タイムスリップパンツァー・時をかける戦車少女たち 作:疾風海軍陸戦隊
ここは聖グロリアーナ女学園の学園艦。英国海軍空母アークロイヤルに類似した学園艦に所在し、英国風の校風を持つ名門校。戦車道では全国屈指の強豪校でもあり、全国大会準優勝の実績がある学校だ。
その学校の内部に潜入する6人の少女たちがピンクパンサーの音楽とともに入り込んできた。
「大丈夫?気づかれてない?」
「だいじょうぶ。大丈夫」
潜入した6人組とはもちろんりほたちエーデルワイスチームだ。
「それにしてもコンビニ船に乗り込むのぎりぎりだったわね?」
「まあ、しょうがないよ。私たちの住んでいる小屋にトラップ張り直していたんだから。それで罠の方は大丈夫アーニャ?」
「大丈夫。大丈夫。ホームアローン顔負けのトラップ張っておいたから。と言っても火炎放射器やレンガが落ちてくるような危なっかしいのはつけてないから」
「グッジョブね!」
彼女たちは大洗女子の学園からコンビニ船を使い、ここ聖グロリアーナに来ていた。無論服装は怪しまれないように聖グロリアーナ女学院の生徒服だった。それは出発前に戦車道ショップのグッズで売っていたものを購入したものだった。
「それよりジャスミン。あの戦車道ショップって何でも手に入るのね?」
「本当に各校の制服まで売ってあるなんて?なんでだろう?」
「それは…わたくしも知りたいくらいですわ?なぜでしょう?」
聖グロリアーナの制服を着たりほとアーニャがジャスミンに訊くがジャスミンもなぜ売ってあったのか疑問だった。
「まあ、それも疑問だけど。まず突っ込みたいことがあるんだけど・・・・」
ハルカがちらっとある人物を見る
「リリー。ナポリ。その格好何?特にリリー!」
ハルカはナポリとリリーを見るとナポリはBC自由学園の、リリーに至っては青師団高校の格好をしていた
「え?今日は青い制服を着ると聞いたから?」
「確かに青いけど、ナポリはともかくリリーはそんな破廉恥な格好はダメ!」
「それにあの学校は巨乳の子しか着ないから!胸が慎ましいリリーには似合わないって!」
「ちょっとどういう意味よそれ!確かに胸はアリサお姉さん級だけどね!いつかはママのように大きくなるんだからね!!」
違う制服を着ているナポリとリリー。特にリリーの格好にアーニャの言葉にリリーは胸のことを気にしているのか、もしくは母親であるケイに何かコンプレックスを感じていたのか顔を真っ赤にしてそう言う
「ごめんごめん・・・・でも聖グロでその格好はまずいから。私の予備の服装貸してあげるから着替えなおしてきて」
「ほら、ナポリも」
「わ、わかった」
「すぐに着替えてくる」
そう言い二人はりほとジャスミンに予備の聖グロの制服を貸してもらい着替えなおすのだった。
気を取り直して・・・・・
「ここが聖グロなのね・・・・」
「すごーいまるでイギリスにいるみたい」
「あれってビッグベン!?すごい!」
「あっちにはロンドン塔に観覧車がある・・・・・ねえ本当にここ日本の学園艦?間違ってイギリス行の船に乗っちゃったんじゃないよね?」
「それを言うなら他の学園艦だってそうじゃない?」
聖グロの制服に着替えたリリーとナポリ。そして未来組一行はイギリス風の校舎や建物を見てそう言う。確かに周りにはロンドン塔、ビッグベン・・・・イギリスの名物という建物がここ聖グロリアーナにあり、それを見たジャスミンを除いたエーデルワイスチームは写真を撮っていた。
そして次に向かった場所はもちろん本来潜入する場所である聖グロリアーナ女学院の学校の校舎であった。
「すごい・・・これが聖グロの校舎」
「まるでお城みたいだね?」
とみんなはそう言う中、
「・・・・・」
