タイムスリップパンツァー・時をかける戦車少女たち 作:疾風海軍陸戦隊
「ほんとにここ使っていいんですか。ナカジマさん?」
「うん。この倉庫、私たちもあんまり使っていないから好きに使ってよ。機材もジャッキも冷蔵庫もここにあるし」
「本当にありがとうございます」
今、私たちはエーデルワイスを隠した森の中にある古びた倉庫の中にいた。なぜここにいるかというと、先ほどリリーたちから生徒会たちが私たちのことを探しているというメールが来たからだ。その内容を知った私たちは急いで旧部室棟に置いてある荷物を纏めエーデルワイスを隠した洞窟に集合した。そして集合する際、ナポリとハルカが自動車部の人を連れてきたのだ。なんでも戦車の整備道具を貸してくれるのと一緒に整備を手伝ってくれるらしいとのことだ。そしてエーデルワイスは今の洞窟からすぐそばの使われなくなった倉庫に移したというのだ。そして私たちの拠点は旧部室棟から倉庫に移ったのだ。
「それにしても大きいね~。これなんていう戦車なの?」
ナカジマさんは興味津々で私に聞く。
「あ、これは五式中戦車と言って戦時中の、日本最後の戦車なんです」
「へ~そうなんだ。ねえホシノ。どう?」
「そうだね確かにこの子たちが言った通り、専門の機材で整備しないといけないところが多いよ。これは大仕事になりそうだね。ツチヤやスズキはどう思う?」
「そうだね・・・・エンジンはまだいいとして、これオイル交換とかしたほうがいいかもね?まあ、コーナリングは任せておいて」
「ドリフト!ドリフト!」
「いや戦車でドリフトは無理なのでは?」
「いや、案外できるかもしれない・・・・・ナカジマさん。もしかしてできます?」
ジャスミンとハルカがそう言うとナカジマさんは
「そうだね。ミューが低い場所でモーメントを利用すれば出来なくもないけど…雨が降ればなお良いねー」
「なるほど、ハイドロプレーニング現象ね。確かにあれなら・・・・・いっそのことローライダーに改造・・・・」
「いや、ダメでしょハルカ」
ハルカの言葉にアーニャがつっこむとナカジマさんは
「まあ、ともかく本確的な整備は明日ということで」
「うん。ありがとうございますナカジマさん。それと・・・・・」
「わかっているよ。この戦車のことと、君たちのことはみんなには内緒にしとくから安心して。ね、みんな」
ナカジマさんの言葉にほかの自動車部の人たちが頷く。
「あ、ありがとうございます」
「いいよ、良いよ。じゃあまた明日ね」
そう言いナカジマさんたちは倉庫から出ていき自宅へと帰って行ったのであった。
「あれが後のレオポンさんチームのナカジマさんたちか・・・・・」
私はそう小さく呟く。レオポンさんチームという自動車部のことは大洗女子学園の伝説の一つと言われている。壊れた戦車を一晩で直したり、走行中だった戦車を直したり、戦車でドリフトしたり、故障の多いポルシェティーガーをスペック以上の性能を出したりと数々の伝説を残していき、その伝説は今なお、語り継がれていて私たちの時代の自動車部の目標にもなっている。
「良かったね。これで私たちの戦車試合に出せるね」
ナカジマさんたちが帰った後、私たちはその倉庫にある小さな個室、六畳ほどの部屋に囲むように座っていた。その個室には冷蔵庫の他、洗面台やガス台もあり、十分生活でき旧部室棟より住みやすい環境であった。
「それ以前に賞金付きの試合見つけないと・・・・と、いうかナポリ、ハルカ。何見つかっちゃっているのよ。あなた達が自動車部の人たちを連れてきてびっくりしちゃったじゃない」
「「う、返す言葉もない」」
「まあ、良いじゃないですか。いい人そうでしたし、秘密にするというのであれば問題ないし、なにより早く戦車の修理が終わるんですもの。そうではなくてアーニャ?」
「それはそうだけどジャスミン・・・・・・と、言うより今はこの手配書のことよ!」
そう言いアーニャはちゃぶ台の上にバンッ!と一枚のポスターを出す。それはリリーやジャスミンが持ってきた生徒会たちが私たちを探すために作ったあの手配書だった。
「いつの間に顔写真なんて取られたのでしょう?」
「わからない。それ以前になんで私たちがここの生徒じゃないことが・・・・・アーニャは別として」
「それどういう意味よ。私の身長が小学生クラスだからバレたと言いたいわけ?」
「あ、ごめん。別にそういう意味じゃないわよアーニャ」
「ならいいのよ。で、これからどう行動するのリホーシャ?」
「うん。もう素顔で学校内でうろつくのは自殺行為だし・・・・・変装するしか」
「それなら問題ないですわ。美術室から大量の鬘を拝借してきましたから」
そう言い紅茶を飲むジャスミンの後ろでは、段ボール箱の中に大量の鬘が入っていた。
