タイムスリップパンツァー・時をかける戦車少女たち 作:疾風海軍陸戦隊
初の練習試合に勝利したりほたち。
「やったね!私たち勝ったわ!」
「ハラショー!やったわね!ナイス装填だったわリリー!ハルカ!!」
「ハルカが次の弾丸用意してくれたから、早くできたのよ」
「いいえ私はそれほど、ジャスミンの射撃もよかったわ」
「いいえ。私はただ集中して引き金を引いただけ。あの勝利はナポリの運転のおかげよ。おかげで射ちやすかったわ」
「いや。りほの指示とみんなのチームワークの勝利じゃないか?なあ、りほ」
そう言いナポリはりほの方へ顔を向ける。
「・・・・・・・」
だが、りほは複雑そうな顔をしていた。
「どうしたのりほ?試合に勝ってうれしくないの?」
「ううん。違うのアーニャ。試合に勝ったのは嬉しいの。でも私が勝ちたかったのは・・・・」
そう言い、りほはあるところを見て、皆もその方向を見るとⅣ号戦車があった。それを見てみんなは、りほの言いたいことを理解する。
「なるほど・・・・リホーシャのマーマね」
「なるほど…その気持ちわからなくもないわね」
「確かに勝つならこの時代じゃなく、元の時代のお母さんに勝ちたいもんね~」
「なるほど。そのお気持ちわかりますわ」
皆はうんうんと頷き、そしてハルカが、
「ま、りほ。今は私たちの勝利を喜ぼうじゃないの。だからそんなしんみりした顔をしないで。リーダには笑顔でいてほしいからね」
「ハルカ・・・・・ありがとう」
ハルカに笑顔でそう言われるとりほは笑顔でそう答える。するとナポリが、
「よぉーし!今日は宴会だ!自慢のパスタ料理を振舞おう!」
「何っているのよナポリ。ここはボルシチとビーフストロガノフに決まっているじゃない。タマネギと牛肉とサワークリームの相性は格別よ!」
「いや、いやここはバーベキューでしょ。後コーラもね」
「そこはハンバーグでしょ?。ハンバーグな嫌いな子はいないでしょ?」
「ではわたくしはデザートでも作りましょう。食後のデザートは欠かせませんからね」
と、皆は夕飯の料理、しかも初勝利のためそれを祝う料理は何にするか話し合っていた。するとりほは軽く手を挙げて、
「あの・・・・みんなで食べるにはやっぱりお鍋とかにしない?」
と、そういうとみんなはりほの方をじっと見る、そして、
『それだぁ!!』
と指をさしてそう言うのだった。その姿はカバさんチームの歴女たちと全く同じな動きで、それを見たりほは苦笑するのであった。するとハルカはエーデルワイスを見て、
「それよりも左転輪派手に壊れたな……これ修理するにしてもいくらかかるんだろう?」
ナポリが少しため息をつく。そして同じくハルカも、
「はぁ・・・・勝ったのはいいけど砲弾は今の試合ですっからかんになったし、残りの金も生活できるくらいの金しか残っていないからな~エンジンの調整も考えてもこれは数か月以上かかりそうだな」
頭を掻きため息交じりにそう言うハルカ。戦車の整備し志望で戦車の整備を人一倍にやっている彼女が言うのだからかなり深刻な状態なのだろう。ナポリの方もみると同じく深いため息をついていた
「あ…そうでしたわね。どうしましょう」
「勝ったのはいいけどね~また、タイムスリップする前の状態に・・・・」
「どうしよう・・・・・」
と、6人は困った顔でそういうと、インカムから蝶野さんの声が聞こえ、『回収班を派遣するので、行動不能になった戦車はその場に置いて、戻ってくるように』との通信が入る。
「戻るって・・・・・校舎まで?」
「まあ、私たち離れているけど。せめて戦車を回収する車があるなら私たちも回収してほしいわ」
「それは同感。ここバスとかタクシーないの?」
「そんなものあるわけないでしょ?」
そう言いながら勝者であるはずの6人はため息をつきながら校舎へととぼとぼと歩き出すのであった。
「皆、お疲れ様。始めてから二日目であれだけ戦えればグッジョブベリーナイスよ!」
グッジョブポーズでそういう蝶野さん。それを見た6人は、
「(出た・・・・あのポーズ)」
「(この時代からやっていたのね・・・・・あのおばさん)」
「(あれ、審判の人たちの一発芸によく使われるのよね~)」
