員って元バレー部だったんだよねリホーシャ?」

 

「うん。車長の磯部さんに砲手の佐々木さん。操縦手の川西さんに通信手の近藤さん。だよ。小さいころよく遊びに来てバレーとか教えてくれたっけな・・・・・」

 

「ああ、その四人なら私もテレビで知っているわ。オリンピックのバレー大会で優勝した日本代表の選手の四人がその人たちだったわね。確か『二代目東洋の魔女』なんて呼ばれてたっけ?」

 

「へ~私テレビあんまり見ないからわかんなかったわ」

 

「テレビくらい見なさいよ・・・・・そう言えば私たちの住んでいる小屋にもそろそろテレビが欲しいわね。ラジオだけだとなんか物足りないわ」

 

「無理言わないでよ。家を貸してもらえるだけでも感謝しないと・・・・て、それより今は試合!」

 

と、リリーが突っ込みを入れた瞬間、

 

「・・・・・・・・」

 

急にアーニャの顔つきが変わる。

 

「どうしたのアーニャ?」

 

「しっ!・・・・・・何かが来るわ」

 

と指を立ててそういうと、みんなは聞き耳を立てる。すると微かに履帯の音が聞こえる。

 

「・・・・来た。相手の斥候ね。それよりアーニャよく聞こえたわね」

 

「雪国育ちだからね。それに私、人一倍に耳がいいの。さて誰が来たんだろ?」

 

「ちょっと見てくる」

 

そう言い、りほはキューポラから顔を出して双眼鏡であたりを見ると、二時の方角の林の中を走る戦車が見えた。

 

「いた・・・・やっぱり八九式。向こうは私たちに気付いていないわね」

 

「どうします?撃破しますか?」

 

「距離は・・・・・・500メートル十分、射程内だし、十分八九式の装甲をぶち抜けるけど。ジャスミン」

 

「わかりました。砲撃します」

 

「ジャスミン。砲弾は前の練習で三発使ったから残り六発しかないから、外さないでよ?」

 

砲弾を装填するリリーの言葉にジャスミンは頷き、

 

「任せてちょうだいな。こう見えてわたくし聖グロのチャーチルの砲手をしていたので、必ずや仕留めて見せます」

 

力強くそう言いりほは頷くとジャスミンは照準を八九式に合わせる。この時代に放り出されてから練習以外で初めて相手戦車に撃つことにジャスミンは少し緊張し、自身の心臓の鼓動が聞こえるのがわかる。砲弾は数発。一発も無駄にはできない。

緊張の中、ジャスミンはかつて母の盟友であり砲手の指導をしてくれたアッサムの言葉を思い出す

 

『いいジャスミン。砲手たるもの常に冷静さを忘れてはいけないわ。そして相手を狙い撃つ時の極意は・・・・・・』

 

「・・・・・正しい姿勢、正しい照準・・・・そして」

 

と、そう言い指を引き金に引っ掛け、

 

「月夜に霜の落ちる如く引き金を引く・・・・・」

 

と、そう言いながらジャスミンはゆっくりと引き金を引く。その瞬間エーデルワイス号の主砲である88ミリ砲から砲弾が火を噴きながら飛び出、そして500メートル先にある八九式のエンジンルームに命中する。そして当たった八九式は黒煙を出して止まり、そして砲塔の所から白旗が上がる

 

《八九式、Bチーム、行動不能!》

 

蝶野さんからの通信が、全車両に入る。その知らせを聞いたりほたちは、

 

「やりました!初撃破!」

 

「やったわねジャスミン!」

 

「ハラショー!おめでと!」

 

そう言いりほ達6人はハイタッチする。この時代に来てそして初めてチームを組んでからの初撃破。その初撃破に皆は喜んだ。

 

「よし!今日は赤飯ね!あ、大人のぶどうジュースも用意する?」

 

「何言っているのここはノンアルコールビールでしょ?」

 

「違うでしょ!ビッグサイズのコーラでしょ!ね、アーニャ!」

 

「いいえ・・・・ここはノンアルコールウォッカを・・・・・てそうじゃない!まだ一輌倒しただけ!お祝いは試合が終わった後!」

 

「「「ああ、そうか・・・・・」」」

 

まだ試合中だということ思い出し、ハルカ、リリー、ナポリがそう言う。そしてアーニャが、

 

「で、この後どうするリホーシャ」

 

「うん。たぶん今のが斥候だとして残りの車両はどこかで待ち伏せているかもね」

 

「そうかもね。向こうには三突がいるし、どこかで狙いすましているのは自明の理だな・・・で広いところに出るの?」

 

「うん。普通ならその方が手なんだけど・・・・・その入り口で」

 

「待ち伏せて倒す・・・・なるほど定石ね。となるとこのまま整備された道を行くのは危険ね。ここは・・・森の中をショートカットするしかないわ」

 

「そうだね・・・・ナポリ、エンジン音を立てないように静かに走れる?」

 

「難しい注文だけどやってみる。で、ルートは?」

 

「東の方向の森の向こうに射撃演習場の広場があるから、そこに行きましょ」

 

「もし敵車両に出会ったらレッドファイトしていい?」

 

