かなり雑になってますがお許しください...
「...はぁ」
どうも、絶賛バイトの休憩をしてるヌヌ葉否でございます。今は本当にマジで休憩なんかしたくないほど悩みがあるんですけどね。
その内容は勿論、先日のアレです。美城さんの謎スカウトです。流石は大手プロダクションのNo4...話が上手いです。気付いたら言いくるめられて契約書にサインする五秒前でしたからね。いや契約書出されてませんけど。
結局あの後は考えさせて下さいと言って切り上げちゃったんですよね...私の考えでは『アレ』を美城さんが見た後は私が改めて断ってこの話は無かったことに...という話がスムーズに進んでいくはずだったんですけど。どうしてこうなったのか...
そして美城さんが『アレ』を見た時の表情が嫌悪してなかったのが謎です。てか全く表情変わりませんでした。普通、『アレ』を見たら表情が変化するもののはずなんですけど...無表情なんでしょうかね。
っと、それよりも考えるべきことがあるでしょう私。美城さんへの返事です。少し前の私なら即断りを入れていましたが...それに悩んでいる自分がいます。その時の私が今の私を見たらどう思うのでしょうかね。軽蔑...いえ、私を私と認識しないでしょうね。あれは私ではない、とするでしょう。おそらく。
...さて、どうするべきなんでしょうか......
「お疲れ様です、否ちゃん」
「あ、お疲れ様です、菜々先輩」
菜々先輩がご出勤なされました。はて...本日はアイドルのレッスンのはずでは...?
「今日はとても早くレッスンが終わったので来ちゃいました。丁度休憩時間みたいで良かったです」
「なるほど、そうでしたか」
...そうです。菜々先輩に相談させて頂きましょう。菜々先輩ならば答えとなる何かを与えてくださるはずです。
「...菜々先輩、実は相談事がありまして」
「悩み事ですか?えぇ、いいですよ!」
「実は────
★ ★ ★ ★
────と、言うわけなんです」
『アレ』等の部分は伏せ、この前の出来事を話しました。途中、これは完全に嫌味になってしまってるのではないか...と思い、表情を伺い言葉を選びながら話していたのですが、菜々先輩はそんな表情を一度足りとも見せることなく真剣に私の話を聞いてくれてました。流石菜々先輩...
「なるほど、そうですねぇ...えぇと、とりあえず否ちゃんはアイドルをやってみたいんですよね?」
「...え?」
「え、違いました?かなり否ちゃんアイドル活動に興味がありそうな感じでしたけど...」
まさか、私が?アイドルのような輝いてる存在になれるはずのない私が?なりたいと思っている?...そんなそとはないはずです。私とアイドルというのは闇と光、決して交わることのないものなのです。
「っ.........」
...しかし、何故か私はこれに即答出来ませんでした。ただ一言、『私はアイドルには興味がない』と口にすることが出来なかったのです。
...まさか本当に私は...
「...否ちゃん?」
「は、はい!」
──考え込んでしまってましたね。菜々先輩が聞いて下さっているのにこれでは...
「おほん、否ちゃん。否ちゃんはまだ若いんですからもっとトライしてみることが大事ですよ!」
「...?」
「なんでもとりあえずやってみる!これが若さの特権なんです!自分には向いてない、なんてネガティブに考えて可能性を捨てるのは勿体無いと思いますよ!」
「...ですが、私がアイドルになんて...」
「否ちゃんは正直可愛いです!双葉杏ちゃんと容姿は似てますけど全く違う可愛さを持ってますし、時々見せる笑顔が素敵だなって思いますよ!」
「か、可愛いだなんてそんな...」
...うぅ、顔に熱が籠っていくのを感じます。菜々先輩に褒めてもらうのは嬉しいですが、恥ずかしい...ですね。
「それに、アイドルは楽しいですよ!お仕事やレッスンは大変ですけど、それ以上に皆さんが喜んでくれますから!」
...なるほど────
────ん?
「
「?はい、そうですよ?」
──お仕事...仕事、仕事!!!
「そういうことでしたか!!!!」
「...?」
今完全に理解しました!私はアイドルという存在を今までとても尊い神様のような神聖なものであると考えていました...ですが違ったのです!アイドルは人間と同じ『仕事』をする労働者の一員なのです!
あぁ、どうして気付かなかったのでしょう!労働という点ならば私が今しているバイトも同じ区分。つまり、アイドル活動は仕事をするということなのです!何、当たり前?ならば気付かなかった私がバカなのですね!
つまり、私がアイドルになったとしても輝く必要なんてない、
「ありがとうございます菜々先輩!お陰で解決しました!」
「そうですか!お役に立てて良かったです!」
「このお礼はいつか!では、少し失礼しますね!了承の電話をしてきます!!」
「あ、否ちゃん!休憩時か......まだ後10分はありますね」
その日、美城常務の元に妙にテンションがおかしい否からの電話があったという。常務が相当困惑したのは言うまでもない。