武器商人は一番目からある物を盗み、血の従者に
少女は武器商人の所有物となった
絃神島にて起こる異変に巻き込まれた少年と復讐の吸血鬼はどのような存在か
これより始まるは人口生命体の物語
真夏の森____
深夜の神社境内を、
御殿に差しこんでいるのは淡い月光。
季節を忘れるほどに空気が冷たく張り詰めているのは
騒がしかった虫たちの鳴き声も、今はもうほとんど聞こえない。
少女は無言で、広い御殿の中央の座っている。
まだ幼さを残しているが、綺麗な顔立ちの娘である。
細身で華奢だが、儚げな印象はない。むしろ元気いっぱいとでも言うような顔である。
そのように見えるのはパッチリと開いた目や、周りを気にしているような表情のせいかもしれないが。
少女が身につけているのは、関西にある私立中学の制服。
神道系の名門校だが、そこが
御殿には三人の先客がいる。
しかし彼らの正体は、少女にも事前に知らされている。
“
いずれも最高位の霊能力者、あるいは魔術師でありながら、彼らを取り巻く気配は静謐で威圧感がまるでない。
少女は御簾をじっと見ている。そして____
「名乗りなさい」
御簾の向こう側から声が聞こえた。
口調は厳かだが、冷たさは感じない。
想像していたよりも若い声だった。
どこか笑いを含んだ女の声だ。
「遠山…遠山綾花」
小さい声で囁くように少女は答えた。
そして御簾の向こうにいる女は気にせず質問を続ける。
「年は?」
「…十五」
「そう……遠山綾花。修行を始めたのは、四年前ね。あなたが機関に連れてこられた日の事を覚えてる?」
“
「いえ、覚えておりません」
やはり囁くような小さい声で答えた。
「では、本題に入りましょうか」
その言葉とともに御簾の隙間からなにかが現れた。
それは一羽の蝶だった。
音もなく羽ばたいて綾花の前に着地すると、蝶は一枚の写真へと変わる。
写っていたのは、高校の制服を着た一人の男子生徒と中学の制服を着た女子生徒だった。
その姿は見たことが無いはずなのに記憶にある男の子が成長したらこうなるだろうと思う姿だった。
「…これ…は?」
「暁古城というのが彼の名前です。知っていますか?」
「…わからない…です」
生まれてから一度も見たことが無いはずなのに記憶に残っている姿。
でもなにか大切だったものの様な気もする。
だが考えていると急に頭が痛くなってくる。
「彼のこちを、どう思いますか?」
「…わから…ない…です」
「…そう、ではあなたには彼の監視役になっていただきます。彼の居る場所は東京と絃神市___
そう話しながらまた御簾の隙間から先程と同じように蝶が飛び、一枚の写真に変わる。
それは幼さが少しあるが、綺麗な顔立ちの娘であった。
「彼女が姫柊雪菜さんですか?」
「えぇ、そうよ。彼女に詳しい話は聞いてください。…それとこれを」
巻き上げた御簾の隙間から、女がなにかを差し出した。篝火に照らされ、闇の中に浮かぶ上がるものは小さなナイフ。
最低限魔族と戦えるように準備された物らしい。
本来渡すための武器はまだ準備が出来ていないらしく、代わりにこれを渡すとの事だ。
だがそれ以上に気になったのはビニールに包まれた制服だった。
それは白と水色を基調にした、セーラー襟のブラウスとプリーツスカート。どうやら中学校の女子の夏服らしい。
「私立彩海学園高等部一年B組、出席番号一番。それが暁古城の現状の身分です。姫柊雪菜と共に彼の監視役として
それを言い終わると御簾の向こう側に居る長老たちの気配が消えた。
そうして彼女は絃神島へ第四真祖の監視役として向かった。
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次回は2019年1月1日投稿予定