「どこの赤い通り魔なの、ジャスミン?まあいいわ。フラッグ車がどこにいるかわからない今、少しでも敵をやっつけたいし。でも外さないようにね」

 

「わかってますは走行中、紅茶をこぼさないのと同じに慎重にしますわ」

 

「そう言えばジャスミン。貴方、聖グロの子なんでしょ?なんで紅茶持っていないの?」

 

「ティーカップを小屋に置き忘れてしまいました・・・・・このジャスミン一生の不覚」

 

「大丈夫?ウーロン茶なら持っているけど?」

 

「大丈夫です。別に紅茶のまないと死んじゃうとかそういう設定ではないので?」

 

「え?そうだったんだ聖グロの人って一日中飲んでいるから、飲まないと禁断症状が出たりとか衰弱して死んじゃうのかと思った・・・・もしくは紅茶を炙っていたりとか」

 

「麻薬中毒者ではありませんのよリリー。というより炙るって何ですか。私の母校を何だと思っているのですか?#」

 

いつもにこやかなジャスミンが珍しく青筋を立ててそういう(顔は笑っても目は笑っていない)。だがすぐに軽い溜息をついた後、何も言わなくなり、そしてりほたちは相手にばれないよう音を立てずに森の中を走りだすのであった。するとアーニャは、

 

「ねえ、りほ。その開けた場所・・・・・射撃演習場広場に行くルートなんだけど?」

 

「なに?」

 

「地図を見る限り、橋を渡んないと無理だよ?」

 

「浅瀬を通るルートもあるけど、そこは試合場外に入っちゃうし・・・・」

 

「正面突破するか?」

 

「ナポリ。それだと橋を渡ろうとした瞬間に狙撃されて白旗よ。しかも橋は足場が悪いからなおさらね」

 

「確かに・・・・・・ん?」

 

戦車を操縦するナポリが急に何かに気付き、戦車を止める。

 

「どうしたのナポリ?」

 

「あそこ11時、2時の方角に敵戦車発見」

 

ナポリがそう言いりほは目を細めてみると木々の向こうに橋が見えその前の11時方向の茂みの方にM3、2時方向の林の茂みに砲塔がにょきっと伸びているのが見えた。

 

「茂みの高さから考えて2時方向に待ち伏せているのは三突・・・・とすると」

 

そう言い、りほは地図を見て、今三突とM3がいる位置に丸をする。

 

「丁度、橋を通る道の左右にいる・・・・とすると残りの二両は正面と後ろに待ち伏せているわね」

 

「なるほど、橋を渡ろうとした瞬間左右前後から一斉射撃をして仕留める。まるでゲリラ戦法ね。ま、私たちの時代の黒森峰もよく使う手だからね」

 

「アンツィオも使うぞ?CVで包囲した後セモベンテやP40で仕留めていた」

 

「プラウダもそうよ。と、いうよりやり方が定石すぎるけどいい案ね・・・・・・でも」

 

「うん私たちには通用しない。相手の先方がわかったらこっちのもの・・・・あとはフラッグ車が前か後ろのどこにいるか・・・・・・・・・ん?どうしたのりほ?」

 

リリーがそう言うとりほはじっと道の後ろ側の咆哮にある茂みを見ていた。

 

「・・・・・後ろにいる」

 

「「「え?」」」」

 

「お母さん。後ろに待ち伏せている・・・・」

 

「なぜわかるの?」

 

「うまく言えないけど・・・・・何となく感じるの。あそこにお母さんがいる気がするのよ」

 

と、りほはそう言う。りほは感じていた。後ろの方角に母親であるみほが乗るⅣ号戦車が待ち伏せていることに・・・・・・

 

「なるほど、血筋ってわけね。やっぱり血は争えないってことかしら。まあいいわ。この試合はフラッグ戦。フラッグ車を倒せば勝利なんだし」

 

「でもフラッグ車を仕留める前にほかの車両に水差されるのも問題ですわよね?」

 

「なら。まず火力の大きいM3と三突ところから仕留める?」

 

「38tは?」

 

「大丈夫よ。38tの37ミリ砲なんて豆鉄砲よ。急接近されない限りそう簡単にはやられはしないわ」

 

皆がそう言いうとりほは頷き、

 

「リリー、ハルカ。装填速度お願い」

 

「OK。こういう時のためにハルカと連続装填の息合わせの練習したんだから」

 

「任せてりほ。このエーデルワイスがただの戦車じゃないことをここで証明するわ!」

 

「砲撃のことは任せてください。必ず無駄弾を出さずに仕留めて見せますわ」

 

「操縦については任せろ。どんな無茶な運転だって成功して見せる」

 

「通信手の私には今回、出番はないけど、機銃を撃ちまくって弾幕を張って相手が撃つのを妨害してあげるわ」

 

5人がそう言い、そしてりほは、

 

「みんな・・・・・」

 

「で、作戦名はどうするんだ?」

 

ナポリが訊くとりほは少し考え、そして、

 

「作戦名は・・・・・・・・・一乗寺下り松作戦です!」

 

そう言うのであった。果たしてりほの言った一乗寺下り松作戦とは?

 

 

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