「・・・・・何で美術室にそんなものがあるの?」
「マネキンにたくさんついていたのでそれを・・・・」
「マネキンって、美容室じゃあるまいし。りほ。何か知っている?」
「う~ん。私のいたころはマネキンとかそう言うのはなかったかな?なんか昔、盗まれたとか何とか・・・・」
「え?それってまさか・・・・」
「まあともかく、しばらくはこの鬘を被って学校内を動かないといけないわね。私とナポリは自動車部の人たちとエーデルワイスの整備をするとして」
「ごめんねハルカ、ナポリ。整備ばかりやらせて」
「いいんだって気にするなりほ。結構楽しいわよ」
「私もよ。それに私、将来戦車の整備士になろうかと思っていたし、修行だと思えば別に何ともないわ。だから気にしないで」
「そう・・・・ありがとう」
「それよりも今後学校内を歩くときは慎重に行かないとね。得にあのおかっぱ軍団には要注意ね」
「おかっぱ軍団?ああ、風紀委員ね。確かに厄介ね。私も気を付けないと」
「そうね。アーニャは小学生ぽいからなおさらね~」
「うるさいわね。こう見えて私結構なお姉さんなのよ」
「え?アーニャ歳いくつ?」
「18、だから高校三年生。みんなは?」
「わたくは17、二年生よ」
「私も17。黒森峰の二年生」
「私もアンツィオでは二年生だ」
「私も二年生・・・・」
アーニャの質問にリリー、ハルカそして私がそう言うとジャスミンは
「わ、わたくしは16・・・・まだ一年になったばかりですわ」
「「「「えーーーー!!!」」」」
ジャスミンが少しおどおどしながら言うとみんなは驚く。
「嘘、ジャスミンって大人びてるから年上に思ってたわ」
「わ、私もてっきり三年生かと」
「普通に、アーニャが一年でジャスミンが三年かと思った」
「だからそれ、どういう意味よ!もう私の身長のことネタにするのやめなさいよ!別に気にしてはいないけど、そうしつこいと怒るわよ!」
「アハハ・・・ごめんアーニャ。それよりも今後はどうする敬語で話したほうがいい?」
「その必要はないわ。私たちは同志なんだし、歳だって一歳しか違わないしため口でも問題ないわ」
「そうね。確かに今から口調を改めるのも大変ね」
「私も今の方が喋りやすいし」
ということで私たちは今までと同じ話し方になったのだった。すると
「それにしてもエーデルワイス。見れば見るほど不思議よね?」
「確かに。あの子、私たちの知っている5式じゃないわね。写真を比べても微妙に違うし」
「そうね。全面装甲も少し傾斜してるし、副砲である37ミリもないし、主砲も88ミリだし。何より装甲を調べたら、75ミリじゃなくて100ミリだったし・・・・まさか量産型?」
「まさか五式は少数しか作られなかった幻の戦車よ。量産なんてありえないわ。もしかしたらこの子、別世界から来たのかしら?ほら紺〇の艦隊のような世界の戦車とか」
「それこそおかしいじゃない」
「いや、タイムスリップした私たちがいるんだから異世界からトリップした戦車が出たっておかしくないかもしれないぞ?」
「ナポリまで・・・・まあ、良いわ。どんな戦車であってもエーデルワイスには変わりないんだし」
「そ、そうね。まありほがそう言うならそうでしょ。それよりそろそろご飯にしようか?」
「そっか。そう言えばもう遅いし、ねえ、ちょうどこの部屋コンロあるし何か作らない?正直コンビニ弁当とかじゃ飽きたわ」
「えっと・・・・確か缶詰が・・・・」
「よし、ならその缶詰で何か作ろう!私ロシア料理作ってあげる」
「いいや、料理と言えばアンツィオのイタリア料理だ!」
「そう、それなら、わたくしもお母さま直伝の料理をふるまいましょうか?」
「どんなの?」
「ウナギの煮凝りゼ・・・・・・」
「はい。ジャスミンは紅茶を入れてくれる?私じゃ美味しい紅茶淹れなくて・・・・」
「あら?そうですの?なら私は紅茶をふるまいましょう」
「じゃあ、ジャスミンは飲み物として料理はイタリアかロシアね!」
「ロシア料理よ!」
「いや、絶対にイタリアだ!」
「二人ともストップ!喧嘩はダメよ!」
「そうだよ料理は楽しくやろう!」
と、その後話し合った結果、ロシア料理、イタリア料理の両方を出すことになった。そして肝心の味の方はどれもとても美味しくみんなで仲良く賞味したのであった。今度はリリーとハルカがドイツとアメリカ料理をふるまうと言っていた。ジャスミンもイギリス料理を振舞うと言っていたのだがなぜか皆に止められた。そしてその夜。私たちは
「はぁ~クーラーが効いて涼しい・・・・」
「旧部室にはなかったもんね」
あの部室棟にはなかったクーラーの涼しさを堪能しながら眠りにつくのであった。