英雄戦士ドラゴ☆マギカ【完結】   作:kuropon

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OP ルミナス

歌 ClariS



第7話 絶望と後悔

さやか「騙してたのね。あたしたちを・・・。」

 

 

キュゥべえ「僕は魔法少女になってくれって、きちんとお願いしたはずだよ。実際の姿がどういうものが、説明を省略したけど。」

 

 

まどか「な、なんで教えてくれなかったの!?」

 

 

キュゥべえ「訊かれなかったからさ。知らなければ知らないままで、何の不具合もないからね。

そもそも君たち人間は、魂の存在なんて、最初から自覚できてないんだろう?そこは神経細胞の集まりでしかないし、そこは、循環器系の中枢があるだけだ。

そのくせ、生命が維持できなくなると、人間は精神まで消滅してしまう。そうならないよう、僕は君たちの魂を実体化し、手に取ってきちんと守れる形にしてあげた。少しでも安全に、魔女と戦えるようにね。」

 

 

杏子「大きなお世話だ!!」

 

マミ「~~!」ブルブル

 

悟飯「グギギギギ・・・!」ググッ

 

 

キュゥべえ「さやか、君が杏子との戦いで最後まで立っていられたのは、強過ぎる苦痛がセーブされていたからさ。君の意識が肉体と直結していないからこそ可能なことだ。おかげで君は、あの戦闘を生き延びることができた。

慣れてくれば、完全に痛みを遮断することもできるよ。もっとも、それはそれで動きが鈍るから、あまりオススメはしないけど。」

 

 

マミ「何でよ!どうして私達をこんな目に・・・!」

 

 

キュゥべえ「戦いの運命を受け入れてまで、君たちには叶えたい望みがあったんだろう?それは間違いなく実現したじゃないか。」

 

 

悟飯「グググッ・・・!うわああああ!!!」

ボォオ

ガッ

 

全員「!!」

 

 

悟飯は超サイヤ人に変身し、キュゥべえをつかみ上げた。

 

 

まどか「悟飯くん!?」

 

悟飯「キュゥべえ!!お前は人間の魂を、命をなんだと思ってるんだ!!」

 

 

キュゥべえ「何を言っているんだい?君たちサイヤ人も、星々を襲い、多くの人類を殺してきたじゃないか。」

 

 

悟飯「僕はあの残忍なサイヤ人とはちがう!僕は地球人だ!!」

 

 

キュゥべえ「いやいや、君のあの変身は地球人では不可能な能力だ。君のあの姿こそ、千年に一人生まれるといわれた『超サイヤ人』じゃないか。」

 

 

悟飯「ぐぅぅぅ・・・!!」

 

 

キュゥべえ「やれやれ・・・。君は他のサイヤ人となんら代わりはない。残忍で冷酷なサイヤ人なのさ。」

 

 

悟飯「・・・!この・・・ヤロー!!!」

 

ほむら「やめなさい悟飯!」

 

悟飯「いやだ!!」

ブン

 

杏子「ご、悟飯!!」

マミ「やめて!」

 

悟飯「波ァァァァァ!!!」

 

 

悟飯はキュゥべえを空へと放り投げ、かめはめ波で跡形もなく消し去った。

 

 

悟飯「はあ・・・はあ・・・はあ・・・!」

 

まどか「ご、悟飯くん・・・!なにも殺さなくても・・・!」

 

?「やれやれ・・・。」

 

5人「!?」

ほむら「・・・・・・。」

 

 

全員が後ろを振り向くと、そこには死んだはずのキュゥべえがいた。

 

 

キュゥべえ「代わりはいくらでもいるけど、無意味に潰されるのは困るんだよね。勿体ないじゃないか。」

 

 

ほむら「消えなさい。もう一度死にたくなかったらね・・・。」

 

 

キュゥべえ「やれやれ・・・、わかったよ。」

 

 

そういうとキュゥべえはどこかへと去って行った。

 

 

まどか「ほむらちゃんは・・・知ってたんだよね?」

 

ほむら「・・・・・・。」コクッ

 

まどか「どうして教えてくれなかったの?」

 

ほむら「前もって話しても、信じてくれた人は今まで一人もいなかったわ・・・。」

 