そんな中、ジャスミンはじっとビッグベンを見てあることを思い出した。それはまだ自分が子供のころ、母親であるダージリンに連れられ初めて聖グロリアーナの学園艦に来た時のことだった。
『見なさいジャスミン。ここが聖グロリアーナ女学院よ』
『すごーい!まるでお城みたい!!』
ダージリンに手をつながれ、小さいジャスミンははしゃぎながら学校を見て、まるでお城みたいだという姿にダージリンは、
『フフッ…そうねほんとお城みたいね・・・・』
『お母様!私いつかこの学校に行く!この学校で戦車に乗ってお母さんみたい優雅な戦車乗りになる!』
『あらあら…それは楽しみね。でもその前に紅茶を飲めるようにならないといけないわね』
『お紅茶苦いから苦手・・・・でも頑張る!』
『ふふ…大きくなったあなたの姿が楽しみね・・・・・』
そう言いダージリンは笑顔で小さい頃のジャスミンの頭を撫でるのであった。
「・・・・・・・・・」
「ジャスミン?ジャスミンてばっ!」
「はっ!・・・・な、なんでしょう皆さん?」
「どうしたのじゃないわよ。ボーとしていたわよ?」
「そうそう。まるで何か回想していたような感じだったぞ?」
昔のことを思い出していたジャスミンにアーニャとナポリが少し心配そうに訊く。
「す、すみません。つい久しぶりの校舎を見て昔のことを思い出してしまいました」
「そう言えばここ、ジャスミンの母校だったっけ?」
「どう?今と変わらない?」
「そうですわね・・・・・少し新しい感じですね?」
「まあ、20年前だしね。それより、まずは何処を見る?」
「おすすめは紅茶の園ですが・・・・あそこは幹部級の人しか入れないですから・・・・」
「幹部級って言うと?」
「仇名が紅茶の銘柄の名前が入っている方ですわ」
「ああ。やっぱりあれ仇名だったんだ。本名じゃないんだね?」
「当たり前ですリリー。紅茶の名が本名ってどんなキラキラネームですの・・・・病院とかで呼ばれたとき恥ずかしいじゃない」
「あ、やっぱりちょっと気にしてた?」
「紅茶の名前をもらうのは聖グロ出身にとっては名誉ある事ですが・・・・」
と、少し顔を赤くしそう言うジャスミン。きっと昔何かあったのだろうと皆は推測するがあえて聞かなかった。
「そう言えば、この学校ジャスミンのお母さんが今いるんだよね?」
「そう言えばそうですね。まだ学生だったお母様が今この学校にいる。不思議な感じですわ・・・・」
「じゃあ、あの有名な二人もいるんだよな?確かノーブルシスターズの・・・・・・えっと・・・・オポッサムさんとハラペコさんだったけ?」
「アッサムお姉さまとオレンジペコお姉さまですわ。ナポリ。後二人に対して失礼ですわよ」
「ああ、ごめんごめん」
ジト目でそう言うジャスミン。ナポリが言ったノーブルシスターズとは聖グロリアーナ女学院のダージリン、アッサム、オレンジペコの三人の通称名であり、後にも先にもその称号を持っているのはこの三人だけである
「じゃあ、まずは戦車倉庫に行こうよ!イギリスの戦車見て見たいし」
「あ、それいい考え!」
「うんそうしよ!」
りほの提案に皆は賛成し、ジャスミンも、
「それはいいですわね。案内しますわ。ああ、それとティーカップを持つことをお忘れなく」
「え?なんで?」
「聖グロの戦車乗りはいつもティーカップを持っていますの。戦車倉庫にティーカップを持たないと怪しまれますわ」
「ああ。だからジャスミン。行くとき数個ティーカップを持ってきたのね?」
「そう言うこと…では行きましょう」
そう言いりほたちはジャスミンに連れられ、聖グロの戦車倉庫へと向かうのであった。
一方、紅茶の園では、
「・・・・あら?」
「どうかしましたかダージリン様?」
「いえペコ。茶柱が立ったのよ」
「茶柱ですか?」
「ええ。ペコ。こんなイギリスのこんな言い伝えを知ってる?『茶柱が立つと、素敵な訪問者が現れる。』」
「はい?」