「(あれ・・・・私たちの時代だとお母さんの世代の人たちの忘年会の一発芸になっているんだよね~)」
「(そういえば、まほ伯母さんが酒で酔っ払ったときよくやっていたっけな・・・・)」
「(ローズヒップお姉様。前にお酒を飲みすぎてそれやって蝶野さんにパイルドライバーを食らわされたっけ・・・・)」
と、6人はチベットスナギツネみたいな表情でそう思っていた。蝶野さんは今度は6人の方へ顔を向けると、
「エーデルワイスチームの皆も、今日はありがとう。中々良い試合を見させてもらったわ」
「いえいえ、此方こそ。いい勉強をさせてもらいました(歴史的な意味で)」
蝶野さんの言葉にりほは微笑んでそう返す。そしてその後蝶野さんが、足回りが壊れた五式中戦車ことエーデルワイス号は学園の自動車部が無償で修理するといった。無論修理代とか部品とかは連盟が無料で提供してくれるらしい。
その話を聞いて、ハルカとナポリ、特にハルカは嬉し涙で泣いていた。その姿にりほたちは若干ひいてはいたが内心では修理が無料でできると聞いて安心していた。
そんな中で杏がふと、声を上げた。
「さてと………………んじゃあ、ある程度休憩は終わったことだし、そろそろ罰ゲーム始めよっか」
『『『『『『『『『『……………』』』』』』』』』
その瞬間、その場の空気が一瞬にして凍りついた。ああ、そうだ。試合に勝って喜んでたりほたちは大洗女子が負けたらアンコウ踊りをするという罰が待っていたことをすっかり忘れていた。すると角谷さんはにっこりと笑い、
「まあ、皆も頑張ったけど、約束は約束だもんね~」
その言葉に、メンバーから放たれる空気が重さを増し、全員が顔を青ざめる。その姿を見た六人は円陣を組み、
「・・・・どうするリホーシャ。すっかり忘れていたけど」
「私的には、勝負にも人間としても勝ちたい・・・・・それにお母さんがあのぴっちりピンクスーツで踊る姿。私は見たくないわ」
「そうね。さすがにあれを踊らせるのは。後味悪いわね」
「そうね。それに歴史云々関係なく。それはまずいわね」
「なら決まりだね」
「そうね」
そう言い六人は頷くと、りほが杏のもとに行き、
「あ、あの・・・・・角谷さん」
「ん?何、伊庭ちゃん?」
「あの・・・・・アンコウ踊りの罰ゲームはしなくていいですよ?もともと無理にこの試合を引き受けてくれた上に試合に負けたぐらいで罰ゲームとしてアンコウ踊りさせるのは、流石にかわいそうですよ」
「ほ~、結構優しいんだねぇ」
「別にそうでもありません。強いて言えば、先輩に対する礼儀と勝者の願いというやつです。ですからアンコウ踊りの件は無しにしてもらえませんか?」
りほがそう言うと杏は干し芋をほおばりながらりほの眼を見る。そして、
「そっか・・・・まあ勝者の頼みなら仕方ないね。というわけで罰ゲームの話はナシって事になりました~」
と、そういうと大洗女子のメンバー一同は安心したように息をつく。そして心の中ではアンコウ踊りの罰ゲームを無しにしてくれたりほたちに感謝をするのであった。
「それじゃあ解散!」
『『『『『お疲れ様でした!!』』』』』
その号令と共に、生徒達は皆、戦車格納庫から出るのであった。
「あ~終わったね。これから宴会に必要な食材でも買いに行く?」
「賛成。じゃああたしコーラ買うよ」
「リリーシャは本当にコーラが好きだね~」
「いいじゃん。コーラおいしいんだし」
「でも。あまり飲みすぎると体に悪いからほどほどにね?」
「わかっているよりほ。ちゃんとゼロのやつにするから」
「いや、そういう問題じゃなくて・・・・・」
と、皆がそう言い、その場を後にしようとすると杏さんが、
「あ~伊庭ちゃん達。ちょっと待った」
「ん?何ですか角谷さん?」
急に角谷さんに呼び止められる。
「ちょっと話がしたいんだけど、生徒会室まで来てくれる?」
「え?・・・・・一体、なんで?」
「訳はちゃんと説明するから。とりあえず来てくれるかな?」
と、そう言われ、りほがリリーたちを見ると皆は頷き、
「わかりました」
と答え、りほたちは生徒会三人と蝶さんとともに生徒会室へと向かうのであった。