まどか「キュゥべえはどうしてこんなひどいことをするの?」

 

ほむら「あいつは酷いとさえ思っていない。人間の価値観が通用しない生き物だから。何もかも奇跡の正当な対価だと、そう言い張るだけよ。」

 

まどか「全然釣り合ってないよ。あんな体にされちゃうなんて。さやかちゃんはただ、好きな人の怪我を治したかっただけなのに・・・。」

 

ほむら「奇跡であることに違いはないわ。不可能を可能にしたんだから。さやかが一生を費やして介護しても、上条恭介が再び演奏できるようになる日は来なかった。

・・・奇跡はね、本当なら人の命でさえ購えるものじゃないのよ。それを売って歩いているのがあいつ。」

 

まどか「みんなは、元の暮らしには戻れないの?」

 

ほむら「残念だけど・・・。」

 

まどか「そんな・・・。あれ?さやかちゃんは?」

 

マミ「・・・!佐倉さんと悟飯くんもいないわ!」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

~路地裏~

 

 

さやか「こんな身体になっちゃって・・・あたし、どんな顔して恭介に会えばいいのかな・・・?」

 

杏子「いつまでもショボくれてんじゃねえぞ。」

 

さやか「・・・!」

 

杏子「ちょいと面貸しな。話がある。」

 

 

杏子はさやかを連れて歩き出した。

 

 

杏子「アンタさぁ、やっぱり後悔してるの?こんな体にされちゃったこと。」

 

さやか「・・・・・・。」

 

杏子「アタシはさぁ、まあいっかって思ってるんだ。何だかんだでこの力を手に入れたから好き勝手できてるわけだし、後悔するほどのことでもないってね。」

 

さやか「あんたは自業自得なだけでしょ・・・。」

 

杏子「そうだよ、自業自得にしちゃえばいいのさ。」

 

さやか「・・・!」

 

杏子「自分のためだけに生きてれば、何もかも自分のせいだ、誰を恨むこともないし、後悔なんてあるわけがない。そう思えば大抵のことは背負えるもんさ。」

 

 

二人が歩きながら話をしていると、ある廃教会にたどり着いた。

 

 

さやか「こんな所に連れてきて、何の用?」

杏子「ちょっとばかり長い話になる・・・。」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

~回想~

 

 

ここはね、アタシの親父の教会だった。正直過ぎて、優し過ぎる人だった。毎朝新聞を読む度に涙を浮かべて、真剣に悩んでるような人でさ。

新しい時代を救うには、新しい信仰が必要だって、それが親父の言い分だった。

だからある時、教義にないことまで信者に説教するようになった。

もちろん、信者の足はパッタリ途絶えたよ。本部からも破門された。誰も親父の話を聞こうとしなかった。

当然だよね。傍から見れば胡散臭い新興宗教さ。どんなに正しいこと、当たり前のことを話そうとしても、世間じゃただの鼻つまみ者さ。

アタシたちは一家揃って、食う物にも事欠く有様だった。

納得できなかったよ。親父は間違ったことなんて言ってなかった。

ただ、人と違うことを話しただけだ。

5分でいい、ちゃんと耳を傾けてくれれば、正しいこと言ってるって誰にでもわかったはずなんだ。

なのに、誰も相手をしてくれなかった。悔しかった、許せなかった。誰もあの人のことわかってくれないのが、アタシには我慢できなかった。

だから、キュゥべえに頼んだんだよ。みんなが親父の話を、真面目に聞いてくれますように、って。

翌朝には、親父の教会は押しかける人でごった返していた。

杏子「毎日おっかなくなるほどの勢いで信者は増えていった。

アタシはアタシで、晴れて魔法少女の仲間入りさ。

いくら親父の説法が正しくったって、それで魔女が退治できるわけじゃない。

だからそこはアタシの出番だって、バカみたいに意気込んでいたよ。

アタシと親父で、表と裏からこの世界を救うんだって。

・・・でもね、ある時カラクリが親父にバレた。

 

 

杏子『はぁ~・・・・・・さすが魔女。今回はちょっと際どかったぁ・・・・・・。』

 

杏子父『む・・・・・・う・・・・・・。

・・・杏子?どうしたんだ、その姿は?』

 

杏子『と、父さん!?

