儚い感じがする美少女のヒモになる(予定の)話 作:クリアグラタン
ジミケン「刹那あぁいい~ハミングバアぁぁ~ドぉぉぉ~俺のぉぉ~心うおぉ震わすぅぅう~」
デモンズのライブ会場に響くジミケンの歌声に多くの人が魅了されてる中、白峰ノキアとタ相羽タクミはデモンズアジトに潜入していた。
そもそもなぜこんなことをしているのかと言うとそれはタクミの同級生のある依頼が発端だった。
イーターに捕まり、現在EDEN症候群に陥ったタクミはなんやかんやあって仮の肉体を手に入れた。
その仮の肉体を手に入れることに大きく貢献し、現在の彼を保護したのが暮海探偵事務所の暮海杏子である。
彼女は衣食住を提供する代わりにタクミにここで住み込みで働くように求めた。その仕事をこなしていく内に今回の依頼である同級生の幼なじみの様子の調査を引き受けた。
タクミと同伴するのは白峰ノキア。ショートツインテールで赤い髪が特徴の女性である。成り行きで依頼に関わることになり、現在に至る。
「サクラさんの居場所がわかったから突入するよ。」
「わかった。行くよっ!」
「………」
そうして突入していく一行をオーマジはどこかに連絡しながら遠目に眺めていた。
ノ「サクラっち!助けに来たよ!」
「………」
ノキアが彼女に呼び掛けるも彼女は心ここにあらずといった状態で、様子がおかしいのは一目瞭然であった。
「oioioi?フーアーユー!? なんだぁテメーら?オレ様の悪魔巡礼に殴り込みたぁいい度胸……ってか逆にロックじゃねぇかぁっ!………ぬあぁああ!!
てかオメ、あん時の!?デジモンごときで目くじら立ててたアイホエールガールじゃねぇかぁあ!」
その声の主はザクソンの元幹部にしてデモンズのリーダーであるジミケン。こんなナリだが一応ハッカーとしての実力はあったりする。尚、我らがオリ主のオーマジにとっては救世主だったりする。理由はプロローグを見て欲しい。
「あいほえーる…ねぇタクミ、意味わかる?」
「目くじらだからたぶんそれを掛けたんだと思う…」
「うわっ!目くじらだからアイホエールとかって……さっぶう!超絶さっぶう!」
「まぁ確かに……」
ジミケンのワードセンスのなさに軽く引く2人。まぁいきなりアイホエールとか言われてもわかりづらいからしょうがない。
「…ってか何してんの、これ?これってテレビカメラ?ひょっとして……今まさに絶賛電波ジャック中ってこと!?…ちょ、ちょっと待って!それって今あたしの顔が全国のお茶の間に?あ、あたしまだ準備が謎の超絶美少女としてr」
まぁコイツはコイツで痛々しいが。
「バーカwwwそのカメラは俺様だけに向けられてんの!俺様の魅力だけを映し出すカメラだ!」
ノキアのアホさに毒づきながらもしれっと自己アピールするジミケン。もう一度言うがこんな奴でも一応ザクソンの幹部を務めたことがあるのだ。こんな奴だけども。
「けど、街で流れてた映像はPVだったのに…」
「ライヴはなぁナマで聴かねぇとイミねぇんだっつうのwwwそれにな、このファンたちは俺のPVの魅力に取り憑かれてここまで聴きにきたのだぁ!今によぉ…!もっともっと大勢のファンが俺様の音楽を聴きに来るぜぇwww」
「何言ってんのよ!この子たちがここにいるのはアンタのPVに込められたサルモネラ効果だってネタは上がってんだからね!」
「はあぁ~?っんだよその効果は?それを言うならサブリミナル効果じゃねぇ~~~?www」
「そ、そう!それよそれっ!…アグモン、ガブモン!そのカメラを壊して!」
「ああああああああああ!?!?信じらんねぇ!?!?ユー、ホワイぶっ壊してんの!?!?
