色々忙しくて執筆する暇が全然とれなかったんです(言い訳)
ですがチマチマとやってきたので完成しました。どうぞご覧ください。
───秋の定例ライブ当日。ライブ開始まで残り6時間を切ったあたりでしょうか。私は一人外で振り付けの確認をしていました。
勿論、他のメンバーの皆さんも既に会場入りは済ませてます。やるならば皆さんと一緒にやるのが効率的なのかもしれませんが、どうしても一人でやりたいのです。
理由なんて一つです。私が納得してないから。
今日はプロジェクトクローネだけのステージではなく美城プロの殆どのアイドルが出場します。そこではそれぞれが持ち歌を披露したり、限定ユニットを組んだりして会場を盛り上げるのでしょう。かなりクオリティも高いはずです。
比べ私はどうでしょう。正直プロジェクトクローネで一番遅れているのは私です。なんかいきなり皆さんが私の監視をし始めたことが原因なのですけれど。まぁとにかく付け焼き刃にはなりますがレッスンをしておかないとダメなのです。
それに......今日は杏もステージに出ます。共演というわけではありませんが、見る人からすれば容姿も合わさり比較されてしまうでしょう。
そこでもし杏に劣ったりなどしていたとしたら───私は.........
『お前を何のためにここまで育ててきてやったと思ってるんだ!!!』
「─────っ!!!」
ゴンッ!! と1発、私は近くにあった木に頭突きをかましました。それで木が揺れ葉っぱが落ちてきたりしましたが気にしません。
それにしても...い、意外に痛いですね...ですが、正気に戻れました。
「...とりあえずは、ステージの成功だけを祈りましょう。そもそも杏と私は比較なんぞされませんよ。プロジェクトコンセプトも違いますから」
ええ、きっとそうに違いないのです。そう思わないと......
.........さて、再開しますか。
私の曲───『I AM DREAMING』は難しめのダンスが数秒あるのが特徴です。ダンサーレベルとまではいかないでしょうが、普通のアイドルはここまでしないよってレベルですね。
歌も歌で静か目から始まりサビになるにつれどんどん激しくなり、サビがもう盛り上がるピークです。聞いてて楽しくなる曲だと感じました。
歌詞のほうはもう完璧...とまではないでしょうが何も見ずに歌えるようにはなりました。ですが問題はダンスの方です。
先ほども述べたようにこの曲には難しめのダンスをする場面があります。必要なのは割と細かい技術です。
おそらく美城さんがオーケーを出されたのでしょうが...まぁ、それは構わないのですけど。レッスン時間が足りないですよ。
レッスン時、トレーナーさん方はもう十分だと言ってくださいましたが私個人として見てもまだまだです。他の皆さんに比べて見劣りしてしまいますし、トレーナーさんもとりあえずオーケーを出したに違いありません。
これのせいで皆さんの足を引っ張ったりなんてしたら? 期待に応えられなかったら? ...考えたくなくもない。
だから自主レッスンです。自主レッスン禁止? ええ上等ですとも。私よりもお客さんに魅せることのほうが重要に決まってますから。特に本日は本番で、美城さんは止める道理はありませんし、魅せるためにはやらなくてはなりません。『結果が全て』...今までだってそうでしたから。
「......よし、もう一度です」
流れ自体は覚えてます。歌っている時は大した量のダンスではないのですが、今まで問題視してきたダンスは間奏のところなのです。『生きる意味』を探すためにも完璧に、魅せれるものに仕上げなくてはなりませんね。
と、この考えが頭に浮かんだ時───────ふと、とある疑問が沸きました。
「...何故、私は『生きる意味』を探しているのでしょう?」
考えるべきではないと脳内が警告してきているのにも関わらず、私は一旦動きを止め考え始めました。
更に言えば...そもそも『私』とは何なんでしょう。私というのはあの親によって作られたものであることは明白。私はある意味作られた人間に過ぎないのですから。なら今こうしてアイドルをしているのも、生きる意味を探しているのも私自身によるものではない...? 仮にそうだとしたら、私は─────
「つまり、私は───」
「否さん?」
「! 橘、さん...」
今にも沈んでいきそうだった自分がもとに戻っていくのを感じます。これは私自身の問題、他の方を巻き込むわけにはいきませんからね...切り替えましょう。
「何故ここに?」
「否さんを探してたんですよ! ほら、今からリハーサルです!」
「? まだリハーサルまでまだ時間はあるはずでは?」
「何を言ってるんですか? 本番まで残り4時間ですよ! 4時間前には全員でリハーサルだって伝えられたじゃないですか!」
「え...あ、ホントですね。申し訳ありません」
いつの間に...時計を持っていかなかったこちらのミスですね。
「...もしや否さん、自主レッスンしてました?」
「はい、まだ不完全なの.........あ」
「...本番までクローネ全員で見張りますからね、否さん」
「え、それはちょっと...」
「ダメです!! 本番前に倒れたらどうするんですか!? とあるプロジェクトの人が過労で熱が出てステージに出れなかったという事例もあるんですよ!? リハーサルは軽くしてください、いいですね!」
「あ、はい」
年下のはずなのに圧が凄いです、橘さん...と、感じると共に私は疑問を持ちました。
...何故、橘さんは私なんかに構っているのでしょう。何かした覚えは...ありますけど大したことではないはずです。ちょっとした本番での動き方を教えただけです。
───平たく言えば、勉強の仕方ではなく受験の受かり方を教えたようなものですが。
ですがその程度であればトレーナーさん方で十分足りていますから...うーん、謎です。ま、今はとりあえず考えるのは辞めましょう。
身体的なレッスンは仮にできなくとも、脳内でイメージトレーニングなら出来ますし仕方ないですからそっちをしましょうか。ここで橘さんから見れば休んでるように見せつけるのがポイントです。流行り?のマルチタスク?ってやつです。勿論バイトによって身に付けましたよ...ふふふ、やはりバイトは正義ですね。
「...頑張りましょうね、否さん」
「ええ、必ず成功させましょう」
そのためにも、休んでる暇を作らないようにしないとなりませんね。
これから暫く亀になります(確定)
あ、『I AM DREAMING』とかいうのはオリジナル曲です。否さんの専用曲みたいなのだと思っててくださいな。歌詞は......どうしましょうかね?←