(し、しまった・・・。意識が戻ったんだ・・・!今さら服を戻せない・・・!)』

 

杏子父『私は気絶していたのか・・・?

皆もなぜこんな所で・・・。』

 

杏子『(どうしよう・・・!どうごまかしたら・・・!)』

 

杏子父『何が起きたんだ?

杏子は知っているのか?その姿は一体なんなんだ?』

 

杏子『・・・・・・。』

 

杏子父『答えなさい。杏子。』

 

杏子『・・・・・・。』

 

杏子父『杏子。答えるんだ。』

 

杏子『(ダメ・・・!ごまかせない・・・!)

・・・父さん。よく聞いてほしいの。ア、アタシ、アタシね・・・。魔法少女なの。』

 

杏子父『ま、魔法・・・?』

 

 

アタシの願いを聞いた親父は、街へ飛び出し、人々にこう言ったんだ。

 

 

杏子父『皆さん、聞いてほしい!

私は、私の言葉を訂正するつもりだ!絶望が憎むべき悪などというのはまったくの嘘だ!

希望など持って生きていても無駄なのだ!既にこの世は生き地獄なのだから!

そうだ!希望などという気休めは捨てて欲望のままに生きなさい!

この世に神などいない!絶望こそが、我らを導いてくれる唯一の道しるべだ!』

 

杏子『(どうしてそんなデタラメを・・・!そんな話、誰も聞いてくれるわけない・・・!そうでしょ・・・?)』

 

 

街人1『おお。なんて素晴らしいんだ・・・!』

 

街人2『彼の言葉には真実がある。この世に神などいないのだ!』

 

 

杏子『(そんなバカな・・・!)』

 

 

街人3『この世に神などいない!絶望こそが、我らを導いてくれる唯一の存在だ!』

 

 

杏子『(なぜ・・・なぜなの・・・?)』

 

 

街人4『そうだ!この世に神などいない!絶望こそが、我らを導いてくれる唯一の存在だ!』

 

 

杏子父『なんということだ・・・!こ、これでは・・・私の意のままではないか・・・!

恐ろしい・・・なんて恐ろしい・・・。』

 

 

街人5『この世に神などいないのだ!欲望のおもむくままに生きよう!絶望を道しるべとして!』

 

 

杏子父『や、やめろ!私が今言ったことはまったくの嘘だ!嘘をついていたんだ!』

 

 

街人2『そうだ!嘘をついていた!!』

 

 

杏子父『あああ!なんてことだ!これでは私自身が、悪魔のようではないか・・・!』

 

杏子『アタシはそんなつもりじゃ・・・!ただ、父さんのためを思って・・・!』

 

杏子父『私を思ってだと!?ふざけるな!』

バキッ

 

杏子『きゃっ!痛い・・・!と、父さん、なんで殴るの・・・?』

 

杏子父『私は騙されていた・・・!お前こそ魔女

だ!この・・・魔女!人心を惑わず魔女め!』

 

杏子『や・・・やめて・・・・・・。』

 

 

『魔女!魔女!魔女!

魔女!魔女!魔女!

魔女!魔女!魔女!』

 

『お前こそ魔女だ!

お前こそ魔女だ!

お前こそ魔女だ!』

 

 

杏子『やめてぇええええーーー!!

・・・ぅ・・・ぅう・・・ぅああああーー!!!』ダッ

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

~現在~

 

 

さやか「・・・・・・。」

 

杏子「笑っちゃうよね。アタシは毎晩、本物の魔女と戦い続けてたってのに・・・。」

 

さやか「・・・・・・。」

 

杏子「それで親父は壊れちまった。最後は惨めだったよ。酒に溺れて、頭がイカれて。とうとう家族を道連れに、無理心中さ。アタシ一人を、置き去りにしてね・・・。

アタシの祈りが、家族を壊しちまったんだ。

他人の都合を知りもせず、勝手な願いごとをしたせいで、結局誰もが不幸になった。

その時心に誓ったんだよ。もう二度と他人のために魔法を使ったりしない、この力は、全て自分のためだけに使い切るって。」

 

さやか「・・・・・・。」

 

杏子「奇跡ってのはタダじゃないんだ。希望を祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる。そうやって差し引きをゼロにして、世の中のバランスは成り立ってるんだよ。」