それはあの人がオレっちにくれたんだぞ!?!?大事な大事なスウィートメモリーなんだぞ!?!?」
アグモンとガブモンによってカメラが完全に破壊されて動揺しまくるジミケン。そのせいか結構重大なことを思わず口から溢してしまってる。それにしてもリアクションがオーバー過ぎないかコイツ。
「アンタのその失敗した歌舞伎役者みたいな顔をこれ以上お茶の間に晒す訳にはいかないわ。あ、それかなんか有名なバンドのパクりでしょ?アメリカとかイギリスとかなんかそっちの欧米的な方の。リップがベーゼかだかわからないけど。」
「ハァアアアアアアアアア!?パ、パパパパクりなんかじゃねぇし!」
図星を疲れたのかあからさまに動揺するジミケン。
ポーカーフェイスも出来ないのかお前。
「許さねぇ!今度こそ絶対に容赦しねぇからな!おい、オーマジ!お前も隠れてないで早く来い!」
オーマジ「わかりました。で、俺はどちらを相手にすればよろしいので?」
タクミ ノキア「「!!」」
突如現れたもう一人の敵に動揺が走る主人公一行。口振りからするに恐らく幹部だろう。そう推測するタクミは内心冷や汗をかいていた。
それもその筈当初の予定ではノキアとタクミでジミケンを袋叩きにする予定だったのだから。それがオーマジの登場により計画が頓挫した。
ジミケン「お前はあのアイホエールガールを頼むわ。俺はゴーグル野郎をやる。」
オーマジ「了解。じゃあ、やろうか。」
タクミ「来るよ!」
ノキア「アグモン、ガブモン。お願い!」
今、それぞれの戦いの火蓋が切って落とされた。
ジミケン
デスメラモン(データ種)[火属性]
ボルトモン (データ種)[電気属性]
デスメラモン(データ種)[火属性]
VS
タクミ
ラピッドモン (ワクチン種)[電気属性]
アンドロモン(ワクチン種)[電気属性]
リリモン(データ種)[草木属性]
※デスメラモンが2体いるので便宜上デスメラモンA、デスメラモンBとします。
オーマジ
マタドゥルモン(ウィルス種)[闇属性]
ヴァンデモン(ウィルス種)[闇属性]
リリモン(データ種)[草木属性]
VS
ノキア
アグモン(ワクチン種)[火属性]
ガブモン(データ種類)(火属性)
マズい。今の状況は本当にマズい。タクミがまず感じたのは焦燥感だった。ノキアと2人がかりでジミケンを袋叩きにする。だが、実際はどうだ。こちらは完全体が3体、ノキアは成長期2体なのに対して相手はおそらく究極体が3体。そしてオーマジの完全体3体。絶望的と言っていい戦力差だ。あまりの戦力差にこの状況を投げたしたくなるが、それをグッとこらえる。
今、自分に出来ることは諦めることではなく、少しでも戦局を有利に進めること。ステータスで負けているなら戦略でカバーするしかない。そのためには情報が必要不可欠だ。
「随分強そうなデジモンだね。今まで戦ってきたデジモンとは纏っている雰囲気が違うみたいだし。」
これで少しでも乗ってくれればいいが、念のためアンドロモン達に直ぐ戦闘出来るよう合図を出す。
「へっ!当たり前だろォ?何せこのボルトモンは俺様が持つ唯一の究極体!残りの完全体のデスメラモンよりはるかに強いんだZE!」
バカ正直に答えてくれたおかげで少しは希望が見えた。
究極体はどうやら1体だけで残りは完全体らしい。
ボルトモンとはおそらく半裸の斧を持ったデジモンだと思われる。デスメラモンとはジミケンが言うには鎖を体に巻いた半裸のデジモンのことだろう。ここで状況を整理する。自分は完全体3体、相手は究極体1体、完全体2体と最悪の想定よりは幾分かましになったものの、これに加えてあのオーマジとやらも相手にしなければならない。状況が悪いのは代わりはない。
ノキアのデジモンであのオーマジとやらにどこまで持ちこたえられるかわからないが、まずはジミケン率いるボルトモンらを倒す。
自分のこれから為すべきことを確認した後、アンドロモン達に以下の指令を通達する。
デスメラモンから先に倒して。その後ボルトモンをお願い。
アンドロモン達にアイコンタクトでその旨を伝えた後、自分はいつでも彼らが回復出来るようポーチから回復アイテムを取り出す。
アンドロモンがデスメラモンAの脚を狙ってスパイラルソードを繰り出し、ラピッドモンはデスメラモンBに背中のリボルバーから銃撃を浴びせる。当然デスメラモンらがこの程度で倒れる筈もなく、炎熱を纏った拳などでアンドロモンらに反撃した。
それらをアンドロモンは横へ飛ぶことで、ラピッドモンは耳のレーダーで相手の位置を割り出しつつ回避した。
デスメラモンAが口からへヴィーメタルファイアーを吐き出した後、数秒のタイムラグを挟んでパニックウィスプを繰り出そうとする。
その僅かなタイムラグの時にラピッドモンは両腕のキャノンからデスメラモンAの顔面目掛けて砲撃を繰り出し、デスメラモンAの視界を潰す。デスメラモンAの視力が失われている内に、アンドロモンはデスメラモンAの腕の腱にスパイラルソードを放つ。
いくら完全体でも腕の腱を斬られたら満足に闘うことは出来ない。この攻撃が決まれば戦局はタクミ側に有利に傾く。最もアンドロモンの攻撃が通ればの話だが。炎熱を纏った強靭な肉体に下手な攻撃は通用しない。
しかし腐っても完全体。デスメラモンの肉体に傷を与えることは出来た。本来ならアンドロモンのスパイラルソードは傷が付くだけで終わるようなレベルの技ではない。