 

さやか「何でそんな話をあたしに・・・?」

 

杏子「アンタも開き直って好き勝手にやればいい。自業自得の人生をさ。」

 

さやか「それって変じゃない?あんたは自分のことだけ考えて生きてるはずなのに、あたしの心配なんかしてくれるわけ?」

 

杏子「アンタもアタシと同じ間違いから始まった。」

 

さやか「・・・!」

 

杏子「これ以上後悔するような生き方を続けるべきじゃない。アンタはもう対価としては高過ぎるもんを支払っちまってるんだ。だからさ、これからは釣り銭を取り戻すことを考えなよ。」

 

さやか「・・・あんたみたいに?」

杏子「そうさ。アタシはそれを弁えてるが、アンタは今も間違い続けてる。見てられないんだよ、そいつが。」

 

さやか「・・・・・・。

あんたの事、色々と誤解してた。その事はごめん。謝るよ。でもね、あたしは人の為に祈った事を後悔してない。そのキモチを嘘にしない為に、後悔だけはしないって決めたの。これからも・・・。」

 

杏子「・・・!何でアンタ・・・。」

 

さやか「あたしはね、高すぎるものを支払ったなんて思ってない。この力は、使い方次第でいくらでもすばらしいモノに出来るはずだから。」

 

杏子「バカ野郎!アタシたちは魔法少女なんだぞ?他に同類なんていないんだぞ!?」

 

さやか「あたしはあたしのやり方で戦い続けるよ。それがあんたの邪魔になるなら、前みたいに殺しに来ればいい。私は負けないし、もう、恨んだりもしないよ。」

 

 

そう言うとさやかは、廃教会を去って行った。

 

 

杏子「・・・・・・。

・・・聞いてんだろ?悟飯。」

 

悟飯「・・・すみません。全部聞いちゃいました・・・。」

 

杏子「いいよ。別に隠してる訳じゃねーしな。」

ギュッ

杏子「なっ!?///」カァー

 

 

悟飯は、杏子のことをそっと抱きしめた。

 

 

杏子「な、なにを!?///」

悟飯「泣きたいときは、泣いていいんですよ。僕の胸でよければいつでも貸しますから・・・。」

杏子「・・・!

・・・ぅ、ぅううう!ぅわああああん!!!」

ボロボロ

悟飯「よしよし・・・、辛かったですよね・・・。」

 

 

杏子の泣き声は教会中に響き、泣き明かした。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

全員がソウルジェムの秘密を知った翌日の夜、さやかはほむら、マミ、悟飯と共に魔女退治を行っていた。

 

 

~影の魔女の結界 最深部~

 

 

さやか「はあ・・・はあ・・・!」

 

ほむら「さやか、落ち着きなさい・・・!」

 

さやか「はあああ!!」

 

さやかは魔女に突っ込んだが、魔女には届かず、逆に取り込まれた。

 

 

悟飯「さやかさん!」

 

ズバァ

 

 

するとそこへ結界の外で様子を見ていた杏子が、魔女に取り込まれたさやかを助け出した。

 

 

悟飯&マミ「佐倉さん!!」

 

杏子「まったく。見てらんねぇっつうの。いいからもうすっこんでなよ。手本を見せてやるからさ。」

 

 

しかしさやかは再び突っ込む体制をとった。

 

 

杏子「オイッ!」

さやか「邪魔しないで・・・。一人でやれるわ・・・。」

 

 

するとさやかは目にも止まらぬ速さで魔女に近づき、魔女の首を切りさいた。

しかし魔女は死んでおらず、さやかは魔女の猛攻をモロに受けてしまった。

 

 

悟飯「さ、さやかさん・・・!?」

 

さやか「くくくく・・・・・・!」

 

杏子「アンタ、まさか・・・!」

 

さやか「アハハハ!ホントだ!その気になれば痛みなんて・・・アハハ!完全に消しちゃえるんだ!!」

ズバッ ザシュ グシャ

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「やめてくれ・・・さやかさん・・・!」

 




ED 僕達は天使だった

歌 影山ヒロノブ



杏子「次回、第8話
『魔法少女最後の秘密』。」

「あたしって、ほんとバカ・・・!」
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