だが、現実ではデスメラモンには大したダメージを与えられずにいる。その理由としては2つある。
1つは相性の問題である。デジモンにはワクチン種、データ種、ウィルス種、フリー種と4つのカテゴリーに分けられる。
ワクチン種はデータ種に弱く、データ種はウィルス種に弱く、ウィルス種はワクチン種に弱いと三竦みの関係にある。 フリー種は全てに等倍である。
加えて、属性の相性も存在する。デジモンの属性は火、水、地面、草木、電気、風、光、闇、無属性が存在する。
火は水に弱く、水は草木に弱く、草木は火に弱い。電気は地面に弱く、地面は風に弱く、風は電気に弱い。光と闇はお互いに強弱関係にある。
この場合アンドロモンはワクチン種電気属性でデスメラモンはデータ種火属性なのでアンドモンの攻撃が通りづらくなっている。
完全体というステータスが同じ者同士の戦う場合に戦局を左右するのは基本的に相性である。
そして2つ目がデスメラモンの炎熱である。
デスメラモンは常に体に蒼炎を纏っており、大抵の攻撃はその炎によって遮られる。これによりデスメラモンを完全に撃破するためには炎バリアを貫通出来るほどの火力を叩き込まなければならない。だが、完全体でそれが出来るものなどごく僅かしかいない。究極体ならばそれが出来たかもしれないが、アンドロモンは完全体でワクチン種。炎熱のバリアを突破することはほぼ不可能だ。アンドロモンの表情が歪むのも仕方がないことだ。
半ば詰んだ状況の中タクミはアンドロモンに出来るだけ相手の攻撃を回避するよう指示を出す。 今のところボルトモンは攻撃を仕掛けて来ない。おそらくジミケンの指示だろう。
お前らなんぞ完全体でも十分という余裕の現れかそれともデスメラモンでこちらの戦闘の様子を観察してるのかわからないがタクミにとっては何にせよ有り難かった。おかげでデスメラモンに専念出来る。
リリモンにアンドロモンの体力を回復するよう指示を出しつつ、自分もサポートアイテムをリリモンに使う。リリモンは戦闘が始まって以来、ずっと回復に専念しているせいかMPが切れるのが早い。それを回復アイテムで補うことでなんとかなっている状況である。
一方のラピッドモンは耳のレーダーで常にデスメラモンBとボルトモンの位置を把握しつつ一定の距離を保って攻撃していた。デスメラモンBの攻撃はレーダーによって判別出来るため、今のところこれといった大きなダメージはない。
だが、それはデスメラモンも同じである。先ほどからラピッドモンは両腕のキャノン攻撃をデスメラモンに当て続けているも、デスメラモンの炎熱のバリアによって大したダメージを与えられずにいた。それでもラピッドモンはただひたすらにデスメラモンを攻撃する。
お互いに膠着状態が続く中、先に痺れを切らしたのはデスメラモンBの方だった。デスメラモンBは怒りの雄叫びと共に全身から蒼炎が噴き上げる。
次の瞬間、デスメラモンBを大量のホーミングミサイルが襲った。それに伴い、辺りを爆炎が包み込む。だが、ラピッドモンはこの機を逃さんと言わんばかりに両腕のキャノンと背中のリボルバーからラピッドファイアを撃ち続ける。
それは先ほどの回避にしながら断続的に行っていた攻撃とは威力が段違いだった。ラピッドファイアを連続で放つことによりデスメラモンBの姿を目視出来ない程に辺りを爆煙が立ち込めていた。だが、ラピッドモンはレーダーを用いてデスメラモンBの位置を把握し、デスメラモンBの熱源が点滅仕掛けていることに自分の
作戦が成功したことを確信する。
ラピッドモンの作戦はデスメラモンを窒息させた後に止めを刺すといったものだった。デスメラモンは常に炎を纏っている。常に炎が燃焼してるということはその分酸素が消費される。
当然燃える規模が大きければ大きいほど酸素の消費は早くなる。それを利用してデスメラモンBを怒らせることで、周りを見えなくさせると同時に周囲の酸素も減少させていく。
その後、ありったけのミサイルを撃つことで更に辺りを燃焼させていく。これにより急激な酸素不足に陥ったデスメラモンBは呼吸することが困難になり行動不能になる。
これがラピッモンが立てた作戦だった。デスメラモンだからこそ通用したと言える。
そしてラピッドモンはY字の体勢を取り、エネルギーをチャージする。爆煙が晴れ、視界が明瞭になる頃にはラピッドモンの必殺技のエネルギーチャージは終了しており、被弾すればデータごと分解するというゴールデントライアングルをデスメラモンBに目掛けて放たれる。結果は火を見るより明らかだった。デスメラモンBはデータごと消滅し、見事ラピッドモンの勝利に終わった。
ラピッドモンが無事デスメラモンBに勝利したことに安堵するタクミ。アンドロモンの方は未だに厳しいがラピッドモンが加勢してくれるなら何とかなる。
だが、直ぐ様その安直な考えを頭の隅に追いやる。ボルトモンが控えてるからこそ出来たことだ。ボルトモンが出てきたら状況は一瞬で逆転する。緩みかけた気持ちを引き締めて、次の一手を考える。
自分が想像していたより熾烈な戦いになることを確信したタクミは気持ちを新たに引き締めた。
すみません。オーマジのノキアとのバトルは次回になります。
文章を大幅に修正しました